星から来たあなた
第11話

対決。

ジェギョン「おまえが先に整理されればチョン・ソンイの整理も楽なようで。じゃあな」

引き金を引く。

消えるミンジュン。

あたりを見回すジェギョン。

背後に突然現れる。

ミンジュン「わたしがなんと言った?おまえはわたしを殺すことはできないといったじゃないか」

そしてジェギョンが振り向くと再び消える。

更に焦る。

ミンジュン「わたしの言葉をよく聞け。ここで止まれ。何もするな」

再びミンジュンを撃つジェギョン。

けれどミンジュンは再び消えてしまう。

笑うしかないジェギョン。

ジェギョン「誰が恐れもなくオレに命令するんだ?出てこい、出てこい、出てこい!」

背後からミンジュンが現れると同時に背中に一撃入れられ気絶するジェギョン。

侵入者のいるミンジュンの書庫。

ソンイに危険が迫っていたがソンイはユンジェからの電話を受けて書庫を出つつある。

ソンイ「あ〜、ユンジェ?どこって?わたしお隣に来たじゃない。2302号。ええ、わたし今玄関でドアを開けて出てくる最中・・・」

出てきた瞬間にがっくり力が抜けている。

ユンジェからの電話は嘘で、書庫のガラスに写っている誰かに気付いたソンイの必死な演技だった。

家にすぐ戻り鍵を締め補助錠も掛ける。

ソンイ「ユンジェ、ユンジェ!」

ユンジェ「どうした?」

ソンイ「はやく警察、いや、警備のおじさんに連絡して!お隣に誰か忍び込んでいるようなの」

ユンジェ「何のことだ?お隣に行ってたのか?誰がいたのかって?どんなやつなんだよ?それに他人の家にどうして入ったんだ?あいつと暗証番号まで交わす仲だったのか?」

ソンイ「早く警備室に連絡して!警備のおじさんにちょっと上がってきてって」

ユンジェ「これでも飲んで。犬のようにブルブルしてないで」

ソンイ「わたしが俳優だから生き残ったのよ。神がかった演技力で。ハァ〜、まだ四肢がフラフラするわ」

誰かが来てユンジェが行く。

男の声「管理室から来ました」

ソンイは病室で聞いた声を思い出し玄関へ行きユンジェを止める。

ソンイ「開けないで、おかしいわ」

ユンジェ「(玄関に向かって)どこから来られたと?」

ユンジェが問うも返答がない。

モニターを見ても誰も映っていない。

警備室に確認すると先に処理することがあったから今から行くと言われる。

ユンジェ「管理室の人じゃなかったよ」

ソンイ「どうしてしきりにこんなことが?ト・ミンジュン・・・」

車の中で麻酔弾を抜くミンジュンにソンイから電話がかかる。

とっさに瞬間移動はしたが1発喰らってしまったのだ。

ソンイ「ト・ミンジュンさんどこ?わたしさっきそちらの家に行ったんだけど知らない男が家の中にいたの。もしもし?もしもし?聞いてる?もしもし?ト・ミンジュンさん?わたしの言ってることが聞こえない?ちょっと待って、誰か来たようだわ」

ミンジュンは話の途中で瞬間移動しソンイの家の玄関先に行く。

ソンイ「誰ですか?誰かって!」

ミンジュン「わたしだ。ト・ミンジュン」

すぐにドアを開ける。

ソンイ「どうなってるの?わたし今そちらと電話をしていたのに」

ミンジュン「大丈夫か?」

頷くソンイ。

力なく倒れソンイに寄りかかるミンジュン。

麻酔がきいている。

ユンジェとともにミンジュンをベッドに運ぶソンイ。

ユンジェ「何だ?」

ソンイ「何が何よ?熱はないのに体がどうしてこんなに冷たいの?あんた行って体温計を持ってきて」

ユンジェ「暗証番号も交わしてベッドも貸してやる仲か?」

ソンイ「わたしもこの人のベッドを借りたことがあるのよ」

ユンジェ「なに?二人は付き合ってんのか?」

ソンイ「違うって!」

ユンジェ「違うのに互いのベッドを貸して大騒ぎじゃないか!」

ソンイ「なんの関係があんのよ!高校生が大人の世界の何がわかるっていうの?チッ、行って体温計を持ってきて!」


呆れるユンジェ。


ソンイ「あんたが医師よりマシだって言ってホントあんたの体が総合病院ね。あるときは 怪我をしてまたある時は熱を出して今はがっくり倒れるほどに・・・ん?どんな男性がこんなにまつげが長いの?」

