星から来たあなた
第20話

一人にはさせない

ソンイ「あなたはわたしのためにどこかで存在していて。わたしのために死なずにどこかで存在していて。だからわたしが言いたいのは・・・行って・・・あなたのいた所に・・・行かなければダメだって、死ぬって、今もしんどいって・・・だから行って」

ミンジュン「チョン・ソンイ。わたしはもう心を決めたんだ。おまえのそばにいるぞ」

ソンイ「わたしも決めたの。あなたがわたしのそばに居て死んだらわたしも死ぬ。どんな話かわからない?わたしはあなたが考えてるよりはるかにもっとあなたを好きであなたがどこかで生きているという事実だけでも生きていられそうなの。世界のどこにもいないよりはそのほうが楽だって」

ミンジュン「そうはしない。おまえ一人にはさせない。方法があるはずだ。わたしが探すよ」

パク刑事とユ検事

事務所でユ検事がテレビを見ている。

信じられないことが起きたというソンイとミンジュンの話だ。

そこにパク刑事が焼酎を持ってやってくる。

さっき取材に行ってきたけど早いですねとパク刑事。

情報が寄せられたということでいつも麻雀に負けていた爺さんはキム・ムサンと似ていると言いかつての同僚医師は彼はハン・ソジンですでに死んだとインタビューに答えている。

極めつけはホン社長だ。

ホン社長『ト氏と懇意にしているという人々は彼をとても良く評価していました』

ホン社長『とても断固たる方でなんでも買わない方でした・・・。違いますって〜。わたしたち、事実だけを持って話をしましょう。こんな話はなんですがト・ミンジュンさんは実はわたしと付き合っている仲で・・・(映像を切られる)』

ナレーター『彼は本当に超能力者なのでしょうか?それとも平凡な人の商業的な詐欺に皆がだまされたことなのでしょうか?でなければ彼は他の星から来た外界人(宇宙人)とでもなるのでしょうか?」

テレビを切り焼酎を飲み始める二人。

しきりにミンジュンの居場所を聞かれたパク刑事はオレはあいつのオヤジかってと不平を言っている。

皆が見ている中であんなことをするとは思わなかったとユ検事。

王様の耳はロバの耳的に秘密を守っていたのにとパク刑事。

一体どこにいるのでしょう?とも言っている。

そのミンジュンはソンイとベッドの中にいた。

ミンジュンの死生観

ソンイ「寝てる?」

ミンジュン「なんだ?」

ソンイ「あなたをどうやって送るか悩んでたの。飽きたのって言うか、フィギョンとうまく暮らして行くから心配せずに行けと言おうか・・・」

ソンイをつねるミンジュン。

ソンイ「怖くて、あなたがわたしのそばにいないのも怖いけどわたしのそばじゃないこの世界のどこにも居ないのが怖くて・・・あなたは怖くない?・・・死」

ミンジュン「一人の人が生まれて、育ち、老いていき、死んでいく姿をとても多く見てきた。それで考えたんだ。結局はあのように死ぬのにどうして努力するのか。順序だけが違うだけで結局は老いてしわが刻まれ消えてしまうだけなのに。どうしてあんなにあくせく戦争を経験するかのように執拗に生きるのか?一歩離れて見た地球人たちの人生は情けなくて虚無だった。だけど死を考えてから気づいた。死ぬために生きている人はいない。生きていくその瞬間が重要なことだった。それで終わりが決まっているとしても幸せになる事ができるのであって生きていくことができるのさ。簡単なのに気づくのに長くかかった」

