王冠をかぶろうとする者、その重さに耐えろ〜相続者たち〜
第9話

ヨンドからの電話に出ようとするウンサン。

ウンサン「やめて!これ出ないと」

タン「出るな」

ウンサン「見たでしょ?無視したってだめだよ。成金じゃないって全部知ってるの」

タン「出るなって言った!!」

ウンサン「(電話)もしもし・・・」

電話に出さないようにいきなりキスするタン。

突然のことに固まるウンサン。

そして鳴り続ける着信。

(一度出たのにその後応答がないのでヨンドがかけ直してる)

タン「(すごんだ声で)出るなと言われた電話にまた出てみろ。そん時はマジでキレるから。電話した奴殺すぞ。俺は中途半端はしない」

黙ってその場から逃げだすウンサン。

ウンサンの電話に出るタン。

タン「何処だ?」

ヨンド「何でお前が出るんだよ」

タン「どこかって聞いてるだろ?」

ヨンド「お前は屋上か?何をしたんだ?チャウンサン降りてきてるぞ」

タン「そこで待ってろ!」

ヨンド「急用があるから切るぞ」

ヨンドのいる場所へ急ぐタン。

ヨンドはウンサンの腕を掴もうとするが、冷たい目で手を振り払われてしまう。

あのヨンドが、そのまま何もできずに固まってしまう。

その時ミョンス。

ミョンス「成金の制服どうなってんだ?」

ヨンド「俺が転ばせた」

ミョンス「何で?間違って?わざと?お前いくらなんでも女はいじめなかっただろ?なのにドンドン・・・」

ヨンド「違うんだよ。いつも悪いのはおれだけど、今度は違う」

ミョンス「じゃ、何?」

ヨンド「知りたくてさ。チャウンサンを転ばせたらおれがどんな気分だろうかって」

ミョンス「興味があるなら告白したらいいだろ?なんでいじめるんだよ。だからお前はガキ呼ばわりされるんだ」

ヨンド「黙れ」

ミョンス「お前の方こそ黙れ!」

少々やりすぎなヨンドに対し、ちょっと厳しくなってくるミョンス。

ヨンド「待てよ!」

洗面所で制服を洗うウンサンのところへボナが着替えを持って来てくれる。

ボナ「探したわよ!」

ウンサン「何で?」

ボナ「決まってるでしょ?着替えなさい。あなたのロッカーからとらせて貰ったわ」

ウンサン「ありがとう」

ボナ「別に。私がやらなかったらチャニョンがやるって言い出しそうだったからやっただけ」

タンは、ヨンドを見つけたとたん蹴りを入れる。

ミョンス「どうしたお前ら!」

派手に喧嘩する二人。

その様子を見ていたラヘルは、ウンサンを見つけ髪の毛を掴む。

ウンサン「何するの?放して」

ラヘル「あんたのせいで学校がどうなっているか!キムタンとチェヨンド喧嘩して大変なのよ!!」

驚いて慌てて駆け付けるウンサンたち。

ヒョシンが来て止めに入る。

ヒョシン「やめろ、キムタン!チェヨンド!」

血を流してにらみ合う二人を見るウンサン・・・。

騒ぎを聞き、やってくる理事長。

理事長「何でこんなことしたの?訳を聞かせて」

ヨンド「弁護士なしだとどんな申し立てもしてはいけないと教えられまして・・・おばさん」

理事長「今は理事長として言っているの。タンの母ではなく。前に言ったはずよね。今度は話だけじゃすまないわ。CCTVを確認し懲戒委員会にかけます。いるようなら親にも連絡するわ」