ユンジェが入ってきたためビクンとして伸ばした手を止める。

ソンイ「あ〜、急に」

ユンジェ「何を驚いてんだ?罪を犯したのか?」

ソンイ「罪なんて」

体温計をもぎ取りミンジュンの体温を測るソンイ。

ユンジェ「この男が好きなのか?」

ソンイ「ハッ、ジーザス!おい、あんたが知ってるあんたの姉さんが誰かをまさに一人好きってそんな人なの?こちらでわたしを陶磁器として扱うけどわたしが一人そんな女かって?」

ユンジェ「さらに片思いか?」

ソンイ「ち、違うって!出てって!Get Out!(検温の終了音)28度?ちょいちょい、人の体温に28度ってことがある?」

ユンジェ「何言ってんだ?」

相手にしないユンジェ。

ソンイ「なによ、これ故障したの?全身が氷の塊よ。病院に行かなきゃいけないんじゃないの?」

手術中。

ユ検事が運ばれた病院。

セミの母ソニョンが涙している。

セミが来てお父さんが飛行機のチケットを手配し帰ってくることを告げる。

セミ母「わたしの息子に万が一のことがあれば、わたしも死ぬわ」

セミ「母さん、どうしてそんなこと言うのよ?そんなことはないわ」

母を抱きしめるセミ。

母「一体どんな狂ったやつよ?どんな狂った奴がわたしの息子を!」

涙するソニョン。

現場に落ちていた証拠の万年筆の写真を見るパク刑事。

部下がやって来て調べたことを告げる。

その万年筆は限定物で職人が作っており3本しかないという。

1本が数百万ウォンとも言う。

指紋も出ないのにそんなことがわかって不幸中の幸いだというパク刑事。

ただじゃ置かない、捕まえると決意を露わにする。

兄嫁の行方。

左頬に傷をつけたジェギョンが家に帰ってくる。

翌朝の食卓。

フィギョン「お二方、もしかして姉さん(兄嫁)の消息を聞いたことありますか?」

イギリスに行ったんじゃないかと答えるイ会長。

イギリスに行くたびにメールはしたが連絡がなかったというフィギョン。

縁が切れた子の消息を聞いてどうする?とイ会長。

ジェギョンがやってくる。

母が顔のことを問うと運動してなったと答えるジェギョン。

誰の話をしていたのかと問うがなんでもないとイ会長。

ジェギョンにも兄嫁のことを問いこの前の電話のことを切り出そうとすると父に叱責されてしまい話はそこで終わる。

ユンジェが階下へ下りて行くとソンイが料理をしていた。

ユンジェ「何してる?」

ソンイ「ああ起きたの?わたしたち朝食に玉子焼きどう?」

ユンジェ「下に本当に(油を)ひいたのか?」

ソンイ「ああ、大丈夫大丈夫。上だけ食べればいい。あ〜、この人なんの睡眠を10時間も取ってるの?」

ミンジュンが眠るベッドへ向かうソンイ。

ソンイ「ト・ミンジュンさん、ト・ミンジュンさん、ちょっと?ねえ!」

ミンジュンを揺さぶるソンイ。

朝鮮時代。

ミンジュンを診察している。

『もし?顔と唇が鬼神を呼ぶかのように変わって手足が冷たくなったことから見てヒ素中毒の疑いがあるのだ。この者の脈を取ってみよ。真臓脈(チンジャンメク)が現れるはずだ。顔色を見たところ真臓脈の中に真脾脈(チンビメク)も現れる可能性が高い』と許浚(ホ・ジュン)。

『視診だけで脈を取り出されるとはさすが神医九巌(クアム)先生でいらっしゃいます』と弟子。

『脈を取りなさい』と、ホ・ジュン。

真臓脈が取れないどころか初めて取るたぐいの脈に驚く弟子。

このように硬く速く鋭い脈は初めてだという弟子。

手首の上部を正確に取れば真脾脈が取れるはずだとホジュンがやってみるもちゃんと取ることができない。

『この者は尺膚を見て病を診断するほうが早い』とホ・ジュン。

あれこれと推論をし尺膚を見てみろという。

乾いた魚の鱗のように荒れているからと。

けれど弟子が見てみると鱗どころか肌はつやつやしていた。

神医もかたなしだ。

回復したミンジュンと縁側に座るホ・ジュン。

『医員さんのおかげで生きました』とミンジュン。

『ヒ素の中毒になったのにこんなに早く気力を回復するとは驚きです。ところでソンビ(儒生)は神秘な脈をお持ちでいらっしゃいます。わたしが知るどんな人とも違うそんな脈』とホ・ジュン。