ソンイがレストランから消えた動画を見ているホン社長。

ホン社長「チョン・ソンイどうして?」

赤ジャージ「ああいうのが友情だああいうのが。え?友達がすごく苦労するかと泣くのを見ろよ」

青ジャージ「オレはこの時にホン社長、ホントに見なおした」

ホン社長「ト・ミンジュンさん、わたしの男なのにどうして・・・」

号泣するホン社長。

警察の事情聴取を受けるチャン弁護士。

チャン弁護士「いや拉致じゃないって、二人は恋人同士なんだって」

刑事「それなら今どこにいるんですか?」

チャン弁護士「どこかにいるでしょう」

タクシーに乗っているソンイとミンジュン。

ラジオでは二人の話題が語られている。

ミンジュンからの連絡がない状況だと語るラジオ。

運転手がバックミラーで二人をチラチラ見ている。

ソンイ「おじさん、ラジオちょっと切ってくれますか?」

ハイといいラジオを切り再びバックミラーで後ろをちら見するドライバー。

ソンイ「そうですよわたしですよ。チョン・ソンイです」

無言でニヤつくドライバー。

ソンイ「体はちょっと大丈夫?」

ミンジュン「大丈夫だ」

ソンイ「ところでこれまでジェギョンオッパの話、わたしにどうして率直に話さなかったの?」

ミンジュン「おまえのような血の気の多いやつに?自分の心の中を5分も隠せない子に?」

ソンイ「フィギョンが大変だわ」

セミの慰め

フィギョンが目覚めると傍らにはセミがいた。

フィギョン「おまえ、ここにどうして?」

セミ「お母さんが電話されたの。あなたが何日もずっと寝込んでいると」

フィギョン「大丈夫だからもう行けよ」

セミ「チッ、どうして?わたしがあなたを取って食らうの?」

フィギョン「一人でいたいから言うんだ」

セミ「フィギョン、わたしはソンイがすごく嫌いだった。あの子が墜落するのを見たかった。ソンイが何か失われるたびに苦笑して嬉しかったのよ。だけど振り返ってみて最も失くしたものはわたしなの。わたしを最も親しい友人として信じたソンイにもわたしを天使印だと呼んでくれたあなたにもわたしは率直にできなかったじゃない。誰にも本心を打ち明けることができなかったのに。わたしの本心は腐って使えなくなってしまった。もうあなたを完全に置こうとわたしが生きなければならなくて。あなたを置いてこそあなたの友人に戻ることもできそれでこそ、あなたに対しても本当の心の中を打ち明けることができるんじゃない?今回のことのためにとても大変だったということはわかるわ。誰にも打ち明けることができなくてうめいたりせずにわたしに言って。わたしに打ち明けてわたしの前で泣いて、フィギョン」

涙を浮かべるフィギョン。

拘束中のジェギョン

弁護士がジェギョンに接見している。

ジェギョン「令状実質審査で不拘束捜査要請に最善を尽くしてください。わたしはS&Cグループの常務です。この程度社会的地位を持っている人に逃走の危険はないと見るべきだという点を強調してください。また、強圧的な雰囲気の中で自白を受け取ろうとする計画で検察はおとり捜査を行いました。この程度指摘して越えて行ってください。不法CCTVを証拠で提出した点も、ただでは見過ごせません。被疑者防御権をかけて攻撃してください」

弁護士に電話がかかる。

話しぶりからして目上の人物だ。

すぐにかけ直すと言って電話を切る。

ジェギョン「一刻も早く外に出て必ず処理しなければならないことがあります。拘束捜査はダメです。お分かりですか?」

鋭い目つきをするジェギョン。

弁護士「はい」

タクシーが二人の家の前に到着する。

ドライバー「着きました」

ソンイ「はいちょっと待って下さい。はぁっ(ミンジュンの手を握り)緊張しないでト・ミンジュンさん」

ミンジュン「しない」

ソンイ「震えもせずビビリもせず。ト・ミンジュンさんがわたしにそう言ったじゃない(ソンイの下半身をちら見するミンジュン)間違いが有るときにだけ隠れるんだって。堂々とト・ミンジュンさん、間違ったことはないわ!」

ミンジュン「わかってる、だからおまえもビビるな」

ソンイ「わたしが何を?」

今度はしっかりとソンイの脚に目線を落とす。

震えているというより貧乏ゆすり状態のソンイ。

ソンイ「お、お、お、お・・・一旦わたしが先に降りるわ」

ミンジュン「一緒に降りよう」

ソンイ「まったく、わたしがこんなことたくさんあったじゃない。わたしだけ信じてってト・ミンジュンさん!」

ミンジュン「どうするんだよ?」

ソンイ「ああ、一旦車から降りる瞬間記者たちはわたしにぱっと群がってわたしを見る以上視線を離せないということじゃない。その隙に乗じてト・ミンジュンさんは建物中に進入して!え?むやみやたらに・・・超能力を使うことなく。近頃からだも良くないのに・・・余計に目立つこともあるわ。ね?ね?震えずに!ね?ね?ハァ」

震えるソンイの脚に触れ震えを止めるミンジュン。

ソンイ「あ、あああ、ありがとう。さあ、レディー、アン・アクション!」

前髪に息を吹きかけてタクシーから降りるソンイ。

警察へ

ソンイに群がる記者たち。

『どうなってるんですか?拉致されたのですか?』と記者たち。

ソンイ「わたしがすべてお話します。わたしは拉致されたんじゃなくて・・・」

記者たち「それならどうなったのですか?ト・ミンジュンさんはどこにいるのですか?」

するとミンジュンがタクシーから降りて来る。

記者たちはソンイをそっちのけでミンジュンに群がる。

拉致したのか?急に消えて?と質問が飛び交う。

ソンイ「ちょっと!エクスキューズ・ミー!ちょっと皆さん?わたしインタビューしてるじゃないの。わたしがチョン・ソンイ・・・ちょっと、ちょっとまって写真は撮りません」

記者をかき分けてミンジュンのそばへ行くソンイ。

ソンイ「写真は撮りません、撮らないでください、撮らないでくださいって!わたしを撮ってください、わたしを!カメラ片付けてって」

そこに記者をかき分けて刑事たちがやって来る。

『ト・ミンジュンさん?』と警察証を見せ『一緒に行きましょう』と言う。

ソンイ「わたしがすべてお話して差し上げます。わたし拉致されたのではないんですって」

ソンイの手を握るミンジュン。

刑事「署に行って話をしましょう。行きましょう」

そのころソンイの家では家族がニュースを見ていた。

『消えていたチョン・ソンイさんがマネージャー・ト氏と一緒に現れました。チョン・ソンイさんは自分はト・ミンジュンさんの婚約者だと、拉致されたのではないと話してるのですがどうやって消えたのかということにはノーコメントだと口を閉ざしました』とニュース。

