鮫〜愛の黙示録〜 |
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第3話 警察署で刑事に殴り掛かったイスは留置場に入れられている。 そこにピョン刑事がやってくる。 ピョン刑事「ひき逃げ犯はイスの父親じゃないかもしれない。助けてやるから知っていることを話せ」 イス「もう警察を信用できません。そして別の殺人事件にも父親が関係しているかもしれない」 イスが釈放されて外に出るとヘウが待っていた。 ヘウの家が警察に圧力をかけたのだ。 イスはヘウの父親の腕時計を思い出しヘウに父親の時計があるかと聞くがヘウはそれを誤解してしまう。 ひとりで家にいるイヒョンをサングクが夕食に誘うがイヒョンは警戒して見つけた鍵をしっかりポケットにしまいこむ。 ヘウがほしかった本が見つかったから取りに来るようにと言われていて古本屋に立ち寄るが主人がいない。 何も話してくれないイスが心配でならないヘウ。 『私が出来ることはないの?』と聞くがイヒョンが待ってるからとイスは一人で帰ってしまう。 欲しかった本を手に入れたヘウだがちっとも嬉しそうじゃない。 家に帰ったイスはイヒョンから鍵を受け取る。 鍵の裏には『マッサージ店』の広告。 電話番号が一部欠けている。 欠けた番号を埋めてしらみ潰しに電話をかけるイス。 やっとその店がわかり場所を尋ねる。 サングクはイスの父親が処理したという書類封筒のことが気にかかる。 警察もカンヒスが差出人不明の封筒を受け取って血相を変えていたという情報を得る。 イスはウィソン(ヘウ父)に腕時計のことを問いただすがウィソンは我慢にも限界があると脅す。 しかしイスは逆にどんな権力にも負けない、絶対に犯人を見つけ出すと宣戦布告する。 図書室で鍵のことを考えているイス。 ヘウがこの前のことを許してあげるから別荘に行こうと誘うがイスは行くところがあるからと断ってしまう。 一人で抱え込んでいるイスに『私もおじいさんもイスを助けたいと思っているのに』というヘウ。 ヘウの家族"なんか"の助けはいらないとヘウを泣かしてしまう。 心配するジュニョンにヘウのことを頼んでイスはマッサージ店に向かう。 サングクに会いに行く途中でウィソンと出会ったヨシムラが『あの子も元気ですか?』とイスのことを尋ねる。 鍵は駅のコインロッカーのものだとわかったがロッカーは空だった。 書類封筒は忘れ物として管理室に保管されていたのだ。 鍵についていた番号は『22番』 書類を読んだイスはとてもショックを受ける。 ピョン刑事に父親が殺された理由がわかったと電話する。 会って話を聞くというピョン刑事。 急いでイスのもとに向かう。 その間にヘウに電話するイス。 その頃ヘウとイヒョンは一緒に食事していた。 イヒョン「お兄ちゃんも一緒に食べればいいのに」 ヘウ「私たちだけのほうがずっといいわ」 イヒョン「お兄ちゃんとケンカしたの?」 電話が鳴る。 イヒョン「あ、お兄ちゃんだ。お兄ちゃんどこ?いつ帰ってくるの?」 イス「もうちょっとしたら・・・ゴメン。明日からは毎日一緒にご飯食べて散歩もしよう」 イヒョン「ほんと?約束よ。お姉ちゃんがスパゲティー作ったよ。すっごいおいしそう。でもお兄ちゃんの分はなし。けんかしたから作ってないの。うん、ちょっと待って・・・」 ヘウに代わる。 ヘウ「何?・・・もしもし?」 イス「僕だよ」 ヘウ「わかってる。どうしたの?」 イス「大変だ。大変だヘウ」 ヘウ「どうしたの?イス」 イス「何をどうすればいいのかわからない。信じられるものが何もないんだ。ヘウ・・・僕は・・・」 ヘウ「どうしたの?今どこ?どこにいるの?私がそこに行くから。私があなたのところに行くわ、イス」 イス「ヘウヤ」 ヘウ「うん、何?」 イス「僕が言ったこと覚えてる?」 ヘウ「あなたが言った何?」 イス「どんなときでも僕たちは僕たちができることをするしかないって言ったこと」 ヘウ「あぁ、湖でね」 イス「君も大変になるかもしれない。耐えるのが難しいことが起きるかもしれない」 ヘウ「どういうこと?」 イス「これだけは覚えてて。どんなことがあってもどんなことが起こっても・・・君と僕は一緒だ」 ヘウ「急にどうしてそんなことを言うの?」 イス「僕の言葉を忘れちゃダメだ。必ずおぼえてて!ヘウ。どんなことがあったとしても僕たちは絶対別れることはない。絶対に別れることは・・・」 ヘウ「イス?イス?イス?もしもし?イス!」 電話の向こうで激しい爆音を聞くヘウ。 