『当然です。わたしはあそこから来たんですよ』と星を指さすミンジュン。

『はい?』とホ・ジュン。

『わたしはあの星から来ました。この場所と他の星ではあるがすべての環境がほぼ似ているそんなところですよ』とミンジュン。

『まだ全快ではないようですね、どうにも心気が切れたようですが』とホ・ジュン。

『わたしはここの人ではありません』とミンジュン。

ソンイ「ト・ミンジュン、大丈夫?起きてよ!気がついた?」

起き上がり。

ミンジュン「どこだここ?」

ソンイ「私の部屋よ。10時間超えて眠ってたのよ。昨日はどうなったの?わたしがこの前から尋ねたかったんだけどじっと我慢してたのよ。もしかしてどこかすごく悪い?」

ミンジュン「違う」

ソンイ「もしかしてまさかそんなことはないでしょうが、持病で何ヶ月かの時限付きなんじゃないでしょ?いやこの前日記帳でもそうだったし違うでしょ?そんなの?」

ミンジュン「違う」

ソンイ「ご飯食べていって。玉子焼き好き?まだ正気が行ったり来たりする?あっちは玄関でこっちはキッチン」

ユンジェはすでにご飯を食べ始めている。

ミンジュン「家に帰るぞ」

ソンイ「どうして?その、わたしが言いたいのはわたしがそちらの家でお世話になったのもあってこの際ちょっと返そう・・・」

ミンジュン「返さなくていい」

ソンイ「まだ中に誰かいたらどうしようと?」

ミンジュン「わたしがいいようにする。おまえはおまえの周りのことをしっかりしろ」

すたすたと歩いて出て行くミンジュン。

ユンジェ「片思いじゃいないってね?」

ソンイ「違うって!クソ!」

セミの来訪。

ソンイがミンジュンを追って出てくるとエントランスにはセミもいた。

ソンイ「あんたがウチに何の用なの?」

セミ「あなたの家に来たのではなくてト・ミンジュンさんに会う用があって来たの」

ソンイ「どうして?何の用?」

セミ「今さっき申し上げた問題で伺いたいことがあるんです」

ソンイ「たった今何を話したのよ?どんな問題?」

ミンジュン「お入りください」

セミ「はい、ありがとうございます」

ソンイ「ちょっと!ト・ミンジュンさんは今、良くないのよ。要件だけ簡単に言いなさいよ!」

セミ「そうね、わかったわ」

聞き耳。

ユンジェ「何してる?」

ソンイは壁に張り付いてお隣に聞き耳を立てていた。

ユンジェ「なにしてるのかって?」

ソンイ「いやト・ミンジュン、この人はわたしの歌声も全部聞いてわたしが叫んだのもすべて聞いて抗議に乗り込んできたのに。いや防音が完璧なのにどうやって聞いたのよ?一体?え?」

お茶を出すミンジュン。

セミ「もうしわけありません。いきなり訪ねてきて」

ミンジュン「検事さんがユ・セミさんのお兄さんということは知りませんでした。いま状態はいかがですか?」

セミ「外傷性硬膜脳出血で昨日の夜に手術受けたんですよ。手術が終わったのにまだ意識が戻らない状態です。MRI検査をまたするって」

ミンジュン「刑事さんに聞きました」

セミ「昨日、兄があそこに行ったのはト・ミンジュンさんに会いに行ったのだって」

ミンジュン「はい。わたしとその建物のカフェで約束があって」

セミ「わたしの兄とどうして会おうとしていたのですか?」

ミンジュン「渡すものがありました」

セミ「その事実を知っていた他の人はいましたか?誰かが兄の動線を予め知っていたようで。もしかして思い当たる人がいるのではないかと」

ジェギョンのことを思い出すミンジュン。

ミンジュン「とにかく、お兄さんがこのようになったのはわたしの原因(せい)が大きいようです」

セミ「いいえ、そのように考えてくれと言った言葉ではないのですが」

ミンジュン「とにかくこの事件を解決できるようにわたしができる最善を尽くします」

セミ「お言葉(だけ)でもありがたいです。けれどCCTVに映ったものもなく、何かの万 年筆を一本発見したことの外は何も証拠がなくて、犯人を捕まえることが容易では無いと・・・」

こっそり聞き耳をたてているソンイ。

ソンイ「いや、男女の類別があるのに二人家で何をしているのよ?家の外に出たら2軒置いて一つがカフェに?え?ざらにあるわね!(壁越しに)それを全部置いといてあえて家でしなきゃいけない話て何なのって!クソ、何を話してこうも出てこないのよ」

