王冠をかぶろうとする者、その重さに耐えろ〜相続者たち〜
第12話

カンナムの交差点。

差し出されたタンの手をゆっくりとおろすウンサン。

タン「だめだ」

ウンサン「もう十分遠くまで来たよ、私たち。もう止めましょう」

タン「やめろ」

ウンサン「(泣きながら笑顔を作って)それじゃ。学校で・・・先に行くね」

行ってしまうウンサン。

ヨンド「相変わらず人を遠くへ行かせるな、お前」

交差点の真ん中に一人残されるタン・・・。

ウンサンを追いかけるヨンドは泣き顔を覗き込む。

ウンサン「どいて」

ヨンド「おい。俺がお前の事をさらったと思われるだろうが!」

ウン「タンは?行ったの?」

ヨンド「お前ら終わったのか?何で?」

泣きじゃくるウンサン。

ヨンド「おいおい、どうしたんだよ?一時間目は体育だろう?今日みたいに嬉しい日は一緒にサボってパーティしないか?」

ウンサン「98位が言う言葉じゃないと思う」

泣きながら行ってしまうウンサン。

ヨンド「(独り言)都合よくいかないもんだな・・・」

ウンサンの後姿を見送るヨンド。

タンは学校の屋上で今までのウンサンとの事を思い出していた。

あの時しっかりと繋がっていた二人の手・・・。

手を繋ぐ。

たったそれだけがこんなに困難なのか?とタンは考えていた。

体育館に行くタンは一人で座り込むウンサンを見る。

そこへチャニョンとボナ。

ボナ「チャウンサン!びっくりしたよ、朝ごはんも食べずに」

ウンサン「昨日はありがとう」

チャニョンはタンに話しかける。

チャニョン「なんで電話した?」

タン「なんで出なかった?」

チャニョン「俺はお前の秘書じゃないぞ」

タン「チャウンサンのこと泊めたか?」

チャニョン「どういうことだ?ウンサンが外泊したのか?」

タン「知らないなら結構。とにかくお前じゃないって事だな・・・」

チャニョンの所じゃない、そしてあんな時間にヨンドといた。

タンはまさか、またヨンドのホテルに行ったのか?そんな考えがよぎってしまう。

タンとヨンド、ロッカーで会う。

タン「泣いてたのか?朝、チャウンサン」

ヨンド「何でそんな調子良く尋ねるんだ?」

タン「お前がもしかしてと考えるかと。もしかなんて考えるな。お前へのチャンスじゃない。これは俺のチャンスだ」

アジトでキャンプの時の写真整理をしているミョンス。

ウンサンのSNSを探すヨンド。

ふざけてたメンバーはヨンドの写真を見て驚く。

ボナとミョンスずーっとウンサンを見てるヨンドの写真を見る。

ミョンス「チェヨンド。チャウンサンのこと本気で好きか?」

写真の自分を見て。

ヨンド「俺、こういう顔で見てるんだ。チャウンサンのことを」

妙に感動するヨンドは、放心気味のままそのまま飛び出していってしまう。

二人の仲を知って心配でたまらないタン母。

タン母「学校でウンサンと会ったの?もしかして会う約束でも?」

タン「俺はここにいるじゃないか今」

タン母「だけど…だけど不安なのよ。昨日のあんたたちの雰囲気では、今日あんたが帰ってこないんじゃないかと思たのよ」

タン「それでもいいか?」

タン母「まだしっかりしてないの?お父さんが知ったらあんたまたアメリカに追い出されるわ」

タン「母さん。母さんはこの家にいることが幸せなの?」

タン母「え?」

タン「母さんは俺が人に俺の母さんだと言えない事は平気なのかよ?」

タン母「平気じゃないわ。あんたを連れて、この家に入ってきてこの家の寝室を占めた時だけでもすぐに戸籍にも載ってあんたのお父さんと前妻をいびりながら住めると思ってたわ。こんな風に住むとは思ってなかったわ」

タン「それでも母さんは俺がラヘルとうまく行ったらいいか?万一俺がラヘルと結婚したら一生母さんを母さんだと紹介できないかもしれないじゃないか。それでもいいの?」

母「悲しいでしょ。でも母さんはあんたさえうまくいけばそれが報償よ。母さんはその日だけを待ってるの。そんな顔しないで。母さんが2人いる子が母さんがいない子みたいに」

