星から来たあなた
第17話

ミンジュン「初めてここに一人残された時はいつまたわたしがいたところに戻ることができるかに対する考えを少しの間も振り切ることができませんでした。そうして観象監(クァンサンガム)に入って仕事をする時期があったんですが・・・」

朝鮮時代。

同僚「ホン別将。おまえまだそうしているのか?誰かが見ればこれは観象監の仕事をおまえが一人で全てしているのだと思うな。どんな本だとそんなに懸命に読んでいるのだ?」

ミンジュン「靖平(チョンピョン)李純之(イ・スンジ)先生の七政算内篇(チルジョンサンネピョ)なのだ。何度また見ても驚くべき書物だ。天文定数はもちろん太陽と月の運行日食と月食の計算、五つの惑星の運行に至るまで正確に告げてくれているのだ」

同僚「おまえ、もしかして人々に変なことを言いまわってないか?」

ミンジュン「どんな?」

同僚「いや、我々が暮らしている大地が回っているとか、まあ丸い形ということなど」

ミンジュン「事実だぞ」

同僚「おいおい、おまえこの大地がぐるぐると回っていたら皆がくらくらして立っていられないのが正常ではないのか?それに丸い形だというのは一体どんな根拠で言っている話なのだ?」

ミンジュン「フッ、フフフフフフ」

笑うミンジュン。

同僚「いや、どうして笑うのだ?」

ミンジュン「とても遠いところから見ればということなのだ・・・見えるのだよ」

同僚「何が?」

ミンジュン「我々が暮らしているこの地球がどんなに美しい惑星なのか」

同僚「遠くから見たことがあるのか?」

ミンジュン「フフ」

再び書斎

ミンジュン「遠くから見る地球は美しいです。わたしが住むところの多くの人が地球に対して気になって来てみたいというのです。わたし達が地球に来る方法はこうです。小惑星のひとつをテラフォーミング(住めるように)して地球の人々が見るに平凡な彗星に見える様に作って地球からこの小惑星を見ることがないように、近日点を経た場合にのみ地球に来ているのですよ。その周期は地球の時間で約404年なんです。今回の機会を逃すことになったらまたそれほどの時間を待たなければならいのかって?どのようになるのかわかりません。重力のために軌道が変わることもあるので。それよりは今回戻ることができなければ遠からずわたしが消える可能性がより大きいでしょう・・・死ぬ・・・でしょう」

一筋の涙。

ミンジュン「チョン・ソンイ、おまえがしたいこと、わたしたちあらかじめしよう」

ソンイ「あらかじめ?」

ミンジュン「うん、あらかじめ。一ヶ月以内にすべてしよう」

ソンイ「どうして?どうして一ヶ月以内に全てしなきゃなんないの?・・・ねえ?・・・どうして?どうしてそうするの?・・・ねえ?」

ミンジュン「わたしが去らなければならないんだ」

ソンイ「なんのことよ?何を去るの?・・・どこに?どこに行くのよ?」

ミンジュン「わたしがもともといたところ。一ヶ月後にはわたしが居たところに・・・戻らなければ」

ミンジュンの頬に一筋の涙が流れる。

ソンイ「帰るって?戻るって?」

ミンジュン「うん」

ソンイ「Okay、帰りなさい。帰ったら?いつ来るの?ねえ?言って!わたし待つのうまいわ。ねえ?1年?2年?10年?来ない?帰って来ない?来ないって?」

ソンイもすでに涙を流している。

ミンジュン「うん」

顔を歪め涙するミンジュン。

ソンイ「それでそうだったの?利己的なことがどうだこうだと?それでそうだったの?悪い奴!?あんたホント、わたしが見た多くの悪い奴の中で甲だわ!」

(甲乙丙の甲だから一番という意味)

ソンイ「ひと月?・・・ひと月?・・・」

立ち去るソンイ。

再び顔を歪め涙するミンジュン。

傷心のソンイ

セミたちが現場を去る前の挨拶をし終えたところにソンイがやって来る。

ソンイ「これはソウルに上るんでしょ?わたしをちょっと乗せて」

伏目がちにいったかと思うと勝手に車に乗り込むソンイ。

車の中で泣き出すソンイ。

セミ「ちょっとチョン・ソンイ!」

手を上げて言葉を遮るソンイ。

ソンイ「音楽ちょっと消してくれない?わたし今、音楽を聞く気分じゃないの」

ポム「はい」

消すポム。

セミ「ポムさん、これわたしの車なんだけど」

ポム「ゴメン、音楽を聞く気分じゃないとおっしゃって」

ソンイ「もしかして『銃に撃たれたように(チョン マジュンゴッチョロム)』ある?いや『消えてあげる、元気で(コジョジュルケ チャル サラ)』あ〜、いやいや『死んでも送れない(チュゴド モッポネ)』ある?」

号泣するソンイ。

彗星について

ニュースを見ているユンジェとミヨン。

ニュース『今世紀最高の彗星と呼ばれたアイソンが最終的に消滅しました。しかし400年ぶりに地球に接近している彗星ディープサウスは現在、地球の公転軌道に接近してていることが知られています。NASAによるとディープサウスは地球・・・』

