王冠をかぶろうとする者、その重さに耐えろ〜相続者たち〜
第16話

二つの選択。
キム会長に航空券を見せられ選択を迫られるウンサン。

好きなところに自ら行くか、15日後に強制的にどこかわからない場所に行かされるかの選択だ。

会長「2つの内、何を選択してもいい。しかし確実なのはこのチケットだけが、タンが閉じ込められている二階の階段を上がることのできる唯一のチケットだ」

スーパーで買い物をするウンサンの母のスマホにあちこちから借金の返済をしてくれてありがとうと連絡が入る。

家に帰ったウンサンの母はギエの部屋へ行く。

ウンサン母「奥様、もしかしてわたしの退職金を予めくださいましたか?」

ギエ「おばさん、まだ退職してないじゃない。今すぐ欲しいって?退職金を出せということを、こうして言うの?いま」

ウンサン母「そうではなくて・・・」

ギエ「さっき面接を受けたおばさんたち、わたしは全て気に入らなかったんだってば。最初のおばさんはすごくおしゃべりで、2番目は全然経歴がなくて、3番目のおばさんは・・・わたしの話をどうして聞かないの、おばさん。今何を考えてるの?まさかわたしの前で他の奥さんを思ってるの?そうね、そうだわ。どこの家なのよ?二人はどこまで行ったのよ?その奥様とどこまで行ったのって!」

呆れて笑うしかないウンサンの母。

ウンサンにもしかして会長から呼ばれなかったか?なにか聞かなかったか?と尋ねる母。

ウンサン「呼ばれなかったけどどうして?」

ウンサン母「どうやら会長はわたしたちの借金を返してくれたようなんだ」

スマホの内容を見せる。

ウンサン「はっ、瞬く間に、お金を受け取った子までお作りになったのね」

母「どういうこと?もしかしてこれはお前と関連があるの?次男のせいなのか?言ってみなさい。こんな大金をどうしてくださったんだ?」

ウンサン「母さん、今からわたしがする話を誤解のないように聞いて。母さんにはちょっと理解し難い話かもしれないの」

少し涙目のウンサン。

頷く母。

タンの部屋へ。

階段を上ろうとするウンサン。

つまりウンサンは、会長の独断で強制送還される方を選んだということだ。

もう一度タンに会うにはこれしか方法がないと決断したのだろう。

連絡を受けたガードマンはウンサンを止めない。

タンがいる部屋ではタンのニュースが放送されている。

タンは先程の兄とのやりとりを思い出している。

ノックする音が聞こえタンがドアを開けるとそこにはウンサンがいた。

タン「どうやって?」

『シッ!』と言い満面の笑みを浮かべるウンサン。

ウンサン「わたし、入ってもいい?」

ウンサンの手を掴んで慌てて彼女を引き入れるタン。

タン「ガードマン達は?どうやって来た?」

ウンサン「ちょっと席を外したからさっと走ってきたの。あなたに会いたくて」

ウンサンを抱きしめるタン。

ウンサン「すごく会いたかったのに、電話をしてもダメで、会っても声をかけられないし、だから上がってきたの、あなたに会おうと」

タン「まるでCGのようだった。目の前にいるのに触れることもできなくて」

ウンサン「ごめんね。こうして閉じ込めさせて。全部わたしのせいみたい」

タン「チャウンサン、オレを見ろ。お前のせいじゃないぞ。これ以上閉じ込められないようオレの足でまた戻ってきたんだ。お前と一緒にいる方法がおまえと一緒に閉じ込められることではないから。そのかわり、オレがどんな選択をしてもおまえはオレを信じればいい・・・。もうお前しか残っていないんだ、俺には」

ウンサン「いったいあなたにどんなことが起きてるのよ?」

タン「オレがお前を好きでいるだろ」

タンを抱きしめるウンサン。

タンもまたそうする。

涙目のウンサン。

居酒屋。

ウォン「タンが自分のものを奪ってみろって」

ユン室長「容易ですか?」

ウォン「この酒はわたしがおごるんだから、わたしの側につくでしょう?」

ユン室長「タンを理解するという考えはないのですか?」

ウォン「祖父が亡くなり叔父・伯父・叔母の夫まで互いにつかみ合い引きずり下ろしまた上がりと繰り返しました。わたしはその戦争をすべて見守らなければならなかったんですよ。いつ争おうと争うんだから理解したら何をするというのですか?」

