星から来たあなた
第15話

父との再会。

ソンイの額にキスをするミンジュン。

一夜明けソンイが目覚める。

『パパ?』と言い起き上がるソンイ。

ソンイ「何しててようやく来たの?どうしてようやく来たの」

涙を流すソンイ。

父「すまない、娘よ」

ソンイ「12年の間何をしてたの?わたし一人大きくなる間何をして・・・どうして今になって来たのよ?どうして?」

父「ごめん娘よ。すまない娘よ」

ソンイ「これは何?どうしてこうなのよ?わたしのパパの顔はどうしてこうも老けちゃったの?ねえ?どうしてこうも?」

抱き合って泣く二人。

チキン&ビールで乾杯する二人。

父「飲めもしないのにどうして?」

ソンイ「ほんの一口だけ」

父「だめだ」

ビールを引き取る父。

ソンイ「むかしは雪が降ればチキンを買ってこう言ったじゃない。『おまえいつか大きくなってパパと酒を飲もうな!』わたし今はお酒一杯じゃなくていっぱいお酒を飲むわ」

父「なんだ?ならずものか?」

ソンイ「それだけ大きくなったって。わたしがそうなる間わたしに会いたくなかった?」

父「ありがたくもおまえが有名になったじゃないか。おまえが有名になってくれてパパはすごく良かった。ウチの娘をテレビでも映画館でも新聞でも見ることができて。背がどれだけ高くなったか顔がどんなにもっと綺麗になったか、日々見たよ」

ソンイ「それじゃあわたしは?わたしは見ることができなかったのよ?さらにパパが生きているのか亡くなったのか知ることもできなかったのよ。以前わたしの世話をしてたマネージャー、自分のお父さんが呼吸器をつけて数年間も病院にいて辛いんだと言うけれどわたしはそれもうらやましかったのよ。呼吸器をつけてるパパでもいてくれるのがいい。たとえそんなパパでもわたしのそばにいるといいな。わたしはそうだったのよ」

父「パパが憎くはなかったのか?」

ソンイ「パパはパパの娘をそんなにわからない?わたしは怒って振り返る瞬間に後悔する子よ。その日の夜そうして飛び出して事故に合うところだったんだけど家に帰りながらパパにその話をしなきゃ、わたし事故にあいそうだったのにあるおじさんがわたしを助けてくれたって話をしなきゃって思ってたのに帰ってみたらパパは行ってすでに居なかったの」

父「すまない」

ソンイ「いいわよ。わたしが手術をして目を開けた時どこにも逃げていかずそばに居てくれてありがとう。わたしはそれだけでパパが12年重荷だったことが消えたわ」

笑みを浮かべ頷く父。

パパに似た・・・。

ミヨンが病室のドアを開ける。

二人は気づいていない。

ソンイ「ところでパパ。もしかして再婚した?わたしもしかしてまあ異母弟妹がいるんじゃないわよね?」

父「ハハハ、そんなことはないぞ。ハハハ」

そっとドアを閉めるミヨン。

ソンイ「なによ?この間恋愛もせずに一人で過ごしてたの?」

父「おまえは彼氏はいないのか?」

ソンイ「いないわ」

父「本当に居ないのか?」

ソンイ「いないったら!わたしがまたこんなことは母さんに似て男を見る基準がすごく高いの。パパほどの男は居ないわ」

父「おまえ大変だ。パパみたいな男に会ったら大変だ」

照れる父。

ソンイ「そうかな?確かになんとなくパパに似た男性がいるのはいたの。いつ去ってしまうかわからない不安、まあそんな・・・けれどもう全て終わったの。わたしは一人が好きなのよ・・・どうしたの?」