テレビを消そうとするミヨン。

ユンジェ「ちょっと待ってよ!」

リモコンを奪うユンジェ。

ソンイが帰ってくる。

ミヨン「ちょっとあんた、なんで真夜中にサングラスなの?(ユンジェに)あの子どうしたの?」

ユンジェ「ミンジュンヒョンにふられたのかな?」

ミヨン「こいつト・マネージャー、わたしの手で死ぬわよ」

ユンジェ「姉さんがすごく気を塞ぐことでもしろ」

おもいっきりユンジェの背中をひっぱたくミヨン。

ベッドに突っ伏して涙するソンイ。

一方、撮影現場ではソンイが消えたことに監督が怒り心頭だ。

AD「監督、電話が切れてるんですが」

監督「チョン・ソンイ狂ったんじゃないか!急に潜水艦に乗る?」

この前の件で復讐してこうなんだろう?配役交代しろ、盛の過ぎたものを使って何になると続ける。

そこにミンジュンが現れる。

ADはソンイのマネージャーだという。

いいところであったと文句を言おうとする監督の言葉を遮りミンジュンが話し始める。

ミンジュン「チョン・ソンイさんは今病院に行きました。前回この映画の特殊効果チームのミスでチョン・ソンイさんがワイヤーから落ちた事故、皆さん覚えているでしょう。その時組織損傷で手術を受け肺浮腫が同時に起きたのにさっき監督がなんと9回NGを出したが結局、最初に撮影したカットで解決したまさにそのアクションシーンを撮影している間体に無理がきた様です。それで発熱の症状と高熱によりご連絡を差し上げられず病院に行きましたが撮影に支障をおかけすることになって非常に残念に思っています」

監督「まったく〜人の体が重要じゃないですか!スケジュールというものはもともとまた捕まえようとあるんですよ、また捕まえようと」

ミンジュンに迎合しADに同意を求める監督。

フィギョンとジェギョン。

入手したアルバイトの名簿にイ・シンという見覚えのある顔を見つけ電話をかけてみるフィギョン。

けれど繋がらない。

階下に降りるとジェギョンが帰ってくる。

フィギョン「兄さん遅かったね」

ジェギョン「うん、今日は遺棄犬保護センターの奉仕の日だったんだ」

フィギョン「そうなんだ・・・そう、父さんがおっしゃってたんだけど兄さん若手経済賞を受賞することになったって」

ジェギョン「まだ半人前なのだがそうなった」

フィギョン「あめでとう。とにかく兄さんすごいよ。ハハ。あそうだ。オレ明日母さんと上の兄さんのお墓に行くんだけど兄さん時間がよければ一緒にいかない?」

ジェギョン「どうしよう、オレは明日先約が多いんだ。後日別で行くよ」

フィギョン「上の兄さんが残念がるな。上の兄さんはオレよりはるかに兄さんを好きだったのに」

ジェギョン「休めよ」

フィギョン「うん」

ジェギョンが去ると真顔になるフィギョン。

※フィギョンは3人兄弟だった

家に到着するミンジュン。

ミヨン「あんた、泣いてばかりないでドアをちょっと開けて話をしようって!」

ミヨンの声がお隣から聞こえる。

ため息をつくミンジュン。

ベッドルームで本を読むミンジュン。

『わたしを見てください。おばあさんが願いを祈ったのではないですか。わたしは愛する方法を学びました。それはぞっとすることでした。(ソンイの泣き声)痛いです。心が痛いんですって。助けてください』

ジョギング

ミヨン「あんた、こんな朝っぱらからどこに行くの?」

ソンイ「息苦しくて、ジョギング」

その声を聞いたミンジュンは急いでソンイを追いかける。

公園をウォーキングしているソンイ。

ソンイに追いづく。

ミンジュン「話をしよう」

ソンイ「話すことないんだけど」

速度を早めるソンイ。

ミンジュン「電話は受けなければならないんじゃないか?わたしの電話をどうして受けないんだ?」

ソンイ「電話を受けて何言うのよ?帰るって、一ヶ月後には帰るって!」

更にスピードアップするソンイ。

ミンジュン「わたしがこうなるからと、わたしたちダメだって言ったんだよ!」

ソンイ「そうね。それでわたしが消えたじゃない。心をたたむって言ったじゃない!だけど急に現れてマネージャーをしてやると言って人を空中浮遊させてキスしたじゃない。それは誰なのよ!」

ミンジュン「心配させるからそうしたんだ。とんでもない奴と契約を通わせてないか?」

ソンイ「ジェギョンオッパがどうしてとんでもない奴なのよ?」

ミンジュン「婚約するというデマが回らないか?」

ソンイ「さっさとしてしまうかと思って、そのままさっさと!」

ミンジュン「何?」

ソンイ「なんの関係があるのよ?ひと月後には去る両班(お人)が!帰れば適当に男でも捕まえて婚約してやるわ!これみよがしに!」

ミンジュン「いまそれを話そうと言ってるのか?」

ソンイの電話が鳴る。

フィギョンだ。

フィギョン「もしもし、ソンイどこだ?」

ソンイ「あ〜ジョギングしているの」

フィギョン「無理すんなよ」

ソンイ「あ〜無理してるんじゃなくて、どこ?」

走り去るソンイ。

ミンジュン「止まれよ!」

コ・ヘミ(スジ)登場

『教授!』とベンチに座る女子がミンジュンに声をかける。

見つめるミンジュン。

ヘミ「あらやっぱり。こんなところで会いましたね。フフフ」

ミンジュン「誰・・・?」

ヘミ「ちょっとわかりません?わたしコ・ヘミです。昨年にも一昨年にも教授の授業連チャンで受けた。わたしが先生に初めてお目にかかってわたしの元カレのサムドンとかなり似ていたとまさに話したのに」

