王冠をかぶろうとする者、その重さに耐えろ〜相続者たち〜
第6話

タン「会いたかったぞ、親友」

ヨンド「お帰り」

タン「緊張するな。今どうにかするわけでもないのに」

ヨンド「挨拶だけさ。みんな驚くだろ?」

一触即発の状態の渦中に入ってしまうウンサン。

ヨンド「(ウンサンを見て)なんてお土産なんだ」

タン「(ウンサンに)お前は制服も着ないできたのか?」

見かねたチャニョンがウンサンを連れて行く。

それを見たボナは『ウザイあの子!』ラヘル『同感』

ウンサンが気になるタンはヨンドどころではない。

ラヘル「もう終わった?私と一緒に・・・」

ラヘルを引っ張るヨンド。

ヨンド「まだお兄ちゃん達お取込み中だろ?シスター。ハグも涙もなく終わらせないだろ?」

タン「ハグはちょっとあれだけど、涙が必要なら言えよ。泣かせてやる」

ヨンド「ほらな?もう面白くなってきた。毎朝ときめいて登校出来ないよー」

タン「それが心配なら転校も考えてみたら?俺が行くことは出来ないしさ。お母さんが理事長なんだから」

ヨンド「おぉ。母さん(実母)とお母さん(正妻)で差別をおくわけだ」

カチンとくるタン。

ヨンド「初日からやりすぎたかな?久々だから嬉しくてついよ。じゃあまたな」

ヨンドの後をくっついていくミョンス。

タンを呼びつけるラヘル。

ラヘルは、ミョンスが騒がなかったら自分も帰国を知らなかったと文句を言いウンサンの転校もタンに関係しているのかを尋ねる。

タン「関係なくはないだろう?俺のお母さんが転校書類にサインしたはずだから」

ラヘル「あなたの意思が少しでも混じってるのかを聞いてるの」

タン「いつからうちの事に俺達の意思が重要だったんだ?自分の婚約だって俺の意思が入ってないんだから、チャ・ウンサンの転校と俺は関係ない」

ラヘル「そう・・・じゃ私達の話をしましょう」

タン「今のが俺達の話だ」

そういって話を打ち切るタン。

ウンサンを引っ張っていったチャニョン。

チャニョン「電話でもしてくれたら一緒に来たのに」

ウンサン「電話ならあなたからしないと・・・なんでキムタンが帝国グループの息子だって言ってくれなかったの?」

チャニョン「知ってしまったか?」

ウンサン「先に言ってくれたら・・・」

チャニョン「なら出てきた?あの家から?だから言ってなかったんだ。今君に迫っているものに比べたらキムタンが誰かは重要でない気がしてね。その代わり、今君の目の前に迫ってる重要なことについて話してあげる」

ウンサン「なんでそんなに悲壮なの?」

チャニョン「よく聞いて。ここには徹底的な階級が存在する」

ウンサン「階級?」

チャニョン「一番目の階級『経営相続集団』いわば財閥の息子、娘だ。二番目の階級『株相続集団』稼業は継がないけど既に大株主である。三番目の階級『名誉相続集団』長官、国会議員、最高裁判長、ローファーム代表などの子息だ。そして四番目。君と俺みたいな『社会配慮者集団』」