そんな言葉が壁越しに聞こえ思わず吹いてしまうミンジュン。

セミ「どうして?」

ミンジュン「なんでもないです」

慌てて取り繕う。

家から二人が出てくると同時にソンイも出てくる。

ソンイ「いま行くの?」

セミ「うん、また会いましょ」

ソンイ「ト・ミンジュンさんどこに行くの?」

ミンジュン「スーパー」

ソンイ「スーパー?ちょうど良かった。わたしも行こうとしてたので一緒に行けばいいわね!」

ミンジュン「その格好で行くって?」

服を指摘するミンジュン。

ソンイ「Ooops! わたしは今すぐコートだけ羽織って出てくるから待ってて。行かないでよ!」

けれど急いで出てきたのにミンジュンはいなかった。

ソンイ「何よ・・・」

スーパーでミンジュンを見つけカートを走らせるソンイ。

ソンイ「何よ!一緒に行こうって!恥ずかしいったら。わたしたち一緒に買って半々にしましょ。そちらも一人で生活していてウチもわたしとユンジェしかいないし。これ見てこれ見て!え、ワンプラスワンこんなのが多いのよ。たくさん販売してるのを安く買って二人でぴったりわけるのよ」

ミンジュン「わたしは食べるほどだけ買う。ワンプラスワンごときに惑わされて必要のないものをたくさん買うなんてしない」

ソンイ「豆腐好き?わたしはそれほど。なにもない時チゲに入ってるのだけ食べるわ。じゃがいも買わない?」

ミンジュン「じゃがいもは好きじゃない」

ソンイ「どうして、蒸して食べるとどんだけ美味しいか!じゃがいもは砂糖を付けて食べる?塩を付けて食べる?」

ミンジュン「塩」

ソンイ「あ〜、知らないのね。じゃがいもに砂糖を付けて食べるとどんなに美味しいか。今後は砂糖を付けて食べて!」

ミンジュン「何をつけて食べようとわたしがいいようにしてはだめなのか?」

ソンイ「いいわよ、いい。チキンは?足が好き?パサパサした肉(胸肉)が好き?」

ミンジュン「パサパサしたの」

ソンイ「は〜、わたしは無条件に鶏足なのに。それなら・・・どうしてこうどんどん前に行くのよ?ところでわたしたち二人密かに食性が反対ね。一生食べ物を持って争うこともないわ」

ミンジュン「一生おまえとなにか食べることはない」

スーパーを出る。

ソンイ「車はどこにあるの?」

ミンジュン「牽引保管所に」

ソンイ「牽引保管所?どうして?とにかくわたしの車に乗って行って。送ってあげるわ」

無言でタクシーに乗るミンジュン。

ソンイ「何よ!わたしに何なのよ」

フィギョンの会社ではジェギョンが体調が悪いということで会議が中止になる。

健康管理をしっかりする方なのに体調が悪いこともあるんだなと部長。

スタッフを解散させた後専務のどこが悪いんだとフィギョンに問う部長。

どうして自分に問うのかと言うフィギョン。

この時初めてフィギョンは家族関係がバレていたことに気づく。

以前パソコンに家族写真を表示した時からバレていたのだった。

フィギョン「わたしのためにとても不便だったでしょう」

部長「若干・・・いや、いや」

自分の立場だけ考えていたと謝るフィギョン。

恐縮する部長。

兄のオフィスへ行くフィギョン。

秘書から席を外していると言われ座って待っていると答えるフィギョン。

その間に物色を始めるが引き出しには鍵がかかっていた。

相談。

大きな椅子に座りいつもミンジュンが書斎で語るように話すソンイ。

ソンイ「けれど以前はわたしによくしてくれたんですよ。ぶつくさ隔たりながらもラーメンを買ってほしいといえば買ってくれ足を怪我したから薬を買ってくれ盲腸の手術をするときは一晩中一緒にいてくれ、記者のせいで車に閉じ込められているときは誤りがあるときにだけ隠れろとわたしをかばってくれて。そうしてみたからいつの間にか彼に依存するようになったのか好きな気持もできたようで、だから告白したのに人が180度変わったというのがこれですよ。完全冷たい風がひゅうと吹くように何か言っても返事もしないしわたしを牛か鶏を見るようにするんだけどわたしにどうしてそうなのでしょうか?その人、わたしに気持ちがあるのでしょうか?ないのでしょうか?」

