星から来たあなた |
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第21話 プロローグ ミンジュン「わたしが持つ最も素敵な超能力は時間を止めることなんだ」 ソンイ「そんなこともできるの?」 ミンジュン「そうだよ。わたしはおまえが考えてるよりはるかに大した男なんだ。数えきれないほど時間を止めておまえが知らない時間の中でこの話をしたんだ・・・。愛してる、チョン・ソンイ・・・流れていく時間に向かってこの話をすれば、全てのものが流れていき消えてしまいそうで。だから止まった時間に向かって言ったんだ。愛してる、チョン・ソンイ。愛している」 ソンイ「わたしが知っている時間の中のあなたも、わたしが知らない時間の中のあなたも、愛してる」 ミンジュンの膝の上に頭をもたげそんなソンイの髪を撫でるミンジュン。 ミンジュンの原則 書斎で。 ミンジュン『400余年前。見知らぬ星にくることになった後初めから今まで徹底して守ってきた原則がありました。失ってしまうときに堪えられず辛いものなら初めから持たないということ。わたしはいつか去ってしまい、去る時は何も持って行くことができないから。ものでも人でも所有せずに愛さずにいようと考えていました。それでその原則をよく守ってきたのです。だけど最後の3ヶ月、すべてのことが崩れてしまいました』 ソンイ「言ってみてよ。わたしを初めて好きになったのはいつなの?」 ベッドでミンジュンに寄り添ったソンイが問う。 ミンジュン「初めて会ったエレベーターの中だったのか、酔った彼女がわたしの家に押しかけてきた時なのか、いつなのか正確にわからないその時点から彼女が好きで欲しくなったし失うかと怖くなりました。彼女のためにわたしがすることのできる最善が何なのか、今わたしは考えています。最後の運命が始まっています。わたしはこの運命に勝つことができるでしょうか?」 突然の別れ ベランダでお茶を飲む二人。 ソンイ「ソウルの空があんなにキラキラしてるのを初めて見るわ。本当に400年ぶりに宇宙ショーで合うには合ってるようね」 ニュース速報が流れる。 ニュース『先ほど入ったニュースです。米航空宇宙局NASAは先ほど10時に彗星ディープサウスが軌道を離脱して速い速度で地球に接近していると発表しました』 その後のニュースでは地球から35万kmのところを通ると予想されていたディープサウスが軌道を離脱して4万kmまで近づきそれによりたくさんの流星雨が見られるが、隕石に特別な注意が必要だと伝える。 そのニュースの通り多くの流星が夜空に舞う。 そんな光景を眺める二人。 ソンイ「わたしたちお願いする?」 ミンジュン「あんなのはただ石のようなものだ。実は地球にいて最もあきれたのが人々が流れ星にお願いをすることだった」 ソンイ「それでお願いしないの?」 そう言われてしてしまうミンジュン。 黙って目を瞑る。 ソンイは祈りを捧げるポーズをしている。 各地では写真を撮ったり観察したりお祈りしたりしている。 そのさなか隕石が落ちてきたりもする。 またとあるカップルの男性の方は『たった今見た?UFOのようだったけど』と。 『UFOを見たことがあるの?』と一蹴されてしまう。 そのUFOはある森に到着する。 ミンジュンがその気配を感じると手が半透明になってしまう。 傍らにいるソンイは流れ星にお祈りをしつつ目をつぶっているためミンジュンの様子には気づかない。 一旦手の状態が戻りソンイに触れようとするが躊躇しやめるミンジュン。 そして語り始める。 ミンジュン「チョン・ソンイ。わたしが愛するチョン・ソンイ。寒いのにあちこち穴の開いた服(露出度の高いドレスのこと)を着るなよ。おまえは隠すほどに美しい。この前話したとおりキスシーン、バックハグシーンこんなのは駄目だ。激情メロもダメだ。苦しまず、悪い書き込みなんかは見ずに。一人でいかにも悲しげに歌を歌って泣くこともするな。ご飯を一人で食べずに。酒を飲んでどこにでも入っていかずに・・・夜にわけもなく空をみながらこの星なのか?あの星なのか?