星から来たあなた
第10話

フィギョン「あんたもしかして、12年前ソンイを助けてくれたその人か?その人か?」

ミンジュン「何のことだか!」

フィギョンの手を振り払うミンジュン。

フィギョン「事故当時の写真がある。それを見て間違いなくあんたの顔だった」

ミンジュン「世間には似ている人が多い。そしてそれが実に12年前なら間違いないと確するにはあまりにも古くないか?」

フィギョン「だから、どうして12年前と顔が同じということが・・・あんた一体何歳なんだ?」

ミンジュン「見間違ったんだろ!」

フィギョン「オレもそうであることを誰よりも願っている。あんたがそう答えてくれることを切に願って来た。けれど写真だけでなくオレの記憶の中にもあんたがいた。その人があんただった」

ミンジュン「そちらの記憶に誰がいようとどんな考えをしようがそちらの自由だ。信じたいようにしろ。わたしは関係ないから。まだ話すことが残ってるか?」

フィギョン「オレも関係ない。そちらが誰であろうと正体が何であろうと。けれどオレのソンイとどんどん絡んでいく人なら話が違うだろ。奇妙な点が一つや二つではない男と正体がわからない男とオレが愛する女性がどんな形式であれ関わっているのに、それを手をこまねいて見ているバカがどこにいる?絡むな!チョン・ソンイと。どんな形式であれ」

去っていくミンジュン。

フィギョンにソンイからメールが入る。

ソンイ「フィギョン、今は出られない。わたしはト・ミンジュンさんに必ず確認することがあるの」

家の中に入るミンジュン。

待ち構えるソンイ。

ミンジュン「なんだ?」

ソンイ「あんた、わたしをバカにしてるでしょ?」

ミンジュン「何を言ってるんだか、また」

ソンイ「先だって事故が起きてわたしが死にかけたその日の夜、あんたは来なかったって言ったわね?ところでこれは何?」

血のついたガラス片を見せるソンイ。

ミンジュン「なんだそれ?」

ソンイ「わたしが見たところ、わたしの車のヘッドライト片のようなのよ。血がついていてあなたのゴミ箱から発見されたの、これ」

ミンジュン「それで?」

ソンイ「その日の夜、あんたはそこに来てわたしの車を阻んでそれでヘッドライトが壊れてかけらが手に刺さりそれを家に帰って治療してそれでこれがこうして証拠としてしっかり残ってるもので・・・説明して、どうなっているのか」

