シンイ〜信義〜
第4話〜揺れ動く心〜

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嬉しくて浮かれるヨン達だが『思い描いてる王のお姿とは違うやもしれん』と師匠に一喝される。

『王がお呼びです』と伝令が来て宴の間へ喜び勇んで歩く赤月隊一同。

師匠以外は。

宴の席に通される一同。

両手に女をはべらせ酒に酔っている王。

『これが噂の鬼剣か』と師匠の剣を物珍しげに抜く。

そして王は隣にいたメヒに目をつける。

『赤月隊には女もいるのか』と。

師匠の剣を突きつけメヒに『脱げ』と命ずる王。

メヒはヨンの許嫁だ。

だが王命だ、従わないわけにはいかない。

諦めて脱ぎ始めるメヒ。

最後の一枚を脱ごうとしないメヒにキレる王。

王「この思いあがった奴らめ。おぬしらがあの赤月隊か。この王よりも民が信を置く赤月隊か」

王が持っていた剣でメヒを刺そうとした瞬間、師匠がかばい代わりに刺される。

己の剣で。

悔しさで涙目のヨン。

刺された師匠は最後にヨンに言葉を残す。

師匠「御前で誓いを立てよ。これより王様の影となり高麗王室をお守りすると。誓え!それが唯一赤月隊を守る道だ。私を見ろ。お前が家族を守れ。返事をしろ」

それが師匠の最後の姿だった。

赤月隊が近衛隊として王の護衛にあたるきっかけとなった事件だった。
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全ての話を聞き終えた王。

王「そうして近衛隊になったのか。何年になる?」

ヨン「7年です」

王「宮中に何人残っておる?」

ヨン「宮殿を出た者、死んだ者、今や私ただ一人」

王「もはや守るべき者もおらぬゆえ宮殿を去ると?」

ヨン「はい」

王「師匠を殺めたのは忠恵王(チュンヘワン)だな。余の兄だ」

ヨン「はい」

王「弟である余が憎いわけだ。そなたは宮殿を出てどうするつもりか?」

ヨン「まずは医仙に借りを返すため天穴へと参り天門が開くのを待ちながら漁師をしようかと。こう見えて釣りは得意ゆえ」

王「その後はどうする?」

ヨン「解りません。生きる理由さえ見出せておりませぬ」

王「だがまだ余の任務を終えてはいない。よいな」

ヨン「王様、しかし・・・」

王「見送りはよい。そなたに合わせる顔もない」

王が出て行ったあと、痙攣を起こしながらその場に倒れるヨン。

また意識を失う。

こっそり見ていたウンスは『大変!』と大声をあげながらヨンに駆け寄り必死で声を掛けるが反応がない。

ウンス「ショック症状だわ。足を上にして。脳と心臓に血を送るの。塩水か砂糖水はない?身体を温める毛布も」

副隊長「隊長は大丈夫ですか?」

ウンス「発作が始まったの。酸素供給もしなきゃ。昇圧薬もいる」

水を飲ませようとする副隊長を止めるウンス。

ウンス「誤嚥性肺炎を起こすかも。点滴出来れば・・・」

ヨンの首を持ち上げてほんの少しずつ飲ませるウンス。

チャン侍医「脈は速いが微弱です」

副隊長「隊長、解りますか?」

ウンス「どうしよう。必要なものが一つもない」

ため息をつく。
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その頃ヨンは夢の中にいる。

一面氷の世界で父と並んで釣りをしている。

ヨン「父上」

父「どうした」

ヨン「ここにいてもいいですか?このままこちらに」

渋る父。
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付き添うチャン侍医。

チャン侍医「脈が弱い。戻ってくる気がないのか」

ヨンの意識はまだもどらない。

翌日、ウンスは尚宮に支度をするようにと言われるがいつものごとく反論している。

ウンス「何で私が支度しなきゃいけないの?」

尚宮「王のご命令です」

会議へ向かう途中の王と王妃。

王「まだ決めかねておる。どちらを選んでも王妃にとって余の姿は誇れるものではなかろう」

王妃「どちらというのは何のことでございますか?」

王「1つ。余の短気のせいで王座を奪われるやもしれず。命も危険にさらされる。もう1つ。屈して機嫌を取れば嘲笑は買えど地位は守られよう。王妃はどちらが耐えやすいか?」

