王冠をかぶろうとする者、その重さに耐えろ〜相続者たち〜 |
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第11話 その頃ウンサンはヨンドと話していた。 ウンサン「良く考えたわ。それがあんたらしいわ」 ヨンド「決めつけるな。俺らしいものをお前はまだ半分も見ていない。今から見せてやるよ」 タンが来たことに気づいたヨンドはいきなりウンサンを抱きしめる。 ウンサン「何するの?」 ヨンド「キムタンに見せつけてるんだよ」 ウンサン「は?」 ヨンド「お前の後ろにキムタンが来たぞ」 驚くウンサン。 ヨンド「邪魔するなよ。今雰囲気が良いのが見えないか?」 タン「その雰囲気をめちゃくちゃにするためにソウルから来たんじゃないか」 ウンサン「お願いだから、やめてよ二人とも」 ヨンド「お前はこいつにかなり本気みたいだな?」 タン「本気だったらどうするんだ?」 ヨンド「じゃあ、俺の本気を伝えてくれるか?チャウンサンに伝えろ。俺が好きみたいだと。俺が話すから信じないようだ。お前が言えば信じるだろ。切ないな」 そう言っていなくなるヨンド。 タン「しっかりしろ!何を考えてるんだ」 ウンサン「言わないで。今一番混乱している人間は私よ」 タン「そうだな。俺はすごく幸せで死にそうだ。4時間休みもせずにここに駆けつけたのに、こんなものしか見せてくれないのか?」 ウンサン「怒るのは分かるけど」 タン「分かるって何が分かる?俺の気持ちになってみたか?俺の事を思ってくれるのか?俺だけバカだよな今。お前が俺のせいで辛いのは分かるけど、お前が俺から逃げる方法がチェヨンドじゃないことを祈る」 怒って行ってしまうタン。 タンを一人で待つヒョシンの車にラヘルがいきなり乗り込んでくる。 ラヘルはホテルを取ってあると聞きこのまま車で待つと言い出す。 その時戻ってくるタン。 ラヘルがいるのに驚く。 タン「どうしてここに?」 ラヘル「ホテルとったんでしょ?そこで話を」 ヒョシン達と無理矢理ホテルに行くラヘル。 ヒョシンを追い出し話をしようとするラヘル。 ヒョシンは二人きりにさせるのを避けようとする。 それでもひかないラヘルに『5分だけだからな』と出て行くヒョシン。 ラヘル「チャウンサンに会ったの?」 タン「会った。今電話を待っているところだ」 ラヘル「私に殴られたの、言った?言ってないみたいだね」 ウンサンに対し口汚くののしるラヘル。 タン「そんな言葉しか言えないのか?」 ラヘル「しっかりしてよキムタン。あんたと私、あんたの父親と母親の前で指輪の交換をしたの。私の親戚、外戚、おじいさん、おばあさん、離婚した父親まで来た席であんたと私は婚約指輪を交換したのよ。あの子を好きなことは何の力もないわ。分からないの?」 タン「知ってるよ。だから狂いそうだよ」 ラヘル「悪い奴」 タン「俺は今後お前には悪く振る舞うから。だから俺らの婚約・・・」 それ以上聞かないで部屋を出るラヘル。 テントに戻ったウンサンは、自分のテントでイェソルが悪口を言うのを聞く。 後ろからフードをかけて聞こえないようにしてあげるヨンド。 ヨンド「聞くな。傷ついたりもしないで。ちょっとどけよ」 悪口を言っていた三人の靴を水の入ったゴミ箱に捨てるヨンド。 ウンサン「何をしてるの?」 ヨンド「復讐。お前の代わりに」 ウンサン「あんたのことが良く分からないわ」 ヨンド「俺も同じ気持ちだ」 ウンサン「バレたら困るのは私よ」 ヨンド「心配するな。お前がどうしてキムタンの家に住んでいるのかを説明するよりは簡単だから」 ヨンド「ミョンスが見たのはお前に間違いないだろ。俺が見た時お前はあの家に住んでた?もちろん推理にすぎないから硬くならずに。そして俺がどんな質問をしてもお前は返事をするな」 ウンサン「どういうこと?」 ヨンド「俺の質問に答えるなと。お前が返事をくれたらこれ以上尋ねることができないだろ?