ため息をつくタン。

タン「母1号、靴下脱いで!それ俺のだから」

母「これが?」

アメリカから持ってきたウンサンのウサギの靴下だった。

ウンサンは着々と出て行く準備をしていた。

空家のチラシを見て早速交渉する。

相談する為母にメールするウンサン。

『お母さん、5時くらいに会いましょう。その時私の着替え持ってきて』

タンはヒョシンに真実を告白するため呼び出す。

走ってきて無言でいきなり横に座るタン。

ヒョシン「受験を目の前にした高3を呼び出しておいて、申し訳ないどころか見もしないのかこいつ!」

タン「兄貴」

ヒョシン「なんだ?」

タン「実は俺、理事長の息子じゃないんだ・・・お母さんは他にいる」

ヒョシン「新しい冗談か?」

タン「冗談じゃない、マジだ。今まで騙してた。悪かった」

ヒョシン「マジだとして今まで隠し通したのにいまさら言う理由は?」

タン「震えるのかどうか試してみたんだ・・・やっぱり震えるな」

ヒョシン「試し?」

タン「先輩に言うだけでも怖いんだな」

ヒョシン「マジなのか?」

タン「そうだってば!もう一周してくる」

突然のタンの告白・・・ヒョシンはその真意が何なのかを考えていた。

社長室にユン室長を呼び出すウォン。

ウォン「僕たちが出来る話が何かを考えてるんです。借名株主名簿は確認されましたか?が元々しようとしていた質問でしたが、判断がつきませんね。ユン室長が誰側か分からないから」

カプチーノを渡すウォン。

室長「もしかして薬でも盛りました?」

ウォン「心の中ではね、座ってください」

ウォン「単刀直入に聞きます。借名口座の管理の代わりに父からは何を保証されましたか?」

室長「普通のグループなら系列会社の社長ですね?」

ウォン「それを知らなくて聞いているんだと思いますか?」

室長「私が私的に社長の役に立てるのはこの程度だと思います」

ヒョンジュの帝国高校教師のプロフィールを見せる。

ウォン「これのためにヒョンジュに会ったんですか?」

びっくりするウォン。

室長「財団事業の一環です」

ウォン「あなたは気が触れたんですか?こうなる前に私に話をしないとでしょう。財団企業ならこの子の人生の屈曲を全世界に暴いてもいいと判断したんですか?」

室長「会長はそう思われないと思います。この企画、会長の特別指示なんです」

父の元へ行くウォン。

そこへいるヒョンジュに驚く。

父「ちょっとお前の話をしてるところだ。入りなさい」

ウォン「(ヒョンジュに向かって)お前は何をしてるんだ?」

父「聞きたいことがあって私が呼んだんだ」

ウォン「私を先に呼ぶべきでしょう。私に聞くべきでしょう」

父「答えが同じわけがない、そうだろう?(ヒョンジュをじっと見る父)」

何も言えずうつむくヒョンジュ。

そんな彼女の姿がたえられないウォン。

ウォン「お父さん、やめてください。」

父ヒョンジュに向かって。

「お前は私の奨学財団の誇りだ。難しい環境からよく育ち感心している。」

ウォン「感心していてこんな企画をされたんですか?今日は社報を通して全社員が。明日は広報記事で全国民に分かるでしょう。人々が思い出すのは財団人材ではなく、少女の過程だけですよ。こうして全部を暴いたらこの子が帝国高に行ってどうやって耐えられますか?」

会長「だから俺が悪役を買って出たんだ。お前が無能になるのをこれ以上見てられないから。女一人整理もできないで。一体いつまでうつつを抜かしてるんだ?」

ウォン「やめて下さい」

会長「一度目が合い、一度の心臓の高鳴りにお前の人生をかけるな。ヒョンジュ、お前もそうだ。お前はわきまえが無い。私の後援を受けて、私の助けを受けて、どうして恐れ多くも私の息子と会うんだ」