『気持ちがあるようだけど』とボタンを推す青ジャージ。

『ない、ない』とボタンを消す赤ジャージ。

古今東西を問わず食べ物を買ってくれるなら好きなんだと青ジャージ。

『好きなら告白を受けないと』と赤ジャージ。

『そうよね。わたしが見てもちょっと違うようよ』とホン社長。

『違う?』とソンイ。

ホン社長「女性が先に告白するのが簡単?だけど告白するやいなや180度ころっと変わり牛や鳥を見るようだというのはあんたを負担に感じるという話でしょ」

ソンイ「負担に感じる?」

違うでしょ!相手が普通の子じゃなくてチョン・ソンイだからだと青ジャージ。

ソンイ「そうでしょ?チョン・ソンイだから。わけもなく一発でOKしたら簡単に見られるかと!?」

ホン社長「違うようだけど」

ソンイ「違う?」

ホン社長「男たちはふつう好きなら突き付けるじゃないフィギョンのように。ほんとに好きならそうするのが正常じゃない?」

恋愛したい女性1位。

家に帰り一度突撃知ってみろ、あんたはチョン・ソンイよとホン社長に言われたことを思い出すソンイ。

ソンイ「そうよ、わたしはチョン・ソンイよ!」

自分に言い聞かせミンジュンの家のベルを鳴らそうとする。

するとミンジュンが出てくる。

ミンジュン「なにしてるんだ?」

ソンイ「どこに行くの?」

ミンジュン「釣りしに」

エレベーターのドアを手で止め乗り込むソンイ。

ソンイ「どこに行くの?遠くに行くのかな?わたしも付いて行ってはダメ?わたしも釣り好きよ。子供の頃にパパについてよく行ってたわ」

ミンジュン「だめだ」

ソンイ「ぜひ、話もあるし」

車の中。

ソンイ「わたしがわたしの口からこんなことを事を言うのも何なんだけど、わたし韓国の未婚男性が恋愛したい女性1位だったわ。もちろん最近は若干停滞して・・・けれど1位だった。そしてまた1位になる女よ!そんなわたしがあなたにある言葉を言ったじゃない?わかるはずよ、どんな言葉か。けれどあなたはなんの答えもないわ。答えがないだけじゃなくてわたしをガン無視したわ。アンビリーバブル!どうしてわたしにこんなことができる?理解できなくて」

ミンジュン「降りるか?」

ソンイ「高速道路なのに?」

ミンジュン「だから」

ソンイ「OK!あとで続けて話すわ、まあ」

氷った池の上を滑ってはしゃぐソンイ。

ミンジュンは釣りの準備をしている。

ソンイ「ここ、ほんとにいいわ!人もいないしホントすごくいい!!」

大きな声を出すソンイ。

ソンイ「ここ、どうやって知ったの?よく来るの?毎日家にだけいたけどこうしたところにくると気が晴れるわ」

ミンジュンに言うソンイ。

『いいわ!』と言い再び滑り出し寝転ぶ。

そしてまた『いいわ』とつぶやく。

氷に穴を掘るミンジュン。

戻ってきてミンジュンに抱きつく。

ソンイ「わたしうまく滑るでしょ?わたし子供の頃にフィギュアをしてたのよ。わたしが続けていたらわたしたちのキム・ヨナ選手の前にチョン・ソンイ選手がいたんじゃないかしら。コーヒーの水沸かす?わたしのもお願い」

再びミンジュンに抱きすがっている。

また滑りに行こうとするソンイを引き止めるミンジュン。

ミンジュン「本当にわたしの答えを聞きたくてここまで来たのか?」

ソンイ「いいえ、一緒にいたくて。それと、答えが聞きたいと思うこともあって」

ミンジュン「そうか、それならしてやらないといけないな。わたしはもうしたと思ってるんだが。わかってないようだから明確に答えるよ。わたしはおまえが嫌いだ。おまえがこうだからもっと嫌いだ」

ソンイ「それなのにどうしてわたしを助けたの?辛い時どうしてそばに居てくれたの?どうして?」

ミンジュン「少し可愛そうでそれと芸能人だから、正直不思議でもあり。好奇心でそうしたのにおまえを好きでしたと思ったんだな?すまないことに・・・けれど自尊心の強い女だからここまでくるとは思わなかったが分かったならそんなことはしなかったのに」