ミンジュン「あ〜、そうだったか?」

ヘミ「わたしは教授の授業を再受講したくてわざと試験用紙も白紙で出してFを受けたんですよ。わたしを本当に思い出されませんか?」

ミンジュン「そうかな?」

ヘミ「まったく寂しいです。わたしはその時Fを受けたことで家から追い出されるところまでいったのに」

ミンジュン「今見ると思うところもあったり・・・」

ヘミ「たぶん、わたしが去年よりちょっと綺麗になってお分かりにならないようですね。わたしがその時から贅肉もちょっとそいで最近成熟したという話もたくさん聞くんですよ。イヒヒ」

ミンジュン「ンフフ」

声にならない同意の笑いを見せるミンジュン。

ミンジュンがついてきてないことに気付いたソンイ。

振り向くとミンジュンが若い女と話していた。

スキンシップをしたり顔を近づけたりして笑顔で話す二人を見て呆れるソンイ。

ヘミ「あら、こんなのを付けてらして子供みたい〜!」

ミンジュンの頬についた糸くずを取ろうとするコ・ヘミ。

ヘミ「ちょっとそのまま」

戦闘態勢に入りシールドを下ろすソンイ。

ミンジュン「大丈夫なんだけど・・・」

ミンジュンが言ったところでソンイがバックで二人の間に突入してくる。

ミンジュンは倒れそうになりスマホを落とす。

ヘミ「教授、大丈夫ですか?怪我されませんでしたか?」

ミンジュン「ああ・・・(スマホを拾う)あ〜大丈夫」

ソンイはベンチでエクササイズを開始している。

この間会話はない。

ヘミ「あら教授、スマホを買われたのですか?前はポケベルだけ持って通われてたのに。とても発展なさったわ〜」

ミンジュン「まあ、そうなったんだ」

ヘミ「それなら番号をちょっと教えて頂いてはダメですか?わたしが今度メールを打ちます」

ミンジュン「それはちょっと・・・」

ヘミ「ねっ?ねっ?ねっ?教えてください〜!ねっ?ねっ?ねっ?教えてください〜!」

ミンジュン「010・・・」

ミンジュンが言おうとすると再びソンイがやって来る。

驚くコ・ヘミ。

ソンイ「ト・ミンジュンさん。私に話があるって言ってなかった?」

ミンジュン「えっ?ああ・・・」

ソンイ「どうするの?わたし時間がきっちりなんだけど。今話をする?永遠に渡しに合わない?選択して!」

再びシールドを下ろし去るソンイ。

この間ずっと謎の女が気になっているコ・ヘミ。

『気を、気をつけて帰って』と言いソンイを走って追いかけるミンジュン。

ヘミ「あ、何よ〜、あのサンキャップのおばさん。きっちりチョン・ソンイの偽物のようにつくろって・・・」

※ドラマ・ドリームハイでの役名そのままでした。キム・スヒョンはソン・サムドンでスジはコ・ヘミでした。

おまえが望むなら・・・

しばらく歩いて立ち止まるソンイ。

ソンイ「帰らないならどうなるの?帰らなければどうなるのよ?帰らないって・・・ダメ?」

答えに窮するミンジュン。

ソンイ「そうね。どこなのかわからないけど自分の故郷はそこにあるわ。だけど人が必ず自分の故郷だけで生きなければならないという法がある?ソウルの人たちの半数も地の人じゃないと言うじゃない。みんな地方に縁故があってもソウルを第2の故郷だと考えて生きてるというじゃない」

ミンジュン「これはそんな次元ではないんだ」

ソンイ「知らない!どんな次元が問題なのか。わたしわからない。わかりたくもない。ここで何百年も生きてたって。どうしてよりによって今なの?ここでずっとずっと良く暮らしていてわたしに会うやいなやわたしはこれから何かとしてみようとしているのにまともにデートの一つもできなくなってしまったのにどうして今行くというの?わたしと一緒にただここにいてはダメなの?」

うつむくミンジュン。

ソンイ「そうでないならわたしを揺らさないで。あんたはただ行けば終わりだけど、わたしは引き続きここで生きなければならないじゃない。あんたがいたけど去ってしまった、ここで。だから行くのならただ静かに行って。わたしは放っておいて」

