鮫〜愛の黙示録〜 |
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第9話 ヘウは人とぶつかって肩を痛がるキム・ジュン代表(イス)を見て沖縄の老人の言葉を思い出す。 ヘウ「誰なの、あなた!一体誰なの?」 イス「私が誰なのかはチョ・ヘウさんのほうがよく分かっていると思いますが?」 ヘウ「誰もが知っているキム・ジュン代表のことを聞いているんじゃありません」 イス「誰もが知っているキム・ジュンはどこにもいません」 ヘウ「どういう意味ですか?」 イス「誰もが自分のやり方で相手を把握して解釈します。チョ・ヘウが知っているキム・ジュンはチョ・ヘウしか知らないし同じように私は私が知っているチョ・ヘウという人間しか知りません。ですから誰もが知っている人間は存在しないということですよ」 ヘウ「言葉遊びをしようというのではありません」 イス「私も言葉遊びは好きではありません。一体私にどんな答えを求めているんですか?顔色がよくありませんね。どうしたんですか?」 ヘウ「ケガしてるところがありますか?肩と足が具合が悪そうなので」 イス「事故がありました。随分前に」 ヘウ「どんな事故だったんですか?」 イス「ちょっとした戦闘がありました。ヤクザ出身にはよくあることでしょう。答えになりましたか?」 ヘウ「そうですか」 イス「まだ気になることがありますか?」 ヘウ「いいえ。失礼な質問をしてすみません」 イス「オ・ジュニョン本部長を随分お待たせしてしまったようです」 ヘウ「ジュニョンに会いにいらっしゃったんですか?」 イス「私が来ることを知らなかったようですね」 ヘウ「今、友達と一緒にいるはずです」 イス「キム・ドンスさんのことですか?キム・ドンスさんと懇意にしているということは本部長から電話で聞いています」 ヘウ「ドンスをどうしてご存じなんですか?」 イス「ジャイアントの職員ですから。行きましょう」 ヘウ「偶然も計画に含まれるんですか?全てのことを計画して計画どおり行動するとおっしゃいましたが考えてみると代表とは偶然が随分あったようなので」 イス「急に私に関心が多くなったようですね」 ヘウ「関心というより好奇心が出てきました。もしかして代表の計画に偶然も含まれているのではなかろうかと」 イス「神の計画かもしれませんね。繰り返される偶然は必然ですから」 イスとヘウはジュニョンとドンスがお酒を呑んでいる席に加わる。 ドンスまでもが係わり合うことでヘウはキム代表に対する疑いを深めキム係長にキム・ジュン代表の身辺調査を依頼する。 イスの留守中にチャン秘書はイスの部屋に盗聴器を仕掛ける。 その時ドンスからの電話に驚くチャン秘書。 ドンス「秘書さんも来ませんか?酔ってませんって・・・」 ドンスが酔っぱらって手が付けられなくなったのでタクシーで帰すとちょうどチャン秘書がイスを迎えにくる。 『あの二人お似合いだな』というジュニョン。 ヘウとジュニョンも歩きながら話す。 ジュニョン「もしイスが生きていることがわかってたら、僕たちは結婚していたかな?」 ヘウ「勿論よ。大変な時も今も私のそばにいてくれるのはジュニョンよ」 そこにピョン刑事から沖縄にイスの写真を送って確かめてもらったらどうかと電話。 ヘウ「もう確認しました。違うそうです」 ピョン刑事は昔イスがロッカーに隠した証拠を見つけるためにチョン・マンチョル刑事の相棒だったオ刑事にひき逃げ事故について尋ねる。 ピョン刑事「チョン刑事が賄賂をもらってひき逃げ事故の犯人を隠したことにオ刑事も関係しているのか?」 オ刑事「私は関係ありません!」 オ刑事は先輩のチョン刑事によく面倒を見てもらったのでチョン刑事が悪く言われるのをよく思っていない。 オ刑事はチョン刑事の話から、絵の後ろに証拠が隠されていると思うが何も見つからなかった。 オ刑事の反応を見て何かあると感じたピョン刑事はオ刑事の後をつけて来る。 『証拠を見つけたら処分するつもりか?』というピョン刑事にオ刑事は自分もチョン刑事を殺した犯人を捕まえたい。証拠が何なのかは知らない。殺人と比べたら証拠を隠したことくらい軽いものでしょうと言うが『そのちょっとしたことがなければチョン刑事は殺されることはなかったんだ』とピョン刑事に諭される。 