ソンイ「それでわたしがどうすればいいの?」

ミンジュン「わたしの目の前から見えなければいいな」

ソンイ「だけどわたしはあなたがウソをついているよう(に思えるの)」

涙を流しうつむくソンイ。

そして振り向きミンジュンのそばを離れる。

フィギョンの慰め。

泣きながら暗い道をとぼとぼと一人歩くソンイ。

車が近づく。

ミンジュンではなくフィギョンだ。

車から降り、『ソンイ』と呼ぶフィギョン。

ソンイ「フィギョン、あんたがここにどうして?」

フィギョン「乗れ」

車の中でもずっと泣いている。

ソンイ「ゴメン」

フィギョン「大丈夫だ」

ソンイ「そうじゃなくて、わたし推察だけして分からなかったの。あなたの気分。告白して蹴られたらこのような気分なのね。わたしとてもみじめで・・・」

泣きじゃくるソンイ。

フィギョン「最初だけそうだな。約15年やられたら耐えるだけだよ。おまえ最初全校生徒が見ているところでそうしたんだオレに」

ソンイ「あんた、恥ずかしかったでしょ?わたしは見る人がいなくても恥ずかしくて死にそうだったのに」

フィギョン「当然だろ?」

ソンイ「ハァ〜、けれどあんたとこうして話をしたから気分が少しはまし」

フィギョン「ところで、大丈夫になったとしても突然夜中に感情の波が押し寄せることがあるから注意して」

ソンイ「そうなの?」

フィギョン「横になって足蹴にする気持ちがわかるようになるはずだ」

ソンイ「そうなのね」

フィギョン「カッとして夜明けにまさに電話して・・・そういうこともあるぞ。だけどそうするな。けれどおまえがどんだけ嫌か覚えてるだろ?」

ソンイ「覚えてる。糞食らえだった」

フィギョン「おい、糞食らえまで・・・」

思わず笑ってしまうソンイ。

ソンイ「ゴメン」

フィギョン「悲しい歌聞くこともせず。そんなのを聞けば感情の制御がうまくいかないんだ」

ソンイ「それで、あんた誰の歌を聞いて感情の制御がダメなの?」

フィソンのダメなのかい?(アンドェナヨ)を歌うフィギョン(回想)

ソンイ「悪い小娘、ちょっと受けてよって」

フィギョン「オレが言いたい」

ソンイ「むしろその時わたしが受けてたらあんたわたしとちょっと付き合って、わたしという子の実体を知ってうんざりして誰でもあんたを好きという人に出会って行ってしまえたのに・・・ところであんた、さっきどうしてわかったの?あの人が、あんたに連絡した?」

フィギョン「ああ」

ソンイ「一人送るのはさらに嫌いだったようだね」

フィギョン「おい、それは・・・一種の配慮だ。おまえがオレにするような。なんの意味もないんだよ・・・何がそんなに好きなんだ?オレは15年してもダメなのにあいつはどうしていいんだよ?どのくらい会ってたって・・・」

チャン弁護士との会話。

ミンジュンのいる池にチャン弁護士がやってくる。

ミンジュン「いらしたのですか?わたしは来てくれと電話をさし上げたのではないんですが」

チャン弁護士「何をおっしゃってるのですか?わたしはただ一人で夜釣中です。いや来なさいという言葉ではなくて。これが来なさいという言葉でなくて何ですか。ハハハ」

ミンジュン「いらしてくれて良いことではあります」

チャン弁護士「いやそうでなくても妻の小言がそろそろ始動しはじめて疲れてきたころだったのでよかったですよ、まあ。いや若い時はそうでなかったのに老いながらますます小言が激しくなります」

ミンジュン「チャン弁護士。一緒に老いるというのはどんな感じですか?一緒に老いていきたいです」

ソンイは眠れない夜を過ごしている。

チャン弁護士「なんだか顔色が良くないです。今日はやめて起ち(帰り)ましょう」

ミンジュン「はい。寒いですね」

チャン弁護士「いや、この頃こうも寒い寒いと?そうでない方なので不安で死にそうです」

ミンジュン「すごく以前に死ぬところだったわたしを生かしてくれたある方がいらっしゃいました。その方がこうおっしゃいました」

朝鮮時代の回想。

ホ・ジュン「ソンビ(儒者)はいつか生きていたところに戻る事ができるのですか?」

ミンジュン「宇宙の順理(従うべき道理)に任せます。それに待っていれば必ず道は開けます。今は他に方法がないので待たねばならないでしょう」

ホ・ジュン「過ぎし数ヶ月ソンビを治療しながら多くのことを目撃して何度も驚きました。そして偏狭だったわたしを脱してすこしだけ広く見たりもしました。けれど一つだけ心配になったことがあります。人体は陰陽五行と通じます。何一つ天地と相応することができなければ生命が維持されることはありません。宇宙の根源はやはり生命の根源と同じです。通則不痛 不通則痛、通じれば痛くなく、通じなければ痛くなります。けれども天地の気運が通じない生命の土台でソンビがいつまで生きることができるのか?いつかは気がすべて衰える日がくるはずなのですがぜひその気が衰える前に必ず故郷へ帰られるのを願うだけです」