そんなこともするな。ここから見える所じゃない。だけどわたしは毎日見るよ。そこでおまえがいるここを毎日眺めることで毎日帰ってこようと努力するよ。どうにかしておまえのそばに長く長くいられる方法を見つけるよ。必ずそうするよ。だけどもしも・・・もしも私が戻ってこれなければ全て忘れろ。すべて全部」 途中からソンイはあまりにも涙が溢れてしまいミンジュンに背を向けていた。 ミンジュンもまた途中から感極まって泣いていた。 ソンイ「どうしてそんなこと?どうやって忘れるのよ?わたしが本当に馬鹿なの?そんな無責任な話がどこにあるのよ?え?ト・ミンジュン!ハァ、ハァ、答えてよ!え?・・・答えてよ、ト・ミンジュン!そこにいる?そこにいる?ハァ、ハァ・・・」 そして振り返るとそこにミンジュンは居なかった。 ソンイ「まだ違うでしょ?まだ違うでしょ?自分の話だけしてこうして行ってしまう法がどこにあるのよ!わたしは挨拶もしてないのに、あんたの話だけして行くの?からかわないでねえ?出てきて!出てきて、どうか!ねえ?」 そしてその場に崩れ込む。 森のなかでミンジュンの体が消える。 ずっと崩れたまま泣きじゃくるソンイ。 籠絡不可 なんとしてもソンイとの契約を得るためにアン代表はポムを運転手にしてソンイの家に向かう。 ターゲットはソンイではなくソンイの母ミヨンだ。 値の張るバッグだしゲームは終わるとアン代表。 ソンイをクビにした一連のアン代表の態度をとんでもなく悪かったと指摘するポム。 けれど希望を忘れないようにしよう、気に入ってくれるはずだというアン代表。 ソンイの家のドアが開く。 ミヨンが出てくるがすぐにドアを閉めようとする。 今まで持ってたバッグを売って消したんだというミヨン。 それならちょうど良かったというアン代表。 感が鈍ったの?どうしてポイントが分からないの?この3ヶ月大変だったのにアン代表はどこに居たのかという話だとミヨン。 全国民がソンイに謝ってるこの機会がどこにあるのか?自分ほどソンイをわかっている人間は居ないじゃないか?と引き下がるアン代表。 ミヨン「アン代表、ユン・ボムさん。わたし契約金や新作バッグなんて全部必要ないからウチのソンイ、ちょっとどうにかして。ウチのソンイすでに何日間ご飯も食べず寝ることもしないの。ト・マネージャーの家に行って出てくることもないの。ト・マネージャーあいつは突然どこへ飛んだのか見ることもできないし」 ミンジュンの幻 ミンジュンの家にいるソンイ。 ミンジュンの声「わたしが居なくてもここにあるものにむやみに触れてはダメだおまえは。この前おまえが割った陶磁器、実にホ・ギュン先生の親筆サインが入れられた物だ。わたしが話しただろう?イチョンのガソリンスタンド行けばある偽物と違うんだこれはすべて」 ポットから水を入れソンイに渡すミンジュン。 ソンイ「わかったわ・・・」 その水を飲もうとするソンイ。 けれどそばにはミンジュンも居ないし水も入っていなかった。 幻を見ていたのだ。 イ会長の決断 裁判所。 ジェギョンの公判だ。 裁判官の事件ブリーフィングをしてくれとの合図で前に出るユ検事。 ユ検事「被疑者イ・ジェギョンは2007年3月5日、ハヌル精神病院の病院長シン・ヒョンテ氏と共謀、前妻であるヤン・ミンジュ氏を7年の間、精神病院に監禁してこの事実が発覚すると2014年2月13日もう一度拉致監禁しました。また2013年12月26日に発生した故ハン・ユラ氏の死亡事件に有力な容疑者で検察の指定を受けたし自ら犯人であることを認める発言をしたにもかかわらず否認しています。しかしその発言の他にも今回事件に連類なったイ・ジェギョン氏の個人秘書であるイ・シン氏がすべての事実を証言した点を推し量り、検察は被疑者イ・ジェギョン氏を、今回の事件の有力な真犯人として見ています。被疑者は証拠を隠滅する憂慮だけでなく逃走の憂慮もまたあるという点を上げて拘束捜査を要請するところです。以上です」 被疑者の弁護士に反論の発言を促す裁判官。 弁護士「わたしはこれ以上話すことがありません」 騒然とする傍聴席。 