父の顔を覗きこむソンイ。

父「どんなやつか知らないけどおまえは一人じゃないはずだ。ウチの娘がどんな娘だと!多分そいつもおまえをとても好きなはずだ」

ソンイ「パパはよく知りもしないのに・・・わたしは生きてみたから」

ソンイの心の声『わたしが好きな人がわたしを好きということがそれは簡単じゃないって。手に入れることが奇跡ではなくそれが奇跡だって』

それはミンジュンへのソンイの気持ちでもありフィギョンへのセミの気持ちでもある。

ベッドに横たわるフィギョンを見つめていたセミは病室を後にする。

寝付けないソンイ。

書斎にいるミンジュン。

『2014年2月6日 地球での最後の一月の記録』と日記帳に書く。

パク刑事はミンジュンが消えたトリックを見破ろうとしてドアに体当りしている。

もうやめてくださいとユ検事。

秘密通路があるはずだとパク刑事。

今度は壁に体当りして跳ね返される。

壁でもないと笑うしか無いパク刑事。

そこにおもむろにミンジュンが戻ってきてどもってしまうパク刑事。

パク刑事「急ぎの用があったのでしょう?」

ミンジュン「その時は申し訳ありませんでした。言えない話をしようと再び来ました」

ユ検事「はい、そうしてください」

ミンジュン「そうですが、前回と違う話になりそうです。信じられない話になるかと。録画ができない他の場所に行ってもいいですか?」

パク刑事「ど、どうしてですか?」

まだ、どもりが治ってない。

ミンジュンの告白。

パク刑事「我々が何の話を聞いたんでしょうね?」

ユ検事と二人してミンジュンの話を思い出す。

ミンジュンの話。

ミンジュン「事件当日わたしがクルーズに行ったことは事実です」

パク刑事「それなら同じ時間の建物のCCTVに映っていたのは?」

ミンジュン「それは・・・わたしが空間移動をすることができるからです」

思わず噴出すパク刑事。

パク刑事「この両班は公務員に冗談を言って!」

ミンジュンの言を咎めるパク刑事。

ユ検事「続けてください」

ミンジュン「こんな話までするのはわたしの存在を明らかにしてこそ残りのわたしの話を信じてくださるかと考えてのことです。今まで真実を明らかにできなかった理由も他人に言うことができないわたしの秘密のせいです。その日クルーズに行ってハン・ユラさんの事件の犯人がする話を聞きました。当時は何の話か正確にはわかりませんでしたがのちに総合してみてその事件に対する話です」

ユ検事「その人は誰ですか?」

ミンジュン「S&C常務イ・ジェギョンです」

ユ検事「証拠がありますか?」

USBを差し出すミンジュン。

ミンジュン「ハン・ユラさんが持っていたUSB内に二人が関連する動画がありました。けれど原本は複写防止のUSBでこれはその動画を新しく撮った資料です」

パク刑事「なにかハン・ユラが死ぬ決定的場面でも撮っているのですか?」

ミンジュン「それは違います。そうではあっても二人が恋人の関係でハン・ユラがイ・ジェギョンの弱点を握り結婚を強要したという事実に対する証拠になります。この資料をもとにお二人が捜査してくださることを望みます。お二人がわたしを信じてくださるなら今後一月間、わたしも最大限お手伝いします」

パク刑事「信じますか?空間移動。(思わず笑い)狂ってしまいそうだ・・・検事はなんでもないのですか?さっきはただ黙ってお聞きになって」

ユ検事「わたしもどこからどこまで信じていいかわかりませんが一つだけ確かなのは、ト・ミンジュンは平凡な人間ではないという事実です」

パク刑事「わたしがいま巡っていることは頭で「いや、いや」と言っていて信じていることですよ。心で。いつのまにか。ト・ミンジュンあの人間を。そのありえないやつを」

ホン社長のお小言。

ホン社長がソンイの見舞いに来て桃缶を食べている。

ホン社長「これはわたしが食べようと持ってきたんじゃないのに食べないの?」

ソンイ「大丈夫、あんた食べな」

スマホをいじりながら気もそぞろなソンイ。

ホン社長「誰を待ってるの?」

ソンイ「いいえ・・・」

ため息をつくソンイ。

ホン社長「わたしが入ってきた時も何か期待してたようで完全に失望した目つきだったけど、今も電話を待ってるんじゃないの?」

ソンイ「もしかしてわたしが入院したの知らない人もいるのかな?」

ホン社長「いないでしょ。韓国にはいないでしょ。日本・中国・マレーシアまで、アジアトピックニュースでぱっと広まったって。ウチの街のパドゥギも知ってるわ。あんたが怪我して入院したの。あんたまだ死んでないって」

※パドゥギ:日本で犬といえば「ポチ」ですが韓国では『パドゥギ』

ソンイ「だけどインターネットしないなら知らないってこともない?」

ホン社長「だれ?外界人(宇宙人)?」

ソンイ「ち、ちょっと、し〜。(黙って)狂ったのね、ホント」

周りを気にするソンイ。

ホン社長「この子ちょっと見てよ!あんたまさかホントにその男性が外界人だと思ってるの?」

ソンイ「じゃなくてまあ・・・」

ホン社長「それとあんた、人はそうするもんじゃないわ。そうするのはダメよ!」

ソンイ「わたしが何を?」

ホン社長「言っちゃうとあんた、フィギョンがあんたを救っていま手術まで受けて正気もいまだに戻ってないのに他の男性を考えるのほんとにダメなんじゃない?それにフィギョンでなかったらヨルダン川を渡ってたわよ、すでに。フィギョンはあんたを救ってあんなふうになったのにあんたはその外界人だかオバケだかいう奴はあんたが死ぬか生きるかなのに少しも顔を出さないじゃない。そいつはなに?嫌いだって言ったって!」

※ヨルダン川を渡って:キリスト教の概念。日本で言う三途の川を渡る。

ソンイ「嫌ってことまで言うかな?言葉がそうだったんでしょ?」

ホン社長「女の言語と男の言語は違うわ。女のイヤにはいろいろ意味があるけど男がきっぱりとイヤだという時は心底嫌いなのよ。とても嫌いなのよ。 この際その外界人のような奴はサクッと忘れてこの時代の純情男フィギョンと上手くやりなよ。それが答だって。これ以上待たないで」

