星から来たあなた
第19話

プロローグ 朝鮮時代 ホ・ギュンと

ホ・ギュンから書の入った壺を受け取るミンジュン。

ミンジュン「蛟山(キョサン)ホ・ギュン先生の名声は山中に一人住むわたしであってもよく聞いていましたが・・・どうしてここまでわたしを訪ねて来られたのでしょう?」

ホ・ギュン「わたしが小説を一遍執筆中なのです。主人公がホン・ギルドンという者なのですが道術に長けておりその道術により困難な民を助けるそんな人物です」

ミンジュン「それで?」

ホ・ギュン「先生におかれては道術を使うと聞きました。どうにも小説の中の人物は実際の人物でなく虚構であるため実際にその道術を使う方にお目にかかってその奇異な光景を直接見て小説に入れて出したい欲心で、難しくも噂を頼りにこうしてお伺いするに至りました」

笑みを浮かべて消えて見せるミンジュン。

ホ・ギュン「ハッ、ホ〜ル!(感嘆を表す現代の若者言葉)恐ろしくどうなさってるのですか?」

ミンジュン「こんなのをおっしゃって?」

『God!』と慌てふためくホ・ギュン。

ホ・ギュン「さすがに、さすがに驚きました。夢か現か一度触ってみても・・・」

ミンジュンをつねる。

ミンジュン「あ」

ホ・ギュン「あああ・・・わたしは遁甲法とか縮地法キョンゴン術のようなものを研究中なのですがたった今お見せになった東海にパッと西海にパッとこれはどんな道術で可能なのですか」

ミンジュン「わたしは道術を使うものではありません」

座るミンジュン。

ホ・ギュン「いやいや、これが道術でないならその特別な存在であることは間違いないようです。わたしの小説の中に出てくる人物とも通じる面があって」

ミンジュン「そうではありません。先生の小説の中の主人公は義侠心が強く自身が持つ才能で多くの人々を救うのかも知れませんがわたしは違うということのためです」

ホ・ギュン「理由をお伺いしてもよいでしょうか?このような才能を隠していないような存在として隠れ住んで(居るのを見るに)世間に出て困難な民を救い希望をもたらしたほうが・・・」

ミンジュン「わたしの正体を現しながら助けてあげたことがありましたが彼らにはわたしは自分とは違う怪物であっただけです。それでそんな愚かなことはしなこととしました」

ホ・ギュン「もしも先生が心から愛する人のためなら?その人のためであっても正体を現して救いませんか?」

ミンジュン「残念ながらわたしには心から愛する人がいないのですが」

ホ・ギュン「今はそうであってもこの広い世界に長い歳月生きてみれば数えられないほどの人に会うのでしょうが、そんな人の一人くらい現れることもあるのではないですか?」

ミンジュン「そんなことはないはずです。それにひとつ。わたしはいつまでもここで身を隠す存在ではありません。時が来れば本来いた場所に戻ることになるはずです。なのでどんなに長い歳月広い世界に生きて数えられないほどの人々に会うようになるとしても、その誰かにこの心を投げられるわけはないのです。わたしはそんなに愚かではありません」

一応納得して聞くホ・ギュン。

日記『今回戻る機会を逃すことになるならばわたしはもしかしたらここから消えることになるだろう。遠からず・・・死ぬことになるだろう』

ミンジュンの日記をこっそり読んでしまったソンイ。

旅行先で『大丈夫』と笑みを浮かべていたミンジュンを思い出す。

もう一度日記帳に目を落とすソンイ。

『遠からず・・・死ぬことになるだろう』との文字に日記帳を抱えて涙する。

ソンイとチャン弁護士

車の中でチャン弁護士を待ち伏せしていたソンイ。

二人ソンイの車に乗る。

ソンイ「お父さま」

チャン弁護士「違います。父親じゃないことはご存知じゃないですか」

ソンイ「ト・ミンジュンさんが言ってたんです。本当の父親のような方だって。以前にト・ミンジュンさんが具合が悪かった時におっしゃったじゃないですか、3ヶ月後には戻らなければならないって。そのときどうしてそうおっしゃったのですか?ト・ミンジュンさんどこに戻るのですか?」

チャン弁護士「すべてご存知なのではないですか?」

ソンイ「いえ、わたしはまだ現実がやって来てないんです。ト・ミンジュンさんが目の前から消えてしまったのに急に現れたりもして。そんなのをすべて見ても他の星の人だなんて・・・わたしはまだ信じられないんです。それなのにさらには自分の星に帰らなければならないだなんて」

