〜個人の趣向〜
第14話〜盗まれた?設計図〜

サンジュンとテフンが事務所で仮眠をとっている間、チノは隠しておいたサンゴジェの設計図を手に取る。

そして設計図を取り出してもう一度見る。

チャンニョルに罵倒された言葉を思い出し悩む。

これを起用すればコンペで入選出来るだろうが、同時にケインを失うことになる。

その狭間で揺れ動くチノ。

翌日。

チノはサンゴジェの地下室で業者と電話している。

チノ「注文した強化ガラスですがいつ届きますか?そうですか。お願いします」

帰っていくチノと入れ違いで帰ってくるケイン。

チノの部屋を覗くが誰もいなくてガッカリする。

家の中を見回してつぶやく。

『家の中が広く感じる・・・』

その頃チノは事務所で出来上がった設計図の一部をサンジュン達に見せている。

サンジュン「出来たか?」

テフン「もう帰れる?だって3日もヘミに会ってない」

サンジュン「誰かさんも同じ心境だろ」

ふっと笑うチノ。

チノ「出かけるよ」

車を飛ばすチノは業者と電話している。

チノ「もしもし。20分後に到着します。ではサンゴジェの前で」

キッズルームでため息をつきながら仕事をしているケインのもとへ館長がやってくる。

館長「ため息をつくなんて珍しいね」

ケイン「あ、館長」

館長「悩みでも?」

ケイン「大したことじゃないんですけど・・・」

館長はキッズルームを見渡して。

館長「仕事は順調そうだ」

ケイン「館長のせいでもあるんですよ。チノさんです。コンペの準備に追われてるんです」

館長「なるほど。そう言われたら私にも大きな責任がある。織姫と彦星みたいに離れ離れだ。罪滅ぼしに愛の架け橋になってあげよう」

ケイン「架け橋?」

館長「君が怪我をしたと言って呼び出そうか?」

ケイン「そこまで考えて下さって・・・涙が出る程嬉しいです」

館長「ハンカチを」

ケイン「え?」

館長「ダメか・・・笑いを取るのは無理だな」

その言葉に笑いだすケイン。

館長「その顔だよ。君には笑った顔が一番似合う。笑顔で彼を励ましてやるんだ」

ケイン「感謝します。彼に言われました。こういう時は素直に感謝しろと。時々館長のことが本当の父親みたいに頼もしく感じられます」

館長「連絡はあったかい?」

ケイン「はい。近々帰国するそうです」

館長「急に決まった理由を聞いても?」

ケイン「昔から私には大事なことは話してくれないんです。帰る理由も、発つ理由も・・・壁が厚いからクレムリンって呼んでます。内緒ですよ」

そういって笑うケインを、複雑な目で見る館長。

その頃サンゴジェではチノの指示で業者がガラス板を搬入していた。

そしてケインに電話する。

チノ「もしもし?」

ケイン「チノさん!?」

久しぶりの声に嬉しそうなケインだが、急いで平静を装う。

ケイン「おかけ間違いではないでしょうか?」

チノ「じゃどちら様?パク・ケインでないならパックリミンか?」

ケイン「私の声まで忘れたみたいね」

チノ「どこだと思う?」

ケイン「事務所でしょ?」

チノ「はずれ。サンゴジェだよ」

ケイン「仕事が終わった?」

チノ「いや」

ケイン「うちに何か取りにきたの?私に頼めばいいのに」

チノ「今すぐ来てくれたら話す」

一瞬喜ぶが、思い直すケイン。

ケイン「私だって仕事してるのにずいぶん勝手ね。まず都合を聞いてから・・・」

チノ「解った」

ケイン「話の途中で口を挟まないでよ。まったく・・・今すぐ駆けつけるわ」

チノ「慌てて転ぶと危ないからゆっくり来いよ」

ケイン「はい」

ニヤニヤしてるチノ。

チノ『きっと喜ぶぞ』

そういって作業台に置いた携帯を手に取ろうとした瞬間、手がぶつかり写真立てが落ちて割れてしまう。

ケインの母の写真立てだ。

ヘミはチノの前の事務所に訪ねてくるがもぬけに空になっていて電話でチノ母にまくしたてている。

ヘミ「チノさんの事務所が大変なんです!」

空港。

イギリスから帰国したケインの父、パク教授。

美術館でイニが電話を受けると教授から。

館長に電話を代わる。

空港から電話をかけている教授を遠くで必死で探しているチャンニョル親子。

『なぜ見つからない!』と息子を叱責している。