ユン室長「だから会長はそんな争いがないよう公平にお分けになるのでしょう」

ウォン「この争いは公平に分けたから起こったのです。能力が違うのに同じく分けてはダメでしょ。それは公平ではありません」

ユン室長「それもそうですね」

ウォン「一体誰の味方なんだか」

ユン室長「わたしはいつも、帝国グループのために・・・一杯やりますか?」

ウォン「副社長のことは考えて見られましたか?」

ユン室長「近いうちにお答えします」

翌朝。

CCTVを見つめるタン。

ウンサンが出てくる。

CCTVの前にやってきて『わたしも夢で会えて嬉しかった』とメッセージを見せる。

『見ているようで・・・学校行ってくるね!』と手を振るウンサン。

学校につくと、記者がたくさんいた。

男子生徒「キムタンのせいで来たんじゃないか?庶子に大株主に調べることも多いだろ」

女子生徒「社会配慮者が成金だと騙したのは新聞に出ないのかしらね」

嫌味を言う女子生徒。

記者がウンサンにタンを最近学校で見たかと問う。

そこにヨンドとミョンスがやってくる。

ヨンド「そんなことは聞かないでよ。この子傷つく」

ウンサンの肩を抱くヨンド。

ミョンス「いゃ〜、うわさに聞くイエロージャーナリズムの現場だな。ここ見てくださ〜い」

記者の写真を撮るミョンス。

ヨンド「行け、迂回して」

ウンサンを送り出すヨンド。

記者「ちょっと、学生さんはキムタンのことをよく知ってる?学生さんは誰なの?」

ヨンド「帝国グループ三男だ、どうした?」

ミョンス「わたしは末っ子娘よ、ホ〜ホ〜」

ヨンド「行こう、ミョンスク」(※女の子風にわざとミョンスクと呼んでいる)

ミョンス「うん、お兄ちゃん!」

牛乳?豆乳?抹茶ラテ?