ミンジュン「わたしはあなたをバカにしてはないんだが、バカなんだな」

ソンイ「なに?」

ミンジュン「世界にガラス片があなたの車の壊れたヘッドライトの部分しかないと思っているのか?この前花瓶が壊れた時あなたも壊れたガラス片が足にささったではないか」

ソンイ「それとはどうにも様子がちょっと違うわ」

ミンジュン「病院に行ったって?病院で何て?あなたはこんなこと正常なのか?何か妄想症のようなものじゃないか?」

書斎に行くミンジュン。

ソンイも後を追う。

ソンイ「その日、警察署に行ったって言ったわよね?」

ミンジュン「カンナム警察署に直接確認してみるといいようだが」

ソンイ「その手、接触事故で怪我したって言ったわね?ガラス片が刺さったって言わなかったじゃない」

ミンジュン「それで?」

ソンイ「出して。どうなのか確認してみようじゃない。ガラス片が刺さったのか接触事故のために折れたのかアザができたのか・・・見せなさいって!」

絆創膏をめくるとすでに傷は癒えていた。

ソンイ「なによ完治してるじゃない。これ、どうしてしてたのよ?はったりだったの?」

ミンジュン「もうすべて確認したか?手をちょっと離してくれ」

ソンイ「けれど出てるでしょ?おかしな点が1・2点じゃないわ。なんと言っていいかわからないけどあなたはホントにおかしいわ」

ミンジュン「チョン・ソンイさん、あなたが介入して平和だったわたしの生活が台無しになった。もう出て行ってくれたらいいな」

ソンイ「そうでなくても出ていこうと思ってたわ」

ミンジュン「できるだけ早く」

ソンイ「どこに行くのか気にならない?」

無言のミンジュン。

書庫を出てチキン&ビールを見つけ少しだけ笑みを浮かべるソンイ。

ソンイがミンジュンの家を出るとフィギョンがいた。

フィギョン「どんな話をした?確認したいことってなんだ?」

ソンイ「別に何でもないの」

ソンイの手をつなぎ『行こう』と言うフィギョン。

ソンイ「フィギョン、ちょっと待って」

ホン社長の家へ。

ソンイはホン社長の家に転がり込んでいた。

ソンイ「う〜ん、ミカンが甘い」

ベッドに寝転びスマホを眺めるソンイ。

ホン社長「いや、わたし誰かと一緒に寝ると眠れないのに。急にこうして押しかけてきて・・・ちょっとあんた髪を縛ってはダメなの?」

ソンイ「好きな人ができたの?あんた好きな人ができたら必ず鶴を折るじゃない」

ホン社長「あんたは?あんたは好きな人ができたの?」

ソンイ「何いってんの?」

ホン社長「あんた、うちに来てから今までずっとスマホばっかり見てるじゃない!待ってる電話があるようだけど?」

ソンイ「違うわよ!」

身を翻すソンイ。

ホン社長「わたしできたわ。なにか地球上に存在しないような、どこか美しい星から降りてきたようなそんな比率と雰囲気を持った男性。わたし一目惚れしてしまったの」

ソンイ「ところで、一度会って、会ってないの?」

ホン社長「いいえ、一度また会ったの」

振り返るホン社長。

ホン社長の回想。

メタセコイアの枯れ並木を小雪がちらつく中ヘッドフォンをして一人歩くホン社長。

ホン社長『偶然出くわしたあなたの姿に、わたしの心を奪われてしまった。偶然に出くわしたあなたの両目がわたしの心を虜にしてしまった。会うことはできなかった、一度ずれたあとは。私の記憶の中だけで生きている遠いあなた。一度くらい偶然に会うこともありそうだけど、似てる人一人、合うこともできなかった。この路地を曲がれば会わないのか』

自転車でやって来たミンジュンの行く手を塞ぐホン社長。

ホン社長『あの、わたしがわかりませんか?わたしが印象がいいと前にも申し上げたのに』

ミンジュン『誰・・・?』

ホン社長『あ、それと、これ』

瓶に詰めた折り鶴を見せるホン社長。

『買いません』

去るミンジュン。

ソンイの家に誰も侵入できないように電子錠を変更しCCTVを設置するように手配するフィギョン。

ミヨン「いや、いったいどんな狂った人間が家を騒然とさせたというのよ?警察に申告したの?」

フィギョン「全部出来たぞ!お母さん僕達みんな出て美味しいものを食べますか?」

ミヨン「Off Course!いいわね」

ソンイ「結構よ疲れてるの。そしてあんたどうしてさせてもいないことをしてるの?母さんとユンジェをどうして呼ぶのよ?」

フィギョン「おまえがチョンピョンも行かないしホテルも嫌だしお母さんのところも嫌だし」

ミヨン「母さんの家、どうして嫌なの?」

ソンイ「もうみんな行って。わたしちょっと休む」

フlギョン「オレは行かない。行かないって。当分の間ここにいるぞ」

どこかへ行くユンジェ。

フィギョン「そうだな、それはいい。ウチのユンジェがいればたのもしいよな、とにかく。オレも行ったり来たりして」

ミヨン「そうね、母さんもここ・・・」

ソンイ「母さんは行って!フィギョン母さんを連れて行って」

ミヨン「いてと言われても居てやらないわ」

そしてカン代表の連絡を受けずに話もするなと言い帰っていく。

部下から報告を受けるジェギョン。

ミンジュンがエレベーターより早く1階に降りるのが不可能だという説明だ。

他の可能性はと問うジェギョンだったがもうひとつのエレベーターは点検中で動いてなかったと答える部下。

苦笑いする。

ジェギョン「わたしはたしかに23階で見たそいつが1階に来ていたのを見たんだ。ということはわたしが不可能を目撃したんだな・・・ハハハ」

チャン弁護士の忠告。

チャン弁護士「そちら(ジェギョン)でそれでは変だと感ずかないでしょうか?いやどうして感情に流されていままでしなかったミスを?」

ミンジュン「視点をそらさなければならなかったようで」

チャン弁護士「どのような視点を?」

ミンジュン「そちらがチョン・ソンイを遊んでるんですよ」

チャン弁護士「むしろチョン・ソンイさんに話してみてはどうですか?危ない人物だから気をつけろ。近くに行くなって」

ミンジュン「わたしが把握したところ避けろと(言って)避ける人間ではないです。それとチョン・
ソンイはその人の実態を知らないほうがいいんです。秘密を教えたらもっと危なくなります」

チャン弁護士「それなら先生は?400年を静かに生きて無事に離れる日だけ待っていた先生の安全は?わたし数十年の間に先生の死亡届何度か出しました。行方不明、火災、溺死、交通事故、理由も多かったんです。そうなんですがそんなことではなく実際の死が来るかもしれません。もともといらしたところに戻ることができないまま、本当にここで死ぬこともあるんです。その点は考えてないですか?」