チャンニョル親子は諦めてサンゴジェへと向かう。

大喜びでサンゴジェに戻ったケインは家の電話が鳴っていることに気付き急いで駆け寄るが切れてしまう。

急いでチノを探すが、なんとなく家の様相が違うことに気付く。

ケイン『何よ。せっかく急いで帰ってきたのに・・・』

チノはその頃、新しい写真立てを買って帰宅する車中にいた。

大事な写真立てを割ってしまったから。

チノの携帯が鳴る。

チノ「ケインさん?」

サンジュン「俺で悪かったな」

チノ「先輩か」

サンジュン「DAセンターのコンペに出した図面は?」

チノ「なぜだ?」

サンジュン「ミョンシン建設の先輩から連絡があった。あれを活用したいってさ。仕事が貰えそうだ。悪くない話だろ?」

チノ「緑の筒に入ってるよ。僕が戻るまで渡すのは待ってくれ」

サンジュン「解ってるよ。彼女によろしく」

サンジュンは言われた通り緑の筒を開けて中身を取り出そうとしている。

筒のふたを落としてしまい拾おうとすると、そこに黒い筒があることに気付く。

『なんだこれ?』と開けてみるサンジュン。

見るとそれはまさしくサンゴジェの設計図。

それを筒にまたしまおうとして、筒の奥に更に入っている紙に気づく。

それを見て驚愕する。

そこへヨンソンが訪ねてくるが、サンジュンは黒い筒を抱きしめたまま心神喪失状態にある。

ニヤニヤしてるサンジュンを呆れた目で見るヨンソン。

ケインは誰もいないサンゴジェでイライラしながら待っている。

呼び出しておいてこれか?と怒りもあらわに。

だが、ふとセンターテーブルがあった場所を見るとそこにケインのチノJrが置いてあることに気付く。

なんでこんなところにチノが?と不思議に思うケイン。

チノJrを手に取るケインだがかけてある布が気になりついめくってみる。

布の下はガラスになっていた。

それを見て、また過去の記憶がよみがえってしまうケイン。

小さなケインが『ママ』と呼びながらガラスを叩いている。

そして地下室がある部屋のドアに目が行く。

持っていた携帯とチノJrをそこに置き、恐る恐る地下室へ行ってみる。

どんどん蘇る記憶。

小さなケインの声『ママ、ママ、ママ』

慌てて地下室を出る。

そこへチノの母が訪ねてくる。

ケイン「こんにちは」

母「あなたに話があるの」

チノはその頃、事故渋滞にハマって動けずにいた。

早くサンゴジェに帰りたいのに。

それを伝えるためにケインに電話するが、ケインの携帯はチノJrと地下室の入口に置いたまま。

母「あなたも知ってるわよね?チノがどんな状況に置かれているか」

ケイン「え?」

ケインはこの時、蘇りかけている記憶で半ば放心状態にあった。

チノ母の言葉はまともに耳に入っていなかった。

母「聞いてる?元はと言えばあなたが原因なのよ。事務所まで追い出されたそうじゃない。知らないの?」

蘇る記憶。(ケインの頭の中)

『知らないの?まだ子供だもの。母親を死なせたのよ。あれが噂の子?』

ケイン「知りません・・・」

母「ケインさん?」

更に蘇ってくる記憶。

ケインは頭を抱えて震えている。

母「ちょっと?パク・ケインさん?よく聞いて。チノには目標があるの。あの子は父親が亡くなってから必死に頑張ってきた」

『ママ、ママ、ママ』ガラスを叩く小さなケイン。

母「このままじゃ父親と同じ目にあうわ。そうなったら私はもう生きていけない。お願いよ。あの子と別れて」

母のトンカチの音に合わせてオモチャでガラスを叩く小さなケイン。

そして母の頭の上に降り注ぐ割れたガラス。

母の声『ケイン!!』

頭を抱えてその場にうずくまり泣き出すケイン。

母「ケインさん?どうか理解して。じゃあ」

チノ母と入れ違いでサンゴジェに帰ってくるケインの父、教授だ。

母「(ケインの父に)失礼します」

帰ってきた父の目に映るのは、ケインの泣いている姿。

父に気付いたケインは怯えた目で父を見る。

父「どうした?」

ケイン「やっと・・・解った。だから・・・私をずっと憎んでたのね。小さい頃、どうしてパパに嫌われるのか解らなかった。それで毎日泣いていたけど・・・やっと・・・思い出したわ。ママは私のせいで死んだ」