ヨンド「穏便に済ませてください」

理事長「遅い!学校の内ではだめよ。私の学校に傷つけないで!!帰って」

感情的な理事長に対し。

ヨンド「怪我はない?が先じゃない?やっぱり実の親じゃないからかな」

タン「こんな母でもいるからどんなに心強いか」

ヨンド「帝国の庶子キムタン、いつバラそうかなー」

タン「お前にはそのカードは使えない。それだけだろ?持っているカードは?」

ヨンド「本当にそう思うか?後悔するぞ?」

タン「やってみたら?ボロボロになる覚悟はできてるから」

チャニョンと話してるウンサン。

ウンサン「チェヨンドにはバレているよ」

チャニョン「そうかも?そうじゃないかも?何かあったらその時戦おうぜ。一緒に戦うからさ。キムタンがお前の事好きだろ?社会配慮組だって事がバレるよりキムタンがお前の事好きだってことがバレるほうが問題だ。キムタンの落ちる姿が見たいと思ってる奴らがこの学校にどれだけいるか解ってる?帝国グループの息子には逆らえないけどムカついてる姿は見たい。お前が好きだって知ったら奴らはお前を攻撃する。チェヨンドはもう始まってるしよ」

チャニョンの心配は最もだった。

好かれても嫌われても、どっちみち帝国ではウンサンはターゲットになってしまうのだ。

自宅の門でウンサンを待ってるタン。

携帯をかえす。

タン「忘れていくなんてだらしないな。ローン残ってるんだろ?(自分の包帯を見せて)見えねーの?怪我したんだよ。理事長に怒られて。懲戒も受けるって・・・まさか首にはならないよな?男が中卒だなんて笑えね・・・」

ウンサン「先に入る」

タン「おい、それはないだろ?どれだけ(お前を)待ったと思ってんだ?」

ウンサン「やめて!触れないで。これからは待たないでお願い。ここでもめたくないの(CCTVをさして)。あなたが教えてくれたんじゃない」

タン「俺が教えたこと、俺が警告したこと、何一つ真に受けなかっただろうが!」

手首を掴むタン。

その時ウォンが帰ってくる。

会釈して、行ってしまうウンサン。

タン「兄さん」

ウォン「どけ、ドアの前だぞ」

タン「ずっとホテルにいるの?」

ウォン「お前警備かよ?」

タン「もうそろそろ戻らない?」

ウォン「じゃ、お前がホテル行くか?」

タン「兄さんの物を奪うつもりないから・・・」

ウォン「帝国がそうするって決めたらそうなるんだよ。存在自体が誤解で邪魔だ。俺が(家へ)来たって言うなよ。ちょっと物を取りに来ただけだから」

部屋に入るなりタンはウンサンにメール。

タン『今日はワイン倉庫行くな、兄と鉢合わせることになる』

が、ウンサンはばっちり鉢合わせしていた。

ウンサン「奥様が・・・若奥様から持って来いと言われて」

ウォン「でもそれは違うと思うよ。これは俺のだから」

ウンサン「すみません」

ウォン「怒ってないよ。帝国高校?ここに住んで?」

ウンサン「はい」

(なぜかウンサンに対しては優しいまなざしのウォン)