捜査の進捗。

ユラの妹「わたしこれ以上聞く話はないって話したじゃないですか!」

話をすることを拒否するユラの妹。

ユ検事とパク刑事はユラが妊娠していたことを告げ相手の男を知らなければならないという。

処女が妊娠して死んだことを言って姉を二度殺す気かという妹にそれが重要な事か?殺された可能性について話しているのにとパク刑事。

薬をやめたのは子供を生みたいがためでそれは望まない死を迎えたということだとユ検事。

男がいた。

高価なプレゼントを貰った。

絶対に誰かとは言わなかった、とんでもない資産家、すぐに結婚したかった、と、聞き出したことを列挙するパク刑事。

通話記録を見てみようとユ検事。

パク刑事はまたミンジュンを疑う。

韓国の資産家が一人二人ですか?とユ検事。

兄弟の会話。

ミンジュンはジェギョンを見つけ瞬間移動する。

子供に見られるが母親は相手にしない。

家に到着するジェギョン。

ジェギョン「ト・ミンジュンに人を付けて。そっちのほうを先に整理しなければならないようだ」

部下に言うジェギョン。

返事をする部下。

その会話を隠れて聞くミンジュン。

ジェギョンが家に入るとフィギョンがソンイに電話をしていた。

フィギョン「ああ、ソンイ変わったことはないな?ユンジェはいて?何かあれば直に電話しろよ。とにかくお前の家をくまなく探しておまえを拉致しようとした狂ったやつオレの手にかかれば終わりだ、クソ。ああよく寝て」