チャン弁護士「事実です」

ソンイ「ハッ。ト・ミンジュンさんわたしに言ったんです。戻らないって。戻らなくても大丈夫だって。だけどわたしがト・ミンジュンさんの日記帳を見てしまったんです。そこにこのように記されているんです。戻らなければ死ぬって」

チャン弁護士「すでに以前とはとても変わられました。寒い暑いということはまったく感じられることのない方だったのに近頃はしきりに寒さを感じられて持っていた能力も急に消えてしまったり」

ソンイ「それで本当に帰らなかったら死ぬのですか?それなら彼は死ぬかもしれないのにわたしのそばにいると言ったのですか?どうして・・・」

チャン弁護士「それほどまでにチョン・ソンイさんをとてもお好きだから・・・チョン・ソンイさんが先生を好きになるはるかに以前からとてもお好きだったんです。チョン・ソンイさんが知ってること、はるかにそれ以上にとてもお好きだったんです。チョン・ソンイさんの心が傷つくのが嫌でそのようにならないようにとすごく努力されました。わたしも何度も止めてみましたがどうですか?自分の命まで差し出してそばにいたいんじゃないですか・・・」

フィギョン号泣

とある部屋をノックするミンジュン。

けれど開かないため周りを見た上で中に瞬間移動する。

そこには酒に酔ったフィギョンがいた。

ミンジュン「なんだ?人に来いと言っといて」

フィギョン「あぁ、ハ〜イ、オレたちのト・ミンジュンさんだね。さすがドアを開けてあげなくてもさっと入ってきてすごいね。ところでオレたちのト・ミンジュンさんは正体は何なんだ?一体?魔法使いなのか?」

ミンジュン「そんなことを尋ねようと来いと言ったのか?」

フィギョン「あんたの能力はどこまでだ?12年過ぎたのに顔もそのままでとんでもなく早く動くこともできて手も付けずにドアを通過することもできて。オレが15年か粘り強く愛してきたのに得ることができなかったチョン・ソンイの心も得ることもできて・・・全て持ってるじゃないかト・ミンジュンさんは。あんたがうらやましい」

ミンジュン「わたしはおまえが羨ましい」

フィギョン「ハッ、オレが羨ましい?ハハハ。オレは肉親がオレが愛する女性を殺そうとしてオレの上の兄さんを殺したんだ。その日上の兄さんが死んだ日・・・」

回想。

ジェギョン「フィギョン、これ上の兄さんの部屋に持ってってくれるか?」

オレンジジュースを差し出すジェギョン。

『OK』とフィギョン。

(回想終わり)

フィギョン「オレがオレの手で上の兄さんに・・・それを持ってってあげたんだオレが・・・」

号泣するフィギョン。

ミンジュン「おまえの過ちではないぞ」

フィギョン「世間の人達にすべてのことを全部明らかにしてしまったら父さん母さんどんなに苦しまれるだろうか?ウチの家はどうなるんだろうか?」

ミンジュン「気持ちはわかるがこのまま覆うことはできない。すでにイ・ジェギョンはイ・フィギョンさんに対して悪い感情を抱いてそうしたならチョン・ソンイを再び揺さぶることもある」

フィギョン「それであんたを呼んだんだ。オレはどうすべきなのか。オレがこんなことを尋ねるのがあんただということに・・・すごく嫌だけど・・・答えてくれ。オレがどうすべきなのか?」

メモ

家に帰るミンジュン。

ソンイ「今日はすごく疲れて、ただ帰るわ。ト・ミンジュンさんわたしたち明日会いましょ」

ソンイからの置き手紙があった。

ミンジュン「そうだな、明日会おうチョン・ソンイ」

つぶやくミンジュン。

ソンイがいればこれから渡すはずだった指輪を取り出すミンジュン。

チャン弁護士とのさっきの会話を思い出し洗面台で涙するソンイ。

ミンジュンに泣き声を聞かれないように水を流したままにしている。

フィギョンの脅し

ジムで汗を流すジェギョン。

女性二人がジェギョンの噂をしている。

S&Cの後継者で彼目当てで女性がたくさん来ること、人間性も良いことなどだ。

スマートフォンで電話を受けるジェギョン。

『助けてくれジェギョン』というハンギョンの声が聞こえる。

ルームランナーを止め『だれだおまえ?』とジェギョン。

その後場所を移しスマホで電話をする。

ジェギョン「おまえト・ミンジュンか?」

フィギョン「いやオレだ。あんたが殺したイ・ハンギョンの弟イ・フィギョン」

ジェギョン「フッ、フィギョン。おまえ何を持っているんだ?兄さんがもっと説明してやるよ。おまえ今どこだ?」

ミンジュンがフィギョンに会いに行ったところへ行くジェギョン。

ノックすると酔っ払ったフィギョンが出てくる。

ジェギョン「兄さんがちょっと入っていいか?」

中に入り座るジェギョン。

ジェギョン「飲まないのに酒を多く飲んでるんだな、オレの弟。その女がくれたのか?ヤン・ミンジュ?どこからそんなのが出てきたのか。ハッ、全然知らなかったな。7年間そのように罰を与えたというのにわたしをまんまと騙したぞ。チッこうだからオレが良い心をいだけないんだよ。気に入らない時にすぐ処理しないとことがいつも煩わしく絡むから」