こうして拘束捜査を要請の審査が終わる。 父とフィギョンを見てうろたえるジェギョン。 ジェギョン「これはどういうことですか?父さん。わたしに失望したということは全てわかります。そうではありますがすべてのことを明らかにします。この全てのことはわたしとなんの関係もないということを。一旦フィギョンをちょっと遠くに送ってください」 会長「それで?」 ジェギョン「すべてのことはわたしの随行秘書が単独で犯した犯行となるでしょう。そちらの両親に連絡してください生活が困難な家です」 会長「ジェギョン」 ジェギョン「はい、父さん」 会長「おまえの名前になったすべての財産は社会に還元することにした」 ジェギョン「よくなさいました。一旦世論を沈静化するために」 会長「そしてわたしはおまえのためにそのどんなこともする気持ちがない。おまえはこの寒い監獄で一生を送ることになるんだ。かわいそうだな」 ジェギョン「父さん!・・・わ、わたしが実刑を受ける瞬間会社がどんな苦境に陥るのか考えてはみないのですか?一旦・・・」 会長「わたしは一線から抜け出す(身を引く)つもりだ。専門CEOにすべてのものを任せるのだ」 ジェギョン「フィギョンにどんなことを吹きこまれたか知りませんがそんなに簡単に決定することではありません。父さんが一生で築いた会社です」 会長「そうだな。わたしは一生の間この会社を作るために我が家にどんな怪物が生きているのか分からなかった。その怪物がわたしの息子を取って食べる時もわたしは分からなかった。おまえが幼い時おまえの友人と争ってそいつの片目を失明させたその事故の時、わたしはその事件を金で揉み消すのではなかった。すべてわたしの誤りだった・・・お前がハンギョンをそのようにすることは・・・」 涙するイ会長。 ジェギョン「フィギョンがそう言ったのですか?わたしが兄さんをそのようにしたって?ハハハ、それを信じますか?その音声ファイル操作されたのです。フィギョンがわたしの座を占めるためにペテンに掛けたんです。騙されてはなりません。一旦わたしをここから取り出してください。わたしが出ればすべて証明してみせます。フィギョンが嘘をついてるんですって!」 会長「もうやめろ!全て終わった」 ジェギョン「わたしがどうしてここにおとなしく入ってきたのか?父さんがわたしにこのようにしたら困るでしょう?ダメです。わたしはすることが多くあるのです」 無言で接見終えるとの合図を送るイ会長。 ジェギョン「わたしは出てみせます。わたしの力でできないことのようですか!?妨害しないでください。おわかりですか!?なにもするなと・・・」 言い去るジェギョン。 チメクの配達 ミンジュンの家。 明かりも付けずにミンジュンのスマホを眺めているソンイ。 ふと『会いたい』というLINEのメッセージに目がとまる。 自分のスマホでは見たことのないメッセージだ。 以前入院していた時に突然ミンジュンが現れて『メール見ないのか?』と言っていた時のことを思い出し塞ぎこむソンイ。 この言葉は当時ミンジュンがソンイに送っていたのだ。 ベルが鳴る。 ミンジュンが帰ってきたのかと思い出てみるとフィギョンだった。 フィギョン「チメク(チキン&ビール)の配達に来ました」 中に入る二人。 フィギョン「何をしてるんだ?暗いところで」 ソンイ「どうしてわかってきたの?」 フィギョン「お母さんが電話されたんだ。ここでずっと何してんだ?もうやめて家に帰ろう」 ソンイ「いや」 力なく答えるソンイ。 フィギョン「それで?おまえがそんなに待っているト・ミンジュンさんは今どこにいるんだ?いつ来るんだ?いやどうして行ったんだ?オレはあいつに対してきっちりと言ったんだ。もしもおまえ一人を置いて行ってしまうならオレがその座を掴むって。その話をしたのに行くか?」 ソンイ「フィギョン。その人は自分がすることの出来る最善を全て尽くしたわ。私のために。わたしが今耐えられないのはわたしがそれに気づくのが遅すぎたということなの。わたしは何もすることができなかったし、最後の挨拶もまともにできなかったの。その人はそこでも最善を尽くすはずよ。