ソンイ「だれが待ってるのよ?待ってないわよ!」

病院のスタッフが入ってくると早速反応しているソンイ。

呆れるホン社長。

フィギョンの病室へ。

フィギョンの病室へ行くソンイ。

ジェギョンとフィギョンの母がいる。

フィギョンはまだ意識が戻っておらず重体のままだ。

母は家に帰ると言い出ていく。

涙を流すソンイ。

ソンイ「いまだに変わりはないの?手術はうまく行ったっていうのにどうしてまだ?」

ジェギョン「そんなに心配するな。きっと良くなるはずだ」

ソンイ「まずフィギョンじゃなかったら死んでるかもしれないわ」

ジェギョン「そうだな、話は聞いた」

ソンイの肩を叩くジェギョン。

フィギョンの手を握り突っ伏して涙するソンイ。

ソンイ「あ、そう。オッパもしかして刑事がオッパを訪ねてきた?」

ジェギョン「ああ」

ソンイ「実は先日訪ねてきてすごく問われ他の人がユラ姐さんの彼氏なんだと誤解していたのよ。それでわたしが話をしたの。オッパがユラ姉さんの彼氏だったって」

ジェギョン「わかってる」

ソンイ「わたしがもしかしてオッパを難しくさせたの?」

ジェギョン「誤解があったようだな。ハン・ユラさんとオレはおまえが考えてるようなそんな関係じゃなかったんだ。死んだ人を悪くすることができなくてこれ以上は言えなくて」

ソンイ「ええ、わかったわ。わたしはただ見たままを信じて変なことを言ったみたいね」

ジェギョン「ところでおまえ、その事実刑事のほかに誰かに話したか?」

ソンイ「フィギョンの他には」

ジェギョン「そうか」

フィギョンを見るジェギョン。

例の指輪を触っている。

フィギョンの病室を出たところをパパラッチされるソンイ。

ミヨンV.S.チャン弁護士。

セミがタブレットでネットニュースを見ている。

『チョン・ソンイの黒騎士は財閥二世恋人』との見出しに微妙に顔をしかめる。

ミンジュンの勤める大学でもその話はすでに広まっている。

ジェギョンの秘書と電話で話しているミヨン。

ソンイに黙って契約したため契約を解除したいと言いそのことを伝えてくれたかと。

秘書は話しては見たがダメだと言っていると答える。

さらに契約書をよく見てくれ、違約金が3倍になると言う。

ミンジュンがエレベーターでチャン弁護士と上がってきたところにミヨンが出てくる。

知らない間柄でもないのに3倍払えだなんてと、まだ電話を切らず不平を言っている。

ジェギョンと直接話すからと言ったところで目の前にいるミンジュンに気づき電話を切る。

ミンジュン「失礼ですがたった今イ・ジェギョン常務とおっしゃいましたか?」

ミヨン「そうよト・ミンジュンさん。イ・ジェギョン常務だと言ったわ。どうして?あ、知らない?ウチのソンイはS&Cイ・ジェギョン常務とマネージメント契約をしたのよ」

さらにそこのマネージャーならなんでもできると間接的にミンジュンを貶める。

ミンジュン「チョン・ソンイさんが同意したことですか?」

ミヨン「ん?ウチのソンイはまあまだ。まあ、とにかくそれはそれでわたしがト・ミンジュンさんに会って必ず尋ねたいことがあったんだけど何がそんなに大したもんなの?」

ミンジュン「はい?」

ミヨン「ト・ミンジュンさん、もしかして視力が悪いの?うちの娘はチョン・ソンイよ!恐れも知らずうちの娘からさったの?あんたは何なのよ?」

チャン弁護士「いやお言葉がひどいですね。あんたは何なのよですって?」

ミヨン「どちらさまなの?」

チャン弁護士「わたしはト・ミンジュンの父です。どうしてですか?」

ミンジュン「ちょっと・・・」

ミヨン「わたしの娘はチョン・ソンイなのよ!国民の女神。すべての男性たちのWannabe。恋愛したい女1位チョンソンイなんですよ!」

チャン弁護士「いやいつの話を?うちのミンジュンはですね、ハーバードを出てて外貌もどこに出しても見劣りしないしわたしがどんなに大事に育てたか!」

ぞんざいな態度をとり始めるチャン弁護士。

ミンジュン「父さん・・・」

ごまかしつつ所在ないミンジュン。

ミヨン「ハーバード百回出たところで何?この人責任感がないじゃない、責任感が!一度マネージャーをするって出たのなら最後まで見なきゃ!やったところで辞めて」

チャン弁護士「このマネージャー、それはミンジュン、この子がするって言ったんじゃなくてお宅のお嬢さんが余りにもしてくれというから少しの間世話をしてあげたんですよ!」

ミンジュン「やめてください」

チャン弁護士「やめるって何をやめるんだこいつ!これがどんなことかって。わたしがダメだって言ったか言わなかったか?おまえは仕事が無いのか?金がないのか?どうして急にチョン・ソンイのマネージャーをして収まるんだ?おまえが!」