ミヨン「なんですって?婚約者?あの子狂ってんじゃないの?誰が勝手に?それにあのアマ指を図々しく!悪い女。(ソンイがミンジュンに腕組みする映像を見ていた)だけど無事だと言って家に電話の一本もしないの?」

ユンジェ「オレのミンジュンヒョン警察署に連行されてるのか?いま。ちきしょうダメなのに」

ミヨン「ダメだなんて!あんたの姉さんがもっとダメでしょ。女優なのに!・・・どこの警察署なの?」

スマホで調べようとするミヨン。

席を立つソンイの父。

ミヨン「どうして?行くの?子供が警察署に行ったのに・・・」

父「どこも怪我せず無事に戻ってきたからいいだろ。家にちゃんと到着したら電話一本よこせと言ってくれ」

ミヨン「いや、あとであの子が来たらごはんでも食べていかないと・・・そうじゃない?」

ユンジェに同意を求めるミヨン。

ユンジェ「(どうして)オレに聞くんだ?そんなこと・・・食べていけば・・・」

自分の部屋へ行くユンジェ。

笑みを浮かべる父。

取り調べ前に

警察署に到着する二人。

刑事「ト・ミンジュンさんは調査が長くなりそうだから中に行って、チョン・ソンイさんはここで陳述してください」

ソンイ「いやどうして?どうして一緒に入っていけないの?何をしようとそうするのですか?」

刑事「何をするんですが?わたしが?」

ソンイ「それならここで正々堂々と話をしてよ。わたしが来る時にもお話したじゃないですか、わたしがト・ミンジュンさんの婚約者であって拉致されたんじゃないって。わたしはこのようなら黙っていない・・・」

ミンジュン「チョン・ソンイ」

静かにソンイをたしなめるミンジュン。

ソンイ「・・・ええ」

ミンジュン「大丈夫だ」

ソンイ「わかったわ。だけどなにか変なことをされそうならすぐに出て、声を張り上げたりわたしがここでぴったり守って立ってるから、ねえ?ト・ミンジュンさん」

刑事「あ〜、まったく人をどう見て?行きましょう。この頃がどんな世間なんだか」

ミンジュンを連れて行く刑事。

ソンイ「これは違うと思ったら応じずに電話して電話・・・あ〜わたしの電話がないわ。あ、まあとにかく強圧的だと思ったら112に通報し・・・あ〜ここが警察署よね・・・」

ミンジュンに押される刑事

取り調べ。

刑事「先にチョン・ソンイさんの拉致蹂躙の時から話しましょう。ところでそれはどうやってるのですか?目の前から消えること。それ本当に超能力・・・ハハ、そうじゃないでしょ?」

ミンジュン「わたしがどんな理由で消えたかでそれが法犯行為になりますか?具体的に適用する法条項がありますか?」

刑事「それは、まあこんなことは初めてですから」

ミンジュン「その行為自体が法を違反したことでないならば具体的な法犯行為から調査してください。個人的な好奇心を解いて差し上げようとここに座っているのではありません」

外で待っているソンイ。

他の刑事がチャジャン麺でも召し上がりますかと尋ねてくるがミンジュンが断わっていると聞き自分も食べないというソンイ。

そこにパク刑事がひょっこり現れる。

助け舟?

パク刑事「お、チョン・ソンイさん」

ソンイ「この前わたしを訪ねてきた、その刑事さんでしょ?」

パク刑事「はい、あ〜、覚えてらっしゃる」

ちょっと嬉しそうなパク刑事。

ソンイ「あ〜、ちょ、ト・ミンジュンさん中にいるでしょ?」

調査室に入っていくパク刑事。

先輩!と立ち上がる刑事。

ト・ミンジュン事件のせいで合同調査をすると言ったのにどうして連絡しないんだと怒るパク刑事。

韓国病院の管轄はここだと言い訳するも弱気な刑事。

ミンジュンが最初に消えたホテルは自分のところの管轄だとそもそも自分の担当事件から 派生したんだし事前情報もウチが多いし自分が背後を探っているんだから、心配せずにこちらに渡せとパク刑事。