王妃「どちらも耐えがたきこと」

王「余もそう思う」

王妃「近衛隊長はどこです?」

王「病で来られぬらしい」

王妃「病・・・ですか」

王「近衛隊長が不在ゆえ第3の道を取ります」

王妃「それは隣の策士(イルシン)が考えた浅知恵ですね」

王「今、世の唯一の味方はこのチャムリのみ」

王妃「驚きました。そのような話を私になさるとは」

王「嘲笑を買うにしろ、命を奪われるにしろ、共に受けねばならぬ」

王と王妃の登場で会議が始まる。

王の紹介でウンスが登場する。

一斉に注目を浴びるウンスは黙って出て行こうとするが尚宮に押さえられる。

そこへ現れるトクソンプオングン。

チョル「王様、キ・チョルでございます。何とも怪異な話が聞こえます。天穴やら天の医員やら。医仙ですか?王様はまだお若くその上異国の地でお育ちになられた。正統な訓育を受けずとも高麗の王にあらせられます。民を欺き惑わす戯言を吹き込み王様の御心を乱したのはいったい誰だ!」

ウンスを指差し全力で否定するチョル。

チョル「女人の姿を借りた妖魔め。答えよ!」

逃げようとするウンスだがまた尚宮に止められる。

尚宮「(小声で)逃げてはなりません」

チャン侍医「(小声で)殺されます」

王が必死であれこれ言うが聞く耳を持たないチョル。

チョルが犯人であることを知った上で王妃は自分の首を見せ『誰をも施せなかったこの首を繋いだのはそこにいる医仙だ』と口をはさむ王妃。

チャン侍医「(小声で)天の方らしく。ここを天界だと思って」

ウンス「(小声で)どうするのよ?」

尚宮「(小声で)泣き言を言わず、取り乱さず」

聞く耳を持たないチョルはこの戯言を吹き込んだ一番の根源であるチェヨンを連れて来い!と言いだす。

だが意識不明でまだ目覚めないヨンを連れてくるわけにいかない。

さすがのウンスも黙っていられなくなる。

ウンス「それは出来ません。あの・・・近衛隊長チェヨンは私の患者です。担当医の私の許可なく患者を連れ出すことは許しません」

チョル「なんと。愚かな女め」

黙ってこらえていたが、いつもの性分が出てしまう。

ウンス「何ですって?」

チョル「言わせておけば生意気な!」

ウンス「そっちこそ!失礼にも程があるわ!我慢も限界よ。アンドロメダの果てみたいな所に誰が好き好んで来るもんですか。この歳でののしられて。ふんっ、あんたいくつよ?こう見えても私はカンナムの美容整形外科医よ。脅迫めいた真似をする患者とも互角に渡り合ってきたの。喧嘩も出来ないお嬢様に見えた?今日は王様の前だしぐっとこらえてこの辺にしといてあげるわ」

驚きのあまり何も言えないチョル。

この自分に対し啖呵を切る女など今まで見たことがなかった。

ウンス「王様、治療に戻ります。失礼してもいいですか?」

王「お行きなさい」

頭を下げて出て行こうとするウンスを身体で邪魔するチョル。

ウンス「何よ?」

チョル「妖魔め。命が惜しくないのか?」

チョルを見て歴史を思い出すウンス。

ウンス「王様、この人の名前、キ・チョルですよね?思い出しました。キ・チョルにキ皇后、コンミンワン、皆試験に出てきたわ!内申の評価は一番よかったんですよ。元は滅亡するわよ。それももうすぐね」

