鮫〜愛の黙示録〜
第2話

雨に濡れたイスとヘウは別荘で休んでいる。

『ヘウが疲れて寝てしまったので少し寝かせてから連れて帰ります』とパク女史に電話したイス。

黒服の男たちが現れ二人を連れていく。

ヘウの家では祖父のサングクのもとをヨシムラ・ジュンイチロウが訪ねてくる。

ヨシムラの父とサングクは幼なじみだった。

火事で両親を亡くしたヨシムラは日本に行くことになりそこでジャイアントホテルを築き上げる。

客がいるとは知らずにイスとヘウの父親がリビングで口論になる。

『二度とヘウと会うな。明日すぐ家から出ていけ』というヘウ父にイスは『ヘウは友達です。ヘウとは会い続けます』とキッパリ言い放ってしまう。

サングクの一喝で騒ぎは収まる。

外に出たイスにヨシムラが話しかける。

そして『私たちはまた会うことになろう』と意味深な言葉を残し立ち去る。

今度は歴史学者のカン・ヒスがサングクに会いに来る。

サングクの過去に何か秘密があるようでそのことを確かめに来たのにサングクは知らないと答える。

カンヒスは『歴史を正すことが重要だ』と言って帰っていく。

そしてサングクはじっくり考えた末誰かに電話をかける。

カンヒスを父が車で送っている間イスは外で風にあたっていた。

庭で星を眺めながらさっきウィソン(ヘウ父)に殴られ怒鳴られたことを回想するイス。

そこにヘウも来て殴られたイスの頬を気遣う。

ヘウ「痛いでしょう?」

イス「別に」

ヘウ「ごめんなさい」

イス「大丈夫だよ」

ヘウ「それとありがとう。これからも私と会い続けるって父さんに堂々と言ってくれて」

空を見上げるイスとヘウ。

ヘウ「何探してるの?」

イス「北極星。天球の北にある星だからって付けられた名前だよ。ポラリスとも言って道 しるべの星だから旅行者には馴染みの星だよ」

ヘウ「道しるべの星?」

イス「空の北を示しているから道に迷った時北極星さえ探せば自分の道を見つけることができるんだ」

ヘウ「まさにハンイスみたいね。私の道しるべじゃない、あなた。親友でもあるし。でも今夜道に迷った人は道を見つけられないわね」

イス「そうだね」

その夜は曇っていて星は一つも見当たらなかった。

カンヒスを送ったイス父。

ヒスが置き忘れた書類封筒を届けるとヒスが急に何かを思い出す。

『どこかで会ったことが・・・あ!おまえに間違いない!』と言われイス父も何かを思い出し恐ろしくなり逃げるように帰ってしまう。

部屋ではカンヒスが殺されていた。

そして部屋に忍び込んでいた何者かがサングクに電話で報告する。

その同時刻にヘウ父が交通事故を起こす。

動揺したヘウ父は腕時計を落としたことにも気づかないまま逃げてしまう。

それをじっと見ていた子供が。

事故現場では刑事が腕時計を拾い上げそのままポケットにしまう。

そしてオ検事(ジュニョンの父)に電話をかける。

オ検事はそれをサングクに報告。

イス父は誰かの家の前で車を止めると封筒の中の書類を読みだす。

大変なことが書かれていて驚く。

封筒をコインロッカーに入れ帰ってサングクに報告する。

『昔のことで自首します』というイス父にサングクが何かを提案する。

提案を受け入れたイス父はその前に半日の時間がほしいと言う。

出ていこうとするイス父に『書類は君が持っているのか?内容は読んだのか?・・・そのようだな』というサングク。

イス父は『書類は処理しました。内容は信じていませんし誰にも言いません』と静かに答える。

休暇をもらったからと言ってイスが用意したお酒を飲むイス父。

ガンで亡くなった母親の話をし出す。

母親は死ぬ前に『今まではどうあれこれからは幸せに暮らしてね』と言い残したと話すイス父。

『今なら“しあわせに暮らしている”と言える自信があったのに・・・』とうなだれる。

事故のことをサングクに話したヘウ父。

『こんなことは二度と起こしません。ハン運転手の子供たちが住むところは自分が探します。同じ家で顔を見ながら暮らすのは…』と謝るヘウ父を殴るサングク。

イスが学校から帰ると刑事が来ていた。

刑事から父親がひき逃げ事故をおこしたと聞いたイスだがそれは父親ではないと必死で訴える。

イス「父が運転していたのは会長の車の国産車です。事故を起こした外国車はチョ・ウィソン社長(ヘウ父)が運転していたはずです」