(話すネタがなくなる)お前がお前の口から社配者(社会配慮者)と白状したから俺たちの対話する材料が一つ減って俺はすごい辛かったんだ」 ウンサン「あんたにとってこういうのが対話なの?」 ヨンド「こんなのじゃなくて本当に対話する気持ちがあるか?俺と」 ウンサン「・・・」 ヨンド「ほら。どうせお前は答えられないこの質問に。一体お前はどうしてキムタンの家に住んでいるのか。あの家に住める事情は5つしかない。『1:あの家の娘 2:あの家の嫁 3:あの家の親戚 4:住み込みの家政婦 5:住み込みの家庭教師』そうすると全部言えないということだろ?一体何か、お前は」 ウンサン「・・・」 ヨンド「じゃあこれ一つだけ答えろ。お前は本当にキムタンが好きなのか?」 ウンサン「・・・うん」 それを聞いたヨンド。 一瞬何とも言えない表情をする・・・。 ヨンド「そうなんだ・・・。靴に触るなよ。いじると復讐するからな・・・」 ショックを隠し、努めて明るく立ち去るヨンド。 ホテルから立ち去れないラヘルにチャニョンから電話が入る。 ラヘル「何?」 チャニョン「お前どこだ?就寝点呼中だから早く来い。人員チェックをしないといけないんだ」 ラヘル「私は今そこで寝る気分じゃないの」 チャニョン「何をそんなに自分勝手に」 ラヘル「私は今日ホテルで寝るからそう思っといて」 チャニョン「両親に連絡するからそう思っておけ」 イェソルは靴がびしょ濡れになったと母に相談していた。 その電話を聞いていたウンサン・・・。 そこへタンがやってくる。 タン「出て来い。厚手のコートを着て」 無言でタンについて行くウンサン。 タン「はぁ・・・」 ウンサン「どこに行くの?」 タン「気味の悪い暗い場所。ついて来い」 タンがウンサンを連れて行ったのは可愛くデコレーションされた場所だった。 そこには綺麗に飾られたキャンピングカーが。 タン「さあ」 感動してるウンサン。 タン「来て座れよ」 ウンサン「こんなのいつ準備したの?」 タン「勘違いするな!元々あるものだよ、ここに」 コートを脱いでウンサンにかけてあげるタン。 タン「どうして電話をしたんだ?」 ウンサン「え?」 タン「電話して切ったじゃないか。さっき俺が到着する前に。温かいものを着ろと言っただろ?何でしたんだよ電話」 ウンサン「あんたは何で来たの?」 タン「何で来たのかって?それを聞くか?会いたいから来たんだよ。中に入って二人とも温まって寝るか?ここで外で二人とも震えながら寝るか?二つのうち一つを選べ。帰るのはなしだ。今日はお前を行かせない」 思わずふっと笑うウンサン。 タン「何で笑う?」 ウンサン「嬉しい・・・」 タン「何?」 ウンサン「楽しい」 タン「本当か?」 ウンサン「うん。私を行かせないで。行かないよ」 タン「(当惑しながらしどろもどろに)さっき俺が怒ったのは・・・」 ウンサン「さっき電話を何でしたのかというと・・・さっきはすごい沢山理由があったんだけど今考えるとただあんたに会いたかったんだと思う。すごくとても・・・」 あまりに素直な返事に逆に萎縮してしまうタン。 隣に来るように促すウンサン。 タン「もしかしてあいつらにひどいイジメを受けたのか?相当ひどく?」 ウンサン「何で?私が正気じゃないみたい?」 タン「うん」 ウンサン「家から遠くに来て、夜で、あんたが来て、だから夢に逃げている途中なの。たった一日だけのある真夏の夜の夢・・・」 タン「・・・」 しばし無言。 ウンサン「こんなことがしてみたかったの」 タンの肩に寄りかかるウンサン。 緊張で固まるタン。 ウンサン「考えてたよりしんどいね・・・」 頭を戻そうとするウンサンをもう一度寄りかからせるタン。 タン「馬鹿だな。お前が本当に頭を寄せているからだよ。心を寄りかからせないと」 ウンサン「うわ。星が・・・」 タン「取ってくれとか言うなよ。俺は星は取れない」 ウンサン「何よ?星も取れないの?チャニョンならボナに・・・」 タン「(慌てて)どれがいい?左側から二番目? 右側の一番大きいやつ?」 