ウンサンがロッカーを開けると落書きされ教科書はぐしゃぐしゃにされ、服には豆乳がかけられていた。

ヨンド「中で牛を育ててるのか?」

ウンサン「これ、豆乳じゃない」

ヨンド「それなのにどうしてキムタンと付き合って苦労すんだ?・・・なにを言いたいか解るけどこれはオレじゃないぞ」

ヨンドは売店に電話して、パックの抹茶ラテを大量に入手する。

そして『どいてろ』と言い無差別にロッカーに叩きつけようとする。

ウンサン「ちょっと、あなた何するのよ?」

ウンサンがヨンドの手に抱きついてそれを止める。

ヨンド「お前の代わりに復讐。この中の一人が犯人だろ」

ウンサン「あなた今、犯人のロッカーをめちゃくちゃにするために全体をめちゃくちゃにしようとしたの?」

ヨンド「おお」

頷くヨンド。

ウンサン「そんなのあり?」

ヨンド「どうしてダメなんだ?(ニヤリと笑って)犯人はこの中にいる」

再び投げつけようとするヨンド。

ウンサン「ストップ!他の子になんの罪が?」

ヨンド「おまえはなんの罪が?」

『ハッ』と呆れ笑いをするウンサン。

ヨンド「どうして笑うんだ?」

ウンサン「ようやくあなたがちょっとわかったわチェヨンド。気持ちは有難いけどやらないで。食べ物で遊ぶんじゃないわよ」

ヨンド「心がありがたいと笑うんだな、チャウンサン」

ウンサン「ようやくあなたもわたしをわかったのね。それはそうと、これ全部どうするの?」

ヨンド「オレのおごりだ。たくさん飲みな〜、チャウンサン」

大量の抹茶ラテを置いて去るヨンド。

最後の挨拶。

ウンサン「飲んで、チェヨンドがおごってくれたものよ」

抹茶ラテをチャニョンとボナに差し出すウンサン。

ボナ「あなた飲んだの?別段症状もなく?光熱・下痢・嘔吐とか。チェヨンドがただ奢ってくれるわけないじゃない」

ウンサン「これでも受け取って。家賃」

チャニョンの子供の頃の写真を渡すウンサン。

ボナ「Oh My God! すごく可愛い、完全に可愛い!」

チャニョン「おい、一般人の過去の写真をどうしてお前たちの個人的な取引に利用するんだ?」

ボナ「他の写真はない?猟奇写真のようなもの。別れてさっとばら撒けば人生をダメにするようなそんなの」

チャニョン「おまえの彼氏クラスにそんなのがあるわけないじゃないか」

ウンサン「それはそうよ。あなたたち決して別れないでね。わかった?」

ボナ「当然じゃない」

ウンサン「イボナごめん」

チャニョンをハグ。

ウンサン「う〜、わたしの友達ユンチャニョン」

ボナ「ちょっと、チャウンサン狂ったの?」

チャニョン「いよいよか?イボナに殺される日は?」

ウンサン「あなたも来て」

ボナもハグするウンサン。

ボナ「ほら、これを飲んだからなんでしょ?」

チャニョン「なんだよ?どうして?」

ウンサン「べつに、急に」

大株主の剣。

ユン室長「差し入れでも買ってくればよかったか?」

タン「それを今気づいてどうするのですか?」

ユン室長「一日じゅ〜う、ここにいて主に何してる?」

タン「悪い考え」

ユン室長「青少年たちがしてはいけない、なにかそんなことか?」

タン「もっと悪いことだよ」

タン「すべての関係をぶち壊す、そんなのだよ」

ユン室長「時期上適切なことのようで、違ったことのようでもあるが、必ずしなければならない話があるんだ」

タン「なんなの?」

ユン室長「おまえ、もしかして、ウンサンの留学の話を聞いたことがあるか?」

タン「留学?なんの留学?」

ユン室長「わたしはお前より会長をよく知ってる。会長は父としてもオーナーとしてもお前の想像以上に容赦の無い方だ」

会長の書斎に行くタン。

タン「スマホを持っていきます」

会長「許したことはない。置きなさい」

無視してジスクに電話するタン。

タン「お母さん、家から出していただかないといけません。学校に行かないといけませんから・・・はい、それなら待ってます」

会長「おまえ、今学校に行こうと母親を動かしたのか?学校にどうして?まさか、あの女の子のせいか?」

タン「はい」

会長「たかだかその子に学校に会いに行くと理事長に電話をしたのか?」

タン「はい。すぐ来るとおっしゃいました。父さんがオレにくれた株のおかげでしょう」

会長「たかだかそんな風に使えとやったものだと思ってるのか?」

タン「父さんにもお願いすることがあるんだけど。今後は絶対、ウンサンに手を出さないでください」

会長「おまえ、今、脅迫してるのか?」

タン「脅迫が効くように、わたしの手に剣を握らせてくださったのでしょう。父さんが与えてくれた剣です。ウンサンに対して再度手を出すのならわたしもわたしがこの剣で誰を切るかわかりません。行ってきます」

仮の親子。

ジスク「お金・名声・力、すごくいいでしょ?もう、わたしを遠慮無く、来い行けと言えるってことよ」

タン「お母さんもすごく変わりましたね。わたしの電話一本で飛んできてくださって」

ジスク「あなたも、もう、世界のルールを知らなければね。人一人、来い行けというのにも、対価がついてくるということを」

タン「その程度は知ってるよ」

ジスク「教えてあげる時にしっかり学びなさい」

ジスク「この何でもない取引でも必ず返さなければならない日があるでしょう。後悔する瞬間にわかるでしょう。後悔するにはもう遅いということ」

タン「お母さん、その後悔でさっきわたしの電話を受けられたのでしょうね?わたしと母さんに対してやってきたことの数々を思い出して」

ジスク「学校の前には記者たちがいるから車から降りるときは睦まじくしないとね」

タン「わかってるよ」

ジスク「今日は夜に家族の集まりをするわ」

記者に聞こえるように言うジスク。

続いて、

「まだ写真に写らなければね、わたしたち」

小声で言うジスク。

タン「はい」

ジスク「会長はわたしがお連れするわ」

タン「遅れないように行きます」

ミョンス「いや〜、キムタンの近所に住んで数年目にしてあんなツーショットは初めて見るぞ」

チャニョン「理事長は厳しいとばかり思ってたけど意外と仲がいいように見えるな」

イェソル「どう見てもショーじゃない。記者に見ろと」

ボナ「元来、持ってるモノほどに消耗して噛めてるのよ。わたしたちも例外ではないわ」

ミョンス「大株主の登校に理事長の無限シールドまで。たとえ庶子でもタンに対してふざけるなという断固とした感のする歩みだな」

エアチケット。

教室に行き無言でウンサンを連れ出すタン。

ウンサン「何するのよ授業時間・・・」

周りも『来るやいなや!』と騒いでいる。

ミョンスの作業室へ行きウンサンの荷物をすべてぶちまけ何かを探すタン。

ウンサン「どうしたの?何してるのよ?」

本の間からエアチケットが出てくる。

タン「マジかよ・・・。お前本当にオレが好きだと言えるのか?オレを信じられるのか?答えろよ!」

ウンサン「ちょうだいよ」

タン「死ぬか?」

そしてエアチケットをビリビリに破く。

タン「おまえ本当にオレを笑うのか?どうしてこれを受けてオレに話をしない?おまえこれをいつ受け取ったんだ?これを受け取ってオレの部屋に上がってきたのか?このチケットはおまえは二度と韓国に戻ってくることもなく戻ってくることも考えてはならないという意味のチケットだぞ。なのにこれを受け取って上がってきて・・・微笑む?微笑んだ?」

ウンサン「じゃあどうするの?私は本当に怖かったわ。すぐに去ってしまったら二度と会えなかったのかもしれないのよ」

タン「だからこそ俺に話をすべきだったんだ!父さんとの交渉を俺にさせるべきだったんだ!俺は全てを失って残ったのはお前だけなんだ。もうお前まで失うことはできない!俺がその場にいなかったせいで傷ついて欲しくない。そのことで気が狂いそうになる。そうさせないでくれ・・・いいか?」

泣きながら頷くウンサン。

タン「泣かせてばかりでごめん。すまない」

そこにヨンドがやってくる。

ヨンド「また2人はケンカか?また女を泣かせているのか?まさか暴力は振るわなかっただろうな。大株主なら何してもいいのか、キムタン」

ちぎれた航空券を拾うウンサン。

タン「いいからこいつにちょっと付いていてくれ。おまえ程のやつもいない。学校に行くんだったら彼女を連れて行ってくれ。そしてここに戻ってきてくれ。彼女には触れるなよ。俺は8時までに戻ってくる」