ミヨン「あらまあ聞いてたら・・・うちのソンイのマネージャーをするという人たちは並んでるんですよ!」

チャン弁護士「それでは列を為したその人の中から選んでしまえばいいのでは?入ろう!」

ミンジュンを連れて行こうとするチャン弁護士。

ミヨン「ひとつも惜しくないわ。うちのソンイはS&Cと契約もしたしフィギョンと婚約もしたし!別に・・・」

その場を立ち去るミヨン。

チャン弁護士「何を突立っているんだこいつ!早く入れ!」

怒る父親役が抜けてないチャン弁護士。

ミンジュン「チャン弁護士」

静かにたしなめるミンジュン。

チャン弁護士「あ〜、すみません」

無礼を詫びるチャン弁護士。

お茶を淹れつつ。

チャン弁護士「もしかしてさっきのせいで怒ってらっしゃるのですか?」

あのおばさんが!と言い訳をしているチャン弁護士の話を全く聞いていないミンジュン。

目の前に手をかざすとようやく気づく。

チャン弁護士「何を考えられてるのですか?」

ミンジュン「ただ、まあ」

チャン弁護士「チョン・ソンイさんがS&Cと契約したせいですか?」

ミンジュン「それもそうですが」

チャン弁護士「チョン・ソンイさん、婚約したということのせいで?」

ミンジュン「チッ、チョン・ソンイはその男性が好きではありません」

チャン弁護士「友達として好きだって」

ミンジュン「それは友達としてでしょう?友達と男ははっきりと違うのではないですか?」

チャン弁護士「男女のあいだに友達がどこにあるというのですか?」

ミンジュン「すべて昔の話でしょ。近頃の人たちはそうではありません。男女のあいだでも友達します。クールに」

チャン弁護士「あ、それはチョン・ソンイさんの事故の前の話で今回はその友達が死ぬところだったのを助けてくれたのに今は感情が違ってるでしょ」

ミンジュン「わたしは救ってあげませんでしたか?わたしは?わたしはほんとに何度も助けたんですよ!」

チャン弁護士「それでチョン・ソンイさんが先生に気持ちが傾いたんじゃないですか?だけど今回はその友達が助けてくれたからそちらに・・・」

ミンジュン「いや、なんだ、助けてくれてすべて好きになりますか?それでは警察や消防士たちは全国民の愛を独占しますよ」

チャン弁護士「いや、どうしてお怒りになって」

ミンジュン「怒ってるんじゃなくしきりに話にならないことをされるから。まったく!」

へそを曲げて書斎へ行く。

チャン弁護士「いや、怒りだしておいてそうじゃないって」

会いたい。

『チョン・ソンイ、自身を助けた財閥二世恋人と婚約?』とのネットニュースを見るミンジュン。

『はっ?婚約がなんて?』とツッコミを入れる。

スクロールし『ニックネームか〜。自分が好きな歌手の名前を書くのか?』とミンジュン。

最初に『イ・ミジャ』と入力し『ペ・ホ最高』に書き換える。

※イ・ミジャは1941年生まれで、ペ・ホは1942年生まれの故人

コメント欄に。

『チョン・ソンイさんが婚約したって?ホホ。全く根拠の無い風聞のようです。長く生きてみるといや時には煙突にも煙がでるんだね』

と記述するミンジュン。

『何だ?このややすっぱく渋い語り口は?根拠が有るか無いかおまえが分かるのか?消えろ!笑わせんな!』

と散々なレスが帰ってくる。

『こんな丙子年の堤を飛ばして。(生意気言って)青二才共がどこでタメ口を!』

PCの蓋を閉じるミンジュン。

ベッドに寝転がるミンジュン。

スマホを手にして『体はちょっとどう?』『S&Cと契約とは正気・・・』『まさか、本当に婚約・・・』『もしかして胸中生塵なんて聞いた・・・』と打っては消してい く。

大きなため息をつき『会いたい』と打つミンジュン。

一度投げたスマホを手に取り自分が打った言葉を鼻で笑うミンジュン。

けれど送信するつもりはなかったのに指がぶつかり送信してしまう。

メッセージの着信に気づくソンイ。

ソンイがスマホを手に取ろうとした瞬間時が止まる。

ミンジュンが瞬間移動してやって来たのだ。

ソンイのスマホを手に取りロックを解除しようとするができない。

思わずソンイの方を見ると髪に糸くずがついていたのでそれを取ろうとするミンジュン。

髪に触り糸くずを引っ張るその刹那止まっていた時間が動き始める。

ミンジュン「ちょっと、大丈夫か?」

ミンジュンの手を払うソンイ。

ソンイ「ト・ミンジュンさん、いまなんてことをしたの、よ?」

ミンジュン「なんに、も」

ソンイ「いま急に現れたじゃないの!他人の病室に。どうやって現れたのよ!ホントに何、瞬間移動、そんなのしたの」

ミンジュン「いや、ときどきまあ忙しかったり車が混んでたりそんな時」

ソンイ「はぁ、ほんとに話になんない。 あっわたしのスマホ」