ウンサン「ここはまさに13日の金曜日の雰囲気だわ」 タン「ああ、こいつはまったく。お前は何で毎日メロからホラーへ行くんだ?一体恐怖映画のどこが好きなんだ?」 ウンサン「悲劇的じゃない。そんな悲劇を見ていると私の不幸はたいしたことがないように思えるから」 タン「もしかして・・・俺もお前の不幸のうちの一つか?」 ウンサン「私は寝るよ。眠い・・・」 タン「・・・」 次の朝。 タン「マジで信じらんねぇ。俺は気が狂いそうだよ本当に。お前はどうしてあの状況で寝ることができるんだ?」 ウンサン「前に言ったでしょ。私はたくさん寝るって。薪を全部焚いたね。あったかいわけだ」 タン「それを誰が全部焚いたんだ?手を見てみろ。このかじかんだ手を。これは何だこれは?綺麗な手が台無しじゃないか。俺は手がかさかさになっているからなんだけど・・・手を繋いで行ったらダメか?」 ウンサン「ダメ」 タン「この手を見てから言えよ!」 ウンサン「見ない」 無理やりウンサンの手を掴むタン。 タン「やっぱりこんなのは許可なしにしないとな」 ウンサン「そういえば、私たちがハリウッドサインを見に行ったのを思い出さない?見るのは近いけど行ってみると遠いと言った事」 タン「思い出したら、何?」 ウンサン「あんたもそれと同じ」 タン「俺が何?」 ウンサン「見るのは近いけど行ってみると遠いの。そしてあんたとこうして手を繋いでいると近くにいると錯覚を起こすみたい私が。聞いたでしょう?あんたが私の不幸の一つかと。いいえ、あんたは私の不幸中の幸い。それでいい。私は夢から覚めたの。だから私もまた生きれる」 そういって手を離すウンサン。だけど無理矢理手を繋ぎなおすタン。 タン「何をもっとどれくらい近づけば信じるんだ?来てみたこともないくせに遠いと決めつけるな、チャウンサン・・・」 絶対引こうとしないタンはしっかりとウンサンの手を握ったまま離さない。 美しい木立の中、いつまでも見つめ合う二人。 キャンプ場の朝。 キャンプに来てた女子生徒たちは、タンが夜やってきてラヘルが昨日外泊した!と噂。 チャニョン「8時に集合!」 朝食をホテルで取る生徒達。 昨夜はタンとヒョシンが一緒に泊まった、ということになっているけれどタンとウンサンとヒョシンだけが“ある秋の夜の夢”の秘密を知っている。 疑うのはラヘルとヨンド。 ウンサンや皆が席につこうとすると既にヒョシンとタンが座っていた。 挨拶だけして席につくウンサン。 ヨンドに同じ席に着くよう促すタン。 先輩として一目置かれているヒョシンを見てボナたちが挨拶に来る。 ヒョシンがタンと同じ部屋で寝たと言ったためラヘルの嘘がばれてしまう。 とっさにラヘルの部屋に入れてもらえなくて廊下に寝たんだとタンがかばってあげる。 それを聞いたヨンド。 ヨンド「お前忙しそうだな。会いたい子と、寝たい子が別か?アメリカ式?」 いたたまれず立ち上がって行ってしまうウンサン。 タン「(同じ席につかせるなんて、俺は)失敗したな お前がどく?それとも俺がどこうか?」 ヨンド「俺が行くよ」 ウンサンを追っていくヨンド。 二人を見てるタン・・・。 ウンサンはプールサイドに。 ヨンドがまた先回り。 皆がガラス越しに見ている中ヨンドはウンサンの行く手を阻みからかっていた。 よけた拍子によろけてしまうウンサン。 プールサイドでよろけるウンサンの手を取っておいて、それを離すヨンド。 ウンサンはプールに落ちてしまう。 我慢できずにタンは立ち上がる。 タン「誰も出てくるな。誰もって言った!!」 皆に来させないようにして飛び出していくタン。 ヨンド「ごめんー手がすべったー」 ウンサン「本当にここまでしないといけないの?これが伝えて欲しいあなたの本気なの?!」 ヨンド「いや?今したのがキムタンがお前にこれからすることなんだ。捕まえる振りして振りほどく。だからお前の方から振りほどけ」 ウンサン「・・・」 ヨンド「だから手遅れにならないうちに距離を置いた方が良いんだ。警告だ」 ウンサン「ありがたい警告だけどもう分かっていることだわ。