その様子を聞いていたジェギョンが椅子に座る。

ジェギョン「ソンイに何かあったのか?」

フィギョン「知らない。最近サイコも多いじゃない」

ジェギョン「おまえ、ト・ミンジュンという人を知ってるか?」

フィギョン「兄さん、ト・ミンジュンをどうして知ってるんだ?」

ジェギョン「その人はどうなんだ?チョン・ソンイとはかなり格別な仲のようだけど・・・その人にもしかしてなにか変な点のようなものを発見したことはないか?」

フィギョン「ないけど・・・。ただオレのソンイのお隣に済む男だ。お隣に住んでるからたまたま顔を知ってるってことで」

ジェギョン「そうか」

フィギョン「ああ、ところで兄さん最近オレのソンイにどうして関心が多いんだ?」

ジェギョン「フッ、おまえが好きな女だから。そして助けることがあれば助けろって(言えよ)。休め・・・」

去っていくジェギョン。

ミンジュンは書斎でソンイの家で見つけたUSBをチェックする。

ふと誰かがこれを握り倒れ他の誰かに奪われるビジョンも思い出す。

あなたも殺されるかもしれないと言っていた女性は前妻か?ユラは前妻がどこに行ったのかジェギョンに問い自分とあなたが恋人関係ということを公表したいと言っていた。

ジェギョンが指輪を触るクセにも着眼するミンジュン。

レス待ちのソンイ。

ソンイ「チッ、あいつの人生の本は九雲夢(クウンモン)だとすごく誇ってたのに結局男性一人と女性八人が恋愛する内容じゃない。けしからんわ!」

本を投げる。

そしてミンジュンにLINEする。

ソンイ「何してる?」と打つ。

レスがない。

ソンイ「何よ、読んでない。寝たかな?」

ソンイ「寝た?」と打つ。

ミンジュンがそれに気づき既読となる。

ソンイ「おお、読んだ読んだ」

ウキウキするソンイ。

けれどレスがない。

ソンイ「何よ!読んでおいてどうして何も言わないの?」

スマホを投げ落ち着きのない状態に。

しばらくして指でカウントを始める。

3本折ったところで電話が入る。

ベッドに飛び入ってスマホに出るソンイ。

ソンイ「どうしたの?」

男性「チョン・ソンイさんの携帯ですか?」

ソンイ「はい、どちらさまですか?」

男性「わたしはゴールドパレス2301号の家主なのですが、昨日は家賃振替日なのに入って来なかったんです」

ソンイ「そんなはずは・・・」

事務所へ。

アン代表のいる事務所へさっそうと乗り込むソンイとミンジュン。

注目を浴びる二人。

アン代表「我々はもうウチの弁護士と検討を全て終えた。これはどこまでもソンイおまえが責任を取るといった部分で・・・」

ソンイ「道義的に責任を取ると言ったでしょ。その部分をひっくり返そうとしてるんじゃないわ。そうだけどこれはないわ」

とある書類を見せるソンイ。

ソンイ「わたしがいつこの映画すると言った?わたしに対してシナリオも見せてないモノ等じゃない!それと旅行社の広告わたしがいつするって言った?」

続けるソンイ。

アン代表「こんなのはおまえが会社側にすべて一任した状況で・・・」

ソンイ「わたしの同意の下にするようにしたのね?わたしはいつ勝手に作品選び、勝手にCMを契約する権利まで与えたの?」

アン代表「チョン・ソンイ!おまえのせいでうちの会社がこうむった実質的な損害がどんだけ・・・」

ミンジュン「契約書を検討してみました」

アン代表「ところでどうしていらっしゃる?と思って誰だ?」

ソンイ「わたしの法的代理人」

ミンジュン「いろいろと違反事項があったのです。特に甲は乙の演芸活動と関連して私生活保障など乙の人格権が対内外的に侵害されないように最大限努力する。この部分」

ソンイ「ちょっと待って!わたしが乙なの?どうして?わたしは甲がいいのに」

表情で黙らせるミンジュン。

ソンイ「Okey」

ミンジュン「そして4条をみると契約締結行使する時乙の精神的身体的事項を必ず考慮して乙の意思表明に反する契約は絶対に締結することができないとされているんです。最後に 7条5項、乙の決策事由により第三者に賠償する金員が発生した場合すべての金額は甲が賠償する。この条項によればすでにチョン・ソンイさんが会社に支払った違約金までも再び返してもらうこともできます。これ(追加請求)まで必ず受けたければ補償金請求訴訟を準備してください。その時は我々も法的に強硬に対応いたします。既に支払った違約金も再び取り戻すべく。そうされますか?」

ソンイ「そうするの?」

顧問弁護士はよそを向く。

ソンイ「ふと、こういう言葉が浮かび上がるわ。『夜中にポティ峠に行って座るやつら』」

アン代表「ポ・ティ、なに?」

ソンイ「そんなのがあるのよ」

微笑むミンジュン。

セミとの対話。

事務所から出てすぐセミとポムとミナにばったり会う二人。

ポムはソンイに手をふろうとしたが躊躇してしまう。

ポム「ソンイ姉さん」

ミナ「姉さん」

ポム「教授はここにどうして?」

セミ「ソンイ、アンニョン!」

無視するソンイ。

セミ「一緒にいらしたのね、教授」

ミンジュン「はい」

セミ「ソンイ、今忙しい?私達、コーヒー一杯飲んじゃダメかな?」

『少し時間大丈夫ですか?』とミンジュンに問うセミ。

ソンイ「わたしたち今とてもいそ・・・」

ソンイが何かを言い終わる前に『大丈夫です』とミンジュン。

ミンジュンの顔を見るソンイ。

セミ「久しぶりね。わたしたちこんなに離れて過ごしたこと無いようなんだけど」

ソンイ「あんた急にどうしたの?この前みたいにしなさいよ」

セミ「その時はわたしが悪かったわ。わたしの本心をわかってくれないあなたに寂しくもあり、あなたの代わりならその座を断るのも当然なのにそうできない私自身も嫌で・・・それで正気じゃなかったの」

ソンイ「ちょっと、ショーしないでよ」

ミンジュン「チョン・ソンイ!」

ソンイ「知らないなら横槍を入れないで。ユ・セミ、あんた猫をかぶるのはよく知っているんだけどわたしにまでそうするとは知らなかったわ。バレたからわたしをそのように捕まえて召し上げてそうして今になってしっぽを下ろす理由ってなんなのよ、あんた」

ミンジュン「やめろ」

セミ「ああ、いいんです。ソンイ、こうする資格が十分にあります」

ソンイ「あなたがそう出るとわたしはどうなるの?」

ミナ「姉さんコーヒー、あっ」

運んでいたコーヒーをこぼすミナ。

ソンイにもセミにもかかる。

とっさにセミの方を拭くミナ。

ポムもセミの方に飛んで行く。

セミ「ソンイ、あなたは大丈夫なの?」

『姉さん』とポムとミナ。

ソンイを放置してバツが悪い。

ソンイ「いいわ」

セミ「教授も大丈夫ですか?ここが濡れました、どうしよう」

ミンジュンの手を持ち周りを拭くセミ。

ミンジュン「大丈夫です」

その様子に嫉妬を覚えるソンイ。

ソンイ「話はすべてしたでしょ?もう行きましょ、ト・マネージャー」

立ち上がるソンイ。

ソンイにジャケットをはおらせ肩を抱えて行くミンジュン。

ポム「いやあの教授とウチの姉さん、いつあんなに親しくなったんだ?」

ソンイ「いや、なんて理想型は無いって言ってたのにユ・セミが理想型のようね」

ミンジュン「くだらないことを」

ソンイ「いま恥ずかしがってるの?自分の体に手を触れられるのを苦手だというのにさっきセミが何濡れたのを拭くのにじっとしてたわね。まあ楽しんでいるようでもあり・・・とにかくさっきアン代表の前でよくやったわ、ト・マネージャー。チョン・ソンイのマネージャーならその程度の知識はあってくれて当然ね」