ウンサン「社会配慮者集団?」

チャニョン「社会配慮者典型で入学した学生の通称だよ」

ウンサン「私ならともかく、なんであなたまで?」

チャニョン「カースト知ってるよね?秘書室長の息子?ここではシュードラだよ」

ウンサン「あなたがシュードラならいったい私は?(こんな特権意識の中で)耐えられるかな?」

チャニョン「せめて君には味方が一人でもいるだろ?ここの皆は皆、一人だった。俺もそうだったし」

そこに先生からチャニョンにメールが入る。

チャニョン「転校生、職員室に来いって。ちなみに僕が学年代表だ。何かあればいつでも聞いて」

ウンサン「ありがとう。じゃ一つ教えて。職員室はどこ?」

チャニョンから場所を聞き職員室で先生と話すウンサン。

先生「学年必須科目は時間に合わせて聞けばいいし、教養科目はあなたがスケジュールを作るのよ。大学のシステムだと思えばいいわ。それとこれを書いてちょうだい」

個人データを書く紙を渡されウンサンは母の職業を主婦と書く。

それを見ていた先生は

「お母さんはお手伝いさんでしょ?それで授業代が免除だって聞いたけど?」

この会話を偶然聞いてしまういじめられっこの生徒・・・。

ウンサン「主婦でもありますから」

先生「ふーん。そう?初授業は私の授業を。専攻必須よろしくね」

早速みなの前で挨拶するウンサン。

先生「今日から一緒に勉強することになった転校生。挨拶してね」

早速皆がクスクス笑う。

だがめげないウンサン。

その中にはタンとヨンドもいる。

ウンサン「こんにちは、私はチャ・ウンサン。全てが無難で平凡なの。自分でよくするタイプだし。だからアテンションは断る。助けは重いから。これからよろしくね」

先生「空いてる席に座って」

男子生徒「転校生に質問!どんな典型で転校してきたの?」

質問に窮するウンサン・・・その時タンが助けに入る。

タン「ここに転校生がもう一人います!」

先生「この学校でタンを知らない人はいないでしょ?」

タン「それでもやることはやらないと。(前に出るタン)どいてくれないかな?俺の番だから」

タン「俺はキム・タン。前に通ってた学校は・・・言っても知らないだろうしアメリカから戻ってまだ何日かしか経ってない。俺も誰よりも無難で平凡な学校生活を楽しみたい。(ヨンドを見て)協力よろしくね」