わたしに待てと言ったから多分そこでも努力しているはずよ。そうするうちについには帰って来られないこともあるけど・・・わたしは忘れないわ。一つも忘れないで懸命に待つわ」 フィギョン「待つのなら食べながらしろよ。オレもお願いを受けたことがあるんだよ」 ソンイ「お願い?」 フィギョンへのお願い 回想 ソンイを撮影現場に送るとやって来た日のこと。 ミンジュン「わたしが近いうちにどこかへ行くことになるかも知れない。チョン・ソンイが一人でいることになればおまえが一番心配だ。そうだが一番安心できたりもする。だからお願いする」 フィギョン「なにを?」 ミンジュン「そばに必ずいてくれ」 フィギョン「それはおまえに言われなくてもオレが思いのままにするわ!誰に誰をお願いするんだ・・・チッ」 ミンジュン「ただそばにいてほしいというんだよ。蹴って入ってその場に座れというんじゃないぞ!」 フィギョン「それもオレが思いのままにするって!おまえがおまえの方式でするようにオレもオレの方式でチョン・ソンイを守る」 (回想終わり) ソンイ「ほんとうに?彼がそのように話したの?」 フィギョン「そうだ、そうだからたくさん食べろ。お母さんがすごく心配されるじゃないか。あ、お粥も買ったんだけどそれを先に食べるか?・・・どうした?」 ミンジュンが育てていた草の方に行くソンイ。 ソンイ「生き返ったわ。ちゃんと到着したみたい。もう大丈夫みたい。辛くないみたい」 草に触れる。 フィギョン「何を言ってるんだ?おまえ」 ソンイ「そんなのがあるの。草たち、もう病気にならないで。わたしがよく面倒を見てあげるわ」 家から出たフィギョンはミヨンと電話で会話する。 フィギョン「はいお母さん。ソンイを家に連れて行こうと出た途中です。はいおかゆも食べて。はい、心配しないでください。はい。・・・(電話を切り)ハァ〜、悪い奴」 ユンジェへのお願い ソンイが家に帰るとユンジェが反射望遠鏡を磨いていた。 ソンイ「なによ?それはト・ミンジュンさんのものなのに」 ユンジェ「ミンジュンヒョンがくれたんだけど」 ソンイ「これを?あんたに?どうして?」 回想 ユンジェ「ヒョン、どうして呼んだんですか?オレを?」 ミンジュン「あ〜、ヒョン旅行にちょっと行くんだが」 ユンジェ「オレが考えている旅行に行くのですか?」 ミンジュン「ん?」 ユンジェ「自転車が必要ですか?前にカゴが付いてるの?」 またETのポーズをするユンジェ。 その手を押さえて。 ミンジュン「そんなんじゃなくて・・・とにかくちょっと長い旅行になりそうなんだがおまえにお願いをしたくて」 ユンジェ「はいおっしゃってください。どんなお願いでも」 ミンジュン「ヒョンがいない間姉さんの話をよく聞いて心配をかけずに姉さんがしろというとおりにチョットして」 ユンジェ「それはちょっと、どんなにヒョンのお願いでも・・・」 ミンジュン「望遠鏡・・・持ちたいと言ってなかったか?・・・おまえにあげるよ」 ユンジェ「2つとも?」 ミンジュン「2つとも」 ユンジェ「姉さんが死ねといえば死にます!!」 態度を急変させるユンジェ。 ミンジュン「フフ、そうだな。姉さんを辛くさせずに、おまえがそばでしっかりとよく守ってくれ」 しっかりとうなずく。 ユンジェ「ありがとうヒョン!オレ、ヒョンを一度だけ抱きしめていい?」 ミンジュン「いや絶対にダ(メ)・・・」 話し終わる前にユンジェに襲われるミンジュン。 (回想終わり) ソンイ「何よ。あちこちにわたしをお願いして行ったわ」 ユンジェ「ところでオレのミンジュンヒョンの旅行はいつ終わるんだ?どこに行かれたんだ?」 映画の撮影現場。 ソンイが今日も電話を切っているとのADからの報告を受け激怒する監督。 監督「なんだ〜!!!個人的事情があるって2週間あげればいいだろ?これは近頃また状況が良いから昔の癖が出てるんだな。これはそのままさくっと切リ捨てて・・・」 『ちょっと待って』とメイク担当に言い監督のところへ行くセミ。 セミ「監督、ソンイ切られるのですか?」 監督「え〜っ?」 セミ「考え、すごく良くされました。