ミンジュン「チョン・ソンイ」

ソンイ「はい?」

即答するソンイ。

続けて『あ〜』とソンイ。

ミンジュン「正気をまっすぐ整えて生きろ」

ソンイ「何が?」

ミンジュン「おまえが世界を知ろうと知るまいと世界はお前を見てくれない。おまえが終わりなく墜落して行ってもおまえは潔白で悔しくて死にそうだとしてもおまえの心をわかってくれることもない。おまえは今崖っぷちに立っている。まかり間違えば千尋の谷に落ちてしまい跡形もなく消えてしまう。だから・・・」

ソンイ「だからト・マネージャーがわたしのそばにちょっと居てくれてるんじゃない」

ミンジュン「わたしをどうして信じるんだ?わたしも信じるな。わたしは続けておまえのそばにいることができない」

ソンイ「どうして?ひょっとしてわたしが終わるからそうなの?それでそうなの?わたしがお給料をくれないと?はっ、どうなのよ?わたしチョン・ソンイよ。わたしがマネジャーの月給ピンはねするよう?ピンはねしないわ。もちろん、都合上たくさんあげられないことはあるわ。代わりに仕事をたくさんさせないから。ただ時々わたしのそばに居て欲しい時に居てくれればいいのよ。それもダメ?ダメなの?」

無言のミンジュン。

帰る日はもう近い。

23階のエントランス。

ミンジュン「帰れ」

ソンイ「熱は?熱はもう出てない?」

ミンジュン「出てない」

ソンイ「ご飯は?ご飯は食べなきゃいけないじゃない。わたしも食べないと。ウチのユンジェも。ご飯がウチにあったら一緒に食べる?」

ミンジュン「いや」

家に入るミンジュン。

ソンイ「そう、そうならお好きに」

力なく家に帰るソンイ。

ETをタブレットで見ているユンジェ。

ユンジェ「母さんがチョンガクキムチを持ってきたぞ」

ソンイ「そう?そう!!チョン・ユンジェ、あんたお隣にちょっと行ってきて」

ユンジェ「どうして?」

ソンイ「どうしてかって、わたしがお隣にどんなにお世話になってるか近所に美味しいものがあれば分けて食べないと。キムチをちょっと持って行ってあげて」

ユンジェ「おまえがもってけよ。誰にさせんだよ」

ケリを入れるソンイ。

ソンイ「もってけよ、おまえが」

続いてぶん殴る。

ソンイ「おい、きさま歳がいくつでETを見て転がってんだ?小学生か!」

ユンジェ「くそ、ほんとに」

立ち上がりキムチを持って出るユンジェ。

ソンイ「行って言ってよ!わたしがあげるんだって。わたし家にいるって」

ミンジュンの家のベルを鳴らすユンジェ。

ユンジェ「ウチの姉が持ってってあげてと」

無言で受け取るミンジュン。

キムチ桶。

ソンイ「持っていった?」

ユンジェ「見てわからないか?」

ソンイ「なんて?」

ユンジェ「何をなんてだ?あげたから受けたぞ」

ソンイ「わたしがあげるって話した?」

ユンジェ「ああ」

ソンイ「それで、何の言葉も無い?」

ユンジェ「ないよ!」

ソンイ「わたし家にいるって話した?」

ユンジェ「そんな話どうやって?」

ソンイ「あんた、ところでキムチ桶はどうして持ってこなかったの?」

ユンジェ「くれないから持ってこなかったんだよ」

ソンイ「この子が、この子が、あんたあれ親環境、そういうので高いのよ。キムチ桶なんてホント曖昧なものだから時間が経てばくれと言ってもなんだし取られちゃうのは惜しくて」