驚く重臣達、チョル、王。

歴史を覚えるために、学生時代に必死で覚えた歌を歌う。

ウンス「『唐、遼、元、明、南の宋』ああ、この次は明ね。元は滅んで明の時代が来るわよ。そうだキ・チョルさん。あなたの最後もぜーんぶ覚えてるわ。でも絶対に教えない。だってムカつくんだもん!ヘイユー!F(エフ)U(ユー)C(シー)K(ケイ)!ゴー・トゥ・ヘル!それじゃ失礼!」

ドアを出るなり緊張の糸が切れて大量の汗と共に倒れ込むウンス。

それをチャン侍医が支えてくれる。

チャン侍医「ご立派でした。こちらが肝を冷やす程に勇ましく」

ヨンの治療に戻るウンスとチャン侍医。

チャン侍医「では隊長を治療してくださると?」

ウンス「本当は手を引きたいわ。もううんざり。でもこの人に帰して貰うんだもの。何としても助けるわ」

チャン侍医「縫合部に膿がたまっています」

ウンス「また切開しないとだめね。パスがあふれ出るはず」

チャン侍医「パス?」

ウンス「膿のことよ。灰白色の部分は組織が腐ったもの。壊死の範囲を調べて切除するわ」

チャン侍医「アルコールとやらですが『ちょていとう』で代用出来ます。ちょていとうを創部に染み込ませ腐った肉と膿を取り除きます。肉芽形成を促して邪気を散らし周りの肉を保護するのです」
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夢の中のヨン。

氷の世界で父と並び釣りをする。

父「まだ思い続けているのか?」

ヨン「今も心の中に。忘れられずにいます」


花が咲き乱れる野原で修行する二人。

メヒ「心配しないで。後ろは私が守る」

ヨン「絶対に俺から離れるな。俺が守ってやる」

だがあの日。

いなくなったメヒを探して山中をひたすら走った。

ヨンの刀に一枚の布が引っかかる。

メヒの物だ。

それを胸に抱いて涙に崩れ落ちるヨン。

自分のせいで師匠が死んだ。

それを苦に自らの命を絶ったメヒ。

今ヨンが持っているのは師匠から譲り受けたあの鬼剣だ。

その剣にいつも巻いてある赤い月のバンダナ。

忘れることの出来ないメヒの想い出。
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また痙攣をおこすヨン。

口に布を押し込み皆で抑えるが一行におさまらない。

ウンス「なぜなの?どういうこと?」

出て行くウンス。

ウンス「何なのよ!」

チャン侍医も出てくる。

ウンス「サイコの膿は徹夜で掻き出した。血液循環も順調だし血圧と体温も正常値。なのになぜ意識が戻らないの?」

チャン侍医「隊長は以前にも刺し傷を負いましたが内功が優れており自然治療で済みました」

ウンス「なのに今回は違うの?」

チャン侍医「中医は人を癒し、下医は病を癒す。下医は病を治すが中医は人をも癒すと言います。身体は治ってもまだ心が病んでいるのです」

ウンス「医学部の教授によく言われたわ。どれだけ処置や手術が完璧でも患者に生きる意思がなければ救えない」

チャン侍医「天の国も同じなんですね」

ウンス「私はそう思えない。私は外科をやめたの。手術の腕は悪くないわ。見て解ったでしょ?昔は胸部外科を専門にしてた。当時の科長は肺ガン治療の第一人者で手術時間が短いことで有名だった。私もそこそこ追い付いたわ。私が言いたいのはね、手術の技術は高いし好きだったけど患者が嫌いで」

チャン侍医「患者を嫌う医員ですか?」

ウンス「だから整形外科に転向したの」

チャン侍医「整形・・・美容?」

ウンス「外科はリスクだけ高くて儲からない。二重手術なら1回で結構な収入になるわ。外科は胸を開いて何時間にも及ぶ手術をして終わるころにはフラフラになっても報酬は知れたもの。だから・・・言っても解らないわね」