その言葉の直後イスは電話ボックスごとトラックに轢かれてしまう。 そして誰かが書類封筒を拾い上げる。 ピョン刑事が到着した時にはイスの姿はなかったが別の鍵を見つける。 現場には乗り捨てられたトラックと破壊された電話ボックス、そして激しい血痕が。 結局どこを探してもイスの遺体は見つからなかった。 ヘウとジュニョンの結婚式の夜。 イヒョンを迎えに来たピョン刑事と出くわすヨシムラ・ジュン(現在のイス)。 イヒョンはピョン刑事のことを"お父さん"と呼んでいる。 幼かったイヒョンはピョン刑事の家に引き取られたのだ。 12年前のヘウの家。 ヘウ家に刑事が来てイスの事故の報告をしている。 『イスは死んでない。けがをして病院にいるから探さなきゃ』というヘウ。 泣いているイヒョンにも帰ってこられないだけだと必死で慰める。 結婚式の2次会の夜。 ベランダに出たヘウとイス。 挨拶を交わしたヘウとジュン(イス)は月を見ながら話を続ける。 ジュンがあのイスだとは知らないヘウ。 イス「ヨシムラ・ジュンです。韓国名はキム・ジュンです」 ヘウ「私はチョ・ヘウといいます」 イス「いい名前ですね」 ヘウ「ありがとうございます。韓国にはよくいらっしゃるんですか?」 イス「子供のころ来た時以来初めてです」 ヘウ「ソウルはずいぶん変わったでしょう?久しぶりにいらっしゃる方はみんな驚かれるんですよ」 イス「私には以前のままのように見えますが」 ヘウ「そうですか?私はここに住んでいても変化が感じられるのに」 イス「満月のせいかもしれませんね」 ヘウ「満月ですか?」 イス「満月は昔も今も同じですから」 ヘウ「満月がお好きですか?私も好きなんです。韓国では小正月の満月を見て願い事をする風習があるんですよ。満月が願いを叶えてくれると信じてるんです」 イス「西洋では満月は不運を暗示します。太陽の反対側にいる闇の神と考えているんでしょう。明るい太陽と暗い月、太陽が善とすれば月は悪を意味します」 ヘウ「否定的な解釈ですね。むしろ暗闇を明るく照らしているからもっと立派なものなのに」 イス「北極星と同じです。変わることなく北を示しているので道に迷った人々の道しるべになってくれます。だから道しるべの星とも言うし、旅行者にとっては親しい友とも言えます」 イスの話で昔のイスを思い出したヘウは感情を抑えきれず泣き出してしまう。 優しく抱き寄せて慰めるイス。 驚きと切なさの入り混じったイスの表情。 二次会からいなくなったヘウを探していたジュニョン。 イスは挨拶だけして中に入る。 二次会に戻ろうとするヘウを抱き寄せるジュニョン。 それを複雑な表情で見送るイス。 中では二次会とは別にサングクのもとに関係者が集まっている。 ウィソンにチョン・マンチョルから電話がかかってくる。 そのマンチョルは誰かに襲われる。 12年前。 イスがいなくなって元気をなくしたヘウをジュニョンが一生懸命元気づけている。 ジュニョン「イスの分も生きていかなきゃ。僕が力になるから」 そして現在。 12年間そうやって待っていたジュニョン。 やっとヘウと結ばれることができた。 イスはヘウとジュニョンのことを考えると居ても立っても居られない様子。 しかし"サメのペンダント"を握りしめひとりでじっと耐える。 そこにイスの秘書が日本からやってくる。 飛行機が遅れてやっと着いたというチャン秘書に特に用事はないから今日はもう休めというジュン。 真夜中、眠っていたヘウの携帯が鳴る。 『12年前イスが死んだ理由を知りたければここに来い』 チョンマンチョルが脅されて電話をかけさせられていた。 マンチョル「お前たちは誰だ?ハン・イスと関係があるみたいだが俺は殺してない。俺じゃないんだ」 イス「世の中には・・・バランスが必要だろ?片方だけが悔しい思いをさせられたんじゃバランスが崩れるよな。お前の人生にもバランスが必要だと思わないか?機会をやろう。12年前の・・・真実を話す機会」 マンチョル「そ・・・それで私を助けてくれるんですか?」 イス「言っただろう?お前の人生にもバランスが必要だと」 マンチョルの膝をトントンとたたくイス。 イス「さぁ、話してみろ」 マンチョル「本当です。俺はハン・ヨンマンもハン・イスも殺してません。俺じゃないんです。信じてください」 マンチョルの耳元で囁くイス。 イス「・・・信じるよ」 ニヤっとかすかに笑うイスの目は氷のように冷たい。 話を聞いた後、また別の男と入れ替わり部屋を出ていくイス。 そしてチョン・マンチョルの悲鳴。 第4話へ |