さらにユンジェを足蹴にする。

ソンイ「行って持ってきて」

ユンジェ「こいつ、ほんとに怒るぞ!キムチ桶が惜しいならおまえが持ってこいよ」

ソンイ「わたしが?」

すくっと立ち上がるソンイ。

ソンイ「あんたがそこまで言うならできないことも・・・」

さっと身を翻しドレスルームに飛んで行き衣装合わせをする。

ソンイ「ちょっとオーバーかな?」

ベルを鳴らすソンイ。

ミンジュン「また、なんだ?」

ソンイ「キムチ桶を取りに来たんだけど」

ミンジュン「待ってろ」

ドアを閉めるミンジュン。

ソンイ「あ〜、指が挟まるところだったじゃないの!」

不法侵入。

ミンジュンに冷たくドアを閉められたソンイだったが暗証番号を覚えていたため簡単に進入することができた。

ミンジュン「何だ?」

ソンイ「暗証番号変えてないのね。変えないで。ウチのは毎日忘れるのにこの家のは忘れないの。不思議ね!」

呆れるミンジュン。

ソンイ「掃除したのね。草花に水をあげた?それでなくても枯れててわたしが水をあげようとしてたのにいきいきと生き返ったわね!」

ソンイ「チョンガクキムチ、それすごく美味しいのよ。ウチの母さんがそうは見えないけどキムチひとつは最高に漬けるのよ。一日は外において明日冷蔵庫に必ず置くの」

ミンジュン「わかった、もう行け」

キムチ桶を返すミンジュン。

ソンイ「行け?」

ミンジュン「キムチ桶を取りに来たんじゃないのか?」

ソンイ「あ、そうね。わたしがこれを取りに来たのね。Okey! わたし、行くわね・・・。かばん買いたいという連絡はまたない?」

ミンジュン「値段交渉はないというとそれ以上はない」

ソンイ「いや、2万ウォンまでは話してみて、どうして?」

ミンジュン「よく言う時(良い言葉で話している間に)サイトにアップしている番号を変えて」

ソンイ「わかったわよ、恥ずかしく」

顎で出て行けと微妙な動きをするミンジュン。

ソンイ「行くわよ、行こうとしてたの」

しぶしぶ出て行く。

ソンイ「あ〜!いまわたしがどうしたのよ。ハッ、わたし今その家にいたかったの?チョン・ソンイ気をしっかり!だからわたしが・・・」

家に帰り発狂するソンイ。

ベッドルームに行っても気が静まらない。

ソンイ「わたしはチョン・ソンイよ。わたしがどうしてあんな男を?ト・ミンジュンあの男を?身長は気に入ってる。比率いいじゃない。顔も小さくて目つきも・・・ハァ〜、この前見たからからだも管理を良くしてるようで。けれどそうよね。わたしの何がひどくてあの人を?ハァ〜、ハーバードを出て教授にくわえ、キスもファーストキスにしてはうまく・・・あら、あら、あら・・・わたしは今あの人とのキスを噛み締めてるの?え?まさか?わたしがあの人を愛おしく思ってるの?違うわ、違うわぁぁ、あ、あ・・・」

ユ検事とパク刑事はユラの通話記録などを調べている。

通話記録にカードの記録など全く証拠になるようなものが出てこない。
そこにセミがやってくる。

パク刑事「あ、タレントのユ・セミさん、そうでしょ?」

テンションが高くなる。

『ここにはどうして?』と聞くとセミは『オッパ!』とユ検事を呼ぶ。

セミを送る際にユラの男性関係について問うユ検事。

セミはソンイが言っていたことを思い出す。

ユ検事はユラの男が関与しているようだというがセミは思い出したことを兄には告げずよくわからないと答える。

怪しい電話。

フィギョンが兄の部屋へ行く。

留守だ。

電話がなる。

Kという人物だ。

その電話にでるフィギョン。

K「ジェギョンさん、わたしに会いに一度来てよ。わたしの話をちょっと聞いてよ。わたし、狂ってないじゃない。ここにいる人たちを誰も信じないという話よ。あなたはわたしを出すことができるじゃない!」

女性の声だ。

ジェギョンが戻ってきてスマホをフィギョンから取り上げる。

ジェギョン「どうして他人の電話に勝手に出るんだ?」

フィギョン「ああ、ごめん。ところで誰だ?自分をどこからか出してくれと」

ジェギョン「狂った女だ」

フィギョン「自分は狂ってないって」

ジェギョン「会社の仕事をしていればおかしな人々に多く出会うしかないんだフィギョン。おまえは知らなくていいことだ。心配するな」

フィギョン「ああ、わかった」

ソンイの告白。

ミンジュンはユ検事に電話を入れる。

会わなければならない、渡すものもあるとミンジュン。

その通話をジェギョンの部下が盗聴している。

電話を切ると『わたしとちょっと会いましょ』とソンイからメールが入る。

ベランダへ行くミンジュン。

『ト・マネ・・・ト・ミンジュンさん。わたしに何をしたの?」

ミンジュン「何をとは?」

ソンイ「わたしにしたでしょ?何か。したでしょ?したわ!何もしてないのにわたしがこんなのってないじゃない!」

ミンジュン「言葉をわかるように言え」

ソンイ「わたしが確かにそちらを15秒間惑わそうとしたんだけどわたしが越えていったの?」

ミンジュン「なに?」

ソンイ「わたしをどう思う?いや、いやいや答えないで!答えたら死ぬわ!・・・わたし多少恥ずかしくてこんなだから振り向いて話をするわ。そちらは聞くだけにして」

ミンジュンに背を向けるソンイ。

ソンイ「わたしはこんな子じゃないのよ。もちろんこの間ありがたがってることは認める。そうだからとわたしがそんなありがたさと感情の区別ができない子なの?違うわ。ありがたさで問い詰めればフィギョンがはるかにありがたいでしょ。けれどわたしがどうしてト・ミンジュンさんを噛み締めなければならない?わたしは常に噛み締められる女よ。わたしの空港ファッション、わたしが塗ったリップスティック、わたしの輝く髪、いつも人に噛み締められるわたしだけどわたしがどうしてそちらに言った言葉を?わたしがどうしてそちらを?そちらにしたキス・・・あ〜、わたし狂ってるのかな?わたし女としてどう?いや答えないで、答えたら死ぬわ!」