必死で訴えるも聞いては貰えず『父親を説得するように』と言い残し帰って行く刑事たち。

カン・ヒスの殺人事件を捜査するピョン・バンジン刑事。

犯人は指紋もきれいにふき取って逃げていて証拠が何も見つからない。

第一発見者はカンヒスの教え子。

教え子「先生は重大な発表をすると言っていました」

そしてカンヒスが最後に電話をした人物は“大物です”と耳打ち。

そのあとの画面には机上に『会長 チョ・サングク』の名前が。

一方『会わなければならない人』に会ったイス父。

気が変わって『自分をだますことはできません。自首して本当のことを話します』とサングクに電話する。

イスにも『すまない』と電話。

イス父「今日許しを得ることができて本当のことを話す勇気が出た。イヒョンをよろしく頼む」

父のもとに急ぐイスと入れ替わりに刑事たちがサングクを訪ねてくる。

刑事「カン・ヒスさんに最後に会った運転手に話を聞きたいのですが」

サングク「個人的な用事で休暇中です」

警察に向かっていたイス父はこの時誰かに毒殺されてしまう。

散骨するイス。

(場所は父親が花を手向けた同じ場所。母親もここで散骨した)

父親の遺品を受け取って悲しみに泣き崩れるイス。

ヘウは木を彫って何かを作っている。

警察署前で話をする二人の刑事。

『ハン運転手がひき逃げ事故をおこしたというには矛盾するところがある。もう一度捜査をやり直したらどうか』というピョン刑事。

『他人の事件に口出しするな』とチョン・マンチョル刑事。

これからどうするか話し合うイス、サングク、ウィソン。

サングクはこのまま一緒に住んでもいいと言うがイスは自分で部屋を見つけ次第引っ越すつもりだと答える。

『アパートが空いているからすぐ引っ越せ。そして余計なことはせずに勉強に励め。大人の忠告をよく聞け』というウィソンに対し『父のためにできることを全部します』というイス。

ひき逃げ事故の目撃者を捜す横断幕を掲げるイスとジュニョン。

しばらくして事故を見たという孫をつれて老人がやってくる。

シャガールの絵を見て話をするイスとヘウ。

絵にはオルフェウスの悲しい話が明るい色調で描かれている。

イス「シャガール?」

ヘウ「知ってたの?」

イス「君が毎日この人の本を見てるじゃない。ほとんどは寝てるけど」

ヘウ「シャガールのオルフェウスよ。死んだ妻を探して命を懸けて地下世界まで下りて行った男がこのオルフェウスよ。私の理想」

イス「それで?妻を見つけたの?」

ヘウ「うん。でも黄泉の国の神様の命令を破ってしまって結局妻を失っちゃうの」

イス「どんな命令だったの?」

ヘウ「この世に戻るまで絶対妻を振り返って見てはならぬ。結局オルフェウスは妻に永遠に会えなくなって恋しくて死んじゃうの」

イス「絵は幸せな感じがするのに」

ヘウ「だからこの絵が好きなの。悲しい伝説を幸せな姿で描き出してるから」

イス「ヘウヤ」

ヘウ「ん?」

イス「君もそうできるだろう?」

ヘウ「何が?」

イス「もしも君に悲しいことが起きても負けないで生きていけるだろう?」

ヘウ「急にどういうこと?」

イス「僕が真実を見つけることが、ひょっとしたら・・・」

ヘウ「ひょっとしたら何?」

イス「僕は法大に行くよ。検事になるんだ僕は。父さんを殺した犯人も捕まえて屑みたいな人間も全部捕まえて、犯した罪に見合う刑を受けさせるんだ」

そしてヘウがイスに木で作ったサメの彫刻をプレゼントする。

イス「何?」

ヘウ「プレゼント。私が自分で作ったの。目には見えないけど浮袋も作ってあげたわ。いつも楽に息ができるようにしてあげたくて」

事故を見たという子供の話を聞いて犯人は父親じゃないと訴えるイス。

『7歳の子供のいうことは証拠にならない。捜査はもう終わった』とはねつける刑事に殴りかかるイス。

チョサングク会長が講演している。

演題は『正しく生きるということ』

勉強しながら父親からもらったオルゴールを鳴らすイヒョン。

何かが引っかかりゼンマイがちゃんと巻けないのでオルゴールの中を見ると何かの鍵が入っていることに気付く。

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