フィギョン「それでそうしたのか?上の兄さんもハン・ユラも。何人でもさらにそうしたのか?」

笑うジェギョン。

セミの部屋ではミンジュがやきもきしている。

そこにフルーツを持ってくるセミ。

ミンジュ「セミさん、フィギョンさんと親しいでしょ?わたしが余計な話をしてフィギョン危険にさせたんじゃないかと」

セミ「それはどういうことですか?フィギョンがどうして?」

その後フィギョンに電話をかける。

ジェギョンがフィギョンの髪をなでる。

ジェギョン「兄さんはおまえに何の遺憾もないんだ。おまえが話しさえうまくすればおまえには何もしない」

そう言ったかと思うと振り向いて麻酔銃を突きつける。

ジェギョン「さっき兄さんに聞かせたのは何だ?どこにある?」

フィギョン「知らない」

ジェギョン「チビ、おまえがもしここで兄さんの話を聞かなければおまえは酒を飲んで麻酔銃で自殺する悲運のS&Cの王子になるぞ。これはおまえの名義で購入したんだ。オレは一歩遅れてこのホテルにおまえを会いにやって来て急いで病院に移してみるが救えないようになるんだよ。 どこにある? 録音ファイル。それとヤン・ミンジュ。いいわその程度探してみるのはおまえがいなくなった後でも可能だ」

引き金を引くジェギョン。

実際には引く前に銃が消えてしまう。

ジェギョンが振り向くと銃口は自分に向けられていた。

銃を持っているのはミンジュンだ。

ジェギョン「あ〜おれの弟は支援軍を呼んだんだな」

フィギョン「自主しろ」

立ち上がるフィギョン。

泥酔していたように見えたが演技だったようだ。

笑うジェギョン。

フィギョン「自首すれば少なくとも最後は刑務所で会うことにはならないはずだ。そして二度とオレの家族の前に現れるな!」

ジェギョン「ト・ミンジュン、こうはしなかったんじゃないのか?大きく間違っているぞ今」

ミンジュン「したい話は人の前でしろ」

ジェギョンの胸ぐらをつかみ消えてしまう。

ジェギョンの終わりと仕掛け

エレベーターが開きジェギョンを投げ出すミンジュン。

するとジェギョンの前にはユ検事がいた。

ユ検事「イ・ジェギョンさん。あなたを殺人罪、殺人教唆剤、拉致監禁剤の罪で緊急逮捕します」

ジェギョン「いま失敗をされたようですが・・・わたしの弁護士を呼んでください。何の証拠もなく・・・」

ユ検事「ちょっと前までイ・ジェギョンさんがいた部屋にはCCTVがありました。イ・フィギョンさんが設置しておいたものです。もちろんちょっと前までの状況をすべて撮っているのです」

ジェギョン「あ〜ちょっと前にあったこと、それはただ弟を怖がらせようとしただけです。兄弟間の小さいからかいだったんです。結論的にわたしは弟に何の危害度加えませんでした。ところで殺人罪、殺人教唆罪とは?」

そこにジェギョンの部下がパク刑事によって連行される。

パク刑事「ワイヤー事故に対してイ・フィギョンさんの情報提供でイ・ジェギョンさんの随行秘書をみつけました。まったくあやうく逃すところだったよ」

そこにフィギョンもやって来て皆で外に出る。

外には大勢の記者が待ち構えていた。

ジェギョン「記者たちを呼んだのか?よくやったな。放送局も来ているのか?動画撮影もいいな。フィギョン。オレは最初からおまえに麻酔銃を撃つつもりはなかった。代わりに他の仕掛けをしておいたのさ。おまえがオレの話を拒絶できない外の仕掛け。チョン・ソンイが最も好きなワイン、シャトー・ペトリュス・・・93年産」

ミンジュン「どういうことだ?」

ジェギョン「チョン・ソンイがよく行くワインレストランに予約をしておいたよ。ト・ミンジュンおまえの名前で。チョン・ソンイはおまえが招待したと思って今そこに行っていて・・・おそらく今頃チョン・ソンイの前にワインが来てるはずだ。フフフフフ・・・自分が最も好きなワインだから見るやいなや飲んでいるんじゃないか?もちろんそれを飲んでどんなことが起こるのかはオレは知らない・・・」