何も反応がない。

ソンイ「ト・ミンジュンさん?行ったの?これは答えてもいいわ。行ったの?」

振り返るソンイ。

ミンジュンは腕を組んだままベランダに立っていた。

少し涙目のソンイ。

微動だにしないミンジュン。

ソンイ「あ〜、わたしどうしよう」

ベッドに突っ伏すソンイ。

その後も落ち着かなかったがしばらくすると放心状態になる。

記者会見のアドバイス。

ホン社長の漫画喫茶。

いつもの赤ジャージと青ジャージがソンイの噂をしている。

ネットニュースにソンイが一陣(不良グループ)だったと出ており遠い親戚からの話だとかいつもユラを苦しめていた、被害者は一人や二人じゃないとか好きなことを言っている。

ソンイ「確実なの?わたしが一陣だったというのは確実なのかって?わたしにかかればみんな後れを取っていたというのは確実なのかって?」

どすの利いた声で問うソンイ。

本物がいきなり出てきて焦る赤ジャージと青ジャージ。

ソンイ「人が黙ってるからカマスだと見て変な奴の流言がみな飛び交って・・・だめだわ、わたし記者会見でもしてみようか」

ホン社長「しな、しな!」

ソンイ「そうでしょ?わたしは隠れて過ごしたわ。何が間違ってたって?言いたいことを言わなきゃ、記者会見!」

チャジャン麺をぱくつくソンイ。

ホン社長「わたしがこんな記者会見の定石を見せてあげるから見て。一旦笑みを抜き去って。最大限憂鬱・哀れさ・凄然、視線は15度下。(そのとおり演技するソンイ)お〜、いい、いい。誰がなんて言葉を言っても泣き出しそうな表情。うまいわね。行くときはアクセサリーなんてせずに」

チャジャン麺のタレを口の周りにつけたまま見事に演じるソンイだったが。

ソンイ「久しぶりにカメラの前に出ていくんだけど」

アクセサリーは付けたい様子。

ホン社長「写真集を撮りに行くんじゃないじゃない。服は上下黒色。メイクアップは憔悴するように」

ソンイ「憔悴?」

ホン社長「みすぼらしさが大きければ、なおよくて」

ソンイ「みすぼらしさが大きいのがわたしに似合うの?」

ホン社長「同情票を得るのが嫌なの?」

ソンイ「ア〜ハ〜」

ホン社長「それと、ガーゼ、ハンカチを必ず準備して」

ソンイ「どうして?」

ホン社長「最後に泣くのよ、記者会見中はうるうるとはするけど絶対に泣かないようにしないと。すごくみだらなこともあるから。けれど最後の5分の間は放たなくちゃ、バーン」