ミンジュン「おまえが望むなら・・・そうするよ」

踵を返し去っていくミンジュン。

ソンイもまた踵を返し去っていく。

上の兄の死に関する疑惑

上の兄の墓参りをするフィギョンと母。

今の自分と同じ年で事故にあった兄を偲ぶフィギョン。

息子が死んで生きていられるのかと思っていたが月日は経ってしまったという母。

上の兄さんは酒を飲むことはなかったと記憶しているけどそれなのにどうしてその日に酒を飲んで運転して?翌日の自分の卒業式に来てくれると言っていたのにとフィギョン。

その時うつ病に苦しんでいて自分たちも解剖結果を見て知ったの、うつ病の治療薬が検出された、好きな女性とうまくいかず極端な選択をしたんじゃないかと涙する母。

フィギョン「オレが知る上の兄さんはそんな人ではなかったよ。何かが間違ってるよ」

その後図書館で兄の事故とユラの事故の記事を比較するフィギョン。

薬物名が記載されている個所をなぞり思わず口を抑える。

全く同じ薬物名だったのだ。

ユ検事との密会

バーに行くフィギョン。

そこにはユ検事が待っていた。

フィギョン「電話を差し上げたイ・フィギョンです」

手を差し出すフィギョン。

ユ検事「会えて嬉しいです。セミに話をよく聞いています」

握手するユ検事。

ユ検事「そんな話をわたしにする理由は何ですか?どちらにしろ本人の兄さんじゃないですか?」

フィギョン「兄さんのすることのためにこれ以上阻まなければならないという考えです。そのことのためにどこまでが兄さんの仕業なのかも明確にわかります」

そうして一枚のメモを渡す。

ハヌル精神病院の住所と電話番号だ。

ソンイの本音

ソンイはホン社長と食事をしている。

ソンイ「さあ、この肉はあんたが全部食べて、わたしはこのコラーゲンだけ食べるわ!」

ホン社長「いろいろとやるわ、ホント」

呆れるホン社長。

ソンイ「明日はわたしたち豚皮を食べに行きましょう。わたしほんとに老けてはダメなのよ」

言いつつ焼酎をあおるソンイ。

ホン社長「あ〜、そんなのが目的なら焼酎も飲んじゃダメでしょ」

ソンイ「これは苦しくて飲んでるんで」

ホン社長「あんた、とにかく映画にも復帰した。そんなに会いたかったパパにも会えた。何が苦しいのよ?」

ソンイ「・・・」

ミンジュンの本音

家ではもう一人うなだれている人がいた。

ミンジュンだ。

チャン弁護士「お酒を一杯飲みましょう」

ミンジュン「わたしが酒を飲まないのはご存知じゃないですか」

チャン弁護士「どうしてですか?わたしと二人しかいないのに。冷たくせずにこれでも飲んで吐き出してください」

一口マッコリを飲む。

チャン弁護士「初めから始めなければよかったことを。もう始めてみたことをどうするのですか、いま」

ミンジュン「以前にチャン弁護士がわたしに尋ねたでしょう?その長い歳月どのように独りで生きてきたのかって。孤独でなかったのかって。ただ独りで生きている時は全く孤独ではなかったです。けれど初めて愛する人ができてそのそばを離れなければなければならないと考えるともう本当に孤独です。宇宙にわたし一人残ったように」

ソンイの心情

ソンイ「時間を戻すことができるのなら戻して、彼に会わない時まで戻すことができたなら・・・本当にいいわ。それでわたしはその人がどんなに揺らしても揺れないで好きにもならないわ。彼がいない日を考えてみただけでもわたしは寂しくて死んだようなのよ」

その後、家に帰るソンイ。

ミンジュン泥酔

一方のミンジュン邸。

ちらつくライトにツッコミを入れているチャン弁護士。

『ア〜』と濁点混じりの声を発するミンジュン。

すると電気がさっきよりもひどい点滅をし始める。

能力の無駄遣いだ。

焼酎の瓶を手にしようとするミンジュン。

チャン弁護士「あちょっと、先生もう召し上がるのをやめましょう」

ミンジュン「わたしはほんとに、どうしましょうか?・・・ア〜」

その嘆きと同時に完全にライトが消える。

ソンイの家でもライトが消える。

ソンイ「停電なのかな?ユンジェ、ロウソクをちょっと探して!」

そしてマンションのライトがすべて消える。

チャン弁護士「これは何ですか?」

不平を言いつつロウソクに火をつけるチャン弁護士。

飲ませたことを後悔している。

チャン弁護士「いやわたしはまあ、物でもちょっと浮かしてそうするんだと思ってたのに。事が大きくなったよ、大きくなった」

うなだれていたミンジュンが話し始める。

ミンジュン「時間もいくらもないのに・・・」

チャン弁護士「なんですか?」

ミンジュン「わたしがどうしてここにいなければならないのですか?わたしがどうしてチャン弁護士とこの貴重な時間を減らさなければならないのかという話しです」

チャン弁護士「気分は分かるのですがまた話をそこまでされるのは・・・」

ミンジュン「わたしはいま、一時間、一分、一秒も惜しいのにこの血のよう時間をわたしがどうして・・・チャン弁護士と・・・わたしがいたいところはここじゃないのに・・・・ここではないという話しです・・・クッソ〜・・・」