ウォン「お父さん」

会長「今こそは会えないと死にそうだろう、さぞ恋しくなるだろう、だからといって」

ウォン「やめて下さい。何で私の告白をお父さんが代わりにするんですか?私もまだ出来ない告白なのに」

ヒョンジュ「会長のお言葉をちゃんと理解しました。お先に失礼します」

部屋を出るヒョンジュ。

ウォン「私はお父さんの言葉に逆らったことはありません。人より早く上に上がろうと努力してだから今の席まで…」

会長「その席はお前が登ったんでなく私が譲ってあげた席だ。私の体が悪くても、今その席にお前が座っているかな?お前が私の息子だという理由だけでお前はその席に座った。なのにこんなことにはお父さんは手を出すな?そんな論理が通じるか?早く整理しろ。お前ももう結婚しないと」

ウォン「はい、早く整理しないと」

ウォンが整理しようとしてることとは・・・。

泣きながら家を出るヒョンジュとすれ違うタン。

タン「大丈夫ですか?」

ヒョンジュ「あなたはタンでしょ?」

タン「俺を知ってるんですか?」

ヒョンジュ「必ずまた会うわ」

家から出てくるウォン。

タン「今さっき出てきた方がこっちに行ったよ。俺を見てヒョン(兄さん)を捕まえてくれって」

そのまま車に乗ろうとするウォンを止めるタン。

タン「そんな顔で怒ろうとしても説得力ないよ。どうしたの?何があったの?」

ウォン「お父さんが人を付けてるみたいだ。お前も気をつけろ。尻尾を掴まれることをするな」

タン、ヒョンジュに。

「兄は来ません。そのまま行ってしまいました。それで、どなたですか?俺の兄の彼女ですか?俺をさっきどうして解ったんですか?もしかして兄が俺の話をしましたか?」

ヒョンジュ「うん、俺の弟は愛情深くて、正直で、背がたくさん高くなって、目が自分とそっくりだと。それで本当にそうね」

普段の冷たいウォンの本心を知り、言葉なくベンチに座り続けるタン。

一方いつものコンビニで母と待ち合わせしていたウンサン。

しかしそこにはヨンドも来ていた。

ヨンドが母の隣にいるのを見て慌てて追い払うウンサン。

ヨンドを別の場所で待ち合わせしておびき出し母と会うウンサン。

母「奥様には出て行くって言った」

ウンサン「私も調べたけど1000万に35万が一番安かった」

母「何処で寝てるの?」

ウンサン「学校の友達。顔も心も綺麗な子」

母「ありがたいね、何かおかずでも作って持ってくれば良かった」

ウンサン「私、忙しいからそろそろ行かなきゃ。バイト遅れたの。またメールするね」

ヨンドとの待ち合わせ場所へ行くウンサン。

だが、コンビニ方面から来たウンサンがさっきコンビニで見た叔母さんが持っていた袋を持っているのに気づくヨンド。

勘の良いヨンドは、ウンサンに関係しているらしいさっきのおばさんを探ろうとする。

ヨンド「俺行く所があるからここで待っててくれ。10分?15分?待ってて」

ウンサン「待たないよ」

ヨンド「待ってくれよたまには」

バイクを走らせタンの家へ先回りし帰ってきたウンサン母に話しかけるヨンド。

ヨンド「こんにちはお母さん。ウンサンは家ですか?ウンサンの母ですよね?会う約束したんですけど連絡がつかなくて」

携帯で文字を打つ母。

母『ウンサンはバイトだよ』

しゃべれない?

ヨンド、真実を知って驚く。

自分の家の方向から戻ってくるヨンドを見るタン。

タン「なんでそこから?」

ヨンド「この町には会いたい人がたくさん住んでいるな。引っ越そうかな?」

タン「今冗談言ってる場合か?なぜそこからきたのかって聞いてるんだよ」

ヨンド「関係ないだろうが」

タン「関係ないけどそれが俺んちならお前をノコノコ帰す自信がない」

ヨンド「チャウンサンが手を繋いでくれないからってすねんなよキムタン。今、ときめく出会いがあるからお前の相手する時間ないんだよな〜、それじゃ」

ヨンドが待ってろと言った場所に姿がないウンサン。

ウンサン母が持ってきた荷物にあの時のTシャツが入っているのを見て驚く。

そこに母からメール。

母『友達が来てた。バイクに乗った男の子。何で家に来させるんだよ?電話してみて』

ヨンドが!!