ウォン「会えてよかった」

ウンサン「それじゃ、行きます」

ワインを選び戻っていくウォン。

ホテルのロビーで待ってるヒョンジュはウォンを見つけて立ち上がるが直前でラヘルがウォンに声かけてしまう。

ラヘルには優しいウォン。

ウォン「今日はお茶でもしようか?」

ラヘル「いいですね♪」

仲よさそうに話す二人を見て、ヒョンジュは帰ってしまう。

ウォンは、女の子の事でタンが喧嘩したことを聞きさっきのウンサンとタンの姿を思い出す。

タンの傷だらけの顔を見て、驚く母に。

タン「玉蹴ってて転んだんだって!眠い、寝る。お休み、愛してるー!」とっとと追い出す。

翌朝早く、運転手を待機させウンサンを待つタン。

しかし、何時間待ってもウンサンは出てこない。

タン「一体いつ行ったんだよ・・・」

しかし、ウンサンは登校してなかった。

ウンサンの席を見つめる、タン・・ヨンド・・チャニョン。

それを見るラヘル。

皆が気にする。

ウンサンは・・・制服のまま街中に座っていた。

授業が終わった途端飛び出していくタン。

ウンサンに電話するがつながらず、チャニョンから映画館かな?と聞きそこに向かっていく。

ウンサンが来ないことで、学校から母に電話が来る。

だが母は内容が聞こえても話ができない・・・。

ただウンサンが登校しなかったことだけを知ってしまった母は、ウンサンを心配する。

映画館に行ったタンは、ウンサンを見つけてほっとする。

映画が終わっても座ったままのウンサンを黙って見つめるタン。

ウンサンの後をゆっくりついて歩く。

ドリームキャッチャーの店の前にウンサン。

ウンサンは、アメリカでの事を思い出していた。

その時、ウィンドウに映ったタンに気づく。

ウンサン「なんでここに?」

タン「映画面白かったか?学校にはなぜこなかった?行きたい時に行って行きたくない時は行かなくていい場所なのか?」

ウンサン「そっちこそ、懲戒に掛けられるのにこんな風に出てもいいの?」

タン「お前の心配だけしたらどうだ?お前はおれがぶっ殺す」

ウンサンの手をひっぱって連れていくタン。

そのまま手をつないで歩く二人。

タン「お前のせいじゃない。でもこの手は離さない。ずっとこうやって行ったらその先にはお前がいるだろ?」

ウンサン「いない。私はとっくに逃げていないよ」

そういって手を離すウンサン。

タン「大丈夫、俺が必ず探し出す」

ウンサン「やめて!もう逃げる場所もないの」

タン「お前の事が好きなんだよ!どうすればいいんだ!!」

ウンサン「私も・・・私もあんたが好きよ。だけどそれが何?無事に学校を卒業しよう。居候で生きてるけど潔くいよう。ちっぽけな計画も全部狂っているのにあんたが好きなことが何になる?それは何の力になるの?みんなはあんたの複雑な家族関係を知らないでしょ?あんたは私を守り抜けない。あんたは自分でも守りなさいよ!」