ジェギョンの胸ぐらをつかみ数メートル押しそのまま柱に押しつけるミンジュン。

写真を取るなとパク刑事。

ユ検事「ト・ミンジュンさんやめてください」

ジェギョン「ハハハ、今そんな時間があるのか?今頃飲んでるのに・・・」

フィギョンが電話をかけてもつながらない。

フィギョン「チョン・ソンイ電話を受けろよ、お願いだから・・・」

ジェギョン「おまえ、うまくできることがあるじゃないか?消えてみろよ。チョン・ソンイを助けるならその方法だけのようだが。あ〜確かにダメかな?そうだな。見てる目がすごく多いなフフフ」

怒りが頂点に達したミンジュンはジェギョンを記者の方にぶん投げる。

そして一瞬時間を止め瞬間移動をする。

記者たちはミンジュンが消えたと大騒ぎを始める。

パク刑事が見てないといくら否定してもダメだ。

ジェギョン「ト・ミンジュンはチョン・ソンイを救えないはずだ」

怒りが頂点に達したフィギョンはジェギョンを殴る。

フィギョン「おまえは人間か?殺してやる!殺してやる!!」

薄ら笑っているジェギョン。

ソンイ倒れる

瞬間移動してソンイのいるワインレストランへ行くミンジュン。

けれど着地を失敗してテーブルを破壊してしまう。

騒然とする周囲。

ソンイはさほど驚きもせずゆっくりと振り返り笑みを浮かべる。

ミンジュン「大丈夫か?」

ソンイ「うん。ところで今どうやって来たの?人がジロジロ見てるじゃない」

すでに空いているグラスに目をやるミンジュン。

ソンイ「あ、ところでわたし体がちょっと変・・・」

倒れるソンイ。

周囲もソンイだと気付き倒れたと言い騒ぎスマホで写真を撮り始める。

その刹那ソンイを抱えたミンジュンは瞬間移動する。

更に騒然となる周囲。

ミンジュンは病院にソンイを抱えて行っていた。

ミンジュン「DI(薬物中毒)の患者です。ガストリック・ラベージ(胃洗浄)を準備してください」

看護師「いま先生がいらっしゃらないので少し待って・・・」

ミンジュン「そんな時間は無いって!今!」

叫ぶミンジュン。

そして自ら用具を準備する。

看護師「ちょっと、そうしてはいけません!」

ミンジュンは邪魔されないようにキャスター付ワゴンを超能力で動かし看護婦が近づけないようにする。

医師「あんたなんだ!」

医師が近づいてくる。

ベッドなどの大きな用具も動かし行く手を阻む。

医師「なにしてる?警察に早く通報して」

はいと答える看護師。

セミはネットでソンイがレストランから消えたというニュースを目にする。

セミ「ポムさん、韓国病院の応急室に行ってくれる?」

何のことかわからないポム。

チャン弁護士の事務所。

事務員「チャン弁護士、この方ウチの事務所に時々来られるその方じゃないですか?」

病院で撮影されてネットにアップされている記事を見せる。

ミヨンがソンイに会いに家にやってくるといきなりドアが空いて焦ったユンジェが出てくる。

ユンジェ「母さん、チョン・ソンイ応急室にいるって」

駆けだすユンジェ。

ミヨン「また?いやあの子は応急室にどんだけ何度行くのよ一体!今回はどうしてまた?」

応急室の二人を取り巻く記者たち。

瞬くフラッシュのせいなのかソンイが目覚める。

ソンイ「ト・ミンジュン・・・」

ミンジュン「大丈夫か?」

『隣はチョン・ソンイのマネージャーじゃないか?』と記者たち。

ソンイ「人がすごく多いわ、すごく騒がしい・・・人のいないところに行きましょ」

ミンジュン「そうだな、そうしよう」

ソンイを起こし抱え瞬間移動するミンジュン。

また消えた、どこに行った?と騒然とする記者たち。

椿の花咲く外界の惑星?