ももを叩きながら不平を言うミンジュン。

そのためロウソクが消える。

チャン弁護士「あ〜、まったく、酔えば本心が出るって。ようやく先生の本心がわかりました。30年の友情だろうが何だろうが女の前では何の効き目もないってことだな」

ロウソクを再度付けたかと思うと今度はミンジュンが消える。

ミンジュンはベランダに瞬間移動していた。

ミンジュン「おまえがどうしてそこにいるんだ?」

看板のセミに向かって文句をいうミンジュン。

チャン弁護士「何をなさってるんですか?」

気づいたチャン弁護士もベランダに出てくる。

ミンジュン「どけ!」

チャン弁護士「はい?」

ミンジュン「わたしがチョン・ソンイの顔を一度見ようと出てきたのにどうして猫かぶり100段のおまえがそこにいるんだ?どけって!そこはわたしのチョン・ソンイの席だぞ!」

目の前の看板に怒鳴るミンジュン。

チャン弁護士「入ってくださいよ」

あまりの泥酔ぶりにベランダの手すりから落ちそうになるミンジュン。

そしてセミの看板のライトを消す。

ところかまわず力を使うミンジュンをひっぱたくチャン弁護士。

ミンジュン「あ〜〜〜クソ」

今度は通りのほとんどのビルのライトが消える。

さすがに酒を飲ませたことを後悔する。

チャン弁護士「どうしたものか、これを」

ミンジュンはまだ『どけ!』と言っている。

そしてまた落ちそうになっている。

ミンジュンを寝かしつけたはずのソファーにミンジュンがいない。

侵入者

ロウソクを持ったソンイが自分の部屋に戻るとベッドにミンジュンが寝ていた。

ソンイ「ああ、びっくり!・・・いつ入ってきたのよ?誰の許しを得て?すぐに起きられないの?早く起きて行きなさいって。1・2・3。チッ。こんなにまで警告したのにわかんない?仕方ないわね。わたしはするだけはしたわ」

ミンジュンのにおいをかぐソンイ。

ソンイ「どうしたのこの人?お酒は絶対飲まないって」

ミンジュン「わたしはチャン弁護士といっしょにいたいのではないという話しです」

寝言を言うミンジュン。

ミンジュン「わたしは・・・」

ソンイ「わたしは?誰といたいのよ?・・・誰といたいのよ?」

ミンジュン「チョン・ソンイ・・・」

はにかんだ笑顔を浮かべるソンイ。

気持ちを抑えきれずにクッションを抱き指を這わす。

翌日の新聞にはカンナムが停電になったことがトップ記事になっていた。

目覚めるミンジュン。

ミンジュン「わたしが最も嫌悪する人が酒を飲んでフィルムが切れる人間です。酔っ払って自分の家でないところへ行って横になって昨夜自分がしたことを全く覚えておらず・・・人間はどうして人間なのですか?自由意志があって人間です。ところでアルコール成分などに負け自分の意志とは関係ない行動をするのは・・・まったく・・・」

自分のベッドではないことに気づき起き上がろうとすると左手に腕を組んだソンイが目に入る。

ミンジュン「これどういうことなんだ?」

ソンイ「だからどういうことなのかしら?ト・ミンジュンさん」

ミンジュン「いや、わたしは昨夜たしかに・・・」

ソンイ「たしかに酔っ払ってわたしの部屋のベッドに捕盗されたんだけど」

再び書斎

ミンジュン「記憶がよく・・・わたしが本当にそうしたと?そうするはずが・・・記憶がまったく・・・」

(書斎おしまい)

ソンイ「それで死んでもお酒を飲まないって言ってたのね?ト・ミンジュンさん。このように瞬間移動してところかまわずさくっと入っていって夜中にどんなことがあったかも覚えてもいないから」

顔を近づけているソンイ。

ミンジュン「ちょっと離れてみてくれ。ずっとそうだから・・・」

ソンイ「そうだから何?」

ミンジュン「わたしが正気がひとつもないじゃないか」

ソンイ「それならこれは?」

キスをするソンイ。

ソンイ「帰って!二度と会わないでいましょう」

ミンジュン「からかってるのか?たったいま、どうしてしたんだ?それなら?」

ソンイ「ムカついたでしょ?」

ミンジュン「何?」

ソンイ「わたしの気持ちがまさにそう。じっとしている人を正気一つも無くあちこちとまさに揺さぶっておいて『わたしは行かなければならない』『再び来ることもできない』こうするのはどれほど利己的で咀嚼できないことだと思う? あなたはそれを分かるべきなの」