スマホをベッドに投げ返すミンジュン。

ソンイ「いや、わたしがたった今メールを確認しようとしてたのにどうやって・・・わたしのスマホを持って何をしようとしてたのよ?」

ミンジュン「特に何をしたってことはなくて」

ソンイ「ホントに不快だわ。出てってくれる?」

振り返っていこうとしつつ。

ミンジュン「メール見ないのか?」

ソンイ「なに?」

ミンジュン「メールを確認しようとしてたって」

ソンイ「他人よ!出てくれる?わたしたちこんな仲じゃないじゃない。互いにたまたま出会っても知ってるふりしない・・・」

時間が止まる。

ソンイがロックを解除したタイミングでミンジュンがやったのだ。

そして自分の送信したメールを削除して再び時間を動かし始める。

ソンイ「しないといったじゃない。わたしの言葉がそんなに滑稽なの?・・・何よ?ないじゃない」

スマホをチェックする。

メールなんてなかったのだ。

ミンジュンが消したから。

ミンジュン「ないのか?」

スマホを覗きこむミンジュン。

ソンイ「あろうがなかろうがわたしのメールはわたしがいいようにするから、もう行ってよ!」

ミンジュン「S&Cと契約したって?お母さんがそうされたって」

ソンイ「そうよ、まあしたわよ、どうしたのよ?」

ミンジュン「契約、破棄するよな?」

ソンイ「わたしがどうして?」

ミンジュン「なに?」

ソンイ「しない理由がないでしょ。そんな大企業でわたし一人だけを見るそんな企画社を整えてくれるってありがたいでしょ!」

ミンジュン「駄目だ、破棄しろ!」

ソンイ「なんの関係があるのよ?」

ミンジュン「おまえもそれはしないと言ってたじゃないか!」

ソンイ「それはその時・・・それをト・ミンジュンさんがどうして知ってるの?それはウチでフィギョンに話したのに。ト・ミンジュンさんがどうして知ってるのよ?フィギョンがト・ミンジュンに話すなんてことはないことだし・・・まさか他人の話を盗み聞きとかそんなこともできるの?」

ミンジュン「まあ全て聞いたとかそんなんじゃなくて・・・」

ソンイは部屋でさんざん独り言を言いながら暴れている自分の姿を思い出す。

ソンイ「ハァ〜、いったいどこからどこまで・・・もしかしてシャワー・・・まさにそんな・・・トイレ・・・ト・ミンジュンさん変態なの?」

ミンジュン「どんな考えをしてるんだ今!わたしは都度ありとあらゆる音すべてを聞いたりしないんだって。ただ時々気を使う時だけちょっときいていたり。でなければわたしも疲れて生きられないって!」

ソンイ「なに、覗き見してそうするんじゃなくて?」

ミンジュン「この女は人をなんだと思って。わたしはそんな人じゃないんだ!」

ソンイ「わかったことか、外界人なのに!あちこちまさに通りながら何を見てんだか!」

ミンジュン「違うって!」

ソンイ「あ〜、出てって、出てってよ、変態外界人!」

枕を投げつけるソンイ。

ミンジュン「わたしは長く生きてきてこんな屈辱は初めてだ。わたしは変態じゃないったら!!!」

フィギョンの病室で。

もう意識を回復してもいいはずだというのにどうして意識が戻らないのかと医師を問い詰めるイ会長。

MRI等で詳細に調べてこの状態ということでびまん性軸索損傷の疑いがあると答える医師。

いつ目をさますのかを言えというイ会長。

数日で回復するはずだと言いつつそれでダメならすこし深刻だと医師。

今は肯定的状態だからもう少し待ちましょうと言い去っていく。

なんとも煮え切らない。

ジェギョンが両親を見送るところを見ているミンジュン。

ジェギョンが部屋に帰ると病室の明かりが消えていた。

不思議に思っていたところミンジュンが室内にいた。

ジェギョン「何だ?」

ミンジュン「チョン・ソンイと契約したって?」

ジェギョン「うん、したぞ。チョン・ソンイのスケジュール、一挙手一投足、オレがすべて管理することになる。けれどそう心配するな。おまえを見ても殺すことはないから。どうした?それを言いに来たのか?」

ミンジュン「わたしがおまえに対するすべてのことを世間に暴けばどうなると思う?今回の事故チョン・ソンイだけでなくおまえの弟まで危険にさせた」

ジェギョン「フッ、暴いてみろ。けれどおまえは世間が受け入れることのできないやつだ。オレの正体が明らかになればおまえの正体も明らかになる。2つの内どちらを驚くかな?人々にとっておまえは人殺しより怖い怪物なのに」

ミンジュン「何人にもなるのだろう?チョン・ソンイ、ハン・ユラ。その他におまえが害したり害そうとした人々が何人にもなるんだろうと!どうしてそのような危険を甘受するんだ?おまえはすでに多くのものを持っているのに」