慌ててさっきの場所に戻るウンサン。

血相を変えて走るウンサンを見て、ヨンドは『6番お手伝いさんの娘、備考・・・言語障害』とつぶやく。

ヨンド「なんでまた?」

ウンサン「あんたが待ったのと同じ理由でしょう!全部解ったんでしょう?私の母さんに会ったんでしょ?もうちょっと我慢してくれたらよかった。あとちょっとで私出て行くのに。皆に言いたかったら言って。いじめたけりゃそうしてもいい。その代わりその家を出るまで二度と来ないで。そこは私の母の職場でもあるから」

ヨンド「誰も何も言っていないぞ。話が終わったら麺を食べに行こう」

ウンサン「話を逸らさないでまともに話をしてよ。私に対して何をしようとしているの?」

ヨンド「どういう意味だ?俺が何をしようというんだ?!俺の痛みのこともどうしたらいいのか分からないのに、俺がお前に何をしようというんだ?!お前がいなくなったから悲しくなっただけだ。そして戻ってきたから嬉しいだけだ。お前の秘密は重いもんだ。それだけだ。俺が何かすると言ったか?」

ウンサン「私はあなたがいろんなことをするところを見てきたわ。私に対してもね」

ヨンド「だからなんだ?俺はお前には何もすることができない!ただ麺を食べようと・・・遊んではいられない。麺は今度にしよう」

今までの様子とは違うヨンドにウンサンは・・・。

翌日 ゴルフ場で。

ヨンド「今日のゲームにはルールはあるのか?」

ヨンド父「今日はキム社長には負けるつもりだ。お前はタンに勝て。それがルールだ」

ヨンド「なぜ 兄さんと多く話さないんだ?つまりそのそれは本当の兄弟じゃない・・・」

タン「俺に話かけるな!兄さんがスイングするとこだろう」

ヨンド「世界は良くなったよ。庶子の子があからさまに父さん兄さんと呼べることが出来て」

タン「気をつけろよ。ゴルフクラブ持ってるからな」

ヨンド「俺だって手ぶらでないから」

タン「父さんの前だぞ!大丈夫か?」

ヨンド「お前、俺の手はゴルフクラブしかないと思うのか?」

ヨンド「学校のみんながキムタンが庶子なことに衝撃を受けるよりチャウンサンが家政婦の娘なことに衝撃を受けるか、いや! 庶子のキムタンが家政婦の娘チャウンサンと付き合ってるって事に衝撃か?」

タン「知ったのか!俺たち似合ってるか!」

ヨンド「お前の声今震えてるぞ」

タン「お前がそのことでチャウンサンを脅迫するな。俺を汚すな。お前がゴミになる。ボーダーラインは知ってる」

ヨンド「チャウンサンを脅迫するわけないだろう。俺はお前を脅迫してるんだ。だからチャウンサンをむやみに守るのはやめろ。守ろうとするならチャウンサンの正体バラすしかない。お前が守らなければ俺が全部守ってやる」

タン「もしお前だけ勝とうとするなら昔の悪かった自分に戻らないといけないから嫌だ。だけどお前がそう出るなら考えを変えることもある。もし自分が!お前一人に勝とうとするために昔の自分に戻るならお前は終わりだ。お前、お前の父親、お前の会社・・・関わってる全ての人間の人生を潰す」

ヨンド「その言葉、庶子ごときが何が出来る!」

タン「俺が庶子なのは間違いないけど俺が帝国グループの次男だと言うことに変りはない」

三年前、店に駆け付けた二人だったがトッポッキと二つのフォーク。既に母親の姿はなかった。

タン「おまえは俺一人に勝とうとして母親との最後の食事の機会を逃した。俺に何をしようと構わないがチャウンサンだけは巻き込むな。後、俺たちのこの良くない関係も整理しよう。俺は今お前と争う時間はない。俺はもっと大きな戦いの準備中だから」