瞬間移動が・・・

ノックする音。

ミヨン「ソンイ、母さん入ってくわよ?」

ダッシュで鍵を締めるソンイ。

ソンイ「ダメよ!」

ミンジュンに瞬間移動するように手で追い払う。

けれど瞬間移動できないミンジュン。

ミヨン「どうして?」

ソンイ「わたし今話す気分じゃないの」

そしてミンジュンに『早く帰って!』と声に出さずに叫び手で追い払う。

再び瞬間移動を試みるもできないミンジュン。

家からローションを持ってこなかったから使わせろというミヨン。

『わたしもローション全部減ったの・・・』となんとか母を防ぐ。

ソンイ「どうしたのよ?どうして帰らないの?それうまいじゃない瞬間移動。早く帰って!」

ミンジュン「それ、ダメなんだけど」

ソンイ「なによ?来るときはそうしてきておいて。どうして帰れないの?外に母さんとユンジェがいるのにどうしようと?」

ミンジュン「ちょっと待って」

もう一度試みるが全くダメなミンジュン。

ミンジュン「どうしたんだろ?酒に酔ったからなのか?」

結局ベランダをつたって帰ることに。

ソンイ「なによ?超能力・外界人、全部ウソなんじゃない?」

ミンジュン「話させるな!」

ソンイ「まさか、キスを一度したから超能力がダメなの?」

ミンジュン「違うんだが!」

ソンイ「あ〜どんな超能力もうまくいくいかないと言ってキスをしてみれば横になって地球人より秀でたところもないわね!チッ!」

部屋に戻るソンイ。

ミンジュン「あの女がホント!」

グラっと来て落ちそうになる。

怪しい受賞

ソンイ「フッ、超能力が何なの・・・」

ブツブツいって部屋に戻るとユンジェがいた。

ソンイ「はっ、びっくりした!」

ユンジェ「誰と話してたんだ?」

ソンイ「誰と話をすんのよ?何言ってるのよ?」

ユンジェ「それなら独り言をそんなに言ってったって?怪しいんだけど」

ベランダの方に行こうとするユンジェ。

ソンイ「怪しさは去年演技大賞を受賞して(手でユンジェを止め)出てってくれる、ちょっと?」

※怪しい(スサンハダ)の語感と受賞(スサン)の音が同じなので掛けている。ちなみに家政婦のミタ韓国版の名称は怪しい家政婦(スサンハン カジョンブ)

ユンジェ「あ〜、クソ」

ソンイ「あそう、ユンジェ。あんたパパに電話してみた?姉さんがこの前電話番号上げたじゃない」

ユンジェ「言ったじゃないか。姉さんにとっては父親で、オレは思い出さないんだって。今になってぎこちなく何を」

ソンイ「ちょっと、ぎこちなくてもパパがパパじゃなくていいの?どんなに変わってもお隣りのおじさんはお隣りおじさんでいくらぎこちなくてもうちのパパはうちのパパなのよ。自分が何の天からポトッと落ちてきたと思って?ちょっとあんたが何の外界人なの?」

父が働く様子を垣間見るユンジェ。

内心会いたいようだ。

強制捜査

ハヌル精神病院に到着するユ検事とパク刑事。

パク刑事は捜査権もないのに独断で令状を取ってやって来ているユ検事に後が心配だと言っている。

ユ検事は自分の首をかけてやっているしわたしが公判部に発令が出たことを多分あちら側でも知っているから安心しているんじゃないですか?このような時押しかけてこそ証拠を捉えられますとユ検事。

要するにジェギョンに関する事件を捜査できないように閑職に左遷されていることをジェギョン側も知っているので油断しているはずだと言っているのだ。

捜査令状を提示しジェギョンの前妻を探す二人。

けれど見つからなかった。

職員の男はそんな患者はいないと言った、自分たちが受けた被害をどう保証してくれるんだ?と言っている。

姉の姿を

エントランスでユンジェとミンジュンが出くわす。

ユンジェ「ミンジュンヒョン!」

ミンジュン「ああ、ユンジェ。どこかに行くのか?」

ユンジェ「はい母さんの家へ。姉さんが落ち込んでて一緒にいて疲れるんです」

ミンジュン「そうか、後でまた会おう」

ユンジェ「ヒョン!うちの姉さん一見強く見えてなんの考えもなく見えてもそうじゃないんです、あいつ。実は弱くてはじけたんです。ヒョンと何があったか知らないですが何日も食事も取らず寝ることもせず」

午後10時前過ぎ。

部屋の中でうつろな目をして佇むソンイ。

行こう、旅行

午後10時過ぎ。

部屋のベッドの上で佇んでいたソンイはLINEでミンジュンにメッセージを送ろうとする。

ソンイ『ト・ミンジュンさん今何してる?』

『わたし、どうしてこうも時間が惜しいのかな?』

『ひと月でもいいし10日間でもいいから、わたしたち一緒に・・・』

『わたし、あなたを本当に好・・・』

と打っては消していくソンイ。

大きく息を吸って咳払いした後壁越しにミンジュンに語りかけ始める。

ソンイ「ト・ミンジュンさん。ト・ミンジュンさん、聞こえる?」

最初の声ですでにベッドの上で体を起こしているミンジュン。

『ああ、聞こえる』とつぶやく。

ソンイ「聞こえてるのか聞こえてないのかわからないけどわたしはただ話をするわ。じっくり考えてみたんだけどわたしがちょっとオーバーにしてたみたい。わたしはもともと幼い時から本当に気まぐれが多くて硬い意思がない子で有名だったのよ。わたし一人の歌手もずっと好きだったことがないの。H.O.T.を好きだったりチェッキ(Sechs Kies)を好きだったりgodを好きだったり神話(シンファ)を好きだったり・・・わたしね、ファンクラブも5回だったか乗り換えた子なの。まあとにかくわたしはこのように硬い意思がないの。じっと考えてみたんだけどわたしそちらをすぐに忘れることができるようなの。ただ未練を残させないで。何もできなくて送ってしまえば未練が残りそうという話よ。だから他の人達の3ヶ月、1年、2年で全てして、そちらの言う通りわたしたちの一ヶ月の中ですべてしましょう。それで・・・したいことをすべてしたならひと月もならなくてわたしそちらに飽きるかも知れないわ。わたしはもともとそんな子なんだから・・・」