ソンイ「わ〜、プロみたいね」

ホン社長「当然じゃない。記者会見はどこでするのよ?」

ソンイ「ホテルのようなところでしなきゃなんないんじゃ?ちょっと一番大きいホール借りて」

ホン社長「あんたの所属(事務所)でしてくれるの?」

ソンイ「わたしは所属社がないじゃない」

ホン社長「それなら、お金はある?」

ソンイ「わたし、終わってる、激しく終わってる」

ホン社長「わたしのまわりはどうなってんの・・・」

ソンイの電話が鳴る。

ネットにアップした靴の件だ。

片方の鼻を抑えて声色を変えるソンイ。

送料無料で15と言われそれは困る、ミラノで直接買ったというソンイ。

偽物じゃないかと言われたのだろう。

ソンイ「偽物じゃないわよ!」

大きな声を出すソンイ。

威嚇。

ミンジュンに会うためにやって来たユ検事は地下駐車場で何者かに襲われる。

CCTVの死角になるように両脇をトラックが挟んでいた。

そして盗まれたミンジュンのペンが現場に置かれる。

ミンジュンの大学で盗まれたペンだ。

ミンジュンはユ検事をカフェで待っていた。

すると外に救急車がやって来て人々が大騒ぎだす。

ミンジュンが超能力を使い耳を澄ませ会話を聞きなにか起きたことを知る。

そして地下駐車場へ行ってみるとユ検事がストレッチャーに乗せられ運ばれていた。

そこにはジェギョンもいた。

車内からライトを当てミンジュンを挑発するジェギョン。

その後車で移動するジェギョンについていくミンジュン。

ミンジュンの家へ。

家に帰るソンイ。

ラーメンを食べているユンジェ。

ソンイ「ちょっと、ご飯を食べな!そのままわたしが何かしてあげるから」

ユンジェ「いいよ全部食べた。おまえ、一日中どこをほっつき歩いてやっと戻ってきたんだ?」

ソンイ「わたしはいつも忙しいでしょ・・・。もしかして連絡が来たようなことなかった?誰かがわたしを探しに来たとか?例を挙げるとお隣のようなところから」

ユンジェ「いや」

ソンイ「女が勇気を出してあんなことまで言ったのに、一日中一通もなくてわたしは二度と付き合ってやんないわ・・・。あらわたしの紫色の髪留めはどこかしら?わたしそれがすごく大事なのに。ト・マネージャーの家に置いて来たのね!あ〜、どうしましょ〜!」

いつもの様に勝手にミンジュンの家に入るソンイ。

ソンイ「ト・マネージャー、ト・ミンジュンさん?まだ帰ってきてないのかな?書斎にいるのかな?」

ジェギョンについて行きある広大な空き地で車を降りるミンジュン。

ソンイ「ト・ミンジュンさん?ここにいる?いないのね。寒いのにどこをほっつき歩いてるのよ?デートにでも行ったの?」

ミンジュン「あんたか?ユ検事をあんなにしたのは?」

ジェギョン「オレが話したじゃないか。おまえとチョン・ソンイが生きているのはオレが生かしているからだと。だから感謝しろとオレは感謝することを知らない人間が一番嫌いなんだ」

ミンジュン「おまえが求めてるのはこれか?」

USBを見せるミンジュン。

ミンジュン「これさえ差し出せば止まるのか?」

ジェギョン「そうだな、そうしないと。それではオレも御礼をしてやるよ」

銃を出すジェギョン。

ジェギョン「これがなにかわかるか?」

銃を構えるジェギョン。

続けて。

ジェギョン「動物捕獲用麻酔銃。おまえのようなのを一発で眠らせてくれるもの。この中にオレがゾレチルとロムプンを非常によく配合したんだ。一発あびれば苦痛なく倒れることができる。フハハ、オレはもともとこんなことはあまりしないんだがおまえはおれに触れたじゃないか。それでオレが直接送ってやりたかったんだ。おまえの死はどのような死よりも自然な自殺に偽装されるんだ。ハン・ユラを殺し、その事件を暴いている検事までテロした次に負担感に勝つことができず自ら死を選ぶんだ。今頃、おまえのコンピュータに、遺書も作成されているはずだ」

ミンジュンの書庫に忍び込んでいるジェギョンの部下。

近づくソンイ。

ミンジュンの正体を隠しておかねばならないと言っていたチャン弁護士の忠告を思い出すミンジュン。

ジェギョン「おまえが先に整理されればチョン・ソンイの整理も楽なようで。順序なんて大して構わないから。じゃあな」

引き金を引くジェギョン。

消えるミンジュン。

焦るジェギョン。

気づくとジェギョンの後ろに立っているミンジュン。

ミンジュン「わたしがなんと言った?おまえはわたしを殺すことはできないといったじゃないか」

第10話エピローグ。

精神科医のところにいるソンイ。

周りを気にしている風だ。

ソンイ「先生答えてください。依存症が愛にも変わる事ができるのでしょうか?」

医師「まあ、ダメだということを言うことはできないがその特定の人に依存したい心理と愛を混同することもあるでしょう」

ソンイ「わたしはチメク(チキン&ビール)に依存してるんです。憂鬱なときはいつもチメクを探し出すんです。そうだからと鶏の足を見てトキメキませんよ。けれどこれはトキメイてるでしょ?トゥグントゥグン」

顔をしかめる医師。

ソンイ「他の例を上げてみましょうか?先生。わたしは新作バッグと聞けばトキメキます。胸がキュンともしますよ。けれどその子たちを見られないと言って唇がカラッカラに乾いたりその子たちが他の女性達が持っているといって殺したい衝動が起きたりはしないんですよ!フフ、けれどこれはまさにそうで・・・心臓がトゥグン、唇がパリッってなって目の前に見えなければ不安・・・不安で・・・その男性にしっぽをふるその小娘をただファッ!(威嚇)」

興奮して立ち上がるソンイ。

ソンイ「すみません、すみません、すみません、先生」

急にしおらしくなりいない人たちにも謝るソンイ。

ソンイ「その男にコーヒーで濡れたと、ぴったりと触れたその女の手首をぶっ壊したい・・・」

声を荒げるソンイ。

急に態度を変えジェギョンのように同じデザインの金の指輪を触り『こんな感情は何でしょう?先生?』と言うソンイ。

医師「一旦薬を変えてみましょう。少し強いものに。薬をしっかりと飲まなければなりませんよ」

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