ヨンド「いよいよ焼きが回ったな。おまえが来た時にオレたちがここにいる保証はないぞ」

タン「オレはおまえとこうしてる時間はないんだ。行ってくる」

出て行くタン。

ヨンド「どうして泣いてんだ?おまえに貸しといたオレの貸しを返さないのか?借用書を書かなかったが」

ウンサン「返すわよ、必ず」

ヨンド「いつ?」

ウンサン「学校が終わって?チャンチククス食べに行けばいい?」

家族の食事会。

ウォン「次からは公演を見ましょう。互いに何も言わなくていいし(記者が)写真も撮っていいじゃないですか」

会長「次はそうしよう。家族同士たまには外の空気を吸うのもいいな・・・。ウォンの結婚相手をさがすというのはどうなった?」

ジスク「日取りさえ捉えればいいです。写真は明日秘書室を通して行くわ。その方にあなたのスケジュール表を渡して。場所はわたしがうまく捉えておくわ」

ウォン「時が来ればわたしがいいようにします。無駄な苦労はやめてください」

会長「行くときが来た。家庭を設けてこそもっと良い経営ができるぞ。二週間後に臨時株主総会が開かれるから参席して案件は帝国コンサル社長キムウォンの解任案だ」

ウォン「今なんておっしゃいました?」

会長「次期社長候補はユン・ジェホだ。ユン室長は系列会社を一つ引き受ける時になったのだ」

ウォン「父さん!」

会長「声を低くしろ。外で聞いている耳が多い」

ウォン「わたしが理事陣をすべて刷新しても、解任案が上程されたということでしょう?わたしが据えた理事たちが解任案を通過させたという話でしょう?」

会長「そうだから理事たちをどうしようと置き換える?わたしに一言の相談もなしに。皆わたしを信じ数十年従ってきた。この機会に信頼を見せなければなわたしも」

ウォン「それならわたしは?そうでなくても若年で子供扱いする父さんの背筋にいまでも傀儡社長なのにこのようにする理由は一体何なんですか?」

会長「何度も言った。まだおまえの会社じゃないと。その時、しきりにおまえの会社のように振る舞った。わたしが言っただろう。わたしは長子優先はないと。お前たち二人の内の、より良い奴にもたらすと。お前はわたしが帝国グループのために、急いで置いた一手というだけだ。間違って置いた手だから一手ずらさねばな、どうだ?」

ウォン「こうしようと、タンを大株主にしたのですか?」

会長「わたしは食欲が失せた。もう行こうと思うんだが」

ジスク「一緒に行きましょう」

会長「それでは次の家族の集いは臨時株主総会になるだろう。その時に会おう」

ジスク「わたしたち、すぐにまた会うようね」

タンも立つ。

ウォン「座れ」

タン「オレが手に握ってるものがあるから兄さんもオレを捕まえたりもするんだな」

ウォン「生意気な態度をとるな!たかだかおまえは18歳だ。保護者の同意がなければ無力な年齢だ」

タン「18なら知恵を絞ればできないこともできたりする。行くよ」

ウォン「座れ、まだオレの話は終わってない」

タン「兄さんはおれとこうしてる時間があるの?会わなければならない人が多いようだけど?オレとは一番最後に会おう。(以前)したようにしろって。兄さんにとってオレはいつも後回しだったじゃないか」

去っていくタン。

社長室で。

ユン室長を電話で社長室に呼び出したウォン。

ウォン「社長解任案の話は聞いたでしょう。ユン室長は次期社長候補なんだそうです」

ユン室長「はい」

ウォン「父さんに対して約束して受けた対価がこの座だったのですか?父と組んで、今、わたしの背後から打ったかって!」

ユン室長「過程では違ったのですが結果ではそうなってしまいました」

ウォン「どうしてこんなことができるんですか?どうして!!!これが近い内に答えると 言っていた答えですか?事に向かって副社長の席を出したわたしがどんなに取るに足らなかったのですか?」

ユン室長「取るに足らないなんてないです。父に勝ってください。社長の座を守ってください。そうすればいいのです。社長が社長の座を守ればその時にわたしは副社長の座に出勤いたします」