ジェギョン「ト・ミンジュンよく聞け。世界には多くの人々がいるが必要な人々は何人にもならない。残りは全部不必要な虫けらのような存在だ。けれども時々その虫けらたちが気に障るようにふるまう時がある。そのような時はその虫けらたちを除去するのは確かだ。それでこそのちに出て行くことができるだろう。それは悪ではなくてより多くの人々のための、善だ。ところでト・ミンジュンおまえはオレの基準でとても必要な存在だ。もしおまえが心を少しだけ思い直すなら皆が幸せになることができる。おまえはオレにおまえの能力を貸してくれ、おれはおまえの後(面倒)を見てやるから。そうすればオレたちはできないことはないだろ。もちろんおまえがそのように守りたいチョン・ソンイも安全にするぞ。どうだ?」

ミンジュン「考えてみよう。おまえがこれ以上だれも揺さぶらない前提で」

ジェギョン「そうだな、まだオレに対する信頼が不足しているだろう。よく考えてみろ。今回の約束は必ず守るから」

幻想。

ミンジュンを追い出したにも関わらず病室をウロウロして彼を探すソンイ。

一方ミンジュンは『フィギョンと婚約もして』というミヨンの言葉がリフレインしている。

そしてついにはソンイとフィギョンの夫婦生活の妄想まで・・・。

『起きて』『もうちょっと』という二人の幻影を布団をばたつかせて追い払う。

次はキッチンだ。

落ち着こうと水を飲むミンジュンの肩にぶつかるフィギョンがキッチンのソンイのもとに行く。

フィギョン『ハニ〜、オリーブオイルを買ってきたよ』

ソンイ『よくできました!』

フィギョン『な〜にしてるの?』

ソンイ『玉子焼き、けれどぜんぶ焦げちゃった!』

フィギョン『オレは玉子焼きは焦げたのが好きなんだよ!』

ソンイ『ほんと?よかった〜!』

水を持つ手がプルプル震えるミンジュン。

ソンイをバックハグしつつくすぐるフィギョン。

ソンイ『しないで、しないで、そうしないで!』

フィギョンの胸をドラミングするソンイ。

ミンジュンの妄想『くすぐったいじゃないか!するなって(言ってるじゃないか)!そうするなって(言ってるじゃないか)!』

幻想に突っ込むミンジュン。

けれどソンイはリフレインする。

コップを置きリビングに戻るミンジュン。

すると今度はフィギョンに膝枕してもらいミカンを食べるソンイがいる。

ソンイ『う〜ん、甘い!』

ソンイがフィギョンの送り迎えをする幻想も見える。

『会いたいはずよ〜!』とハグする二人。

チキン&ビールを買って帰るフィギョン。

ミンジュンは完全にノックダウンだ。

退院。

ソンイが退院する。

医師が注意事項を伝えている。

日常生活は問題ないが後遺症が出ることもある。

肺浮腫にもなったので息が切れるほどの強めの有酸素運動は控えてお腹が痛くなったらすぐに来てくれと言っている。

父とともに礼を言うソンイ。

医師たちは退出する。

父「ほれみろ、強めの運動をするなと言ってるのに映画をまた撮るのか?」

ソンイ「大丈夫よ、わたしが気をつければいいの。パパの娘が再起してこそパパがわたしを毎日テレビで映画館で新聞で見られるんじゃない」

父「ソンイ、もしかしてお金のためにそうするんなら・・・」

ソンイ「わたしは今回たくさん考えたの。人が本当に長く生きて100年?それさえも生きられない人達がはるかに多いじゃない。けれどその時間の中でわたしが本当にしたいことをする時間はどれ程になるのか?本当においしいもの食べる時間は?わたしが好きな人と話す時間は?わたしの本心を打ち明ける時間は?・・・(父の手を握り)このようにわたしのパパの手を握っていられる時間は?・・・わたしたちは他の人より時間をたくさん無駄にしたじゃない。わたしは長く握っているわ、パパの手。そしてわたしが好きな演技も長くしてもちろんカロリー計算はするべきだけどおいしいものも探し歩きつつすべて食べてみるわ。ワイヤーから落ちる時すでに一度死んだと考えて残った時間本当に節約してうまく使って」

ミヨンが入ってきて監督から連絡を受けたことをソンイに伝える。

ミヨン「ワイヤーシーンは一旦スタントがかわりにするって。明日の撮影からできるのかってどう?大丈夫そう?」

頷くソンイ。

ソンイ「ところでユンジェあいつはずっと会わないの?あの子パパに挨拶した?してないでしょ?あいつずっと避けて通って」

ずっと手を握る親子に対して咳払いをするミヨン。

父「わたしはもう行くよ。ソンイわたしたちまたすぐに会おう。パパが来るよ」

ソンイ「すぐに来ないとね。約束」

ト・マネージャー復活。

撮影現場へ行くために降りてきたソンイ。

ソンイ「何よ、車がいるって!」

話と違う状況に不平を言う。

そこにミンジュンが車でやって来る。

そっぽを向くソンイ。

ミンジュン「乗れ!」

ソンイ「あ〜、お隣に住んでらっしゃるト・ミンジュンさん。気持ちはありがたいけどわたしを誰かが連れに来るんです」

またそっぽを向く。

ミンジュン「その誰か、行ったぞ」

ソンイ「なんで?どうして?」

ミンジュン「わたしが追い返したんだ」

回想。

ミンジュン「確認できましたか?」

マネージャー「はい、違約金は入金されたと言うのですが」

ミンジュン「もうお行きになってもいいです。チョン・ソンイさんとS&Cとの契約は破棄されそれに伴う内容証明も既に送りました」

マネージャー「いや、だけど」

ミンジュン「わたしはチョン・ソンイさんの法定代理人です。契約関係のない女優を車に乗せて連れて行くことはできないでしょう。ずっとこうされるなら接近禁止仮処分申請を行うこともできます。お行きください」