こうして二人はこの警察署から脱出することになる。

記者がいない方から出るのでついて来てくれと案内するパク刑事。

ミンジュンの手にしがみついているソンイ。

そこに婦警が通りかかりサインを求める。

ソンイ「今ちょっと忙しいんだけど・・・お名前は?」

婦警「本当に超能力でぱっと消えたのですか?」

お目当てはミンジュンなのだ。

顔を見合わせるソンイとミンジュン。

さらに『魔術ショーのようだったって』と婦警。

ソンイ「あ、この方はサインをあげる、そんな方ではないんですよ」

婦警「サインがだめなら写真でも・・・でなければ握手でも」

手のひらで婦警の手を押し返す。

ソンイ「いや、握手なんてダメです」

婦警「うちの子が映像を見てすごく好きで・・・スーパーマンなんだって思ってるんです。うちの子は」

ソンイ「子供がいらっしゃるんですか?結婚されてるんですね。して差し上げて、子供が好きだって」

急に態度を変えるソンイ。

嬉しそうにノートとペンを差し出す婦警。

戸惑うミンジュン。

ミンジュンの取り調べ

パク刑事「ここには記者たちがいないね〜♪チョン・ソンイさんはもう行ってくださいな」

ソンイ「嫌だって、一緒にいるんだって」

パク刑事「遊びに行くんですか?調査するのに。そこは誰でもがさっと入る事はできませんよ」

ミンジュン「行く途中に家の前でおろしてやる」

ソンイ「イヤ!あなたがなんと言おうとイヤ。そばにいるわ。(パク刑事に)調査室の前で待ってます。それはわたしの勝手じゃない」

取り調べ室の前でうなだれているソンイ。

机をたたく。

パク刑事「病院で勝手に医療行為をしたこと、それは医療法違反であることは知ってますか?知りませんか?」

ミンジュン「ですが当時チョン・ソンイさんの状態がすごく急に悪化して少しでも治療を遅らせたら危険な状況だったということ、それに手術を受けたチョン・ソンイさんも今は何の異常もないのですが・・・」

パク刑事「応急状況だったし、営利を目的とした行動ではなかった。あ、それならそれを情状参酌しなければなりませんね」

笑顔のパク刑事。

ユ検事「どうやら」

再度厳しい顔になる。

パク刑事「そうですが問題は残っています。え?レストラン財物損壊罪これをどうするのですか?皿がいまとても高いのが十二個壊れてその事業場にいま損害がはなはだしいということなのに!」
ユ検事「それでも幸いなことにケガした人はないということで軽微な事項と見てもいいのではないでしょうか?」

パク刑事「そうですか?や〜それは本当にト・ミンジュン氏は運が良いね〜。それはただこの主人と合意だけすれば罰金刑だけ与えればいいね、これは。(嬉しそう)他に何があるかな・・・イ・ジェギョンさん暴行罪!あいつは受けるだけのことをした、うん・・・」

ミンジュン「今、何をされているのですか?」

パク刑事「見てわからないですか?事件の縮小してるんじゃないか」

ユ検事「ト・ミンジュンさんはどうしてそうしたのですか?」

ミンジュン「何をおっしゃっているのでしょうか?」

内ポケットから万年筆を取り出すユ検事。

ユ検事「ホ・ヨヌとして、ハン・ソジンとして、そしてト・ミンジュンとして生きている間、守りたかったものが確かにあったはずなのに。どうして一瞬ですべてを虚しくさせたのか。理由が気になります」

ミンジュン「お二人にも大切な人がいるのではないですか?わたしにもそんな人がいるだけです。その人を失うかもしれないという思いに目の前が遠くなっただけです。そのどんな計算もすることができなかっただけです。その瞬間にできることをしただけです。振り返ってみると皆そのように自分だけの大切な人を守ろうと戦いもし傷つきもし損をしたりもしながら熾烈に生を生きていっていたのです。わたしにもそんな人ができただけです」

制御不能

取調室からミンジュンが出てくる。

ソンイ「全て終わった?・・・帰りましょ家に」

二人手をつなぎ廊下を歩く。

そして角を曲がった瞬間に瞬間移動する。

ソンイの家ではミヨンが記者の誰かと電話で話をしている。

ミヨン「まだ出てきてないって。調査が終わらないんでしょう。いや、記者の方々が家のドアの前や駐車場などすべて守られてるじゃないですか。そこを通らずに家にどうしてくるのですか?瞬間移動?いまからかわれてるのですか?本当にそんなことできるはず無いじゃないですか?」

すると部屋のドアが開きソンイとミンジュンが瞬間移動してくる。

『ハァ〜!!!』と息を呑むミヨン。

それに驚いてないのはユンジェだけだが二人は見られてしまったという顔をしている。

『とにかくまだ出てなくて・・・』と言い電話を切る。

ソンイ「どういうことなの?」

ミンジュン「ごめん、調節がうまく行かなくて」

ミヨン「このクソ女!」

ソンイをひっぱたこうとするミヨン。

それをミンジュンがかばい背中でおもいっきり掌を受けしたたか飛ばされガラスに張り付く。
ソンイ「ト・ミンジュン!」

ユンジェ「ミンジュンヒョン!」

同時にミンジュンを心配する姉弟。

部屋に連れて行かれるソンイ。

ミヨン「なんなのよ?ト・マネージャー正体が何なのよ?」

ソンイ「なにが〜?」

ミヨン「テレビで人が去った時も信じなかったの、わたしが。けれどたった今あんたたちどうやって入ってきたのかって!わたしほんとに心臓に悪いわよこれは」

ソンイ「あとで話しましょ、あとで」

ミヨン「怪しい人をどうしようって?ユンジェは何なのかわかってるようだけど。あんたが言わなきゃユンジェをいびるわよ」

ソンイ「母さん、世界でただ一人わたしが愛する人よ。その前もないし次もないの。あの人平凡な人でないことは合ってるけどわたしにとってはただ愛する人なのよ。だからト・ミンジュンさんにご飯をちょっとあげて」