ガタガタ震えながら泣くケイン。

偶然帰ってきたチノもそのケインの姿を見て驚く。

チノ「ケイン!」

父「君は?」

チノ「チョン・チノと申します」

父「帰ってくれ」

そのまま倒れ込むケイン。

チノ「どうしたんだ!」

ケイン「全部・・・思い出した。あの日は・・・太陽がとてもまぶしかった。太陽を見上げたあとママの方に目をやったら顔がよく見えなかった。私はただ・・・ママにこっちを見て欲しかったの。ママに一緒に遊んで欲しくて呼んだだけだった。だけど返事してくれないから・・・私のせいで・・・ママが・・・」

父「違う!勘違いだよ。悪い夢を見ただけだ」

ケイン「思い出したのよ。あの時、ママは・・・私を見てた。微笑んでたの」

泣き崩れるケインの手を握りしめる父。

ふと横を見ると、チノのバッグからケインの母の写真立てが覗いている。

父「(チノに)この写真がなぜここに?地下室を開けたのか?」

チノ「はい」

父「なぜ君が?どういうつもりだ!出て行け。ここは私の家だ!何をしている!」

チノを引っ張っていく父を止めるケイン。

ケイン「悪いのは私よ。彼は何もしてない。私がママを・・・」

そういって泣きながら出ていくケイン。

チノ「ケイン・・・」

ケインはそのまま出て行ってしまう。

チノ「今度改めてご挨拶します」

父に言い残してケインを追いかけるチノ。

教授は開いた地下室にゆっくり降りてみる。

壁は塗り直され、綺麗に掃除された地下室。

幼きケインを抱いた妻の写真を見つめて蘇る思い出。

一度は封印したはずなのに。

そこにうずくまる父。

ケインを追ってきたチノは、階段に座りケインの手を握りしめている。

チノ「何があった?」

ケイン「怖いわ。パパの顔を見るのが・・・」

チノ「君のパパだろ?」

ケイン「行きたい場所があるの」

ケインの母のお墓の前に二人。

大粒の涙をこぼすケイン。

ケイン「ママ・・・私のせいなの。私を助けようとして・・・」

チノ「ケインさん」

ケイン「パパがなぜ私を憎むのか解った。憎まれて当然よ。私がパパでも許せないもの」

チノ「泣くな」

また泣き出すケインをそっと抱きしめるチノ。

その頃チノの事務所では、サンジュンがテフンに設計図のスキャンを頼んでいる。

チノが隠し持っていたサンゴジェの全容の設計図だ。

テフン「なにこれ?かなり古い紙だな」

サンジュン「チノが間に合わせの紙でも使ったんだろ。絶対絶命のピンチを救う切り札だぞ」

サンジュンはこれをチノが書いたものだと思いこんでいる。

サンゴジェから持ってきたものだとは思っていない。

そこへ監督からまた電話が。

従業員達が違約金として2億ウォン要求していると。

支払わなければ裁判に持ち込むと。

覚悟を決めたサンジュンは、チノが隠しておいたはずの設計図を持って美術館を訪れる。

サンジュン『すまない、チノ。他に手がない』

館長にこれを見て欲しいと渡すサンジュン。

サンジュン「その・・・コンペのために準備している設計図です。ルールに反することですがご覧いただけませんか?館長の助言を元に修正出来ればと思いまして・・・」

館長「所長の指示ですか?」

サンジュン「もちろんです。チノ・・・いえ、チョン所長が館長ならきっといいアドバイスをくれるはずだと。どうかよろしくお願いします」

館長「ノさんでしたね」

サンジュン「はい」

館長「彼は誰よりも公正さを重視する人です。そこが長所でしょう。そう思ってたのは私だけでしょうか?」

サンジュン「いいえ。その・・・」

館長「お返しします」

サンジュンは事務所が大変な状態にあること、自分一人の独断で来たことを告げ館長に設計図を預けてしまう。

ケインを連れてサンゴジェに戻ってきたチノ。

ケイン「じゃあ」

チノ「今はかける言葉が見つからないけど覚えておいて欲しい。僕はいつも君の傍にいる。大した力にはなれないけど・・・」

ケイン「ううん、今の私にとってあなただけが心の支えなの」

チノは優しくケインを抱きしめる。

ケインが家に入ると父が出てくる。

父「ケイン、古臭いことを言うかもしれないが同棲とは驚いた」

ケイン「保証金を預かって部屋を貸してたの」