そして。

ソンイ「ト・ミンジュン・・・ト・ミンジュンさん」

『どうした?どうした、チョン・ソンイ』

壁の向こうのミンジュン。

ミンジュンは聞こえるがソンイは聞こえない。

ソンイ「わたしがうまく忘れられるように、未練なく・・・うまく忘れられるように、手伝って」

ミンジュン『ああだけど、わたしはおまえをどうやって忘れる?』

ソンイ「わたしの言葉聞こえる?聞いている?」

口を抑えて泣くミンジュン。

ソンイ「わたしたち明日旅行に行きましょ。一日中しっかりくっついてみたらわたしがそちらを飽きることもあるじゃない。嫌いになり得るかもしれないじゃない。わたしの話聞いてる?」

スマホの着信音。

LINEのメッセージをひらくソンイ。

ミンジュン『行こう、旅行』

ミンジュンからのメッセージ。

スマホを胸に抱くソンイ。

涙を流し顔を歪めるミンジュン。

翌日。

ソンイがドアを開け出てくるとすでにミンジュンが居て驚く。

ミンジュン「わたしに明るくなって会おうって?まだ明け方なんだが?」

ソンイ「それならト・ミンジュンさんは?」

ミンジュン「わたしはまあ、もしかして遅れるかと」

ソンイ「わたしも」

ミンジュン「行こうか?」

ソンイ「そうね、まあ」

エレベーターの中。

ソンイがミンジュンの手を握る。

ソンイ「ただ遊ばせておいてもなんだし。握ってでもいましょ」

ミンジュン「まあそうだな」

車の中でもずっと運転しているミンジュンの手を握り肩に寄りかかるソンイ。

フィギョンの決断と行動

前妻をさらに隠すために他の病院も調べろと電話で指示を出しているジェギョン。

誰が検事に話したのか一人は見当がつくとも言っている。

そこにフィギョンが入ってきたために電話を切るジェギョン。

フィギョン「兄さんちょっと時間いい?」

ジェギョン「どうして?」

レストランへ行く二人。

ジェギョン「どんなことでこうなんだ?」

フィギョン「兄さんが必ず会わなきゃならない人が居て」

個室のドアの前まで来る。

フィギョン「兄さんが開けて」

開けようとした瞬間ジェギョンの電話が鳴りそれを受ける。

ジェギョン「わたしはちょっと食事をしようと入らないといけないからちょっとあとで電話・・・」

相手の話を聞いて顔色が変わる。

ジェギョン「なに?」

『ヤン・ミンジュさんが消えてしまいました』と相手。

ジェギョン「どうなっているんだ?」

去ろうとする兄の手をフィギョンが掴み引き止める。

そしてドアを開ける。

そこには前妻ヤン・ミンジュとユ検事&パク刑事が居た。

フィギョン「入って行って。姉さんがお待ちになってるじゃないか。兄さんに尋ねることが多いんだ」

先日のミンジュンとの会話

ソンイが早朝にジョギングしているときに電話をかけたフィギョンは電話の先に『待て!』というミンジュンの声を聞く。

フィギョン「ト・ミンジュンさんも一緒にいるのか?」

ミンジュンはソンイの後を追いかけている最中にフィギョンを見かけ話すことに。

フィギョン「この前病院でオレが頭をケガして幻影を見たのでないならばト・ミンジュンさん、あんたオレの前に突然現れた」

ミンジュン「そうだ」

フィギョン「12年前その日も瞬く間に消えて道路の向こうに立っていたし」

ミンジュン「それも、そうだ」

フィギョン「初めにはあんたが危険でおかしな人だと考えてた。あんたがソンイを兄さんから守れと言ってた時も明らかにおかしな企みがあると思ったし。ところでようやく分かった。オレになぜそのような話をしたのか。この前ソンイをケガさせるようにしたその事故、兄さんがしたことのようだ」