二人は椿の花咲く回廊に瞬間移動する。

小鳥もさえずっている。

うまく着地できなかったミンジュンはしたたか左手を打ち付けたようでしばらくうずくまっている。

ソンイ「ト・ミンジュンさんここはどこ?」

ようやく起き上がる。

ミンジュン「思い通りに来たな。こんなに遠くまでは初めてで心配してたのに」

ソンイ「どこなのよ?」

ミンジュン「誰も居ないところに行きたいって」

ソンイ「えっ?」

ミンジュン「ここは誰も居ない所、おまえとわたししかいない所」

ソンイ「ほんとうに?」

ミンジュン「誰も探せないはずだ」

ソンイ「ここ、もしかしてト・ミンジュンさんの星なの?外界の惑星まさにそんな所?」

ミンジュン「うん」

ソンイ「ほんと?ほんとに?」

ミンジュン「そうだって」

ゆっくり歩いてみるソンイ。

ソンイ「そうだけどわたし大丈夫なの?体も今浮き上がりそうにないわ・・・(ふりかえり)わたしほんとに大丈夫よ。息も吸うことができて体も浮かずに。わたし大丈夫よト・ミンジュンさん!」

ミンジュン「馬鹿なのか?」

ソンイ「えっ?」

ミンジュン「ここがどんな外界の惑星なんだ?そこがどんなに遠いのかわかって言ってるのか?」

無表情なリアクションを取りつつミンジュンの横に座るソンイ。

ソンイ「いいえ」

さっきの問いに答えるソンイ。

ミンジュン「そうだろう、それで外界の惑星だったらどうするんだよ?」

ソンイ「何をどうするって?生きないと。わたし息さえできるなら生きられるわ。わたしは適応力も早くてわたし程度の美貌ならト・ミンジュンさんの星へ行っても落ちないわ。人気が出るはずよ、そこでも。何をしてでも食べて生きるわ」

呆れるミンジュン。

ソンイ「それならここはどこなのよ?」

海の見える場所に来てはしゃぐソンイ。

ソンイ「わ〜、わ〜、わ〜、ここにわたしたちだけいるって?ここにわたしたち二人だけいるって〜!警察もいなくて記者たちもいなくて人もいなくて誰も居ないって〜!わたしはチョン・ソンイよ〜!わたしを捕まえてみなさいよ〜!」

海に向かって叫ぶソンイ。

ミンジュンの肩に手を置く。

ソンイ「この子は外界人(宇宙人)なんだけどこの子も捕まえてみなさいよ〜!わたしたち二人ここに一緒にいるわ〜!わたしたちここで一緒に生きるわよ〜!ここでわたしたち二人だけでしっかり生きるわよ〜!」

肩でミンジュンを小突く。

ソンイ「ト・ミンジュンさんもしなさいよ」

ミンジュン「何を?」

ソンイ「しなさいよ、わたしのように」

咳払いを一つして。

ミンジュン「しっかり生きるぞ、わたしたち二人だけで〜!」

ソンイ「そうするわよ!どうすんの〜!フフフ」

そんなソンイの手を握るミンジュン。

ソンイ「いいわ〜!」

愛してる・・・

海に向かって叫んだ後手を洗うソンイ。

ミンジュンがハンカチを出し肩に自分のコートを掛ける。

ソンイ「わたしたち写真撮る?」

ミンジュン「なんで?」

ソンイ「撮りましょうよ、わたし手も洗ったのに。ト・ミンジュンさんスマホあるでしょ?ちょうだい」

こうして写真を撮る二人。

散策を続ける二人。

ソンイ「あ〜、木が特異ね」

ミンジュン「連理の枝。木の二株の根元が絡まってひとつの木のように育つんだ。これは椿の木あれはヤブニッケイ(藪肉桂)の木」

ソンイ「へ〜、同じ木同士じゃなくて種類も違うのにそれが可能なのね。羨ましい。いずれにしろ死ぬまで一緒にいるんじゃない・・・わたしたち写真撮る?」

ミンジュン「また?やめよう」

ソンイ「残るものは写真しかないのよ」

そしてまたツーショットを撮る。

ソンイ「今頃大騒ぎが起きてるわね」

ミンジュン「おそらく」

ソンイ「あるじゃない。ト・ミンジュンさんの星とここ地球の時間が異なって流れてて・・・わたしたちここでもそんなのをしましょ。ここでわたしは全国民の憎しみを受けるチョン・ソンイではなくト・ミンジュンさんは正体を明かしてはいけない外界人ではないわ。なんの関係もないわ。だからわたしたちがここにいる間は外の世界のことを心配するのやめましょ」

黙って頷くミンジュン。

ソンイ「ト・ミンジュンさん」

ミンジュン「ああ、チョン・ソンイ」

ソンイ「愛してる・・・あなたがこの星で生きるといえばわたしもこの星で生きてたいしあなたが他の星に行くといえばわたしも付いて行って生きたいほど・・・愛してる」

右手ではミンジュンの手を握り左手でミンジュンの頬に触れる。

ソンイ「あなたが今すぐにでも消えてしまいそうで不安だけれどわたしたちがこうして一緒にいる時間を永遠に止められるならわたしの魂でも売りたいけど・・・こんな私の心がとてもつらくて時々あなたに会っていなければ・・・こんな考えもするけどけれど、時間を戻してもわたしはまたあなたに出会ってああだこうだと喧嘩してあなたに惚れてしまって愛するわ」