父「何だって?話はまたにしよう。早く寝なさい。地下室はふさいでおいた。あの部屋のことは忘れなさい」

ケイン「あったことは消せないわ」

父「ケイン」

ケイン「おやすみ」

部屋に入って泣き出すケイン。

チノはケインの喜ぶ顔が見たくてあの地下室を蘇らせた。

だが地下室を蘇らせたせいでケインを苦しめる結果になってしまった。

翌日。

美術館の館長のもとを訪れた教授。

館長「審査をして頂けるとは光栄です」

教授「これも何かの縁でしょう。しかしお引き受けしたもののお役に立てるかどうか・・・」

チノの事務所。

美術館に行くと出て行こうとするチノを引き留めるサンジュン。

サンジュン「あのな、チノ。実はさ設計図を館長に預けたんだ」

チノ「設計図?」

サンジュン「コンペの出品作さ」

チノ「まだ出来てない」

サンジュン「たまたま見つけたから館長の意見を聞こうと・・・」

チノ「どの設計図だ?」

サンジュン「黒い筒が置いてあっただろ。あそこに」

なくなっていることに驚くチノ。

チノ「館長に渡したのか?」

サンジュン「反対するのは解ってたけど入選するためにはこれくらいしないと・・・」

チノ「僕の設計図じゃない!」

サンジュン「じゃ誰のだ?」

チノ「パク教授だよ」

サンジュン「じゃあれは・・・」

返して貰わないととサンジュンを振り切って急いで美術館に向かうチノ。

その頃館長と教授。

館長「審査とは別にこの設計図を見て貰えますか?」

教授「ええ」

見るとそれは自分が書いたサンゴジェの設計図。

サンジュンが間違えて持ち込んだものだ。

自分の目を疑う教授。

館長に会いにきたケイン。

教授「ケイン、なぜここに?」

館長「内装の仕事をして貰っています」

教授「そうですか」

館長「一緒に食事に行きませんか?お嬢さんが来たので驚かれましたか?」

教授「役目を果たせるのかどうか心配です」

館長「とんでもない。期待していた以上の働きですよ。直感した通りすばらしい才能の持ち主です」

教授「恐れいります。ところで・・・これを書いたのは誰です?」

館長「チョン・チノと言いましてご存知かもしれませんがお嬢さんと交際している青年です。とても有能な建築家なんです」

イニ「チョン所長が来ました」

怒り出す教授。

教授「この設計図は君のものか?」

チノ「その・・・」

教授「どうなんだ!」

チノ「すみません」

チノに設計図を投げつける教授。

教授「昔私が依頼されて書いた芸術院の設計図だ。盗んだんだな?」

チノ「違います。誤解されるのも当然ですが話を聞いて下さい」

ケイン「いったい何のこと?設計図を盗んだって?何かの間違いだわ。チノさん説明して」

教授「これを盗むためにうちに入りこんだんだな。私の書きかけの設計図を探し回ってたんだろう?娘を騙していたんだな」

チノ「ケインさんとは真剣にお付き合いしています」

教授「君の言うことなど信用出来るか。許さんぞ」

釈明しようと教授を追いかけるチノ。

チノ「お父さん」

教授「二度とうちに来るな!」

チノ「どうか聞いて下さい」

ケイン「私からもお願いよ。話を聞いてあげて」

教授「まだ解らないのか?この男はコンペで入選するためにお前の気を引いて設計図を盗んだんだぞ」

ケイン「違うわ。パパの誤解よ。(チノに)そうよね?」

教授「昔、私が芸術院の設計を依頼されたことを知り設計図があると考えたんだろう。何とか言ってみろ?」

チノ「はい・・・そうです。内部を見てみたくてサンゴジェを訪れました。コンペで入選するためのヒントがあると思ったんです」

ケイン「ねえ、急に何を言いだすの?」

チノ「でも、あの家に住んで気が変わりました」

教授「私が父親と知って娘を利用しようとしたわけか。これがこの男の正体だ」

ケイン「本当?部屋を借りたのはコンペのためなの?」

チノ「すまない。話そうと・・・」

ケイン「いつ?父の設計図を盗んでコンペで入選した後?」

チノ「そうじゃない」

ケイン「全部・・・嘘だったの?あなたは初めから私を騙すつもりだったのね」

美術館の外までチノを追いかけてきたイニ。

そして気になって飛んできたサンジュン。

チノ「おしまいだ」

イニはチャンニョルを呼び出し今回の一部始終を説明している。