ミンジュン「知っている」

フィギョン「兄嫁が病院に監禁されているようなんだ。兄嫁を救い出せるように・・・助けてくれ。兄嫁に会えばより多くの話を聞くことができるはずだ」

ユ検事とのバーでの会話

フィギョン「病院を捜索してください。多分あちらで兄嫁を引き出そうとするはずです。患者名簿にもない人だから」

強制捜査の一部始終を見ていたミンジュン。

ユ検事たちが病院内に入ってきた後兄嫁が別の場所に移されていくのも見ていた。

そして運ばれた先にフィギョンと行き時間を止め兄嫁を救出したのだった。

フィギョン「オレも兄さんに尋ねることがたくさんなんだ」

旅行先のペンション。

ミンジュン「そうか、わかった」

フィギョン「とにかくありがとう」

兄嫁の件で礼を言ったようだ。

ソンイ「何よ?誰なの?もしかしてこの前公園で会ったその若い女の子なの?番号を教えろと舌足らずな声を出してた?」

ミンジュン「いいや」

ソンイ「それなら、ほかの女の子なの?」

ミンジュン「違うって」

イチゴを差しソンイに差し出すミンジュン。

ソンイ「わたしセリフの練習をしなきゃなんないんだけどト・マネージャーわたしをちょっと手伝ってくれる?」

台本を差し出すソンイ。

ミンジュン「あ〜わたしは演技こんなの出来ない」

ソンイ「だれが演技をしろって?ただ練習相手をしてって。以前もマネージャーたちがそうしてくれてたの」

ミンジュン「なに、71シーン?」

ソンイ「うん」

ミンジュン「は〜『ダイエット?するなって。わたしが何度も言ったじゃないか。わたしはおまえがたった一グラムでも無くなってしまう(痩せる)のが嫌だ。わたしにとっておまえはそれ自体が完全体だ。わたしが知ってる女性の中でおまえがもっとも綺麗だ。年若い者たちはうるさく面倒なだけでわたしは必要・・・』・・・このセリフなんだ?」

いぶかしがるミンジュン。

ソンイ「もともとそうなの。次の文」

ミンジュン「バックハグする?台本がホントどうしたんだ?こんなの撮影するときに全てするというのか?」

ソンイ「しないと!しない?・・・あ、それならこっそり練習してみる?」

ミンジュン「してみるって何をしてみるんだ?」

ソンイ「その次のセリフ」

何も言葉を発しないミンジュン。

ソンイ「言わないの?」

ミンジュン「やめよう」

ソンイ「どうして?」

立ち去るミンジュン。

ソンイ「どこ行くのよ?一緒に行きましょ」

ついていくソンイ。

コーヒーを淹れるミンジュン。

右半身はソンイに巻きつかれている。

ソンイ「わたしが一日中ミザリーのようにつきまとってわたしに飽きちゃったの?」

鼻で笑いユンジェの言葉を思い出す。

『恋愛ほんとに初めてなんです。ウチの姉。なんにもしらないんです。だから』と言っていた。

ソンイ「わたしがこうするのは話をしたとおりト・ミンジュンさんを早く飽きるためよ。互いに分かれば全てが分かって幻想も壊れるってことで。正直恋愛も1・2度してみたこともなくて(けれど)男女の仲はわかりきってることじゃない?」

再びユンジェ

ユンジェ『父さんが去っても母さんよりも姉さんが辛がってたと聞きました。未練も多く、情も多く、そんなタイプです。子犬をそんなに好きであっても育てられないじゃないでしょ?途中どんなになるのかって?それが怖くて』

(ユンジェ おしまい)

ソンイ「わたしも遊ぶだけ遊んでみたのよ!だからジメジメして愛がどうで未練がどうでとそんなのではないわよ。わたし思ったより理性的でスッキリとした性格よ!」

言いつつさっきよりもまとわりつくソンイ。

ミンジュンも握った手に力を入れる。

ここにいるよ

ソンイが暖炉のある部屋に戻るとミンジュンがいなくなっていた。

ソンイ「ト・ミンジュン、ト・ミンジュンさん!・・・ト・ミンジュン、ト・ミンジュンさん!」

吹雪く外に出てあたりを探すソンイ。

ソンイ「ト・ミンジュン!ト・ミンジュン!!・・・ト・ミンジュン!!!」

今にも泣きそうな顔で叫び始める。

ミンジュン「何をそんなに人を呼ぶんだ?」

ミンジュンが現れる。

振り返りミンジュンの手を握る。

ソンイ「どこに行ってきたのよ?」

ミンジュン「あ、気晴らしに散策をちょっと」

ソンイ「驚いたじゃない。行ってしまったと思って」

ミンジュン「どこに行くんだ?わたしが」

ソンイ「行ってしまったようだったのよ。わたしが言いたいのは行くなら行くんだけど・・・一言もなく挨拶も無く行ってしまったかと。わたしがどんなに理性的ですっきりしている性格でも・・・挨拶もなしに行ってしまえば・・・」

ミンジュン「行かない。おまえを置いていかない。ここにいるよ」

ソンイ「どういうこと?」

ミンジュン「行かないって。ひと月後にもふた月後にも。だから不安がるなって」

ソンイ「行かなくても・・・それでも大丈夫なの?」

(回想)

日記『それよりは今回戻ることができなければ遠からずわたしが消える可能性が大きいでしょう・・・死ぬ・・・でしょう』

(回想終わり)

ミンジュン「大丈夫だ」

ソンイ「本当に大丈夫?」

無言で頷くミンジュン。

ミンジュンに抱きつくソンイ。

ミンジュンもソンイを抱きしめる。

第17話エピローグ

ベッドの上で呟きながらPCに入力しているソンイ。

ミンジュンに言わせるためのセリフだ。

『ダイエットするな。わたしが何度も言ったじゃないか。・・・年若い者たちはうるさく面倒なだけでわたしは必要ない』と打って笑うソンイ。

『キス・・する』と打つが『あ、ダメじゃない、そうしてまたひっくり返ったらどうすんの』と言い修正する。

『バックハグする』と打ち笑みを浮かべるソンイ。

そして狂喜する。

ふと考えまた打ち始める。

そのセリフは練習でミンジュンが言えず散策から戻ってきたあと外で言った言葉だった。

『どこにも行かず、おまえのそばにずっといるよ』

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