覚書。

タンがミョンスの作業室に行くとすでに誰もいなかった。

ウンサンに電話するタン。

その頃二人はトッポッキ屋に来ていた。

ヨンド「もしもし」

ウンサン「ちょっと、ちょうだいよ!」

タン「どうして、チャウンサンの電話をおまえが受けるんだ?」

ヨンド「どうして受けないんだ?オレの目の前で鳴ったのに」

タン「どこなんだ?」

ヨンド「ここ?おまえの心の中。切るぞ!」

本当に切ってしまうヨンド。

ウンサン「あんたたち坊ちゃま達はどうしていつも他人のスマホを・・・」

ヨンド「進撃の会長様がキムタンを跪かせようとおまえまで跪かせたんだろ?そうなのか?」

ウンサン「そんなんじゃないわ」

ヨンド「ちがうだと?おまえそれがキムタンにバレたんだろ?」

ウンサン「あなた、チャンチククスを食べようってどうしてトッポッキにしたのよ?」

ヨンド「ククスを食べてないならまた会えるだろ?・・・あ〜、ダメだ。おまえ、覚書を書け!オレたちまだククスを食べてないじゃないか。オレも信じられないね」

ウンサン「そうね、書くわ」

『チェヨンドと必ずチャンチククスを食べに行きます。チャウンサン』

ウンサン「(これで)いいでしょ?」

ヨンド「これを見ろよ!おまえが素直にこんなことをするはずがない。おまえさっきどうして泣いてたんだ?」

ウンサン「トッポッキ食べて」

ヨンド「今日は違うようだな。とりあえず置いておく。おまえオレの番号記憶してるか?」

ウンサン「わたしの番号もおぼろげなの」

ヨンド「覚えろ!キムタンの番号も覚えて。何か起きたら電話しろ・・・何もなくて電話するならもっといいけど」

ウンサン「これ以上食べないんなら出ましょ。わたしが遅くなれば母さんが心配するわ。今でもちょっと遅いの。わたし今日アルバイトがない日だから」

ヨンド「送ってやるよ。お前を見逃してこそキムタンがイライラすんだろ?すごく面白いんだよ。その代わりオレの車に乗っていけ」

ウンサン「そうするわ」

ウンサンが去った後にタンがやってくる。

ヨンド「よく探したな?チャウンサンは帰ったんだが」

タン「帰ったからいないんだろ。おまえは送らない奴でもない。チャウンサンが黙って座ってる子でもない」

ヨンド「わかっててどうして来たんだ?」

タン「あの日、ありがとな。家にまで来て脱出も手助けしてくれて」

ヨンド「おまえ、もしかして他の秘密はないのか?なんだ実は女だったとか。オレが3年使わずにいたカードを一瞬でなくした。悔しくて飯も喉を通らないんだ。とにかく韓国がやたらとIT強国というのが問題だな」

タン「行こうぜ」

ヨンド「ただ降伏しとけよ。また閉じ込められないで。チャウンサンに対して(会長が)すでに手を出されたようだが」

タン「ちがうから、おまえは心配するな。行こうぜ」

ヨンド「先にいけよ!」

タン「立てよ、こいつ。ひとりで座ってないで」

自宅では。

会長「よ〜くやってるな、よ〜くやってるぞ。もどれ、今すぐ」

ギエにいうキム会長。

ギエはワインを飲んで酔いつぶれる寸前だ。

タンが帰ってくる。

タン「母さん立って。どうして床でこうしてるの?」

ギエ「あ〜、わたしの息子が帰ったのね。わたしの大株主が帰ってきたのね。母さんが一緒に出ていくことはできないじゃない。だから、家でひとりお祝いの一杯をしてたのよ。構わないで、息子」

会長「おまえがこうだからわたしが外に送り出せないんだ。事故を起こすかと。こうだからおまえがタンの人生の傷なんだ」

ギエ「その傷はわたしだけが出したの?わたしだけが?わたしがひとりでタンを作ったのかって」

会長「すぐに戻れと言った」

タン「母さんに対して怒鳴らないでよ。俺の人生自体がまるで傷だとけなしても、ホコリも出ないから。母さんの空はこの家の天井なんだ。そうさせたのは父さんじゃないか。これ以上父さんとしても夫としても卑怯にしないでください。わたしはこれ以上我慢しません」

会長「我慢しないなら、我慢しないならどうするのだ?」

タン「気にしないでください。わたしも最近、わたしが何をするかわからないんです。わたしが父さんの敵と手を結ばせないようにしてください。わたしが父さんの敵の内誰と手を握るのか考えさせないでください」

会長「何だと?」

タン「母さん、戻って」

ウンサンは台所でこのやりとりを聞きながら震えていた。

ウォンの苦悩。

ウォン「今あかりが付いていたのを見たから出てこいって!」

ヒョンジュの家の門を叩くウォン。

ヒョンジュ「5分あげるわ。わたし明日の授業の準備をしなきゃ」

出てくるヒョンジュ。

ウォン「オレはもう一時ここには来られない。おまえと会えないって。だからよく聞け。3年だけアメリカにいろ。連れに行くよ。行けよ、ヒョンジュ」

ヒョンジュ「わたしがアメリカにどうして行くの?これはわたしの人生なのにそんな決定をどうしてあなたがするのよ?」

ウォン「おまえの人生と一緒にしたいからこうなんだ・・・。だから」

ヒョンジュ「わたしたちそうできないわ。あなたはわたしと一緒にできないって。知ってるじゃない。行ってよ」

ウォン「行けと言ったら行けよ。おまえに対して這いつくばってる姿を見せたくないからそうなんだ・・・ハァ・・・オレが連れに行くんだって」

ヒョンジュ「何かあったんでしょ?そうでしょ?」

ウォン「お願いだから行ってくれ、な?」

ヒョンジュ「どんなことなのよ?わたしも新聞見てわかる?」

ウォン「こうだから行けと言うんだ。オレの記事を何も見るなよ・・・オレがお前を置いて捉えておくのが、どれだけ・・・とるに足らないことだから、おまえは知らないでいい。お願いだ。見るな」