ソンイの涙を親指で拭い『そうだな』と一言で答えるミンジュン。

ソンイ「なによ?わたしがこんなにまで言ったのに『そうだな』で終わりなの?女性が恥ずかしさを押し切って話をしたらもっともらしく答えてよ・・・」

ソンイにキスするミンジュン。

その後『あ〜、う〜、まったく!』と卒倒したミンジュンを運ぶソンイ。

手のひら返し

ソンイの前所属事務所。

アン代表に1位から10位までがソンイとミンジュンの話題で持ちきりだというスタッフ。

その話を聞いてこの人間はがいつかしでかすのではないかと思っていたと言うアン代表。

けれどポムはこの件で埋め尽くされているからそうなんでしょうと言いジェギョンがハン・ユラ事件のことで緊急逮捕されたからソンイ姐さんはいつでも戻ってくればすぐに再起しますよと述べる。

そうかとこの時点ではまだアンチソンイなアン代表。

けれどまだうちの所属だと思って広告主からの問い合わせがひっきりなしだとスタッフが言うと態度を豹変させる。

ポム「とにかくうちのソンイ姐さんはスキャンダルと言ってもなにかクラスが違いますね。超能力者と恋愛だなんて完全に神秘に見えるじゃないですか?」

アン代表「うちのソンイ、それで今どこにいる?」

完全に自分の事務所の所属だという言いぶりに変わっている。

現場に一人で行かせたことをどうしようと言い自分が出ていかなければと完全に事故完結している。

アン代表「戻ってくればすぐに接触をしなければならないな」

唖然とするスタッフとポム。

ニュースでもソンイとミンジュンが消えた話で持ちきりでそんなニュースを見ているチャン弁護士。

チャン弁護士「もう満足されましたか?お幸せに」

子作り計画

しばらくベッドで休んでいたミンジュン。

ソンイもそばに寄り添って寝ていた。

ソンイが目を覚ますとミンジュンは起きていた。

ソンイ「いつ起きたの?」

ミンジュン「さっき。疲れてるならもっと寝ろ」

ソンイ「う〜ん、いいえ」

体を起こしミンジュンの額に手を当てる。

ソンイ「熱はちょっと下がったわね」

頷くミンジュン。

ソンイ「だけど初めよりはちょっと良くなったようね。何か適応してるんじゃないの?」

振り向き窓越しに夕日に染まる海を見る。

ソンイ「わたしたち写真撮る?」

ミンジュン「また?おなかすいてない?」

ソンイ「すいてる」

ラーメンを食べる二人。

ソンイ「ところでト・ミンジュンさん。わたしたち子供を何人産もうか?」

突然のことですすっていたラーメンを吹き出し咳き込むミンジュン。

ミンジュン「えっ?」

ソンイ「いや〜、わたしたち徐々に計画を立てないと。何人がいい?ん?何人?」

ミンジュン「7?」

ソンイ「7!?7はすごく多くない?」

ミンジュン「昔はみんなそうだった。7・8は普通で、12生み出す家もありふれてた」

ソンイ「そう?それなら娘4?息子3?」

ミンジュン「娘7」

ソンイ「なんで娘だけ7なの?」

ミンジュン「わたしは娘が好きなんだ。男の子なんてうるさいだけで」

ソンイ「そう、それなら考慮してみるわ。だけどそれはわたしが勝手にできることじゃないんじゃない?息子が途中で生まれたらどうするの?」

ミンジュン「しかたないだろ。出てきたら育てないと」

ソンイ「ところで子どもたち7人も育てようとしたら今住んでいるところじゃダメなようよ。そうでしょ?」

ミンジュン「どうやら」

ソンイ「ソウル近郊や田舎のようなところ。アパートよりは住宅が良いようよ。庭のある家。わたしの叔母がピョンテク(ソウルの衛星都市のひとつ)に住んでるのよ。庭園のある家。だけど手がものすごくかかるって。まあどうしてもアパートよりはそうでし ょうね。わたしたち子犬も何匹か育てる?」

