鮫〜愛の黙示録〜
第6話

呑み屋の前。

ジュニョンの迎えを待つヘウを残して立ち去ろうとしたイスは突然引き返してきてヘウに激しいキスをする。

当惑したヘウはイスの頬を叩いてどこかへ歩き出す。

ヘウが忘れていった携帯を店の主人がイスに預けるとちょうどイヒョンから電話。

イヒョンは電話に出たのがヘウだと思い込んで話している。

懐かしさのあまり溢れそうになる涙をこらえているところにジュニョンが到着。

ヘウも携帯を忘れたことに気付いて戻ってくる。

『今度は僕と一杯飲みましょう』とジュニョンと約束をして別れる。

車の中でジュニョンはヘウにキム代表(イス)に対する態度が悪かったのは何かあったからか?訊くがヘウは事件のことで神経質になっていたからだと説明する。

イヒョンがピョン刑事に父さんの月給4か月分もする高い望遠鏡がイベントで当たったことを話している。

ピョン刑事は何か気になる様子でその会社はどこかとイヒョンに尋ねる。

イスは帰り道、尾行されていることに気付く。

人通りのない路地で尾行の男を倒して男の携帯をチェックしたイス。

男はイスとヘウがキスしている写真を撮っていた。

グランブルーホテルのムン社長がイスの弱みを握ろうとしていたのだった。

同じ場面の写真をチャン秘書も撮ってヨシムラ会長に送っていた。

ヨシムラはイスの気持ちが揺らいでしまって"計画"がうまくいかなくなることを恐れてチャン秘書にイスの監視をさせているのだ。

ヨシムラ「今度オープンする沖縄リゾートにオ・ジュニョン本部長夫婦を招こうかと考えておる。チョ会長がジュンを孫のように歓迎したというのでこちらでも誠意を見せるべきだ と思うのだがね」

チャン秘書「必要な部分、準備しておきます」

ヨシムラ「頼む、ジュンには私が別に電話しよう。疲れただろう休め」

チャン秘書「僭越な質問なのですが私がしていることが会長にどのようにお手伝いになっているのか伺ってもかまわないでしょうか?」

ヨシムラ「心が落ち着かないようだな」

チャン秘書「率直に申し上げればそうです」

ヨシムラ「そうだろう。 直属上司だから当然のことだ」

チャン秘書「会長の助けになることならば私は構いません。ただ・・・」

ヨシムラ「私はジュンを助けようとしているのだ。あの子がしようとしていることを支援するというのが正確だろう」

チャン秘書「代表がしようとしているのはカヤホテルを倒すことでしょうか?」

ヨシムラ「それは重要ではない。どの様に・・・どの様に倒していくかが重要だろう。だからジュンには私が、私にはジュンが必要なのだ。だが人間が計算に入れることができない偶然と衝動が結果を変えてしまうこともあるだろう。だから私にはお前が必要なのだ」

チャン秘書「それはどういうことでしょうか?」

ヨシムラ「怒りと憎しみで固く武装した計画も崩れる時がある。ジュンには今日がそういう日だったようだな」

ヘウとジュニョンはいつもの本屋に立ち寄る。

主人はまた留守。

ヘウはジュニョンにひき逃げ事故は父親が起こしたものだと打ち明ける。

ヘウは家に帰って祖父にカン・ヒスのことを尋ねるが酔ったウィソンが邪魔をして肝心なことは聞けずじまい。

イヒョンは父であるピョン刑事の部屋でイスの事故の捜査資料を見てしまう。

"鍵"の写真を見て番号が違うことに気付く。

『お兄ちゃんが持って行った鍵は22番だった』

22番のカギは今もイスが持っていた。

ホワイトボードを使って頭を整理するヘウ。

『ハン・イス "死亡"』と書いた文字を"失踪"と書き直す。

サングクは誰かに電話している。

サングク「こんなことをするのは"あの子"しかいない。生きているのかもしれない。ハン・イス」

朝のランニング中のイス。

チャン秘書も後ろからやってきてイスに追い付く。

眠そうな秘書は昨夜見ていた映画の話をする。

それを聞いてイスの足が止まる。

秘書「ワ〜本当に一度も見てくれませんね」

イス「走る時誰かがそばにいるのは好きじゃありません」

秘書「それでは明日から別のコースにしてみます」

イス「遅くまで仕事だったんですか?」

秘書「昨日映画を見ていて寝そびれてしまって。失恋した主人公が苦痛から抜け出そうと記憶を消す会社に行って恋人とのすべての記憶を消すことを決心します。そして・・・あっ! 長話してしまいましたね。今日のスケジュール・・・」

イス「それで・・・記憶を消すのに成功するんですか?」

秘書「成功しましたよ。でも結局彼女とまた恋に落ちるんです。記憶は消しても彼女を好きになるしかなかった。自分自身の本来の姿はそのままだから。それは消すことも変えることもできないことだから。頭からは消しても心臓は記憶している。まあそんなあらすじです」

イス「つまらない話ですね」

秘書「私としてはおもしろかったです。会長から電話ありましたか?沖縄に」

イス「ありました」

結婚後初出勤のヘウ。

キム捜査官からカン・ヒスについての報告を受けるが上司からこの事件は別の検事に担当を移すといわれる。

サングクはオ地検事にまた世話になったと礼を言う。

そしてチョン・マンチョル殺人事件を怨恨による殺人として片をつけるよう要請する。

『ヨシムラ会長から招待された沖縄旅行にジュニョンとヘウを行かせるつもりだがその間に処理が終るだろう』と。

運転手として初出勤したキム・ドンス。

『代表は個人的な質問が嫌いです』とチャン秘書にいわれたのに運転しながらもペラペラしゃべり続けるドンス。

グランブルーホテルのムン社長は入院している。

イスは尾行のこともあって以前よりも強い態度に出る。

イスの言い値でホテルを売買する契約書を突きつけカヤホテルには"約束通り"というよう強制する。

ジュニョンもムン社長に会いに病院へ。

帰る途中のイスに会い一緒にお酒を呑む約束をする。

イヒョンの働くカフェでヘウとピョン刑事が推理を巡らしている。

三つの事件はイスがロッカーから手に入れた"文書"でつながっているのではと考えるが肝心の文書の内容がわからない。

ヘウはひき逃げ事故目撃者の少年に会って少年がどうして嘘をついているのかと少年に尋ねる。

少年は"おじさん"に頼まれたと答える。

そのおじさんとはキム捜査官だった。

そしてキム捜査官はオ地検事(ジュニョンの父親)に頼まれたと知りヘウはショックを受ける。

ショックを受けたヘウはジュニョンに会いに行きバーで待っている間にジュニョンと約束していたイスと鉢合わせする。

イス「ここでお会いしなくても連絡しようと思っていました。昨日のことは・・・」

ヘウ「大丈夫です。お酒のせいで起きた間違いだと考えて理解しました。そのことを気 にしていらっしゃるならお気遣い無用です。私はもう忘れましたから」

イス「そうですか」

ヘウ「ところでここにはどうして?」

イス「本部長と約束があります」

ヘウ「あぁ・・・私連絡もしないで突然来てしまって」

イス「一緒にいらっしゃっても構いません」

ヘウ「いいえ。ジュニョンには外で会えますから。またお会いしましょう」

立ち去りかけたヘウに小声で話しかけるイス。

イス「もしも間違いではなかったら?間違いではなかったと言っても理解していただけま すか?」

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