ヒョンジュ「わかったわ。見ないわ」

ヒョンジュをハグするウォン。

パスポート。

タン『どこだ?』

タンからのメール。

ウンサン『家よ。もう寝ようと』

タン『パスポートを持って出てこい。出てこないとオレが入ってくまなく探すぞ』

部屋を出るとすぐにタンがいて驚く。

パスポートを取り上げられる。

タン「これはオレが保管するよ」

ウンサンを倉庫に連れ込むタン。

タン「オレが連れに行くといっただろ?オレが待てと言っただろ?お願いだから、オレがいろというところへいろ。待てといえば待って、行くなと言ったら行かないで。今後は登下校も全てオレと一緒にしろ。オレの言葉を聞けって。わかったか?」

ためらいがちに小さく頷くウンサン。

そしていきなり激しいキスをするタン。

タン「どこにも行くな。約束して」

翌朝。

ウンサンが門を出るとタンが待っていた。

タン「乗れよ。父さんはもうCCTVを見ているはずだ。大丈夫だから乗れ。おまえが気を使ったら、オレの努力が虚しいだろ」

ラヘル『ギャツビーにとってデイジーは希望ではなく致命的な毒だったでしょう。結局は、ギャツビーはデイジーの蜃気楼に恋に落ちて、やっとのことで、愛する人と一緒にいようと、人生を崩壊させたから』

ラヘルは文学の感想発表として『華麗なるギャツビー』をまるでタンとウンサンに対する警鐘のように或いは恨みのように発表する。

ヒョシンとラヘルがキスしたこともすでに噂が広まっている。

そんな時に同じ廊下で出くわす二人。

少し離れたところで対峙した状態でラヘルがヒョシンに電話をする。

ラヘル「先輩が避けてよ」

ヒョシン「そんな理由はないんだけど」

ラヘル「わたしは気楽じゃなくて」

ヒョシン「おまえの目的が変わったようだな。オレとタンをギクシャクさせなければならないのに」

ラヘル「ちょっと、先に避けてくれない?」

ヒョシン「おまえ生徒たちの話なんて、気にしなかったじゃないか、もともと」

ラヘル「わたしが今生徒たちの話なんて気にしているようなの?」

ヒョシン「それなら、どうして避ける?」

再接近する二人。

なんか変な感じだ。

ヒョシン「オレが回っていくよ」

迂回するヒョシン。

ラヘル「ありがとう」

ウォンは表集めに邁進している。

エスト「話は聞きました。臨時総会が開かれると。キム会長が恐ろしい人とは知っていましたが、想像以上ね。どうして、自分の息子を解任しようと、臨時株主総会を開くのかしらね。わたしは無条件でキム社長の側。会長の反対側なら、無条件にわたしの側にすることにしたの。理由は聞かずにね」

ウォン「(この御恩は)忘れません」

一礼するウォン。

トンウクとは事業提携を条件に同意を取り付ける。

ジスクには借名株式のことを知らせてくれた時に、10年育ててくれた情だとおっしゃった、それに期待するというウォン。

わたしが得るものがあるのか?とジスク。

最後の交渉相手はタンだ。

ウォン「おまえがオレの側に立たねばな。父さんの言葉は聞くな」

タン「そういうのはお願いするんだろ?兄さん。『すべき』じゃなくて『してくれるか?』が正しいと。それにもかかわらず兄さんの側に立つよ。オレに好きな女の子ができたんだが父さんがそいつを放っては置かないんだ。それで、兄さんにはアパートをひとつ用意して欲しい」

ウォン「は〜、もしかして、メイドルームに住んでる子か?」

タン「ああ」

ウォン「おまえ今たかだか女の子一人のためにオレの側に立つというのか?」

タン「ああ、たかだか女の子ひとりのために俺はなんでもするつもりだ。これがその始まり。けれど今後は『たかだか』だと言うなよ。今はその女の子が全てだから」

ウォン「そうか守ってみろ。家だけ必要か?車も必要だろ。運転手も必要で。全てやってやるから一度守ってみろ」

タン「すべて準備したら連絡して」

作業室でドレスアップするミョンス。

ヨンドはウンサンからもらったバンドエイドを眺めている。

ミョンス「さっきからなにしてる?どこか怪我でもしたのか?」

ヨンド「わからないな。いつ怪我したのかまだ良くならないでいる・・・。おまえどこか行くのか?」

ミョンス「母さんと父さんと食事をしに。一緒にいくか?」

ヨンド「おまえの父さんは、あるがままのオレを嫌がって」

ミョンス「ウチの父さんが反対してもオレはおまえと食事をするぞ。おまえ最近ちょっと痩せてるぞ。行こうぜ」

ヨンド「いやだ。先約があるんだ」

ミョンス「おまえはどうしていつもそんなふうなんだ?誰と?いつ?どこで?」

ヨンド「誰とどこでかはわかるんだがいつなのかはわからないな・・・オレは先に行くぜ」

ミョンス「おまえもしかして、チャウンサンの家の前でじっとしてそんなことをしようとしてんのか?それはダメだぞ。オレは後でハイキックするぞ!ダメなものはダメだ、オレが全てやったぞ!」