だから言っておくけどあんたは私の手で殺すわ!本当よ!」 ヨンド「本当なのか?お前の腕の中で死ぬというのか?」 そこへタン。 ヨンドに蹴りを入れプールに突き落とす。 タン「すまない。足が滑っちゃった」 ヨンド「ありえるよな。でも腹が立たないんだ。なんか俺が勝ったみたいで」 ウンサンに手を差し伸べるタンに。 ヨンド「どうする気だ?今度はチャウンサンを誰かさんのように妾にでもするつもりなのか?」 タン「この口黙れ!」 ヨンド「今聞いただろ?この婚約どうする?始末付けられるのか?」 その時先輩ヒョシンが二人を止めに入る。 ずぶ濡れになったウンサン。 ボナがウンサンを引っ張り上げる。 タンはウンサンが気になりつつこれ以上ウンサンが皆に何かされたらと思ってそのまま行ってしまう。 帰り道。 ヒョシン「恋愛はお前らだけするのかよ」と怒られるタン。 ヒョシン家では母が鬼の形相で待っていた。 彼の外泊。 その理由なんて眼中になかった母。 彼女はただ受験の事だけが気になっていたのだ。 ヒョシン「何、外泊が問題じゃないんだ?俺、法大に興味ないって言ったでしょ?」 母「どうしたのよ」 ヒョシン「今さら聞くんですね?一度も聞いたことないでしょ?なぜ法大に行きたくないのか?なぜ睡眠剤を集めたのか?聞きます?ボクには話す準備が出来てますけど?」 母「センター終わってからにして」 息子ヒョシンが自殺未遂までしたにも関わらず彼からのシグナルをまたもや切ってしまう母。 その場をとりつくろうため理事長に電話をする母を寂しげな表情で見つめるヒョシン。 学校ではヨンド父とラヘル母の結婚記事が出たことで大騒ぎに。 ヨンド「まずは兄妹となることから愛が始まる」 ラヘル「私はそれがこの結婚を破談にする方法だと思っているわ。遅すぎると思う?」 ヨンド「遅い。俺は別の誰かを好きになり始めたからだ」 ラヘル「まさか、あんたは…」 ヨンド「辛くなるだろうから、気をしっかり持っておくんだな。歯を食いしばれ。何かあったらお兄ちゃんに連絡してくるんだな」 RSインターナショナルとホテルゼウスが一緒になることで株価の上場も話題。 皆がおめでとうと言ってくるがそれを見ていたボナとウンサン。 ボナ「心の中では悪口いってるくせに」 ウンサン「友達だからでしょ?」 ボナ「ここにそんなものはないから!ここじゃ人脈だけだよ」 クールなボナの言葉にウンサンはラヘルが傷ついてるんじゃ?と心配になる。 外で泣いてるラヘル、そこへタン。 タン「気分は?」 ラヘル「よくないよ」 タン「2日で終わるから心配するな・・・」 ラヘル「あんたこそなぜ婚約者のふりなんか」 泣いてるラヘルの肩をポンポンしてあげるタン。 それを見ているウンサンの前にまたヨンド。 ヨンド「羨ましいなら俺が抱きしめてやろうか?」 ウンサン「あなたは大丈夫?ニュースは聞いたわ。まだあんたも18歳だものね。復讐したい気持ちは取り下げるわ」 ヨンドはウンサンの言葉に驚き心が揺れる。 ウンサンはとてもピュアでシンプルな反応をする。 それこそ、タンやヨンドの周りにはないお金では得られない優しさであり思いやりだった。 彼らよりずっと大人で冷静なウンサン。 いつも苦労していて、かばってあげたくなる女の子。 なのに時に大胆で大人なウンサン。 改めて心を射抜かれてしまうヨンド。 その様子をずっと見ていたタン。 気になって放送局にいるウンサンの所へ来たタンは、マイクを通しウンサンに話しかける。 タンはウンサンが出られないようにドアにバリケード。 タン「マイクのテスト。ハローシドニー?」 驚いて出ようとするウンサンに。 タン「ちょっと待った!1分だけ、俺の話を聞いてくれ」 タン「俺が言いたいこと。それは俺の存在だけでもそのためにたくさんの人達が誤解を持っている。しかも解けない誤解。だから解ける誤解は最善を尽くして解こうとする方なんだ」 ウンサン「・・・」 タン「まず一つ、さっきお前が見た俺とラヘルの場面は単に友情だ。誤解しないでくれ。