ヨンドはニヤっと笑う。

ヒョシンの放送室に行くタン。

ヒョシン「入るのならなんでノックしない?」

タン「久しぶりだから優しくしてよ」

ヒョシン「(手を広げて)何?抱かれたいのか?」

タン「ときめくだろうが・・・どう?勉強は相変わらず出来る感じ?」

ヒョシン「もちろんだろ。お前はカンバックか?」

タン「制服まで来たんだからカンバックだよ」

ヒョシン「ついでにテスト受けてみないか?PDになる気はないか?」

タン「それにはマスクが良すぎるから俺は」

募集の張り紙を見るタン。

そこへボナがやってくる。

タン「元気だった?イ・ボナ?」

ボナ「超!!!!」

タン「チャニョンはどこだ?」

するといきなり。

ボナ「チャニョンは何も悪くない!」

ヒョシン「だって」

タン「じゃ俺は何が悪いんだ?」

ちょうどやってきたウンサンに話しかけるミョンス。

ミョンス「あ、転校生!俺の名前覚えてる?」

ウンサン「(名札を見て)チョ・ミョンス」

ミョンス「おお・・・俺も知ってるよ!チャ・ウンサンだろ?」

『正体は何なの?あんた。社会配慮?成金?』と詰め寄られるウンサン。

タン「(皆に)成金、成金。(ウンサンに)話がある」

だがそっぽを向いて行ってしまうウンサン。

そして歩くウンサンの足を引っかけるヨンド。

転びそうになったウンサンの手をとって「大丈夫?」と聞く。

ウンサン「あなたが足を引っかけたんじゃない」

ヨンド「引っかけないと手を取ってあげられないじゃないか」

ウンサン「変な子」

ヨンド「変なだけ?怖くない?」

ウンサン「なんで怖がらないといけないの?」

ヨンド「俺がお前をたまに倒すから。キムタンとどんな関係?」

ウンサン「ならキムタンに直接話しかけたらいいんじゃない?」

ヨンド「僕の紹介をしてなかったね。君、今日から僕のものだから。こういうのはパシリとも呼ぶよな」

そこにタン。

タン「俺に聞け!俺に直接!!」

タン「(ウンサンに)お前はなんで逃げているんだよ。先に行け。逃げるなよ!」

後で二人で。

タン「ずっと逃げる気か?」

ウンサン「一緒の家だし出来ないよ」

タン「泣いたか?」

ウンサン「お願い。知らんぷりしてくれない?ここで卒業したいの。なんで成金にしたのよ?」

タン「財閥がよかった?俺の隣にいろ!チェヨンドとは話すな」

ウンサン「いや、チェヨンドも女の子に噂されるのも全部あんたのせい。私が会わないべき人はチェヨンドじゃなくあんたよ」

チャニョンに電話するタン。

タン「ウンサンが社会配慮典型で入ったことと俺の家との関係は皆には言うなよ」

チャニョン「お前、チャウンサンの10年来の友達の俺にそれを言うか?」

10年来の友達・・・にカチンとくるタン。

タンにとって市場の危険人物ははたしてチャニョンか。


ウンサン母「学校どうだった?」

初登校を心配した母にウンサンは『バイト増やすからここを出よう』と言うが『口のきけない自分を雇ってくれる所があるのか?』と問い返される。

ウンサン「私のせいなの?じゃ私のせい?悔しいよ。なんでここでこんな風に住まないといけないの?」

やりきれなくなったウンサンは、一人ワイン倉庫へやってくる。

ウンサンがやってきたため慌てて隠れるタン。

PCから好きな歌を流してるウンサン。

壁を隔て、その曲を聞くタン。

タンはウンサンへメールする。

タン『ちょっと会えるかな?』

ウンサン『今どこ?』

タン「ここ」

ひょっこり顔を出したタンに驚くウンサン。

ウンサン「なんで隠れてたの?」

タン「お前が鈍いんだろ?あそこが(俺のオーラで)光ってたの見えなかったか?」

ウンサン「いつからいたの?前にもこうしたことある?」

タン「もちろん。してはいけないことでもしたか?」

ウンサンの手を掴んでにおいを嗅ぐタン。

タン「タバコじゃないし・・・俺の悪口でも言ったか?明日のランチは俺と食え。嫌なら元の学校に戻れ。それとも成金で過ごせ」

ウンサン「どっちも嫌」

タン「嫌でも明日のランチは俺としろ」


翌日、ランチしてるウンサンの近くにヨンドにいじめられてた子が寄ってくる。

いじめられっこ「静かに・・・俺、職員室で全部聞いたぞ。これはアドバイスだけど自分からそれを明かすな。ちゃんと耐えろ。俺は出来なかったけど・・・俺、転校するんだ」

突然のことで戸惑うウンサン。

そこへヨンドが現れて、急に態度を変えてごまかすいじめられっこ。

いじめられっこ「どけよ!ここは俺の席なんだ!!」

それを見たタンは、黙ってウンサンの手を掴んで連れて行く。

タン「静かに学校に通いたいなら食べろ、静かにな」

ウンサン「なんでこうなることを予想出来たの?」

タン「俺が作って、一緒にしたからだ・・・」

ウンサンが座っていた席は社会配慮者専用席だった。

そしてそれは昔キムタン自身が作ったものでタンも一緒にいじめていたからだ。