チャン侍医「患者を死なせたことは?」

ウンス「ドラマじゃあるまいし。患者を死なせて良心の呵責に苦しむとか・・・笑っちゃう。私が手術を執刀した患者で死んだ人は1人もいない」

チャン侍医「患者の死が怖いのですね。隊長が死ねば初めて死なせた患者になります」

痛いところをつかれるウンス。

ヨンはまだ夢の中。
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髪、顔、鎧、手、全てが氷で覆い始めている。

そしてじっと一点だけを見つめている。
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キ・チョルの屋敷。

さっきのウンスの様子を思い出しているチョル。

チョルの弟達は勝手にまくしたてている。

弟「正直、あの兄上を見下げる態度には背筋が凍った。しかももうすぐ元が滅びるそうではないか。そして兄上の死まで予言したのだ。最後の呪文だ。あれは死を呼ぶ呪文に違いないと」

チョル「もう一度あの妖魔に会いたい」

王にもう一度謁見すると言い張るチョル。

今度は医仙が狙いなのか。

夜、単身王に会いにくるチョル。

何が狙いか?と問う王に対し、医仙を貸して欲しい斯うチョル。

もし7日で医仙の心を掴むことが出来たら医仙を欲しいと。

王は『7日で医仙の心を掴んでみよ。したらば医仙をそなたにやる』と約束してしまう。

夜通し必死で薬を作るウンス。

そこへトギが呼びに来る。

相変わらず意識がないヨンへ語りかけるウンス。

ウンス「ねえ、王様と話してるのを偶然聞いたの。無情な時代を必死で生きてきたのね。気の毒に。あなたがサイコになったのも無理ないわ。でもね、あなただけじゃない。みんな生きてる。誰もがもがきながら。だって、だって・・・」

ふとヨンを見ると息をしていないことに気付く。

ウンス「心臓が・・・」

必死で心臓マッサージと人工呼吸を始める。

一心不乱に。

そこへ飛んでくるテマンとチャン侍医。

ヨンはやはり夢の中で氷漬けになっている。

脈を調べたチャン侍医が必死で蘇生させようとしているのを止めるが、ウンスは侍医を無視して続ける。

チャン侍医「もうおやめください」

ウンス「嫌よ、逝かせないわ!私を残して、しかも私に刺されてなんて。絶対だめよ!戻ってきて!傍にいろと言ったでしょ?守るって言葉を信じてたのに!」

侍医が止めるのを振り払って心臓マッサージを続ける。

ウンスの涙が一粒、ヨンの頬に落ちる。
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夢の中のヨン。

頬に落ちた一滴で、頬の氷がバラバラと割れ落ちる。

『守ってくれると言ったはずよ!』

閉じかけていた目が再び開く。
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チャン侍医「息を吹き返しました」