そうでなくても最近チョン・ソンイを待っているとの記事が浮かんで人々の反応もそうだし(台本の)修正稿もソンイ側に集まっているようだし、正直わたしそうなんです。この際ソンイをさくっと切って行ってください。わたし一人でも興行どうにでもなるでしょう。まさか滅びますか?」 監督「ハハ、それは切ってやるではなくて良くしてあげたいということだよ。セミさんチョン・ソンイと連絡できない?友達じゃない?」 セミ「親しくないんです」 この会話はもちろんセミのソンイに対する気遣いで逆説的手法でソンイのクビを防いだのだ。 美容室にいるホン社長。 美容師「どういたしましょう?」 ホン社長「短く切ってください」 これ以上切るのかと驚く美容師。 ホン社長「髪の毛を切りつつ未練も切りたくてそうするんです」 また男?と今回の理由を聞く美容師。 ホン社長「わたしなりの恋の駆け引き中だった男性なんです。たとえ駆け引きはなくてもガンガン、ガンガンと引っ張るだけはしていたんですが信じていた友人女性と・・・ハァ〜わたしがその恋愛相談もすべてしてあげたんですよ。わたしのおかげでうまく行ったわけです」 悪い女だという美容師。 さらにそこまでではないと答えるホン社長に男と破局するたびに髪を切っていたらと忠告する。 すると突然サングラスを掛けたソンイが隣の席にどかっと座る。 反射的に『いらっしゃいませ』という美容師。 ホン社長「また何よ?」 息を呑む美容師。 ソンイ「わたしも切ってください。違うわ。剃ってください!クリクリに」 ホン社長「ちょっとあんたはダメよ。短い頭はだれでもするものだと思うの?土台に自信があるときにするのよこのスタイルは。あんたは長い髪が(あんたの)半分なのに、ダメよ!」 小さくため息をつくソンイ。 セミの慰め 家に帰りホン社長の話に大笑いするソンイ。 ホン社長「ちょっとそれがそんなに笑える?」 ソンイ「笑えるじゃない、買わないわ・・・すごくト・ミンジュンらしい」 お腹を抱えて笑うソンイ。 その夜どんなに泣いたかと言うホン社長。 ソンイ「ト・ミンジュンの表情がどうだったか、ホント」 笑い続けるソンイ。 そして『もっとして』という。 ホン社長「何を?」 ソンイ「もっとして、その人の話」 ホン社長「わたしが何の思い出があって話すのよ?それがすべてよ」 ソンイ「それならまたして、買わないわっていうその話」 今度は泣き出す。 ホン社長「チョン・ソンイ、ソンイ。あんた泣いてる?ハァ〜」 そこに誰かが訪ねてくるセミだ。 セミ「ポクチャ(福子)、久しぶりね」 ホン社長「わたし改名して10年になるのよ。ヘインと呼んでくれるお願いだから」 ソンイを見る。 セイ「どうしたの?」 ホン社長「ト・ミンジュンさんのせいで」 小声で話すホン社長。 セミ「ちょっとチョン・ソンイ!監督が明日も出てこないならクビにするのよ。明日の撮影スケジュール表よ。わたしがこんなことまでしなきゃなんないの?」 しゃくった後。 ソンイ「セミあんたないの?あんたもト・ミンジュンさんに会ってたじゃない。その時に面白いことはなかったの?ただどんな話でもいいから何でもちょっとしてよ、ねえ?」 また泣きじゃくるソンイ。 ベッドに移って仰向けになり目を瞑っているソンイ。 『ト・ミンジュン!私の部屋にちょっと来て見て!』とつぶやく。 するとドアが開く。 パッと反応して起き上がるが入ってきたのはセミだった。 セミ「何してる?」 再び仰向けになるソンイ。 力なく『別に』と答える。 セミ「チョン・ソンイであってるの?」 ソンイ「どのくらいかかるのかな?その人の話をしても辛くなくなるには?そんな日が来るには来るのかな?」 セミ「思いが出るとき辛くないのよ」 ソンイ「何の話よ?」 セミ「あなたは今すべてその人の思いだけじゃない。思い出さない時がないじゃない。思い出さないのがもっと難しいじゃない。だけどある瞬間になればその人の思いがふと出て、あ〜わたしが今他の思いに陥ってその人への思いが出たんだな〜と思うの。その時になれば辛くないのよ。