二つ、お前がプールに落とされたとき引き上げることが出来なかったことを悪いと思っている。そこに居合わせていた生徒たちの前では気持ちを隠した。お前の立場が苦しくなると思ったからだ。しかし、それで俺が苦しくなるんだったら最初からお前のことを引き上げるべきだったと後悔している」 そこで一呼吸。 タン「そして、いちばん大切なのは3番目だ。さっきはチェ・ヨンドと何を話していた?!あいつの目つきが地震があったように揺れていたぞ!チェ・ヨンドの心を揺らすと死ぬことになるぞ!!」 黙って聞いていたが怒ったウンサンは出てこようとする。 タン「やあ、こっちには来るな!とにかくドアはブロックし・・・」 が、ドアは内側に開き意味がなくなるタンのバリケード。 タン「なんでそっちに開けるんだよ」 ウンサン「何よこれ」 タン「防いだ。いつも正しいことばっかり言うから勝てなくて」 ウンサン「そんなだから成績が100番なのよ!」 タン「わ〜見たのか?他人の成績を見るのか?」 ウンサン「あなたはどうなの?ともかく今まででビリの人は見たことはないわ。まったく驚いたわ」 タン「ははは、でも『どの科目がいちばん難しかったの?』そして『何を助けましょうか?』って聞くべきじゃないか?」 ウンサン「それよりもこれをどかしてよ!」 かっこよく決めてたのに結局ビリがばれたことを知ってしまったタンだった・・・。 ヨンドとミョンスは昔来てたトッポッキ屋にやってきていた。 ミョンス「なぜここまで?」 ヨンド「ほら、全国民が俺の不幸(ラヘル母と父の再婚の記事)を見たからさ」 ミョンス「それが何?」 ヨンド「その始めがここなんだ・・・ここで俺は全てを失った」 ヨンドの回想。 中学時代のヨンドとタン。 タン「おい、チェヨンド!時間がないんだよ!とりあえず粉屋で・・・」 ヨンド「触るな、庶子」 タン「話聞かないか?」 ヨンド「消えろ」 タン「この瞬間をずっと後悔することになるぞ、チェヨンド」 ヨンド「ふざけんな」 あの時の事を思い出すヨンド。 ヨンド「母 友だち」 ミョンス「何を失くしたのか?母親の友達を失くしたということか?」 ヨンド「!・・・黙って食べろ!」 単純なミョンスに、複雑なヨンドは理解できなかった。 帰宅したウンサンは、頼まれたものを届けに2階へ上る。 タンの部屋の前を通り過ぎようとするウンサン。 いきなりドアが開き無理矢理部屋に引き込まれる。 タン「やあ、いったいチェ・ヨンドとは何を話していた?」 ウンサン「・・・」 タン「まさか、また告白されていたのか?」 ウンサン「それであなたはどうするの?」 タン「お前は罪作りで現行犯だ。キム・タンは優しくなったもんだな。ともかく、見逃してやる」 ウンサン「ふ!」 タン「俺に背を向けると抱きしめるぞ」 ウンサン「殺すわよ」 タン「口答えするとキスするぞ」 ウンサン「!」 顔を近づけてくるタン・・・。 タン「もっと愛情をこめた話し方をして欲しい」 ウンサン「次の機会にね」 タン「次はいつだよ?この前買い上げて貰った5分間の代償さえ払って貰っていないぞ」 そこへタン母が! 二人を見て驚く。 タン母「何よ、これ何よ、どうしたの、あんたたち、恋愛してるの?」 タン「母さん、俺と話をしよう。お前は下に降りていろ」 タン母「正気を失ったの?同じ家に住んでいるけどあんたの家じゃないわよ。ここに入って来て話をしているの?」 タン「やめろよ母さん!彼女は俺が彼女を好きになったことでとても苦しんでいるんだ」 タン母「何ですって?!」 ウンサン「・・・」 タン母「もう一度言ってみなさい」 タン「ああ、俺が彼女を好きなんだ。母さんが彼女をこういう風に扱うのは嫌いだ!」 タン母「父さんに聞こえるわよ!」 タンはウンサンを部屋から出す。 タン母「あんたの兄さんが社長の座に座っているというのに、こんな風に誰かと付き合っていると言うの?!」 タン「元からあれは兄貴のポストだ」 タン母「あんたはまさか母さんが死ぬところを見たいの?!」 