安堵しじっとヨンを見つめるウンス。

いてもたってもいられなくなった王妃は引き留める声も無視して王の部屋へやってくる。

王妃「お聞きしたいことがあります」

王「ぶしつけになんだ」

王妃「医仙を差し出すのですか?キチョルにやるとか」

王「ここは宮中だ。呼び捨てにせずトクソンプオンングンと言いなさい」

王妃「チェヨンの治療があります」

王「承知だ」

王妃「いいえ」

王「元の公主が礼法をわきまえておらぬとは」

王妃「私ごときの礼法よりこの国の王、王様の礼法の方が重要かと。保身のため忠臣を差し出すのが礼法ですか?」

王「余は誰だ?答えよ。余は誰だ?非礼はそなたの品性ゆえか?それとも元の姫君ゆえ力なき高麗王には無礼にふるまうのか?」

王妃「解りませんか?」

王「解らぬから聞いておる」

王妃「キジは追われると草むらに頭のみ入れ姿を隠した気でいます。王様は野のキジですか?」

王「何?」

王妃「王様の力となる者を守るべきではありませぬか?医仙と近衛隊長を失えば誰が残るのです?」

王「公主は余を案じてここへ来たと言うのか?王妃殿で密かにチェヨンと会うたのも余を思ってのことか?」

王妃「驚きました。私に関心がおありとは」

王「都合の悪い問いには答えぬのか?公主の部屋にチェヨンを招いたのは誰のためなのかと聞いておる」

王妃「王様と私は一体にございます。共に倒れ共に踏まれる。ゆえに王様の身を案じていてもたってもいられず参った次第です。礼もわきまえず騒ぎ立てました。許可なく訪ね要らぬことを伺いました。もう2度と参ることも聞くこともありませぬ。ゆえにお許し下さい」

王妃の目には涙が。

キチョルと王との約束のため、医仙を迎えにきたチョルの部下。

連れて行かれそうになるウンスを必死で止めるチャン侍医だが首に剣を突きつけられた上に『これは王命だ』と言い放たれ言い訳できずそのまま連れていかれるウンス。

その騒ぎに、ヨンの指がわずかに動く。

翌朝。

尚宮「医仙は昨夜連れていかれたそうです」

王妃「招かれたのではなく連れて行かれた」

尚宮「そう聞いております」

王妃「殺すのか?」

尚宮「己に利をもたらすと踏めば生かしておき・・・」

王妃「利がなければ・・・殺すのか?ではチェヨンも死ぬ定めか?」

王の間ではまたイルシンが騒いでいる。

『開京を血の海に沈めても医仙を取り戻す』と。

テマン「隊長!」

ヨンはまぶしさで目を覚ます。

ヨン「目が・・・まぶしい」

テマンは自分の身体で日の光を遮ってあげる。

隊長が目覚めたと侍医に伝えにきたテマン。

チャン侍医「医仙のことまで話したのか?」

テマン「聞かれたら答えないわけにはいかず、隊長ですし」

ヨンは身支度を整え出掛ける準備をしていた。

チャン侍医「一時は心(臓)も止まりましたが医仙がいて一命を取り留めました。まだ脈が弱い。安静にするべきです」

ヨン「ただ黙って見てたのか?」

チャン侍医「王命ゆえ」

ヨン「医仙を気絶させるとか動けなくさせといて渡せないと言えば・・・」

刀と盾を持つヨン。

チャン侍医「王の近衛隊が命令に背くのですか?」

ヨン「ただでさえ力がない。余計なことに使わせるな」

チャン侍医「補元丹(ほげんたん)です。3粒あります。1日分の活力にはなりましょう。内気は封じて下さい。気が枯渇すれば内功が使えなくなる恐れがあります」

ヨン「まったく、励みになることを言う医員だな」

チャン侍医「トクソンプオングンは名分を探しています。医仙を妖魔に仕立てようと必死です」

ヨン「だから何だ?」

チャン侍医「処刑する気でいるのです。医仙と隊長を一緒に。何か策がおありで?」

うなずくヨン。

チャン侍医「どんな策です?」

ヨン「正面突破」

馬を駆り医仙を取り戻すべくチョルの屋敷へ向かうヨン。

その後を追うテマン。

隊長が心配でこっそりついてきたのだ。

ヨン「近衛隊長チェヨン、お目通り願いたい」

ヨンを屋敷に通せと部下に命ずるチョル。

楽しませて貰おうじゃないかとチョヌムジャに目で合図を送る。

王の間ではヨンが医仙を単身迎えに出向いたと話している。

そしてチェヨンは王命に背いたことになると。

王は嘆いている。

『あの者に信ずる者はそなただけだと伝えた。その答えがこれか?』と。

『公主は不信に駆られ余を声高に非難する』と。

自分に訴えることもしないでと。

門が開きチョヌムジャの案内で中に通されるヨン。

椅子に縛られて座る女を見かける。

そちらへ向かう。

近づくとその女はこの間のファスイン。

ファスインが投げた火炎を盾で防ぎ、不敵な笑みを浮かべてファスインを見つめるヨン。

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