現代。

ミンジュン「おそらくその方のおっしゃった限界値がもうやって来たのではないか?思っています」

チャン弁護士「それではここに留まりたいと思っても留まることができないということですか?」

ミンジュン「順理に逆らって留まったならさほどもせず死ぬことになるでしょう」

フィギョンの言っていたように横になってから足蹴にする気持ちがわかるようになったソンイ。

ブランケットを蹴りのけ起きため息をつく。

ユンジェが階下に降りるとソンイが焼酎を飲んでいた。

ユンジェ「何だ?」

ソンイ「ウチのユンジェ一杯やる?ダメよね。ウチのユンジェはまだ高校生よね」

ユンジェ「休み休み飲めよ。酒量も多くないのに酒はすごく好きだよな」

ソンイ「わかった〜」

朝起き水を飲むソンイ。

ソンイ「あ〜、学校行く?」

ユンジェ「行かなきゃな。高3が勉強しないと」

ソンイ「あんたの口から勉強という言葉が全部出てきたわ」

ユンジェ「昨日おまえがしてることを見てしようと勉強。懸命にしなきゃと、ただ過ごしてはダメだと」

ソンイ「わたし、何?」

出て行くユンジェ。

ソンイ「おい、おまえわたしが何?」

髪にヘアピンをぶら下げているソンイはなんとなく昨晩のことを思い出し始める。

ビンを片手に『銃に撃たれたように〜、こんなにも痛い♪』と歌い出し『ト・マネージ ャー、ト・マネージャー』と言い大騒ぎをしていた。

スマホの発信履歴もミンジュンだらけで数秒おきに電話をしている。

ソンイ「どうして?どうして受けない?わたしがスマホを買えと言って買ったのにどうして受けないの!どうして!ハハハハ・・・わたしが電話しないとでも思った?受ける時まで電話してやる!ト・ミンジュン〜!」

言っていたのを思い出し崩れるソンイ。

さらにLINEをチェックする。

そして思わず口を抑えてしまう。

ソンイ「おい、この悪い奴!明心宝艦(ミョンシムボガム)にこうだと書いてあんの?こんな丙子年の罰当たりな奴。ポディ峠に行って夜中に座ってろ!もう一度考えてみてはダメなの?わたしが良くするわ。(正座して泣いてるウサギのスタンプ)この前陶磁器を割ったことでそうなの?わたしが払うって言ったじゃない!いっしょにイチョンに行きましょ」

完全に狂ったメールを送っているソンイ。

頭を抱えるしかない。

歯を磨きながらもっと思い出して思わず『うわぁ〜!』言ってしまうソンイ。

ミンジュンの家のドアを泣きながら叩く。

ミンジュン「何だ?」

ミンジュンが出てくる。

ソンイ「ヒール。あなたが盗んだわたしのヒール。好きだったじゃない!こっそりと盗み出すほど。これあなたに。わたしたちの思い出が詰まったヒール」

大号泣してしまった。

家の装飾に頭をぶつけるしかない。

パスポート。

母に兄が出勤したのを確認するフィギョン。

フィギョンは風邪気味だからと出社していない。

兄の部屋を物色するとジェギョンの別れた妻ヤン・ミンジュのパスポートが出てくる。

有効期限も2021年まである。

フィギョンは駐車場で交わしたミンジュンとの会話を思い出す。

フィギョン「さっきはありがたかった。いずれにしろオレに連絡してくれて。ソンイ一人 で行かせなくして」

ミンジュン「ただその話をしようと今まで待ってたのか?」

フィギョン「そして12年前にオレのソンイを救ってくれてそれもありがたかったし」

ミンジュン「違うと言ったろ」

フィギョン「オレのソンイはあんたがその人だということを知らなくても、あんたをとても好きなようだ。あんたほんとにオレのソンイが嫌いなのか?でなければ何か他の理由があるのか?」

ミンジュン「おせっかいも色々だな。おまえが好きという女がわたしを好きだというのにたったそんなことが気になるのか?おまえが好きな女なら他人の心はどうであれ気にしないでおまえの方式でその女を守れ。そしてイ・ジェギョン・・・」