(回想終わり)

ソンイ「どうやって送ったのよ?」

ミンジュン「知ってどうするんだ?」

ソンイ「あ、あら、わたし嫌だといったでしょ。3つ数えるからこれ離して。1・2・3・3半」

結局車に乗るソンイ。

以前より諦めが早い。

車内。

サングラスをはずす。

ソンイ「理由でもちょっとお聞きしましょう。わたしにどうしてこうなのよ?」

ミンジュン「マネージャーが必要だって。わたしがマネージャーしてやるよ」

ソンイ「ハハハ、わたしに外界人のマネージャーを置けと?それじゃあマネージャーの月給は何を差し上げるべきなの?隕石?太陽熱?」

ミンジュン「ふざけるな」

ソンイ「ふざける・・・はっ、ト・ミンジュンさんわたしがそちらと距離をおくという意味でちゃんとちゃんと尊大だということ感じませんでした? わたしたちタメ口で親しい程近い間じゃないと思うんだけど? そちらももうわたしに敬語で話しなさいよ!」

ミンジュン「わたしがおまえより何歳上なのかわかってるのか?」

しばらく閉口してしまうソンイ。

そして再び口を開く。

ソンイ「急にわたしのマネージャーをするという理由は?芸能人だとまた好奇心がまたお出来にになったの?でなければ季節学期が終わってちょっと退屈なさったの?でなければその昔のチョクジン女とわたしの間に何が残ったのか気になるの?」

ミンジュン「楽なままに考えろ」

※チョクジン女:チョクジンモリの女性という意味。チョクジンモリは朝鮮後期の既婚者の髪型でここではイファのことを言っている。

撮影現場。

現場に到着する。

ソンイ「ついてこないで。不便だわ」

ミンジュン「撮影が終わったら来い。待ってるぞ」

ソンイ「いいえ、ト・ミンジュンさん。待たないで。行って」

ミンジュン「チョン・ソンイわたしは・・・」

ソンイ「ト・ミンジュンさん、わたしたちはなんでもないじゃない。そちらが言ったんじゃない。わたしたちの間には何も残ってないって。わたしを嫌いだって。それならわたしを嫌いな男らしく振る舞って」

セミの告白。

行く先にいたセミが人払いをしてソンイと話をする。

セミ「体はちょっと大丈夫なの?」

ソンイ「そうね」

セミ「フィギョンはまだ目を覚まさないって」

ソンイ「必ず目覚めるはずだわ。医師がそう言ってた」

行こうとするソンイを止めるセミ。

ソンイ「どうして?起き上がれないほどに怪我しておかなければならないのにこうして来て嫌なの?わたし疲れてるからもうちょっと離してくれる?」

セミの手を振りほどくソンイ。

セミ「事故の日のいくらか前にフィギョンがわたしにこう言ったわ。わたしたち友達としても会わないでいようって。もうわたしと会わないって。わたしを不安にさせるのが嫌って。なぜならあなたを好きな自分が不安で。わたしがあなたを憎く思う気持ちが理解できる?どうやって話すのよ。あなたにとってフィギョンはそばにいれば楽で良い友だちかもしれないけどわたしにとってあの子はわたしが持っているものをすべて捨てても得たいと思う一人だったの。その一人があなただけを見るのにわたしは何をすることができただろう。嫉妬をする必要もなく、すべてのものを全部持ったあなたの目には後ろでこっそりあなたに嫉妬して嫌がるわたし、じめじめしたどん底に住んでいるように見えたかもしれないけどわたしはチョンソンイ・・・フィギョンが落ちるあなたを受け止めて転がるときその子の代わりにわたしが死んだらいいって祈ってたの。フィギョンもわたしと同じ気持ちだったでしょう。だから飛び込んだのでしょう。その心がわたしの心を跪かせたわ。だからチョン・ソンイ、お願いするわ。フィギョンあなたが受けてあげてはだめなの?」

ソンイ「ユ・セミ」

セミ「フィギョンはあなたを持てなくて不幸だけどあなたはフィギョンを持ったって不幸になるんじゃないじゃない。あの子は一生あなたを大切に愛してくれるわよ。わたしたちの中で誰か一人は幸せでもかまわないんじゃないの?」