12年ぶり

食卓を囲むソンイ一家とミンジュン。

ソンイ「何をしたの?はっ、イシモチの干物があるわねよかったわ。わたしのト・ミンジュンさんが好きな・・・」

ミンジュンの前に皿を持って行こうとするソンイ。

その手を止めるミヨン。

ミヨン「ちょっと!一匹づつ食べるのよ!可愛くてあげるんじゃなくて、ごはんを食べる時だからあげるのよ」

サーブし始めるミヨン。

ミンジュン「頂きます」

会釈をするミンジュン。

父「わたしもいただくよ、ソンイママ」

一瞬笑みを浮かべ『まあ』とミヨン。

ソンイ「ト・ミンジュンさん、うちの家族がこうして囲んで座って食事をするの12年ぶりなのよ!」

ミヨン「あんたはどうしてごはんをチビチビ食べてるのよ?すくって食べないと!」

ユンジェに小言を言うミヨン。

ユンジェ「オレの勝手だ」

ミンジュン「ちゃんと食べろ、ユンジェ」

ユンジェ「はい、ヒョン!」

スプーンに持ち替えてちゃんと食べ始めるユンジェ。

呆れるミヨン。

笑う父。

スープを一口飲むソンイ。

ソンイ「あ、母さんスープは作んないで!塩梅が何よ!」

父「わたしは大丈夫なのにどうして?」

ミヨン「とにかくこの女は自分で料理もしないのに他人の指摘だけしきりに!」

自分が以前同じことを言ったのを思い出してか笑っているミンジュン。

ミヨン「ト・マネージャーどう?スープの塩梅はどうなのかって!」

一口食べるミンジュン。

ミンジュン「変です」

ソンイ「ほら!ト・ミンジュンさん食べないで。これだけ捨てて」

ミヨンの前に器を移すソンイ。

ユンジェ「オレはもとから母さんのスープは食べないじゃない」

『みんな食べないで!笑わせることばかりほんと!』と言いすべてのスープは父の元へ。

書斎。

ミンジュン『家族という人たちとご飯を食べてみたのは初めてでした。感じですか?チョン・ソンイのそばにこんな人達がいてくれるなら安心だ、という程。わたしもずっと共にしたい。まあそんな思い・・・』

(書斎終わり)

追い出し工作

ソンイ「あら、時間がもうこんなになったのね!タクシーがあるうちに行くのは(どう)?」
父「あ、ああそうだな。パパは行くよ、娘!」

ソンイ「気をつけて行ってね母さん!」

ミヨン「わたしも行けって?」

目で訴えるソンイ。

ミヨン「何をしようと?」

ユンジェ「何をするというよりオレのミンジュンヒョンが不便だからそうなんだよ。オレたちだけでいるよ」

ソンイ「あんたも行きなさいよ、母さんを連れて!」

ユンジェ「オレも?」

ソンイ「あんたが一番居座ってんのよあんたが!」

ユンジェ「オレが何を?」

ソンイ「あんたがしきりにわたしのト・ミンジュンさんにちょっかいを出すんじゃない!」

手で静止しようとするミンジュン。

ソンイ「なによ、言いたいことは言わないと」

ユンジェ「あ〜くそ、ミンジュンヒョンはオレのものだ!」

ミンジュンと腕を組むユンジェ。

ソンイ「それならわたしのものはあんたのものなの?早く行って!面倒をかけずに」

ミヨン「あんたは誰に似て簡単なの?この子は!ちょっとわたしが見たところあんたが一番飢えてるわ。あんた女がそうならほんとに魅力がないわ!」

ソンイ「いいの、わたしは綺麗だから例外よ。そうでしょ?ト・ミンジュンさん!」

笑って頷くミンジュン。

アイテム

ソンイの元所属事務所では一度は撤去したソンイの写真への張替えが行われている。

ソファーにはミヨンが座っている。

忙しいのにどうして呼び出したんだと剣幕なミヨン。

一方で調子のいいアン代表は子役の頃から育ててきたソンイをどうやって再起させるか悩んで決断したと言い手を差し伸べながら『私の手をとって一緒に行きましょうお母さん』と述べる。

その手を払い契約は終わったと言っていた話はどこへ行ったんだと指摘するミヨン。

とぼけるアン代表。

忙しいからと席を立とうとするミヨン。

そのミヨンを引き止めるアン代表。

元来の再契約に上乗せしていきましょうとアン代表。

そしてミンジュンとの契約提案書も用意していた。

連絡する方法がないからとミヨンに見せているのだ。

ミヨン「あいつがなんの芸能人なのよ?」

反発するミヨン。

芸能人かどうかなんて問題じゃなく空間移動が!ワールドツアー魔術ショー!とんでもないアイテム!と興奮するアン代表。

この会話の『アイテム』というところが引っかかったミヨン。

『アイテムですって?ト・ミンジュンがアイテムなの?そうね、アン代表はうちのソンイもアイテムだと思ってたのでしょう。だからいい時にはキープして悪い時には捨てるということがあったんでしょう。アイテムはゲームするときにでも探して。わたしは人を預かってくれる会社を探してみるわ」