時折は他の思いをすることもあるんだから」 ソンイ「あんた何かの名人の境地にいるみたいね。そのためにはどのくらいかかる?」 セミ「15年」 ソンイ「からかってるの?」 セミ「わたしは15年かかったわ。辛くないわもう」 作り笑いを浮かべるセミ。 ソンイ「あんた辛かったわね。はぁ〜本当にそんなに長くかかるなら、ハァ〜、私はどうやって生きる?」 ミンジュンの家の書斎 ソンイ『セミの話は合ってるわ。わたしは今その人を思っていることよりしないことが難しいです。それで一緒に行ったところに一人で行き振り返って恋しがり、その人の痕跡を探して・・・待っています。その人を。そしてその日が来ました。わたしたちが約束した100日。約束の場所は南山タワー』 南山タワーで 一人テーブルに座るソンイ。 何人か人が行き来するのを見ている。 すると誰かが同じテーブルの椅子に座る。 ミンジュンだ。 微笑むミンジュンを見て笑みを浮かべつつ涙するソンイ。 ミンジュンの幻はすぐに消えてしまいソンイも席を立つ。 外にある二人の錠を眺める。 再び書斎 ソンイ『この時からだったようです。その前は錯覚だと思っていたんだけどほんとにその人を見たような気分になったんですよ。いえ見たんです。その人を。ト・ミンジュンを。だけどこれってほんとに話にならないじゃない。わたしがだんだん狂ってきてるのでしょうか?』 解離現象? チャン弁護士と会話するソンイ。 チャン弁護士「わたしもおんなじです。気がどんなになっているのか。この前なんて・・・」 先日のことを思い出しソンイに伝えるチャン弁護士。 回想 チャン弁護士「もう全て良いようですね。わたしも安心です」 例の草に水をやるチャン弁護士。 すると『チャン弁護士』とミンジュンの声がする。 『はい?』と慌てて振り返るチャン弁護士。 するとそこにはミンジュンがいた。 『先生』と手を伸ばした瞬間ミンジュンは消えてしまう。 (回想終わり) 互いに笑うチャン弁護士とソンイ。 ソンイ「わたしもおかしくて病院に行ったのですが何かの急性ストレスによる解離現象?まあそんなのなんですって。再び見られない所に行くというのは愛する人が死ぬことと同じストレスを与えるんですって。多分チャン弁護士にもト・ミンジュンさんがそのような人だったようですね」 小惑星発見 ユンジェ「母さん、オレが発見したの新しい小惑星だった」 ミヨン「なに?」 ユンジェ「オレがオレのミンジュンヒョンの望遠鏡で発見したのは、それがオレが初めて発見した小惑星だったんだよ」 ミヨン「どういうことよ、それ?」 ユンジェ「一度観測した時オレもこれなんだ?と思ったよ。だけど何度かず〜と観測したんだけど継続して見えるんだよ。それで位置、明るさ、公転サイクル、これを全部はっきりさせ報告したんだけど国立天文学連盟から臨時番号を受けたんだ」 ミヨン「なによ?わたしは何のことだかひとつもついていけないわ。それでこれはいいことなの?」 ユンジェ「いいことだろ!」 ミヨン「どうして?」 ユンジェ「オレが発見した小惑星にオレが名前をつけることができるってことなんだよ!」 ミヨン「そう?例えるならヤン・ミヨンこのように?」 ユンジェ「いやト・ミンジュン星」 ミヨン「何よ!その外界人(宇宙人)だか詐欺師だかあんたの姉さんを滅ぼしといて飛んでった奴の名前をどうしてつけるのよ?」 ユンジェ「ヒョンは旅行中なんだよ。とにかく必ずなればいいな。これ確定するには3年程度かかるんだけど・・・」 ミヨン「3年間も?まったく〜いつのことだか」 興味のないミヨン。 3年後。 例の看板はセミからソンイに変わる。 期せずして奪われたナンバーワンの地位をソンイが奪還したようだ。 インタビュアー「チョン・ユンジェさんはわが国で21番に新しい小惑星を発見した方ですが発見3年を経て国際天文学連盟で正式認められ本人が直接小惑星の名前までつけることができるようになられました。現在大学生なのですか?」 ユンジェ「鷺梁津(ノリャンジン)で三浪中です」 ※鷺梁津は浪人生や司法試験を準備している人たちがこもる考試院がある場所 インタビュアー「あ、はい」 当惑するインタビュアー。 