途中からずっと涙を流していたセミ。

言い終わるとその場を去っていく。

あまり表情を出さないソンイ。

車内にいるミンジュン。

あるいはその会話を聞いていたのかもしれない。

兄の秘密。

S&C社屋。

ジェギョンが部下を引き連れロビーを歩いている。

パク刑事「イ・ジェギョン常務」

ジェギョン「お久しぶりです、刑事さん」

手を差し出すジェギョン。

その手を握らず。

パク刑事「ちょっと話すことはできますか?ここは見ている人が多くて」

ジェギョン「そうしましょう」

取調室。

ユ検事が任意同行の礼を言う。

ジェギョン「とんでもありません」

前のめりになるジェギョン。

ジェギョン「わたしに対して気になることは何ですか?」

ジェギョンが検察に行った事実を耳にしたイ会長は検察庁の自分達のラインを使って詳細をつかめと電話で指示をする。

フィギョンが目覚めている。

実はソンイが見舞いに来てジェギョンと会話をしていた時に目覚めていたのだ。

そしてジェギョンが両親を見送った時に完全に目を開け、瞬間移動してきたミンジュンに驚いていた。

ミンジュン「昏睡状態だったんじゃないのか?」

左手でストップの合図をして自分の状態を隠しておくように促すフィギョン。

そしてミンジュンとジェギョンとの会話をこっそり聞き兄が殺人者であり、ソンイをも殺そうとしていたことを知ったのだ。

涙を浮かべるフィギョン。

助演の辛さ。

待ち時間。

寒さに震えつつ大あくびしているソンイ。

ソンイ「ちょっとこっち、(手を叩く)ちょっと、チョン・ソンイなんだけどわたしいつ撮るの?」

AD「前のシーンなどが伸びていてすごくお待ちいただくようなんですが」

ソンイ「あ、それなら前もって話を・・・」

怒るソンイ。

AD「はい?」

助演という立場だ。

ソンイ「・・・してくれたらよかったのに。みんな忙しいから、アハハ」

言葉を和らげる。

AD「中でお待ちください。何時間かかるかわからないんで」

ソンイ「何時間・・・アハハハハ。あ〜、いいわね。天気も寒いからワンシーン撮ろうとこのように何時間待機。アハハハ、こんな経験初めてで新鮮だわ、ハハ」

衣装室へ行きソファーで寝入るソンイ。

ソンイのシーンは日が沈んでからでは撮影できないため延期される。

監督はセミに感情が良かった、最近恋愛してるんじゃないかという。

助監督は撤収すると言いさっきの下っ端ADにソンイへ連絡するように告げる。

けれど他の俳優に明日のスケジュールのことを問われて電話することを忘れてしまう。

利己的なミンジュン。

スタッフが全員撤収した後に目が覚めるソンイ。

ソンイ「あ〜、なによ。寒い」

外に出るソンイ。

ソンイ「ちょっと、Excuse me! 誰もいないのか? Hello! いまわたしだけ残してみんな行ったのかな? Really? わたしチョン・ソンイなのに?unbelievable!・・・」

言ったところでつまずいて階段から落ちそうになる。

誰かが支えてくれる。

ミンジュンだ。

ソンイ「行けって言ったじゃない」

ミンジュン「待っていると言ったじゃないか」

ソンイ「どうしてよ?わたしをどうして待っているのよ?」

ミンジュン「わたしがおまえを・・・守らなければ」

ソンイ「チッ、守るって何を守るのよ!わたし頭が悪くて具体的に話してくれてこそ分かるわ。わたしに対してどうしてこうなのか分かるように話してくれる?」

黙ってしまうミンジュン。

ソンイ「ト・ミンジュンさん選手なの?でなければ人を混乱させ持ったり離したりするけど悦に入ってたの?こうしておいて錯覚するようにしてごめんねどうしよう(って)。昔の女に似ているねどうしよう(って)。人の様をまさに笑いものにしておいて」

去っていくソンイ。

ため息を一つつくミンジュン。

振り返るソンイ。

ソンイ「ないって?一度もないって?わたしを好きだったこともなく、わたしのためにときめいたことも、本気で心配したことも、わたしと未来を描いてみたこともないって?わたしがその女性の代わりだったと!?」

再び去ろうとする。

再度立ち止まり振り向くソンイ。

ソンイ「これはまだ知らないようで確実に話すわよ。わたしももうト・ミンジュンさん嫌いよ。こんなだからもっと嫌い!だからわたしの目の前からいや、わたしの人生から消えてよ。どうか。そして本人がどんなに利己的なのかわかればいいわね」

ミンジュンが能力で周りの明かりをつける。

そしてソンイを宙に浮かせて自分のもとに引き寄せる。

ソンイ「いまこれは、何をするつもりなの?」

ミンジュン「わたしがおまえにすることのできる、もっとも利己的なこと・・・」

ソンイにキスをするミンジュン。

第15話エピローグ。

ソンイの病室から去る父。

乗ったエレベーターの隣にはミンジュンがいる。

エレベーターが急に止まる。

父『故障したみたいだね』

ミンジュン『もしかしてチョン・ソンイさんのお父さまでいらっしゃいますか?』

父『どちら様で?』

ミンジュン『チョン・ソンイさんがお父さまにとても会いたがっていました。目覚めた時そばにいらしてくれればほんとうに嬉しがるに違いありません』

父『うちのソンイと親しい方ですか?』

ミンジュン『わたしがとても好きなんです。チョン・ソンイさんを』

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