何かをしようと決意しているタン・・・その気迫にヨンドも黙ってしまう。

学校でタンを見かけるウンサン。

でもタンは目も合わせずに通り過ぎてしまう。

大好きなタンの気配を背中に感じ後姿だけをじっと見つめるウンサン。

放送室でボナと。

ヒョシンが短編映画で受賞してお祝いが届いていてびっくりするウンサン。

そんな彼女に。

「これ、絶対秘密だけど・・・チェヨンドあなたの事好きみたい!」

耳打ちされたウンサン、複雑な表情。

ヒョシン「何?僕の悪口言って二人仲良くなった?」

兄貴、ヒョシン登場。

タンも入って来る。

ヒョシン「(タンに)関係者以外立ち入り禁止」

タン「俺と関係ある人ばっかだろうが!」

と軽口をたたく。

ボナ「勘弁してよ。私に言ってるのよ」

とウンサンに耳打ち。

ボナはタンがまだ自分を好きだと言ったこと真に受けてたのだ。

タン「受賞したんだって?ジャンルは?ホラー?何?13日の金曜日みたいな?」

ヒョシン「僕は痴情専門だ。それはチャ・ウンサンのみなんじゃないのか?」

ウンサン慌てる。

ボナにそういうの好きなの?と聞かれ。

ウンサン「恐怖、スリラー、オカルト、スプラッター(とかが好きで・・)」

そんなのが?とヒョシンに驚かれたウンサンは。

ウンサン「夢と希望であふれる恐怖映画を作るのが夢です」

その時横を向いたままウンサンを見ようとしないタンを見て。

ヒョシン「ってか君ら(ウンサンとタン)何で目も合わさないんだ?」

黙ってしまう二人。

ボナ「ちょっと私の事気にしないで」

タン「ばれたから俺は帰る。じゃな」

ヒョシン「何で来たんだ?」

タン「ちょっと・・・会いたくて来ただけ」

さっき廊下で顔を見ることができなかったウンサンにどうしても会いたくて来たタン。

ヒョシン「誰?(会いたいのって)俺?」

タンの言葉をまだうのみにしてたボナは『私ですよ』と。


この後タンは理事長のところへ行き、この間の非礼をわび改めてラヘル達を食事に誘いたいと申し出る。

その為に義母から誘ってもらうのが一番だと彼女をきちんと立てるタン。

ジスク「こんな時だけお母さんなのね。忙しいから」

そう言いかけてこれはタン母の鼻をへし折る機会だとひらめく。

ジスク「こんな話は女同士がやるものだから」と快諾。

いきなりそう言うジスクに『お願いします』と言うタンはこれをお願いした時ジスクがどうするかを見抜いているような目つきで彼女を見ていた。


ウンサンのバイト先で待ってるタン。

じーっとウンサンを見つめるタン。

ウンサン「やっと見れるの?」

タン「元気だったか?家を出て楽しいか?俺を見ないから楽しいか?俺の手を離して楽しいか?夢で会えてよかった、昨夜」

ウンサン「私(バイトに)遅れたの。行くね。あなたも早く行って。遅れたら・・・」

その時突然ウンサンにキスするタン。

タン「俺が行けと言われて行く奴なのか?危ない横断歩道で一人ぼっちにさせて電話一本すらしなかったくせに行けとは簡単に言うんだな。お前だって俺に会いたかったくせに」

ウンサン「会いたくなかったわよ」

またまたキスしてウンサンを黙らせるタン。

ウンサン「ちょっとキムタン!」

タン「また嘘ついてみろ(キスするぞ)」

行こうとするウンサンに。

タン「今日は帰ってくるな。これを言う為に来た」

ウンサン「どうせ家から出たんだし」

タン「母さんが呼ぶかもしれない。それでも絶対に来るな」

ウンサン「どういうことなの?」

タン「入れよ。じゃな」

理由を言わないタン。

ウンサンはなぜか不安になる。

その頃タンの家。

タン母「本当に?私に復讐してるの?」

ジスク「言ったでしょ。あんたの位置を教えてあげるって!わかったら部屋にいって!ドアを開けちまう前に」

泣きながら部屋に入るタン母。

自分の部屋で泣くタン母。

水を持っていくウンサン母は状況を知らせてあげる。

ウンサン母「挨拶が終わってすぐ食事に入りました」

母「タンは?」首を振るウンサン母。