頬杖してじっとソンイを見つめるミンジュン。

ソンイ「どうしたの?」

ミンジュン「いや、わたしも庭のある家がいいようで。子犬も好きで」

ソンイ「そうでしょ?・・・ところでト・ミンジュンさんはわたしに話のようなのはないの?」

ミンジュン「ん?」

ソンイ「あ〜、ちょっと恥ずかしいこと言うけどト・ミンジュンさんは一度も自分の気持ちを話したことがないじゃない。まあ好きと言ったりいや、まあ愛してると言ったり」

笑うミンジュン。

そして。

ミンジュン「ラーメンでも食べろ」

ソンイ「わたしはすごく何度も言ったようだけど?さっきもそうだし」

聞こえないふりしてラーメンを食べるミンジュン。

ソンイ「えっ?・・・えっ?えっ?えっ?えっ?」

かと思うとラーメンを食べるミンジュンの姿をまた写真に撮る。

ソンイ「ラーメンを食べる姿がセクシーで」

ミンジュン「一日中、写真だけ撮るのか?」

笑みを浮かべるソンイ。

写真を撮りまくるのには理由がある。

フィギョンからの父への告白

留置場に入っているジェギョン。

ジェギョンを救うために令状実質審査で令状を発行させないようにしろ!これはおとり捜査じゃないか!記事を防げ!記事が出ればうちの会社の広告をすべて下げると言え!何としてでも防げ!と電話で指示を出し息巻いているイ会長。

イ会長のいる書斎にワイン片手にフィギョンが入ってくる。

会長「おまえがこうしておまえの兄さんの座におまえが占めることが出来るようだと?おまえの兄さんは大きなことをたくさんする人だ。小さな欠陥程度あったとしてもそれを口実にして打ち倒す?おまえごときが何だ?おまえの兄さんをおまえが陥れてもおまえの兄さんの持ち分はおまえに毛先一本も行かないぞ」

フィギョン「何も、何も必要ないです。わたしは今父さんが兄さんの罪を覆うなと申し上げているのです。兄さんは今まで多くの罪を犯しました。今日はソンイを殺そうとして」

会長「話になることを言え!」

激怒するイ会長。

会長「おまえの兄さんが何が不足して、あいつがこんなに持ってるものが多いのにおまえの兄さんがどうしてそうするんだ?」

頷き、持ってきたワインをグラスに注ぐフィギョン。

フィギョン「今日、兄さんがソンイに飲ませたワインです。幸いソンイは致死量を飲まなくて・・・飲みますわたしが。わたしがこれをすべて飲めばその時は信じてください。イ・ジェギョンは自分の目的にしたがって人の命を奪うのもためらわない怪物です」

ワインを飲もうとするフィギョン。

そのグラスを奪い床に叩きつけるイ会長。

会長「万に一つ、おまえの兄さんがチョン・ソンイという子に害を及ぼそうとしたとすればそれなりの理由があったんだろう。その子がそれほどのことをしたに違いない。どんな理由もなしに・・・そのような人でないわたしたちのジェギョンは」

電子音がする。

『助けてくれ、ジェギョン。ハァハァ』とハンギョンの声。

フィギョン「誰の声なのか、覚えてらっしゃいますか?父さん」

会長「いや、今おまえどんな手を?」

跪くフィギョン。

フィギョン「申し訳ありません、父さん」

ボイスペンを再生させる。

再生

ジェギョン『酔ったんじゃなくて麻痺してきたんだ兄さん』

ハンギョン『なに?』

ジェギョン『手足に力がなくなってまともに歩くのが難しくなって呼吸が息苦しくなって舌が麻痺することで結局眠りに落ちるんだ』

ハンギョン『おまえ今何を言ってるんだ?』

ジェギョン『そして高速道路の真ん中で発見されることになるんだ。飲酒運転で死亡することになることだよ』

ハンギョン『ジェ、ジェギョン!』

ジェギョン『随分前から兄さんがいなければという考えをしていたんだ。あまりにも邪魔だったんだよ。父さんはオレが兄より遅く生まれたという理由だけでオレにどんな機会も与えなかったんだ』

ハンギョン『助けてくれ、ジェギョン・・・ハァ、ハァ・・・』

(再生終わり)