『あなたの方が有利になった』と。

ケインはチノの部屋に立ち呆然としている。

チノがここにやってきてからの今日までの想い出を思い起こしながら。

父「荷物を引き取ってもらえ。業者を呼ぶぞ」

ケイン「私がやるわ。私ってパパの娘だってこと以外に何のとりえもないのね」

チノに電話をかける。

チノはそれを見るが、出ない。

サンジュン「出ないのか?」

チノ「何て言えばいい」

サンジュン「悪いのは俺だ。サンゴジェを探れと言ったのも、ゲイのふりをさせたのも全部俺が・・・」

チノ「結局は僕が決めたことだ。今更後悔しても手遅れさ」

サンジュン「彼女も話したがってる。このままでいいのか?本気で好きなんだろ?こうなったのも全部俺のせいなんだぞ?一緒に行って話すよ。頼む、チノ。許して貰えなくても事実を伝えるべきだ。彼女の親父さんとの仲もギクシャクしちまうぞ」

チノの部屋の荷物を箱に詰めているケイン。

そこへチャンニョル親子が訪ねてくる。

ハン会長「パク教授ですな。お会い出来て光栄です」

教授「どなたでしょうか?」

ハン会長「以前ご連絡しました未来建設のハンです」

教授「ああ、どうも。ご用件は?」

チャンニョル「ハン・チャンニョルです」

ハン会長「私の息子でして」

ケインはチャンニョルからチノがサンゴジェに住んだ理由を知っていたと聞かされる。

チャンニョルだって彼と同じだと言い放つケイン。

パク教授の娘だと知ったから私とよりを戻したいのだと。

ハン会長はチャンニョルとケインの縁談を進めたいと相談しに来たのだ。

ハン会長の話を聞いているうちに、トイル家具とのケインの契約も未来建設が仕組んだことだと知ってしまう。

チノは事実を伝えるべきかとずいぶん悩んだ末、サンゴジェの前までやってきていた。

だがそこでチャンニョル親子が出てくるところを目撃する。

その会話を聞いてチャンニョルとケインの縁談を教授が認めていることを知るチノ。

父「話がある」

ケイン「チャンニョルさんの話はしたくない」

父「今もチノとかいう男のことが好きなのか?」

ケイン「彼なりの事情があったはずだわ。すぐバレるような嘘をつくとは思えない」

父「まだそんなことを言ってるのか?さっきの男、いい青年ではないか」

ケイン「やめて。私が一番つらい時に支えてくれたのはチノさんよ」

父「お前が言う通り何か事情があるのならきちんと話に来るはずだ」

ケイン「パパはいつもそうね。私の話に耳を貸さない。私を信じてない」

自分の部屋でケインはイライラしていた。

ケイン『もう・・・言い訳くらいしてよ』

携帯が鳴る。

チノかと思い急いで画面を見るが、ヨンソンだった。

ヨンソン「サンジュンさんから聞いたわ。チノさんに会った?」

ケイン「ううん」

ヨンソン「そっちに向かったらしいけど?」

ケイン「来てない」

ヨンソン「大変だったみたいね」

ケイン「切るね」

ヨンソン「最後まで聞きなさいよ。設計図の件だけど盗んだわけじゃないんだって」

ケイン「え?」

ヨンソン「事務所に置いてあった設計図をサンジュンさんが勝手に持ち出したの」

ケイン「この家を探る目的があったのは事実よ」

ヨンソン「まあそうだけど盗んだことは誤解みたいよ。じゃあね」

チノは父の墓の前に立っている。

チノ「父さん、きっと天国で嘆いてるだろうな。謝りたいのに素直に謝れないなんて。意気地がないって。もう僕は彼女のために何もしてやれない。お父さんの自慢の娘になりたがってたのに僕が台無しにした。最低だ」

ケインは何とか話を聞こうとチノに電話するが繋がらず、仕方なく留守電にメッセージを残す。

ケイン「今どこ?前に一緒にきたサービスエリアにいる。来るまでずっと待ってるわ」

チノは墓の前でそのメッセージを聞いている。

サービスエリアの前でずっと待ち続けるケイン。

チノは車の中から待ち続けているケインをうつろな目で見つめている。

車の中にいるチノを見つけるケイン。

もう終わってしまった悲しみに暮れるチノと、やっと会えた嬉しさがこみ上げるケイン。

二人は互いに違う感情を抱いたまま見つめ合う。

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