3回目。

タンの家の前でウンサンが出てくるのを待つヨンド。

ヨンド「出てこないな。出発しましょう。行く途中にコンビニに寄ってください」

運転手に言うヨンド。

コンビニに着くとウンサンが外に座っていた。

雪が降っている。

着ていたジャケットを脱いでウンサンにかけてあげるヨンド。

ウンサン「何よ?あなた。どうしてここにいるの?」

ヨンド「オレたちが先約があるってことを前もって知ったんだ。ところでオレは寒いのがものすごく嫌いなんだよ。次にオレを待つときは屋根があるところで待てよ」

ウンサン「待つだなんて、誰が?寒いならさっさとこれでも・・・」

かけてもらったジャケットを脱ごうとするウンサン。

ヨンド「脅迫する前にちょっと着ておけよ。寒くなってるのに野宿はいい加減にしてさ」

ウンサン「たった一度だけだったの」

ヨンド「ふざけるな。オレが見ただけでもう3回目だ。いつだったか、早朝スエットを着て眠そうなままタンの家の大門から出てきたおまえをミョンスが見た日。おそらくその日はオレたちが初めて会ったと思うんだが・・・思い出さないか?これくらいのガキどもが二人泣きわめいてたこと。その日オレはお前を守ってやろうと奴らと喧嘩したのにおまえは後ろを振り返りもせずに行ったんだよな」

ウンサン「知らなかった・・・ごめん」

ヨンド「いいわ!もともとオレは何でもオレだけが知ってるのが好きなんだ」

ウンサン「あなたが悪いやつでもあるけれど、いいやつでもあるってことをとうに知っていればよかった」

ヨンド「遅くはないぞ。今日がとうだということにしよう(振り出しに戻す的表現)」

ウンサン「そう言わないで。わたしはあなたのそばを通りすぎてしまったの。次に誰かを好きになったらその子に良くして。手を握ってあげたいからと足を引っ掛けることはなしに、ジャージャー麺を食べようと脅迫することもなく。ちょっとの間だったけどお陰で温かかったわ。ありがとう行くわ」

ヨンド「行くな」

とっさにウンサンの手を掴むヨンド。

ウンサン「わたし、タンと約束があるの」

ヨンド「笑わせるな。今日は帝国グループの株主総会の日だ。キムタンがおまえに会う時間がどこにあるんだ?」

ウンサン「株主総会に行く前にちょっと会おうって」

ヨンド「おれは別れと夜逃げは一回やっててわかってるんだが、おまえ人に会いに行く顔じゃない。見逃しに行く顔だ。何だ?キムタンのところから追い出されるのか?引っ越すのか?」

ウンサン「ばれたのね。近いうちに引っ越しもするわ。近頃部屋も見てるの。あなたの街に安い部屋があったら連絡して。運が良ければご近所サマしましょ。行くわね!」

何かを失ったかのような表情のヨンド。

ヨンドだけが、この後のウンサンの行動に薄々気づいていた。

取引。

ウォン「今日すぐに入居が可能だ。下で運転手が待ってるはずだ。今後、その車お前が使おうとその子が使おうといいように使え」

タン「ああ、行くよ」

ウォン「今日株主総会の件忘れてないな?必ず参席しなければな」

タン「わかってる。オレが振るった剣の対価がこれなのは。時間通り行くよ」

ウォン「お前が投じるべき票が可決ではなく否決だということも忘れずに」

タン「兄さんはいまだにオレを信じないんだな。あとで会おう」

ウォン「安心するな!おまえが隠すその子。父さんが探すのにどのくらいかかると思うか?」

タン「わかってる。すぐに探すだろうな。けれど関係ない。ただ見せるんだ。おれが過ぎた18年間、父さんと兄さんをすごく愛した。そしてその愛が終わってオレに残ったのはあの子ひとりだということを・・・それで、オレはだれであってもオレの出生がどうであってもおれが何歳でも関係なくオレの全部を利用してあの子を守るから。絶対に手を出すなという警告だと」

カップルアイテム。

ウインドウショッピングをしながら靴を見ているウンサン。

そのウンサンを車の中からヨンドがじっと見つめている。

カップルの姿を見るウンサン。

そのさなかにキム会長の言葉を思い出す。

会長「賢い子だろうと思っていたわたしの失敗だった。貧しい奴らは羞恥も持たないということをわたしはまた忘れた。たかだか18歳の恋がどうしてここまで破廉恥なのだ?おまえのお陰でタンはラヘルも失い家族も失い世間の笑いものになった!一体どこまでタンを滅ぼすつもりなんだ!!!」

