鮫〜愛の黙示録〜
第11話

ヘウは届けられたUSBをホテルのパソコンで確認する。

中身は父親のチョ・ウィソン社長がチョン・マンチョルに脅迫されているところを盗撮したものだった。

その音声がカヤホテル創立記念式場にも流れる。

ヘウは式場に戻ろうとするがジュニョンから電話で『そのまま帰れ』と言われる。

目の前に式場を去るイスの姿。

追いかけようとするが今度はオ刑事が殺されたという知らせが入る。

オ刑事はマンチョルと同じ状態で殺されていた。

『同一犯でしょうか?』とキム係長。

ジュニョンはどうして式場であんな音声が流れたのか報告するように部下に指示。

部下「ひとつ気になることが・・・あの時検事がノートパソコンを使っていました」

本来式場に繋がっていないはずのものが繋がっていたというので、怪しいものがいないか防犯カメラを確認するよう指示する。

ヘウはUSBをピョン刑事のところに持って行く。

ヘウ「これで任意同行ができます。・・・ オ刑事殺害現場の写真を見せてもらえますか?」

『音声だけでは証拠としては不十分です。が、問題は世論です』とオ地検長がチョ会長に報告している。

すでにマスコミには手を回しているようだ。

式場でのキム・ジュンの表情を思い出して考えるチョ会長『キム・ジュン・・・ハン・イス』

イスは図書館の保安室に忍び込み防犯カメラの記録を手に入れる。

家で怒鳴り散らすチョ社長。

社長「ジャイアントが水面下で動いている間何をしていたんだ!元通りにしろ!」

ヨシムラ会長が謝罪にやってくる。

そして『ジャイアントとカヤが力を合わせアジアにとどまらず世界のリゾートホテル市場に挑戦してはどうでしょう』という提案をする。

ピョン刑事がヘウを呑みに誘う。

『所轄ではオ刑事殺害もチョン刑事殺害も同一犯だと考えているがどう思うか』とピョン刑事はヘウに尋ねる。

ヘウは細かな殺害方法の違いを指摘してオ刑事殺害は模倣犯だと答える。

何かの警告のためハン・ヨンマンを殺害した犯人がオ刑事も殺害したと。

けれどヘウには動機が分からない。

ピョン刑事「チョン・マンチョルがロッカーから手に入れた証拠をオ刑事が見つけたんだ。写真だ」

ヘウ「それにしても、カン・ヒス氏に郵送された文書をどうしてハン・ヨンマン氏が持っていたのでしょう?」

自宅でカメラの映像を確認するイス。

書架の隙間からわずかに見える殺し屋の顔を見つける。

古本屋のおじさんだった。

ヘウはその古本屋のおじさんからおじいさんに渡してほしいと本を受け取る。

おじいさんに本を渡したヘウはひき逃げ事故の犯人がウィソンだということを伝える。

会長「では、チョン・マンチョルも?」

ヘウ「それは違います。それは・・・おじいさんの助けが必要になったらお話します」

本には証拠の写真が挟んであった。

ろうそくの火でその写真を燃やすチョ会長。

ヘウとジュニョンが出勤のために玄関を出るとピョン刑事がチョ社長を待っていた。

チョ社長は自ら出頭すると電話していた。

父親のチョ会長に指示されたのだ。

イスは仲間に電話をかける。

イス「私が送った動画は確認したか? 12年の間ずっと気になっていた人物だ」

歴史学者のもとに殺し屋(古本屋のおじさん)が刑事に扮装して来る。

古本屋の主人「昨日お宅を訪ねてきたオ刑事が殺されました。その件でお聞きしたいことがあります」

ドンスは記念式会場に流れた音声の中に"チョ社長がハン・ヨンマンを殺した"という声が聞こえたことが気になって仕方がない。

事実かどうかほかに誰にも聞くことができないので記者に聞いて確かめてくれるようにとチャン秘書にお願いする。

イヒョンも昨日のことが気になっている。

事実かどうか養父(ピョン刑事)に確かめると事実ではないと言われて安心する。

チョ社長が事情聴取を受けている。

チョ社長「ひき逃げ事故を起こしたのは私です。ハン・ヨンマン氏は自ら身代わりを申し出たんです」

刑事「ヨンマン氏の気が変わったのでは?」

チョ社長「そんなことはありません」

刑事「チョン・マンチョルから脅迫されていましたね。それで殺害を指示したんですか?」

チョ社長「脅迫されたからって殺してたらもう何人も殺したことになる。そんなことはしません!」

ヘウはイヒョンのバイト先でピョン刑事からの電話を受けている。

ヘウ「認めたんですね。よかった。私じゃなくておじいさんが説得したみたいです」

ピョン刑事「チョ会長にはどこまで話したんだ?」

ヘウ「ひき逃げ事故のことだけです。・・・オ刑事の通話内容は分かりましたか?」