そしてタンは声を大きくして。 タン「俺が何を手に入れるかとかは誰にも決めることはできない。俺が誰を愛するかということも誰も決めることはできない!母さんが決めることではない。俺が決めるんだ!」 タン母「・・・」 タン「俺は今、ウンサンのことを知ろうとしている。だから、母さんは俺のことを応援してくれ」 母は呆れ顔で出て行く。 タン母はその足でウンサン母の元へ。 タン母「おばさん正気?恩をこんな風に返すなんて!とめてやって、給料あげて!私のタンの部屋に行くなんて!」 ウンサン母「(手話で)あなたの息子の部屋に入ったのは娘の責任です。しかし、毎日毎日ウンサンがどこにいるのかと質問するのはあなたの息子です。話を聞きもせずに娘を責めないでください!」 手話なのでタン母には意味解らず・・・。 そこへタンがやってくる。 タン「出てきて。すみませんでした」 タン母「あんたは、学校も何もここから出て行け!!」 出て行けと怒鳴ったタン母。 ウンサン「ごめんね、お母さん」 母「母さんは話ができないからあんたの味方ができなくてごめん」 ウンサン「ごめん母さん。私が彼のことを好きになって・・・ごめん」 母「この家を出ようか?」 ウンサン「できるの?お金はあるの?」 母「2人で暮らすところを見つけなくてはね。ローンの返済も猶予してもらうわ」 ウンサン「じゃあ引っ越しましょう。学校もまた転校するわ」 そして、月末までになんとかすると母。 ワイン倉庫でウンサンに電話するタン。 タン「ワイン倉庫だ。ちょっとだけでいいから降りてきて」 タン「チャウンサン答えて!電話に出ろ!」 応答なし。 部屋に行くが誰もいない。 キッチンにいるウンサン母を見つける。 タン「ウンサンはどこに行ったのですか?部屋にもいません」 ウンサン母「・・・」 タン「お願いですから教えてください!」 ウンサンは友達の所に行くと出て行ったと聞かされるタン。 追いかけて探すがどこにもいない。 ウンサンはタンからのメールが8通も来ているのを無視する。 行くあてのないウンサンはボナに電話する。 ボナ「チャウンサン、何で私に電話を?」 ウンサン「一晩だけ泊めてくれないかな?」 ボナ「泊まる?!何のこと切るわよ!」 ウンサン「じゃあチャニョンの家に泊まっていいかしら?」 ボナ「住所はカンナム区のチョンダムドン521番だからすぐに来て!」 慌てて住所を教えてくれるボナ。 ボナ「どうしたのよ?家出したの?それとも追い出されたの?」 ウンサン「私の責任のようだわ。どうも追い出されたわね。お陰で母さんの立場が危険になったようだわ」 ウンサン「私の打ち明け話を聞いてしまうと驚くわよ」 ボナ「チャニョンが知っていることなの?」 ウンサンは母のフィナムが障害者で話すことが出来ないことなどを話す。 ボナはチャニョンの子供の頃の写真と引き換えに泊めてあげると言う。 ボナの部屋に泊まったウンサン。 しかしその夜は寝付けなかった。 早朝に先にボナの家を出たウンサン。 コンビニに立ち寄ると一人でラーメンを食べてるヨンドが。 ヨンド「キムタンを避けたいならば助けてやるぞ」 ウンサン「あんたの助けは不要だわ」 学校に向かう道。 タンがようやくウンサンを見つけると隣にはヨンド。 横断歩道の向こうにいるタン。 ヨンド「どうだか、賭けてみないか?お前には失うものはないからどっちが勝っても拍手できる」 ウンサンの肩を抱くヨンド。 ウンサン「放してよ!私が怒り出す前に!」 ヨンド「いいから少し我慢してみろ!俺はキムタンの賭けの行方が見たい」 タン「チャウンサン。俺の顔を見ろ」 ヨンド「手を放してやれ」 タン「(ヨンドに)お前は黙れ!」 タン「(ウンサンに)チャ・ウンサン・・・」 ウンサン「こんなことはもう出来ないわ。ごめんなさい」 タン「辛いことは分かっている。俺が悪かった。将来が上手くいくとは約束は出来ない。でも行こう。一緒に手を繋いで・・・」 ヨンド「やめろ」 伸ばしたタンの手を見つめるウンサンは・・・。 第12話へ |