タンが来て後ろから抱きしめる。

ウンサン「来たの?いつ来たの?」

タン「たった今」

お揃いのピンクのシューズを履く二人。

タン「そんなに嬉しいのか?」

ウンサン「わたしたちの最初のカップルアイテムじゃない。わたしこんなことしてみたかったの」

タン「だからってお前が払っちゃダメじゃないか。まったく・・・金使う機会があればどんどん使うんだから」

ウンサン「新しい靴も買ったしわたしたちちょっと歩かない?シューズ自慢も兼ねて」

タン「そうだな行こう。そうでなくても行くところがある」

新居。

ウンサン「ここは何?誰の家なの?」

タン「お前の家」

ウンサン「え?」

タン「ウチから出ろ。父さんのせいで不安なんだ・・・お母さんを連れてすぐ明日にでも引っ越ししろ」

ウンサン「会長も知ってる?」

タン「きっと知ることだろう。知ってもおまえに手を出させないようにするよ。約束する」

ウンサン「これが世界のすべての境界を超えさせてくれるというあなたの方式なの?」

タン「その始まりだ。慌てたからこんなやり方で一方的ですまない。これからもっと良くなる。おまえが理解できる方式に近づくように努力するよ」

一面ガラス張りのテラスからは広大な夜景が一望出来る。

まだ何もなくガランとした部屋にはドリームキャッチャーだけが飾ってあった。

それを見て涙があふれるウンサン。

タン「引っ越しいつする?」

ウンサン「明日?・・・株主総会の時間になったでしょ?早く行って」

タン「お前は?」

ウンサン「私はもうちょっと後で行く。母さんに見せる写真も少し撮ってもっと詳しく見てから」

タン「家にはどうやって帰る気だ?」

ウンサン「忘れてるようね。アメリカにも一人で行ったわたしよ。わたしは大丈夫だから」

タン「そう、行ってくるよ」

玄関先で手を振る二人。

タン「こんなだからオレたち夫婦みたいだ」

ウンサン「チッ!夫婦のようだとあなたが言ったのよ」

突然タンの頬にキスをするウンサン。

タン「おまえ、予告もなしにこうしたら・・・こいつ!」

ウンサン「あなた、予告して何かをしたことある?」

タン「行ってくるよ。家で会おう」

ウンサン「いってらっしゃい、家で待ってるわ」

笑顔の二人。

再度手を振りドアを閉める。

ドアが締まったあと、その場に泣き崩れるウンサン。

臨時株主総会が始まる。

キム会長の予告通りウォンの解任案への投票が始まる。

キム会長は不敵な笑みを浮かべている。

開票の結果、ウォンの解任案への賛成票はたったの3%で、解任を否決する表は95%に至った。

結果的にウォンの解任は圧倒的多数の票により否決された。

エスト「どういうことなの、今」

トンウク「会長は息子を飼いならしているようだな。お陰で私たちのことは進捗したのだから肯定的に捉えましょう」

会長「幸いにも否決となったな。お祝いするよキム社長」

ウォンの肩を叩くキム会長。

それを避けようとするウォン。

ウォン「さすがですね、ホント」

去るウォン。

ジスク「どんな状況か理解して立ってるの?」

タンに問うジスク。

タン「これ、もしかしてショーだったんですか?」

ジスク「考えはあるのね。兄さんの気持ちは言葉に全てできないからいたずらに刺激しないで」

呆れるタン。

会長「株主総会に初めて参席した気分はどうだ?」

タン「兄さんに対して何をしたんですか?」

会長「ほんの若干、羞恥心を与えただけだ。お前の兄だけでなくおまえにも同様に」

タン「なんとおっしゃいました?」

会長「ウンサンのことだ。おまえが隠しているあの子。一時間前に韓国を発った」

消えたウンサン。

電話をしても不通になってしまっている。

『奥様、今までお気遣いくださってありがとうございます。今までご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした。ご挨拶もなしに発ってしまうのも本当に申し訳ございません。どうかご健康にお気をつけて安寧にお過ごしください』

ウンサンの母の書き置きを読んで涙するギエ。

物音がして、

ギエ「おばさん、ウンサンなの・・・」

タンだった。

タン「母さん、ウンサンはどこにいる?ウンサンはどこにいる?」

ギエ「発ったみたい。あの子の母と一緒に・・・どうしてわたしに一言もなしに・・・」

メイドルームももぬけの殻で、バイト先に行ってもバイトは辞めたと言われる。

学校のロッカーにも荷物が全くない。

チャニョンに聞いても、

チャニョン「おまえ、どうしていつもオレからウンサンを探すんだ?いったいお前たち何があったんだ?」

街中を探しまわるタン。

そしてウンサンの住むはずだったアパートへ行き呆然とするタン。

今になって父の言葉を思い出す。


会長『今日を忘れるな。おまえが振りかざす剣の対価で、今日お前は、あの子を失った』


泣き崩れるタン。

そして静かに揺れる、ドリームキャッチャー。

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