提案書を叩きつけて去るミヨン。

今までと違い優しさを見せるミヨンを不思議がるアン代表。

『お母さん、わたしがアイテムだといいました?間違えました』と追いすがる。

ミンジュン「あ〜まったく、どうして我を張るんだ?送ってやるって!」

ソンイ「今ト・ミンジュンさんが撮影場に現れてみたらすごく混乱するわ。わたしはただ一人さっと行って来るわ」

ミンジュン「まあキスシーン、バックハグシーン、そんなのがあってわたしを来させないようにするんじゃなくて?」

ソンイ「違うわよ!」

ミンジュン「そんなのがあれば代役を使えっていう話だ」

そこにフィギョンがやってくる。

フィギョン「ソンイ!」

ソンイ「あ、フィギョン!」

フィギョン「あ〜、オレのソンイ」

ハグをするフィギョン。

フィギョン「おい、おまえの顔がどうしてこうも干からびたんだ?あ〜ト・ミンジュンについて行って苦労をものすごくしたようだな」

ミンジュンをチラッと見るフィギョン。

『フフフ』と笑うソンイ。

ミンジュン「なんの用だ?」

フィギョン「ああオレのソンイ、オレが撮影所まで連れて行こうと。ト・ミンジュンさんまだ外で歩きまわるのは難しそうで。見る目も多いし。あそれとおまえ、スマホをなくしただろ?ん!」

新しいスマホを差し出すフィギョン。

ソンイ「なによ、そうでなくても今日出たら買おうと思ってたのに」

フィギョン「番号変えたぞ。後ろの方はオレのと同じだ」

『まったく』という表情のミンジュン。

ソンイ「良かったわ。わたしはそうでなくてもわたしの番号をしきりに忘れるのにあなたの番号はよく覚えるじゃない。わたし財布を置いてきたみたい、ちょっと待って!」

フィギョン「頭にきただろ?」

ミンジュン「全然」

フィギョン「オレがおまえを認めておとなしくしてるんじゃないぞ。今はソンイがおまえをすごく好きだからただ放っておいているんだよ。そうだけど諦めない。万に一つでもおまえがソンイのもとから急に消えてしまうとかソンイ一人を置く瞬間、ソンイの隣の席はオレの持ち物になると知っておけ。その時は絶対見逃さないぞ」

わたしを除いて

移動の車の中。

フィギョン「ソンイ、オレの兄さんのことは・・・」

ソンイ「わかってる。聞いたわ」

フィギョン「おまえに何度もそんなことに直面させてすまない」

ソンイ「フィギョン。あなたも今笑っているけど心が本当に語ってないでしょ。わたしがそうなの。なんでもなくご飯を食べ撮影して・・・けれどわたしも心の内からの言葉じゃないの」

フィギョン「何の話なんだ?」

ソンイ「世界がわたしを除いてすべて幸せそうなの」

ソンイV.S.セミ

撮影現場。

台本を読むセミの隣りに座るソンイ。

ソンイ「久しぶり」

セミ「あなたのせいで撮影所が騒がしいわ。記者たちがすごく来て」

ソンイ「もともとわたしはホットじゃないの」

セミ「あなたじゃなくてあなたのマネージャーを探してるのよみんな。・・・ト・ミンジュンさん来なかったの?」

ソンイ「気にかけないでよ、他人の男を」

セミ「チッ、その事件のせいでウチの監督だけが得をしたわ。うちの映画の広報のためだとそんな噂が出て」

ソンイ「わたしのおかげであなたの初主演映画の興行がちょっとよくなるわ」

セミ「突然台本を修正するって。あなたの分がさっと増えて」

ソンイ「わたしがまたシーン・スティーラー(シーン泥棒)なのね。演技ですべての論難を鎮めさせすべて取って食べて」

セミ「ちょっと!15年してもダメだった演技が何の一朝一夕で?そうでなくてハン・ユラ事件が解決されつつあなたに同情論が起きたんだけど、そのト・ミンジュンさんのことが炸裂してあなたになにか不思議で神秘主義そのようなイメージができたせいで・・・」
ソンイ「あんた、わたしの話をすべて探してみてるのね。あんた今わたしの記事をスルスル読んでるじゃない。あんたその下に悪い書き込みはつけなかったの?わたしがいつか一度悪い書き込みをする人たちをみんな告訴してやるわ。その時にきまり悪く警察署で会いたくなければやめなさいあんた!」

セミ「ふ〜、わたしが何を?」

ソンイ「あんた今、時間ちょっとある?」

セミ「いいえ!」

互いに目を合わせる二人。

ミヨンの確認

ミヨン「わたしがソンイ、あの女がいない間にちょっと話をしたいの」

ミンジュン「はい」

ミヨン「ユンジェに大体話は聞いてるんだけど、ハハハハハ、とても荒唐無稽で呆れて。いや外界(人)・・・それホントなの?」

ミンジュン「はい」

神妙なミンジュン。

ミヨン「話しにならないわ」

笑うミヨン。

さっと真顔になる。

ミヨン「ト・ミンジュン、まさか精神科治療履歴があったりとかそんなんじゃなくて?」

ミンジュン「違います。信じるのは難しいでしょうが事実です」

しばらく口を開けていたミヨンはおもむろにミンジュンの頬をつねる。

しかもおもいっきり引っ張りつつ。

ミヨン「皮が剥がれないんだけど?」

なんとも言えないミンジュン。

ほっぺたは真っ赤だ。

ミヨン「ご両親は?いやその時のその方は本当の父親じゃないって。それなら本当のご両親は?そちらの星にいらっしゃるの?もしかして家族たちが急にこっちの星にいらっしゃるとか、そんな計画があるのではなくて?」