サングクもその証拠を手下に探させている。 サングク「そこまでしなくていい。時には見守っていれば答が出てくることもあるのだから。あの子の行方は分かったか?容易ではないだろう。それでも探さなければ。あの子を見つければ終わる事だ」 イスも謎の"友達"からの報告を聞く。 イス「はい、それで?・・・予定通り進めてください」 その通話をチャン秘書が盗聴している。 イベントで当たった望遠鏡で星を見ているイヒョンは兄(イス)と交信しているという。 イヒョン「私、お兄ちゃんが死んだって思ったこと本当に一度もないの」 ピョン刑事「夜更かししてるから鼻血が出るんだ。早くねんねしなさい」 ピョン刑事はイヒョンの周辺に変わったことがないかどうか気をつけるようにと養母に頼む。 チョン・マンチョル殺害事件にチョ・ウィソン社長が係わっているという報道がされて対応に苦慮するチョ社長。 警察は形式的に補強捜査を始める。 すると捜査しつくしたはずの殺害現場からマンションのスマートキーが見つかる。 部下「金持ちが多く住むスタービルの鍵ですね」 ピョン刑事がヘウからの電話にスタービルのスマートキーが見つかったと話すとヘウはチャン秘書がスタービルに住んでいると言っていたことを思い出す。 ヘウ「すぐスタービルの前で会いましょう。スマートキーを持ってきてください」 チャン秘書はドンスを呼び出しドンスの親友の"ハン・イス"について尋ねる。 チャン秘書「家族はいないんですか?」 ドンス「妹がジュース店でアルバイトしています」 キム代表がジュースを買ってきたことを思い出したチャン秘書はその店に連れて行ってもらい妹のイヒョンと会う。 チャン秘書「目のあたりが私の知り合い(イス)とそっくりね」 スタービルに着いたヘウとピョン刑事は迷わずキム・ジュン代表の部屋に行きスマートキーが合うかどうか試すがダメだった。 そこにイスが出てくる。 イス「出かけるのでお茶も差し上げらなくてすみません。どの部屋のスマートキーかは保安室に行けば分かりますよ」 ピョン刑事「どうしてあの男のスマートキーだと思ったんだ?」 ヘウ「気になっていたから。神経過敏なようです」 保安室で教えられた部屋に行ってみると昔ヘウの父親とスキャンダルになったアナウンサーの部屋だった。 イスは陶磁器をもってチョ・サングク会長を訪ねる。 日本のVIP顧客が持っていたものだったが話を聞くと元々チョ会長の祖先が大事にしていたもののようだったので本来の持ち主に返すようにとその顧客を苦労して説得して手に入れたものだった。 サングクには心当たりがなかったのだがひとまずイスに礼を言う。 イス「私がしなくてもいずれ会長のところに戻っていたことでしょう。すべては回りまわって結局本来の場所に戻るのが当然な道理ですから」 ピョン刑事とヘウはアナウンサーのイ・ファヨンに鍵を失くしたことはないかや19日のアリバイについて尋ねる。 『嘘が分かれば殺人の容疑がかかることになりますよ』と言われファヨンはヘウに何か言いたそうな顔つきに。 ヘウと二人きりになるとファヨンは『あの日、チョ社長は私と一緒にいました。しばらく前に社長が鍵を失くしたことがあった』と話しだす。 ショックを受けたヘウはピョン刑事に『これは罠です。真犯人の思うように動いてはいけないでしょう』と証拠のスマートキーをしばらく隠しておくように頼むがピョン刑事は『捜査は公平にしなくてはならない。ヘウの父親でも例外ではない』と言う。 しかし部下に対しては『スマートキーの提出はしばらく待て。今になって現場から出てくるなんてありえないだろう!』と。 キム係長の話ではヘウの事務所にも記者が張り込んでいるようでヘウは来ないほうがいいと教える。 ヘウ「頼んであったことはどうなりましたか?メールしてください」 キム・ジュンについての報告を見たヘウはイスに電話をして会う約束をする。 オ刑事はチョン・マンチョル刑事の家でアルバムに挟んであった古い写真を見つける。 裏には『1950年5月10日サングクと共に』と書かれている。 オ刑事「サングク?チョ・サングク会長?」 夜、ヘウに呼び出されてイスがやってくる。 ヘウ「来てくださってありがとうございます」 イス「礼を言うのはこちらのほうです。ヘウさんと会う理由を探すのが容易ではないので」 第10話へ |