二人のところへヨンドが来る。

ヨンド「友達をいじめてよ。おれここに座ってもいいよな?」

タン「他を当たれば?ご飯は美味しく食べるものだろ?お前も、おれも」

ヨンド「俺はやっと美味しく食べられるぞ。転校生といてさ」

ウンサンを見るヨンド。

ウンサン「先、失礼するね」

立ち上がろうとするウンサンの手を掴んで止めるヨンド。

ヨンド「おれたち二人で食べよう。仲良くな。転校生がいなければダメだ。人目も多いのにおれたちが喧嘩してると誤解されたらどうする?」

呆れてスプーンを投げるタン。

ヨンド「ゆっくり食べてね〜転校生〜」

ウンサン「そう、食べるわ。あなたもたくさん食べて」

ヨンド「ほら、見ろよ。こうだから興味が湧くんだよ」

呆れるタン。

音楽室で。

ヨンドが入ってくる。

ヨンド「悪いけどみんな出てってくれる?キムタンと話がある」

タン「やることが幼稚だぞ」

ヨンド「お前は長いアメリカ生活で俺らの文化を忘れたみたいだけど」

タン「ここでは平和のために整理したっていうんだよ」

ヨンド「じゃなんだよ。俺ら一緒に通えないぞ?」

タン「俺、昨日転校してきたぞ」

ヨンド「俺の口から愛人の子だって出る前にさ」

オートバイ屋にいるヨンド。

そこへウンサンがピザの配達に来る。

ウンサン「1万6千100ウォンです」

それを見て驚くヨンド。

注文したのはヨンドだったから。

ヨンド「これ君の番号?」

ウンサン「はい?」

ヨンド「電話番号のために金まで・・・ラヘルに聞いた方が早いかな」

ウンサン「番号書かないで」

ヨンド「俺の番号入れるだろ?入れないならなんで成金がバイトするのか聞くぞ、お前に」

黙って出ていくウンサン。


ウンサンは母の洗濯の手伝いをしていた。

ウンサン「いい天気。癒されるわ。しかしムカつく。昼間は成金、夜はメイド。どんな人生なのよ」

タンが聞いているとも知らずにぶつぶつ独り言を言いながら洗濯物を干すウンサン。

いつの間にかウンサンは椅子に寄りかかってうたたねを始める。

うたたねするウンサンの顔をじっと見るタン。

傷だらけの手に貼ってあるカットバンが剥がれかかっているのをそっと直してあげ る。

寝ぼけて母と間違えるウンサン。

ウンサン「お母さん5分だけ・・・後でバイトいかないといけないから・・・」

そして目が覚めるウンサン。

「今何時!?びっくりした。遅刻かと思った」

その時竿に、あのドリームキャッチャーが。

ここにいたのがタンだと気づく。


掲示板を見たウンサンは奨学金制度ありの文字でヒョシンの放送室へ行く。

ウンサン「奨学金て前払いですか?後払いですか?」

ヒョシン「なんで?」

ウンサン「制服買うお金が必要なんです」

ヒョシン「成金だろ?本当に金ないわけ?」

ウンサン「バッグを買ってしまって・・・」

ヒョシン「そんなお前をここに入れろって?」

ヒョシンは『なかなか面白い子だな』と思いつつウンサンを見る。

廊下ではあの男の子がいじめられていた。

いじめられっこ「俺はもう我慢しない!転校するし怖いものないから!」

そう言って振り上げたかばんがヨンドの顔に当たる。

顔に傷が出来たヨンドはウンサンが見ている前で男の子を投げ飛ばし、踏みつける。

不敵な笑みを浮かべて立ち去るヨンド。

そこへ駆け寄るウンサン。

ウンサン「大丈夫?水飲む?」

それを見たタンは無理矢理ウンサンを引きはがす。

ウンサン「何よ!」

タン「それが問題だよ。こんなのに首突っ込むな。ここでお前抜いて誰かあいつに話しかけてる奴いるか?ここでは弱い者の味方するな。弱い者が弱い者の味方したって意味がないんだ」

その二人を見たラヘルは、奪った入国申請書を見てウンサンに電話をする。

ラヘル「もしもし私よ。私の声知っているでしょ?これあんたの番号?私の名札返して。どこ?名札は?」

ウンサン「私の申請書は?」

ラヘル「生意気な奴。説明聞いてない?あんた成金でしょ?その経緯は解らないけど私は父の父の父の代から金持ちだったわけ。これからはキムタンとは絡まないで」

ウンサン「のぞむところよ。私の申請書は?」

ラヘル「それ?捨てた。空港で。ここまで来るのお疲れ様」

そう言って5万ウォン2枚を投げ捨てて出て行く。

耐えがたい屈辱を味わうウンサン。

このまま帰りたくないウンサンはいつものコンビニへ。

いつもようにテーブルに突っ伏して眠るウンサン。

そこへヨンドがやってくる。

ヨンド「おい。なんでいつもこんな所で寝てるんだよ。守ってやりたくなるだろうが!」

その時タンから電話が。
ヨンド「俺の番号どうやって知った?」

タン「お前は俺の知ってんじゃん」

ヨンド「それで?何の用?」

タン「ラーメンうまいか?」

道路を隔てた向こうにいたタンは、ヨンドとウンサンを交互に見て・・・。

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