がっくり肩を落として言葉無く立ち去るタン。

タンの立場を守るために絞り出した言葉でタンを傷つけたウンサンは涙が溢れる。

その頃ヨンドはラヘルから貰ったウンサンの税関申告書を見て、住所を尋ねていく。

だがそこは空き家、みすぼらしい建物・・・「成金?」確信するヨンド。

悩み事がありすぎのウンサン。

でもバイトを休むことなんて出来ない。

この日もバイトにいそしんでいると、男子学生が飲み物に髪の毛が入っていると因縁を付けウンサンの電話番号を教えろ!としつこく言い寄ってくる。

ウンサン「ここ、CCTVありますし警察呼びますよ?」

毅然と相手をするウンサン。

その時。

「警察官のおなーりー」とヨンドが現れ、いきなり男子学生の椅子を蹴る。

彼を見たとたんビビリまくる男子学生。

ヨンド「久しぶり!中学の時会っただろ?俺があんなによくしてあげたのにさ、こんなチンピラになってたのか?」

逃げていく子たち。

ヨンド「(ウンサンに向かって)いじめなら俺にされろよ・・・。助けてやったのに挨拶もなしかよ?」

ウンサン「あんたのせいで学校も行けなかったの。なぜいじめるの?」

ヨンド「いじめてるつもりはないけどな。今日お前の昔の家へ行ったんだけどお前は社会配慮組が確かだけど、それで・・・」

ウンサン「ああ、そうだよ。社会配慮組だよ。それで?私も追い出す気?」

ヨンド「そうするにはお前の事好きになっちゃって・・・」

ウンサン「え?」

ヨンド「でも、お前は俺の事嫌いだよな」

まさかのヨンドの告白に「これって新手のいじめ?」と当惑するウンサン。

部屋の窓から庭を見つめじっとウンサンの帰りを待つタン。

するとタンはCCTVに映ったウンサンを見つける。

門の所で座り込んでいるウンサン。

行こうとするが、そこへウンサン母が。

それを見て、タンは行くのをやめる。

学校サボっても、叱らない母。

ウンサン母「(手話で)しんどくて行かなかったんでしょ?私が何かを言ったらもっとしんどくなる」

そう言って手を握ってくれる母。

ウンサン「心配しないで、今日だけだよ。明日は行く!100万の制服だもんね。元とらないと!」

目に涙をいっぱいためるウンサンを、やさしく抱きしめる母。

母「夜の空気はいいね」

親子二人、力をあわせて耐えていく姿を、CCTVで見ていたタン・・・。


翌朝登校するウンサン。

彼女と廊下で会うタン・・・だけどただすれ違っていく二人。

お互い惹かれあっているのに。

壁が・・・問題が多すぎる。

ウンサン母に父母会の知らせが来た為、かわりに電話に出てあげるタン母。

話しているうちに何かピンと来て、代わりに出ると言い出す。

愛人だってばれたら・・・と心配するウンサン母。

だが、ウンサンの母としてばっちり決めて父母会に行ってしまう。

タン母、ウンサン母のふりをして学校の父母会に来ちゃう。

司会「あ、今始めた所です」

タン母「申し遅れました。今度転校してきたチャウンサンの母です」

はじめての父母会。

タン母は、みんなに対抗する為キャンプの車、衣装、食事すべてを自分が出すと言い出してしまう。

面食らう母たち。

ヒョシン母「車、食事・・・多いですよ?」

タン母「全部やりますよ?」

ヒョシン母「なら、どうぞ・・・みなさん拍手・・・」

ウンサンに嫌味を言うラヘル。

ラヘル「やめると思ったのに・・・私キムタンと婚約したのよ?企業と企業が約束したってこと、取引なのよ。あなたはこの約束に首突っ込んだの。答えてアメリカで聞いたけどあ んたは誰だって?」

ウンサン「すぐ知ることになる。私が誰なのか・・・チェヨンドが知ってるから」

それを立ち聞きしていたイェソル。(ヨンドが密かに好き)

イェソルはウンサンをいじめはじめる。

イェソル「父か母の名前出して!成金なら記事くらいあるでしょ?ないなら成金じゃないでしょ?そういえば・・・学校行く時車乗ってないよね?どんな会社?」

そう言ってウンサンをどつくイェソル。

その時ヨンドが『手出すな!』とイェソルに警告。

そこへやってくるミョンス。

ミョンス「成金!さっきお母さんから電話きたけど、この子の母すごかったって。頭から足まで外国の車代くらいだって。第3金融とかか?キャンプもさ、ホテル以外は全部出すって言ったぞ」

ウンサン「私の母がそう言ったって?」

『言った』の部分に驚くウンサン・・・とタン。

話せないはずだから。

ラヘルは自分の母のところへ行き、ウンサン母のことを聞き出す。

ラヘル母「私ですら持ってないバックを持ってた。限定の20個のやつ」

ラヘルは?になる。

喧嘩が原因で奉仕活動を命じられ、タンと掃除してるヨンド。

タン「俺の分まで頼む。掃除はもううんざりだからさ」

ヨンド「家に行くのか?何で?実の母に会いたい?」

タン「お前の母親は、父母会に出たのか?ああ、忘れてた。お前の母逃げたよね?」

ヨンド「面白くなったよな、お前」

タン「はじめたのはお前。3年前も今も」

タンは家で母からウンサンの母親のフリをして、父母会に行ったと聞かされる。

タン「どういう考えでそんなことしたんだよ?」

タン母「どんな家の子たちと学校に行っているのかとか、親の会とか何をするのだろうとか、気になったの・・・」

という母に、ワイン減らして・・・心配だからというだけにとどめるタン。

その時突然、お友達が見えました!と言われヨンドが現れる。

慌てて隠れようとするタン母に「おばさん、水をいっぱいお願いします」というヨンド。

使用人のフリをしようとする母をとめ「お母さん、俺の友達」と紹介するタン。

ヨンド「俺が知ってる母とは違う。実の親?」

タン「出て話そう。出て来い、殺す前に」

庭で話すタン。

タン「悪かったな、舐めてた。ここまでするとは思ってなくて」

その時ウンサンが帰ってきてしまう。

二人を見て固まるウンサン・・・。

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