フィギョン「あんたがオレの兄をどうして知ってる?この前にオレの兄もおまえについて尋ねたぞ」

ミンジュン「そうおまえの兄。チョン・ソンイをおまえの兄から守れ」

フィギョン「どういうことだ?それって?」

ミンジュン「まだおまえにすべてわからせることができなくてこれ以上は言うことができない」

そんな会話を思い出しあらためてパスポートを見るフィギョン。

ジェギョンの一手。

そのころジェギョンはソンイの母ミヨンを呼び一人企画社のプランを提示していた。

ウチの婿、いやフィギョンが言っていたものを作ってくれるのかとミヨン。

今後は自分がソンイを管理したくてとジェギョン。

ジェギョンが直接そんなことを行ってくるなんてと信じられない様子で興奮するミヨン。

夜に食事に行きましょうというジェギョンにオフコースと答えるミヨン。

例の指輪を触るジェギョン。

パク刑事は後輩から万年筆についての報告を受けている。

持ち主のウチ一人は中小企業の80歳を超える会長で一人は事件当時チェコにいたダンサーでまだ帰国しておらずもう一人は2年前に死んだという部下。

パク刑事「死亡?」

ハン・ソジンという32歳の天体物理学者だが行方不明になって死亡処理された人だという部下。

誰も事件と関連付けられないことに落胆するパク刑事。

ハン・ソジンだかなんだかが死んだことは確実なのか?と問う。

侵入者がいた際の自分の家のCCTVを確認するミンジュン。

その時メールが入る。

『おまえがチョン・ソンイのそばをあまりにもよく守っているからわたしは他の方法を見つけた。どうする?選択しろ?』

ミヨンをエスコートする写真を送るジェギョン。

立ち上がるミンジュン。

友達としても。

セミの撮影現場。

ポム「病院に行くのですか?姉さん」

セミ「いいえ、わたし今日行くところがあるの。自分の車をわたしが運転していくわ。先に退勤して」

車を運転しながら公園でのフィギョンとの会話を思い出すセミ。

フィギョン「セミ、この前おまえに行った言葉を取り消さなければならない」

セミ「どんな言葉?」

フィギョン「友達としてユ・セミを失いたくないって言っただろ。それがどんなに利己的で笑える言葉かわかった。オレがおまえを失いたくないという気持ちより重要なのはお前を幸せにしてやることだ。おまえを愛してやれない男のそばで友達役をしながらおまえが幸せになることができないようで」

セミ「あなた、あなたそうしてるじゃない」

フィギョン「オレが不幸なんだ今。だからお前までオレのようにしてはダメだと思ったんだ。もうユ・セミ、オレはおまえを友達としても見ないぞ」

セミの口撃 ミンジュンの危機。

うたた寝中のソンイ。

セミがやってくる。

ソンイ「クソ、あれが急に来てどうしろと?さまがひどいのにあれ」

着替えてすました格好でセミを向かい入れる。

セミ「入っていいの?」

ソンイ「ぎこちないわ。あなたといるのにぎこちない瞬間が来るなんて想像もできなかったのに」

セミ「わたしはあなたといてぎこちない時が多かったわ。あなたが鈍くてわからないのね」

ソンイ「そうなのね・・・とにかくわたしはあなたが外に立ってるのを見て服も着替え髪もまた結んで、前はそんな必要なかったのに。あなたが望むとおりにわたしはあなたを意識してるみたい」

セミ「そう?それで?ありがとうと言うのを望んでるの?」

ソンイ「あんたとてもねじれた子なのね。それはあんたにとってよくないわ。わたしがあんたに友達として、いや友達だった人として忠告するわ。あんたはただあんたのまま生きなさい。わたしのせいでねじれずに」

セミ「いや、わたしはあんたのせいで人生がねじれるだけねじれたわ」

ソンイ「いや、どうしてわたしのせいで?」

セミ「あんた口癖のように言ったでしょ?12年前あんたが死にそうになったその日の夜あなたを救ったその人。いつか一度ぜひ会いたいって」

ソンイ「突然ねあんた。そうよそう言ったわ。それもわたしが間違ったの?」

路上に立つミンジュン。

以前見た映像がフラッシュバックする。

倒れた自分の手からUSBをもぎ取られるものだ。

車がやって来る。

超能力を使おうとして使えなかったのか?

目を大きく見開いた後車に轢かれ宙を舞う。

セミ「わたしは時々あきれるわ」

ソンイ「人を弄ばず、言いたいことを言いなさいよ!」

セミ「ひと目で分かるって。もしその人があんたの前にまた現れたらあんたひと目で分かるって」

ソンイ「それで?」

セミ「その人を待つという言い訳でいつかまた会うという理由であんたフィギョンが・・・あんた一人だけを見ているそのバカなヤツ、来ることも行くこともできなく足首を掴んでおいたんじゃない。そうしておいてどうして?気づかないの?」

ソンイ「なにを?気づかない?」

セミ「まさにあんたのそばにいるのにどうして気づかないのかって!?」

ソンイ「わたしのそば?どこ?だれ?何言ってるのよ?あんた!」

路上ではミンジュンが血を流し気を失っている。

そしてフラッシュバックの通りUSBを奪われる。

第11話エピローグ。

氷った池で。

ソンイ『それで、わたしがどうすればいいの?』

ミンジュン『わたしの目の前から見えなければいいな』

ソンイ『だけどわたしはあなたがウソをついているよう(に思えるの)』

涙を流しうつむくソンイ。

そして振り向きミンジュンのそばを離れる。

ソンイの後ろ姿を見つめるミンジュン。

目を瞑り時を止める。

そしてソンイに近づき手を握りキスをする。

♪ 偶然わたしに近づいてきて、包み抱いてくれ、 夢の中だけでわずかに触れる、いま、あなたはわたしの前に愛が来たのに、あなたは去ったのに、待ってたのに、もっと会うことができないなんていつもばかみたいに・・・♪

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