ミンジュン「そちらの世界はこことちょっと違って家族だとか友人だとか夫婦だとかこんな概念はありません」

ミヨン「OK、わかったわ。帰って休んで」

ご満悦なミヨン。

ミンジュン倒れる

手を洗っている最中に急に鼻血を出すミンジュン。

再び自分が消える映像がよぎる。

ベッドルームに戻ったかと思うと倒れこんでしまう。

ソンイがベルを鳴らしても出てこないミンジュン。

ソンイは暗証番号を入力して入っていく。

ソンイ「ト・ミンジュンさん!どこに出ていったのよ?今歩き回ってはダメなのに」

植物に目をやるソンイ。

ふとチャン弁護士との会話を思い出す。

回想

ソンイ「それで本当に帰らなければ、本当に死んでしまうのですか?」

チャン弁護士「わたしがどうしてわかりますか。ただうちの先生のお宅に随分前から育てている草花が一つあるのですがあるときからその草花の根が腐っていっているようだったんです」

ソンイ「それがト・ミンジュンさんと関係があるというお話ですか?」

チャン弁護士「わたしはそのように推測しています」

(回想終わり)

ベッドルームに横たわっているミンジュンを見つけるソンイ。

ソンイ「ト・ミンジュンさん何よ?もう寝たの?」

『ハァハァ』と少し荒い呼吸で近づいていく。

ソンイ「もう、わたしと一つの家にいてもひとつも緊張しない。これでしょ?」

『ハァハァ』と先程より荒い呼吸で近づきミンジュンに触れる。

ソンイ「ト・ミンジュンさんこうしないで!恐ろしくこうしないで!」

横になっていたミンジュンが力なく仰向けになる。

『ハッァ』とうろたえミンジュンの胸に耳を当て泣き出すソンイ。

ソンイ「ダメよダメよ!・・・ダメよ!・・・ダメよ!」

泣きじゃくる。

するとソンイの頭にミンジュンの手が触れミンジュンが起き上がる。

ソンイ「気がついたの?」

倒れこむようにしてソンイを抱くミンジュン。

ミンジュン「おまえがこんなに騒がしいのにどうして気がつかない?」

ソンイ「死んだのだと思ったじゃない。死んでしまったのだと思ったじゃない」

泣きじゃくるソンイ。

ソンイを撫でるミンジュン。

残された一週間

ソンイ「それで何日残っているの?あなたが戻らなければならない日」

ミンジュン「一週間ほど」

ソンイ「あまりに短いわね。わたしたちの残った日、ああだこうだと争って浪費することわできないわ。さっきのわたしを見たでしょ?ト・ミンジュンさんがわたしのそばに居て死んでしまったらわたし、さっきのように泣くわ。数日幾日いや幾月いや幾年を・・・おそらく死ぬまで自責するのよ。わたしのせいでしんだって苦しむはずよ。わたしがそうなることを望む?」

ミンジュン「それならわたしは?長い長い時間ずっとおまえに会いたければわたしは?どんなに時間が経っても忘れられなければ?その時わたしはどうすれば?」

ソンイ「わたしたち、写真をたくさん撮ったじゃない。それを持ってかないの?わたしはここであなたに会いたいたびにあなたの写真をたくさん見るわ。あなたが歌ってくれた歌も聴いてあなたを思うわ。あなたもそのようにして。それとわたしたちすごく時間が残ってるじゃない。一週間を7年のように70年のようにそのように楽しく送りましょう。そんな意味でもあなたはわたしを愛しするの?」