続けて。 インタビュアー「小惑星の観測や報告など一年に渡り要求されたと聞きましたが一般人には難しいことをどうやって可能にしたのですか?」 ユンジェ「わたしのメンターである方、わたしが最も尊敬する方が多くの助けとなりました」 インタビュアー「もしかして今回の小惑星の名前?」 ユンジェ「はいそうです。わたしが発見した小惑星の名前はト・ミンジュンさんです」 インタビューが終わるとホン社長が出てくる。 ユンジェ「店でも見てないと。どうしてついてきたんだ?」 ホン社長「けれどそばに世話してくれる誰かがついていれば人がいるようにみえるのよ(人望があるように見える)次のインタビューの場所に移動しましょ!」 すっかりマネージャー気分のようで記者からの電話をマネージャーと名乗りつつ出てすぐに出発しますと言っている。 ユンジェ「行けよ、それじゃあ」 ユンジェの腕を捕まえるホン社長。 ホン社長「姉さん(わたし)の店この頃安定的によく回っているのよ。わたしのユンジェはこのまま薫りをプンプン漂わせながら良く育って姉さんに来なさいね」 ユンジェ「オレは行き当たりばったりの暮らしをしたくない!」 提案を拒否するユンジェ。 ホン社長「まったく、駆け引きね!」 相変わらずの勘違い女だ。 パク刑事とユ検事。 ジェギョンのうわさ話をしている。 反訴を放棄したらしいとパク刑事。 つい先日担当刑務官が要求して今は保健室にいるそうだとユ検事。 なんでも自分が殺した人が何度も現れると言っているようだと。 パク刑事「反社会的人格障害を持つ人々が自分の犯した罪が世間に明らかになって。何の出口も表示されない双極性感情障害に苦しむことがあるんですがまさにそんなケースです。ところで少し前にイ・ジェギョンが言ったそうです。ト・ミンジュンを見たと。ほんとに狂ったんだね」 ミンジュンの幻ふたたび ソンイの撮影現場。 フィギョンがやってくる。 フィギョン「これはまあ、今の時点で人の多さが冗談じゃないな。このドラマ評判がいいな」 ソンイ「わたしが変な噂をひとつ聞いたんだけど、今回の作品制作費の半分を出したのがあんたの会社だって」 フィギョン「あ〜、そうか?そんなこともあるだろう。ウチの会社近頃投資をたくさんしてる」 ソンイ「これは偶然なのかな?もう5作品だけど。わたしの作品のたびにあんたの会社が投資するの」 フィギョン「そう?5作品もそうなのか?オレは全然関与してるかわからないんだけど。これは偶然じゃなくて運命じゃないか?」 そこにバツの悪いことに制作会社のスタッフが『チーム長!』と言い挨拶にやって来る。 フィギョン「はい、まあ通りすがりに」 ごまかすフィギョン。 けれど何の注文もなしにしてくださるからどんなに感謝してるかわかりませんとフィギョンの関与を露わにする挨拶をするスタッフ。 そしてトドメにいつもしてくれる差し入れのお礼までするスタッフ。 ソンイ「関与をしない?運命なの?」 突っ込むソンイ。 ふと人混みを見るとそこにミンジュンがいた。 急に席を立ち『ト・ミンジュン』と連呼し放心気味に近づいて行き泣きながら探す。 けれどそこにミンジュンはいなかった。 フィギョン「やめろ、ソンイ落ち着け」 ソンイを抱き制止するフィギョン。 会いたい・・・ 家でメイクをしてもらってるソンイ。 そこに両親がやって来る。 ミヨン「あんたどうしたのよ?撮影場でどうして泣いたの?いや重要な授賞式のまえにどうしたのよ?」 父「大丈夫か?」 ソンイ「パパ」 父「ああ、なんだ?」 ソンイ「会いたい・・・」 涙を流すソンイ。 メイク担当「姉さん泣いちゃダメなのに・・・」 ソンイ「会いたくて、触れたくて、一緒に居たくて死にそうよ・・・」 号泣するソンイ。 周りもいたたまれない。 2017大韓民国映画祭の授賞式。 レッドカーペットを次々と俳優が歩く。 セミがやってきた後はソンイだ。 圧倒的な歓声とフラッシュを浴びるソンイ。 少し階段を登りフォトブースでポーズを取る。 すると程なくして時間が止まる。 けれど自分の時間は止まってないことに気づくソンイ。 