イ会長は愕然として震え椅子に座り込む。

フィギョン「申し訳ありません父さん。申し訳ありません」

涙するフィギョン。

ソンイの家族の心配

ソンイの家。

ミヨン「電話もう一度してみて」

電話してみる。

ユンジェ「切れてるって」

ミヨン「いや、これって全部どんなことなの?うちのソンイを連れて一体どこに?このくそト・マネージャー」

ユンジェ「心配するな母さん」

ミヨン「どうして心配しちゃダメなのよ」

ユンジェ「オレのミンジュンヒョン、姉さんを危険に晒すような人じゃないから」

父「そうだよソンイママ。わたしも会ってみたけれど良い青年のようだったよ」

ミヨン「良い青年がどうしてソンイを連れて消えるのよ?どうして電話をしてくれないのかって」

ユンジェ「さっきニュース見なかった?死んでしまいそうな姉さんを胃洗浄して生かしたのはオレのミンジュンヒョンだって。人が騒ぎ出したからしかたなく避けたんだよ」

ミヨン「あいつが何よ?あいつが医師なの?」

父「うちのソンイがすごく好きな男性だ。変わりなく無事に戻ることを信じて待とう」

ミヨン「は〜、生きてられないわたしがホント・・・あなた服がそれ一着しか無いの?」

父「えっ?」

ミヨン「あ〜」

歌を歌って

夜の海辺を歩く二人。

ソンイ「ト・ミンジュンさんが住んでいた星はどこなの?」

ミンジュン「ここでどうやって見るんだ?」

ソンイ「ここで見られないの?それならどこに行けば見ることが出来るのよ?」

ミンジュン「どうして?」

ソンイ「べつに、わかったらと思って。南側なのか北側なのか。あっちなの?こっちなの?あっちなの?ねえ?」

思わず笑ってしまうミンジュン。

砂浜に薪をくべ暖を取る二人。

ミンジュン「寒くないか?」

ソンイ「暖かい。ト・ミンジュンさん」

ミンジュン「うん」

ソンイ「わたしたち、夏のたびにここに来ましょ」

ミンジュン「そうしよう」

ソンイ「わたしたちの子供7人と、子犬5匹と、ず〜っとあとに孫・孫娘と。どこか海外の遠くに出かける事ある?(ないよね)わたしたちここに来ましょう」

ミンジュン「そうしよう」

ソンイ「わ〜、大家族ね。その子たちを養うにはわたしたち仕事を懸命にしないとね。ト・ミンジュンさんは講義を何個もかけ持ってわたしは助演だろうと端役だろうと片っ端からやって」

ミンジュン「そうしないとな。そうしよう」

ソンイ「約束したわよ」

ミンジュン「ああ、約束する」

ソンイ「わたしに歌を歌って。一度も歌ってくれたことがないじゃない」

ミンジュン「どんな歌?」

ソンイ「わたしがのちにト・ミンジュンと思えば思い出せる歌。ト・ミンジュンさんもチョン・ソンイと思えば思い出せる歌。まあわたしたちが長〜く長〜く追憶する歌。まあそんなの」



キム・スヒョン 約束(ヤクソク)

 ♪星が際立って明るい 今日この時間が行けば
  あなたの去るという言葉がわたしを悲しくする
  この夜がすべて行くように

  あ〜、幸せだった頃 言葉はわたしたちの約束
  しきりに耳元をかすめ わたしを悲しくするよ
  あなたの間違いではないよ なぜだか泣きたくなるよ
  わたしはあまりにも真っ青な 夢を見ていたよ♪

プロポーズ

ソンイ「(歌ってくれて)ありがとう」

ソンイの方に向き直るミンジュン。

ミンジュン「チョン・ソンイ。おまえが聞きたい言葉、すべて語ってやることはできないけどおまえが描く未来にわたしが一緒にいたいのは事実だ」

リングボックスを差し出すミンジュン。

ボックスを開けるソンイ。

ソンイ「わたしにはめて」

ミンジュンに戻す。

ソンイの手に指輪をはめるミンジュン。

ソンイ「わたし、こんな幼稚なプロポーズ。必ず受けてみたかったのに」

ミンジュン「わたしはこんなに幼稚なプロポーズ、することになるとは思わなかった」

涙を流す。

ソンイ「完壁に幸せだわ。ト・ミンジュン」

ミンジュン「どうした?チョン・ソンイ」

ソンイ「わたしが愛するト・ミンジュン」

ミンジュン「どうした?」

ソンイ「わたしたち、もう夢から醒める時間よ。あなたはわたしのためにどこかで存在していて。わたしのために死なずにどこかで存在していて。だからわたしが言いたいのは・・・行って・・・あなたのいた所に」

第19話エピローグ

ホ・ギュン『今日はお言葉をよく交わしました。忘れ得ない経験になるはずです。わたしが小説を書くのにおいても霊感を受けたとても大事な時間でした』

ミンジュン『そうされたのなら幸いです』

ホ・ギュン『立つ前に一言差し上げてもよろしいでしょうか?』

ミンジュン『そうなさってください』

ホ・ギュン『わたしが予知力がある者ではありませんがわたしが見た先生はここを離れる前に必ず心をつくして思慕する女性に会うことになるようです。そうしてその女性のために先生が持つすべてのものを捨てることもできることになるようです』

ミンジュン『どんな理由でそのようなお言葉を?』

ホ・ギュン『元来、愛する感情は性悪でそれを信じない人々により一層強力に身動きできない方法で訪ねてくるためでしょう』

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