ソンイの顔をつねる。

ミンジュン「顔でも洗え、ブサイクになった」

書斎。

ミンジュン『それでその一週間がすごく特別だったのかって?そのいつの時より退屈で平凡でした』

家で食事をしながらテレビを見る二人。

何かのスポーツだ。

ソンイ「あ、あれ、あれは話になんないでしょ、あれホームアドベンチャー」

ミンジュン「ホームアドバンテージ」

ソンイ「そうよそれ。ト・ミンジュンさんどうにかダメ?」

ミンジュン「わたしが何をどうする?」

ソンイ「あ〜、どうしてそれもできないの?あ〜、あれあれ悔しいのにあれ。こうしてる時じゃないわ。チメク(チキン&ビール)させてもらわなくちゃ」

スマホを持つソンイ。

ミンジュン「酒を飲むなと言ったろ」

スマホを取り上げ投げるミンジュン。

ソンイ「一杯だけ」

ミンジュン「ダメ。一杯が二杯になり二杯が三杯になる。わたしがいない時にまた誰かの家にでも入ろうって?ダメ。この際酒を絶て!」

ソンイが再びスマホを手に取ろうとしてもだめだ。

ベッドで

ベッドで台本を読んでいる二人。

ミンジュン「どちらにしても人生は選択じゃないのか?わたしはその女とあなたの内で選択をしなければ・・・」

読むが。

ミンジュン「この台本のセリフはどうしたんだ!?」

台本を放り投げるミンジュン。

ソンイ「ト・ミンジュンさん、わたしとチャン弁護士とが水に落ちれば誰から助けるの?」

ミンジュン「なんだ?急に」

ソンイ「誰を助けるのよ?え?選択してよ!え?だれ?」

ミンジュン「おまえ」

ソンイ「ほんと?」

ミンジュン「チャン弁護士は海兵隊出身だ。十分に自分で出られるはずだ」

ソンイ「理由がそれだけ?わたしを何とかしようとかでなく?」

ミンジュン「何とかしてが何なんだ?」

ソンイ「あ〜そんなのがあるじゃない!いいわ、わたしはみみっちくて汚いわ。わたしを起こさないで」

反対を向いて寝るソンイ。

ミンジュン「アイスクリーム食べに行くか?」

ソンイ「あんたが買うのよ!」

すぐに起き上がるソンイ。

花札

ソンイ「あ〜おかしいわ。ああ・・・まったく」

いい手が来ないソンイ。

ミンジュン「何がおかしい?」

いい手が来ている。

ミンジュン「三光にコドリ、ストップ」

ソンイ「あ〜なにかおかしい。イカサマ使ってるんじゃないでしょうね?わたしが札合わせの鬼神なのにこんなことが!?まだ気力もよくないのにまさにその上で乱発してそんなんじゃないわよね?え?」

ミンジュン「わたしの実力なんだよ。ストップしたからオデコを出せ!」

ソンイ「え〜?ほんとに打つの?」

おもいっきりデコピンするミンジュン。

(多分本気)

ソンイ「あっ!こんなに強く打ってどうすんのよ!あんた今日見てなさい!わたしがすごくディープキスしてやるわ!あんた今日気絶ちょっと正しくしてみなさい!ン、ン、ン、ン〜ン!」

逆に抑えこまれてミンジュンからキスされるソンイ。

チャン弁護士との別れ

カフェで新聞を見るチャン弁護士。

『彗星ディープサウス、明日地球に来る。400年ぶりの宇宙ショーになりそう』との記事だ。

書斎にいるミンジュン。

ソンイ「ト・ミンジュン!ちょっとこっちに来て」

ソンイが呼ぶ。

返事をして階下に降りようと隠し扉を押すと突然意図せず瞬間移動して外に出て人にぶつかりそうになってしまう。

『なによ?テレビに出ていた人じゃない?』『瞬間移動する人?』『ホントに?』と通行人。

立ち尽くすミンジュン。

ソンイ「ト・ミンジュンさんどこに行ったの?」

隠し回転ドアが開いたままなのを見上げる。

ぽつんと公園のベンチに座るミンジュンのところにチャン弁護士が駆けつける。

コートを着せ自分のマフラーをミンジュンの首に巻き靴を履かせようとする。

チャン弁護士「あ〜靴下を持ってこなかった。足が冷たいですか?」

微妙な笑みを浮かべるミンジュン。

チャン弁護士「いやなんてことですか?こんなに、こんなに調節がダメだなんて。どんなに驚いたことか!」

ミンジュン「チャン弁護士」

チャン弁護士「ハイ?」

ミンジュン「その日もこの公園だったようですよ」

チャン弁護士「はい。わたしが死のうとした日、先生がわたしを助けてくれてクッパ一杯おごってくれたのちにここに連れて来てくださいました」

回想

チャン弁護士「ありがとうございます。わたしを掴んでくださって。どんな能力をお持ちの方かわかりませんが先生が私と私の母を助けて下さいました」

封筒に入れたお金を渡すミンジュン。

ミンジュン「返してください。お金がないって死ぬことから考えるのを見ると頭はそれほど良くないようで。いったい司法試験はどのように合格するというのか分からないがまあとにかく、合格した後に返してください」

チャン弁護士「どうしてわたしを?何を信じて?」

ミンジュン「あなたを信じて与えるのではありません。わたしは誰も信じません」

チャン弁護士「それならどうして?」

ミンジュン「縁が始まることを望まないけれど、それでも・・・縁だと考えましょう」

チャン弁護士「ありがとうございます。(ミンジュンの手を握り)ありがとうございます先生。ありがとうございます」

号泣するチャン弁護士。

(回想終わり)

チャン弁護士「手を一度、握ってもいいですか?」

ミンジュンの手に触れ自分の膝の上に持ってくる。

チャン弁護士「先生をわたしの前から見送りたくありません。信じるのは難しいでしょうが、本当に必ず子供に先立たれる両親の気分です」

泣くチャン弁護士。

ミンジュン「チャン弁護士」

チャン弁護士「はい」

ミンジュン「すごく前に誰かが言ったんです。別れの挨拶は予めするものだって。本当の最後が来れば別れの挨拶のようなものはすることができないって・・・ありがとうございました。忘れません」

ミンジュンの膝の上で声を出して号泣するチャン弁護士。

そんなチャン弁護士の背中を抱くミンジュンも涙を浮かべている。

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