ふと観客のいる場所を見ると動いている人がひとりいる。 ミンジュンだ。 フォトブースから踊り場に移動しミンジュンと向かい合うソンイ。 自分のコートを着せるミンジュン。 ミンジュン「わたしが言ったのにこんなにやたらに穴の開いたの(ドレス)を着て・・・歩きまわったりしないでといっただろ?」 信じられない目でミンジュンの頬に触れるソンイ。 ソンイ「ト・ミンジュン?」 ミンジュン「そうだ、わたしだ・・・わたしだって」 ミンジュンに抱きつくソンイ。 ミンジュン「すまない、すごく遅くなったよな?」 うまく言葉が出ないソンイ。 そんなソンイに激しいキスをするミンジュン。 するとふたたび時が動き始める。 周りは驚き歓声を上げる。 そしてカメラマンは矢継ぎ早にシャッターをきる。 激しいキスをする二人。 その様子はモニターにも映し出される。 書斎の二人 ミンジュン「完全に帰ってきたのかって?どのように説明してさし上げるべきでしょうか?」 ソンイ「帰ってくることは来ました。けれどまもなく消えたんです」 キスのあと キスをしていたはずのソンイとミンジュンだったがいつの間にかミンジュンは消えていた。 ソンイにかけたコートを残し。 ふたたび書斎 ミンジュン「3年前こちらを離れる時わたしはどこかに吸い込まれていきました。別名ワームホール。そちらに戻ってすべてのものを回復した後また戻るために努力しました。どうせわたしにはそちらでの長い長い時間が必要なかったのです。地球での短い時間だけ必要だったんですよ。(ミンジュンの手を握るソンイ)何度もの試みの末に初めて成功した時、留まることができた時間は5秒から10秒余り。(南山タワーに言った時)その時が初めての成功でした。もちろん言葉一つ掛けてみることができず消えなければならなかったけれど・・・」 ソンイ「わたしが見間違ったんじゃなかったんです。もちろん狂ったのでもなかったし」 ミンジュン「二回目に成功した時は言葉ひとつ掛ける時間はありました。それがチョン・ソンイではなかったのが惜しかったですが」 それはチャン弁護士がミンジュンに会ったと錯覚したと思った時だった。 ミンジュン「その後も数多くの試みをして数多くの失敗をしました。成功したものの意図せずに誰かを恐怖に震え上がらせたこともありましたよ」 ジェギョンのいる監獄に飛んでしまったミンジュン。 狭い監獄の中をウロウロして落ち着かないジェギョン。 振り向くとミンジュンがいた。 ジェギョン「ト・ミンジュン、おまえ!!」 恐怖に目を見開くジェギョン。 ミンジュン「完璧に全て失ったか?金、家族、名誉、おまえの(まわりの)人々。確認しに来た」 壁によりかかり崩れ落ち頭を抱えるジェギョン。 ミンジュン「重要なのは、留まる時間がだんだんと伸びているということです」 ソンイ「はい重要な事実です。今回は1年と2ヶ月留まっているんですよ」 ミンジュンに寄り添うソンイ。 家に戻ってくる道を探すウサギ 二人、ミンジュンの部屋のカウチで並んでまったりしている。 ミンジュンの体調のバロメーターになっている草は青々と茂っている。 本を読んでいるミンジュン。 ソンイ「完全に幸せだわ」 その刹那ミンジュンが消えてしまう。 その様子を見た後何も言わないまま天窓の外に煌く星を眺めるソンイ。 ミンジュンが寝転んでいたカウチには読みかけの本が開いている。 その本にはこう書かれていた。 『昔・・・不思議にも家に戻ってくる道を探すウサギがいたそうです』 第21話エピローグ 書斎で一人語るソンイ。 ソンイ『予告もなく急に消えてしまうこと大変じゃないかって?もちろんそうだけれど、それでもっと愛することができたりもします。今わたしの前にいるその人の姿が最後かも知れないと考えれば・・・その瞬間が、本当に大切に感じられるんですよ』 ベッドの左側で一人寝るソンイ。 右側にいるはずのミンジュンはいない。 けれど朝になるとミンジュンは枕に肘をついてソンイを眺めていた。 目覚めるソンイ。 ミンジュン「帰ってきたよ」 笑みを浮かべミンジュンの胸に抱かれるソンイ。 THE END |