下ではラヘル親子とタン父とジスクで和やかに食事をしていた。

遅れてやってくるタンは、ラヘルを部屋に連れて行く。

ドアの前で立ち止まるラヘル。

タン「何?」

ラヘル「チェヨンドがあなたの家で見たと言うすごい物は何だろうか?って。今日の私のコンセプトは心広い許嫁だからチャンスを上げようかと思ったわ」

タン「隠しているのはない。むしろ俺が全部暴いたとき、驚くな」

ラヘル「何を暴くの?」

タン「弱点」

ラヘル「婚約式の時もこられなかった家に婚約指輪をはずす時に来たね」

タン「すまない・・・ヨンドが何を見たのか気になるんだろ?今から見せてやる」

何をやらかそうとしているのか?

ラヘルには意味が解らない。

ジスクとタン母。

ジスク「久しぶりね 18年ぶりの無様な姿だね。その時は18年後もこうだなんて思ってなかったでしょうね。あんたが自由でいられるのはこの屋敷の中で、この部屋だけよ」

タン母「お客様がいるでしょ?出て行って」

水をかけられるタン母。

ジスク「黙れ生意気な!誰に出ろと言ってるの?出ていきなさい」

そこへ入ってくるタン。

濡れた母を見て悔しさで唇を噛み、拭いてあげる。

タン母「何で来たのよ」

タンを見て。

ジスク「これだから子供を産むんだね」

タン「お母さん・・・俺の手を離さないで!出ていこう!」

母「え?何を!何処へ行くのよ!タンだめよ」

タン母を連れて皆の前へ出ていく。

ラヘル母「チャウンサンの母ですよね?」

ジスク「一体これって」

タン「いいえ。間違いです。この方は・・・」

言いかけた時タンの手を握り首を振る母。

しかしタンはそれをふりきり、

タン「私の母なんです。私を産んでくださった本当の母です。そして私は帝国グループのキム・ナムユン会長の次男であり庶子です。私の出生の告白がお父さんに、理事長に、イ代表に、長い親友にどんな意味になるかよく解っているつもりです。それでこの婚約やめます」

ラヘル母「これって一体・・・呆れすぎて言葉も出ませんね」

父「後日、日にち決めて連絡します」

ラヘル母「日にちは私が決めます。連絡は私からします。行くわよ」

ラヘルの手を引っ張って出ていくラヘル母子。

ジスク「ちょっと待ってくださいイ代表、待ってください、ラヘル!話が・・・」

タン母「すみません、許してください。私のせいなんです。早くお父さんにごめんなさいって」

タンを殴る父。

必死でかばう母。

タン母「タンは悪くないんです。私がやらせました。こうやって暮らすのがつらすぎると何とかしてってちょっと正気を失って。謝りなさい、早く!タン」

タン「嫌です。今は謝りません。生きてみます。生きてみて、今日の選択を後悔することになったらその時に謝ります。後悔しない自信があります」

父「馬鹿者!情けない奴。間抜け野郎」

タン「追い出したければそうしてください。でもお母さんはお父さんの女だからお父さんが責任とってください」

憤慨して部屋に行ってしまう父。

タン母「なんでよ!この悪者!どうして?どうして・・・」

タン「泣かないで母さん、病気になるって。俺を罰するわけじゃないなら元気でいて」

母「何で、何でなのよ!私のためだと思った?私、あんたがアメリカへいって3年間ウォンとお父さんの間で息もできずにいたんだよ?あなたが帰ってくることだけを待って。なのになのに!何をしたのよ?」

タン「ごめんね、お母さんと考えが違う事本当にごめんなさい」

タン母「どうするの・・・どうするの・・・」

泣き崩れる母。

タンの事が気にかかり、ぼぉっとしてるウンサンは失敗ばかりで店長に怒られてしまう。

店長「計算ミスに・・・どうしたんだ今日?」

忘れていたごみを捨てに行くウンサン。

そこへタンが。

泣いてるタン。

そんな彼を見てウンサンも泣く。

何があったのか?どれだけの事があったのか。

タンの悲しみがまるで移ったみたいに涙が出るウンサン・・・。

タンの表情から目からつらさがにじみ出ていて、ウンサンの胸も苦しかった。

ただ見つめ合って泣く二人・・・。

第13話へ