ピョン刑事「オ刑事の件は私が処理するからチョ検事は自分の仕事をしろ」

ヘウはオ刑事の事件について教えてくれないことを不思議に思っている。

キム係長に電話して通話内容を確認するよう指示する。

イヒョン「係長さんは今日忙しいみたいね。毎日来るのに今日は来てないから」

ヘウ「イヒョンが会いたがってるって伝えとくわ」

イヒョン「そんなこと言ってないのに!」

ヘウがイヒョンをからかう。

イヒョン「ところであの人、ヘウ姉さんも知ってるの?昨日記念式で会った人。時々ここに来るお客さんなんだけど不思議と初めて会った時から気になる人だったの。昨日会ったからすごくうれしくて」

ヘウ「どうして気になってたの?」

イヒョン「声。声がと〜っても素敵だから、それに…ハンサムでしょ。名前は?」

ヘウ「キム・ジュン」

イヒョン「なんか、似合わない名前ね」

パク女史が一人暮らしのキム・ジュン(イス)のことを心配しておかずを届けにくる。

ドンスに住所を聞いてきたようだ。

ヘウはオ刑事の通話記録に歴史学者への通話があったと聞いてその学者の研究室を訪ねる。

ピョン刑事が先に来ていた。

ヘウが来たので驚いた表情のピョン刑事。

学者に会ってみると午前中にも"ピョン・バンジン"刑事が来てオ刑事がどんな質問をしたのか根掘り葉掘り聞いていったと言われる。

誰かがなりすましたのだ。

ヘウ・ピョン刑事「その刑事はどんな人でしたか?」

学者「50過ぎくらいでした」

ヘウ・ピョン刑事「オ刑事がここに来た理由は?」

学者「独立活動家チョ・インソク先生の家族の写真がないのかと聞かれました。 チョ・サングク会長の父親のチョ・インソク先生です」

ヘウは自分の祖父や曾祖父の名前が出てきたので驚く。

学者「先生の生家が火事にあったので現存する写真は先生の単独写真だけです」

ヘウ・ピョン刑事「オ刑事が何か写真を見せませんでしたか?」

学者「いいえ。そのことを前に来た刑事も聞いてきました。何回も何回も。でも写真は見ていません」

チョ会長は記者会見を開いて自ら謝罪する。

会長「息子のチョ社長は12年前にひき逃げ事故を起こしました。父親である私の不徳の致すところです。本当に申し訳ありません」

会見のニュースをTVで見たイスは我慢できずにチョ会長に電話する。

イス「会長が直接国民の前に真実を明らかにする姿に感動しました。他の人の手本になるでしょう。近いうちにお伺いします」

退勤しようとするヘウのところにキム係長がカヤホテルの防犯カメラの記録映像を持ってくる。

ヘウが確認するとイスが手にサメのペンダントを持っているのが映っていた。

それは昔ヘウがあげた木彫りのものではなく銀製のペンダントだった。

ヘウは事務所を飛び出してイスのところに走る。

イス「入って」

ヘウ「前の公園で待ってるわ」

ヘウの待つ公園へやってきたイス。

イス「話って何ですか?」

ヘウ「やめて、イス。やめて。お願いだから」

イス「チョ・ヘウさん?」

ヘウ「ここでやめなければダメよ!これ以上行けば戻りたくても戻れなくなるわ。やめなくちゃ!イス!」

イス「まったく。さっぱりわからない話をしますね」

ヘウ「なぜあなたも同じ人間になろうとするの!あなたが知っていることを全部話して。正当な方式で解決できるわ。 そうしなくちゃ。 そうしなくちゃダメよ!」

イス「この社会は力がある人々が言うように正当ではありません。一度もそんなことはなかった」

ヘウ「わかるわ。あなたがなぜこのような選択をしたのかわかるわ、イス」

イス「わかるという言葉は簡単に口にするものではありません。そしてわかるということは一つも重要ではありません。証明することがカギでしょう。私がハン・イスだということを証明してみてください。そうすればチョ検事の願いどおりハン・イスになって差し上げますから」

ヘウ「何が違うの? あなたをこんな風にした人たちとあなたは何が違うの?つまらない人たちのせいであなたもつまらない人になってしまっただけでしょう?今でも遅くないわ。イス。今でも」

イス「私は誰の話も聞かない。始まりも終わりも私が決める」

ヘウ「そうはさせないわ。どんなことがあっても私があなたを止めてみせる」

イス「容易にはできないぞ。私をやめさせようとするなら地獄までついてこなければならないから」

ヘウ「キム・ジュンでないハン・イスをまた見つけることさえできるのなら地獄の底まででも行けるわ」

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